【普通の飼い実装テッチ】 テッチュウチュウィー テチチテッテェー 踊りのつもりなのだろうか。 仔実装が不思議なステップを踏みながら手をヨチヨチと動かしている。 よすよす。撫でると嬉しそうに鳴く。 「ほれほれ。ここが気持ちいいんか?うりうり…」 目を細めて指にじゃれ付きながら喜びはじめた。こいつはいつでも素直な所が可愛い。 俺は仔実装を一匹飼っている。名前はテッチ。 実装石は飼いにくい…という世論があるが、俺はそうでもないと思う。 本来、ペットと意思の疎通が取れるなんてのは夢のような話だ。 しかし人間、どんなに愛している対象に対してでも苛立ちや殴り飛ばしたい衝動に駆られるものだ。 実装石はその部分で悩まなくてよい。これはとても大きな利点だ。 ムカつくときは殴ってもいい。手足を折ろうが、耳をちぎろうが躾の範囲内だ。 手の中にいるテッチのことは可愛いと思っているし、バカなりに愛着もある。 ただ、たまに今すぐ息の根を止めたくなるだけ。それだけだ。 手の中のテッチはだんだんと息が荒くなり、妙にせわしなく手のひらに尻をこすりつけ始めた。 おもむろにリンガルのスイッチをオンにする。 「テチューンテッチーンテテテ・・・チュチィ−ン!」(ゴチュジンサマの手の中気持ちいいテチューン。イキそうテッチ…チュチィーン!) 小さな生き物が俺の手の中で自慰に耽っている。 百歩譲って快楽に負けることは仕方ない。所詮、畜生にそこまでの理性を求めるのは酷である。 しかしその実況は別だ。 両親の情事を目撃し、喘ぐ母親の声を聞いた時のような。 どうにもとにかく気持ち悪い。これは正常な感情だと思う。 ヘこへこと糞穴を擦り付けるテッチの、マッチ棒のような小さな両腕をぎゅっと握る。 ペキリとポテトスナックが粉々になるような感触がし、テッチの腕は折れた。 「テッテッテッチィイィテッチュアァア!チュイィイイイ!」(イクイクイクイタイッチュアァア!なんでぇえええ!) 絶叫と共にブチブチと音を立てて糞を漏らし始める。生き物として普通の反応だ。 そしてチィチィ鳴きながら涙を浮かべ、小首を一生懸命にかしげて俺を見つめてくる。 こいつらは殺されそうになってもなお人間に媚びる。 普通の生き物は逃げるのだ、バカたれ、と苦笑しながらテッチをキッチンの洗い桶に突っ込んで蛇口をひねる。 涙を流しながらピョンピョンとジャンプするテッチ。 可愛らしい動きに微笑みながらデコピンをする。 ちょうど少し高く跳んだところに綺麗に当たったのか、くるりと半回転し、うつ伏せにすっころんだ。 すると、浅い水かさの桶で静かにおぼれ始めた。 俺はデバイスに電子タバコを差し込み、加熱を始める。 水が次々入ってくるのだろう。 三つ口は構造上、完全に閉じることが出来ない。開いた鼻も同じだ。 腕は青く変色し、少しも役に立ちそうにない。 首を左右に振りながら仰向けになろうとしているが、パニックからか、がぼがぼと気泡をまき散らすだけだ。 さらに髪の毛を巻き込み上手くいかない。 溺れながら糞も漏らしている。 その間にも蛇口から水が降り注ぐ。緑色の染まっていくシンクの中で藻掻くテッチ。 水を吸った実装服が重いのだろう。起き上がることも出来ない。 脚をじたばたと動かしていたが、徐々に動きも緩慢になり、足先をピンっと一瞬伸ばしたかと思うと、静かになった。 気絶したらしい。 その様子を換気扇の下で蒸気を吸いながらじっと見ていたが、一息吐いて桶に手を突っ込み、シンクに上げてやった。 ひっくり返すと鼻水を流し、赤と緑の液体を目から流しながら唖然とした表情で事切れている。 パンツはゆるい糞でパンパンだ。 すごい。なんだこれ。いくらなんでもブスすぎるだろ。 思わず笑いが止まらなくなり、写真を撮る。 ひとしきり笑った後、パンツを脱がしてやり、シンクの上で身体を規則的にぎゅうぎゅうと押してやる。 脱力した尻からブピブピと糞が絞り出される。 しばらく続けると口から鼻から水を吐き出し、蘇生した。 すげえ生命力だなあ、と感心しつつ、 「...なぁ、テッチ、大丈夫だったか?」 リンガル越しに声をかける。 仮死してからの蘇生だと偽石に負担を掛けてしまう。三途の川までは行っていないはずだ。 すると、目に涙を浮かべ咽ながらテッチは言った。 「テェエエチ…テェエエチ…テチュテチューン…!」(いのちのおんじんチ…やさしすぎるデッチ…ゴチュジンサマ…愛しているテチューン!) そして猛烈な勢いで手のひらに尻をこすりつけ始めた。 俺は静かに手に力を入れ、ぎゅっと握った。 小気味いい音を立てながら折れた両腕と無事だった足が粉々に砕け、ぶちゅっと音がして尻から血が噴き出す。 内蔵を少し痛めたかな… 「ヂイィィィィィテジュウウゥゥゥゥゥウ!」(いだいぃぃぃぃぃぃどうしてえぇぇぇぇぇえ!) 涙を流しながらいごいごと身体を捩る。 適当に水洗いして血を流した後、水槽の中に置いてある畳んだ雑巾で作った寝床にポイっと放る。 そして、泣き喚くテッチから見える位置の水槽の底へ金平糖を一粒置いてやる。 すると、痛みを忘れたのかキラキラとした目で寝床から這い出し、鼻の穴を大きく広げながら頭を使って少しずつ近づいていく。 「テッチ...テッチ…」(うんしょ...うんしょ…) 身体の自由が利かないながらも嬉しそうな瞳でペロペロと舌を金平糖に這わせて始めた。 リンガルを見ると感謝の言葉を吐いているようだ。 「テッチィテッチィ…テチュテチュ。テチューン!」(アマアマ幸せテチ…ゴチュジンサマありがとテチューン!) どうやら先程死にかけた原因についてはきれいさっぱり忘れてしまったらしい。 本当にバカだなぁ、と蔑むと同時に、完全に俺へ依存しきった態度に庇護欲が沸いた。 一生懸命金平糖を舐めていたが、体力の限界がきたのか眠り始めた。 身体の回復反応だろう。 尻から流れていた血も止まった。 そっと摘み上げ寝床の雑巾の上に転がし、おでこを指で撫でてやる。 目をつむり、身体を捩る様子は可愛らしい。 くせえけどな。 そして俺は、食べかけの金平糖にサドンデスソースをまんべんなく塗って部屋を後にした。 おやすみテッチ。
1 Re: Name:匿名石 2025/09/20-03:40:13 No:00009790[申告] |
なんて不様で滑稽なナマモノ
臭いさえ気にしないならからかい倒したい気持ちは伝わる |
2 Re: Name:匿名石 2025/09/20-07:21:13 No:00009791[申告] |
人間や他の動物に対して行えば犯罪となる行為も、その人が所在する自治体の規則次第では実装石に対してならば、例えば裏社会もののフィクションで人間に対して行なわれることでさえ許されることもあろう。脆い割に死ににくく高い回復再生力とつがいを必要ともしない旺盛な繁殖力ゆえか、実装石同士の社会においても互いをこのように扱うことが相場かもしれないという推測もある。ことの良し悪しはともかく、安い命であることよ。日本にもこのような時や場所が昔はもちろん現在にも残っているだろうが、そうした扱いのいくばくかが実装石たちによって吸収されるのであれば、実装石という存在は人類社会に対して寄与しているといえよう。
ところで、塗布型のコロリをサドンデスソースとは味な呼び方よな。 乙です。素晴らしい! |