タイトル:【虐他】 飼い主さんにいっぱいお勉強させてもらった実翠石のおはなしデス
ファイル:歌奪い.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:377 レス数:7
初投稿日時:2025/09/09-15:16:09修正日時:2025/09/09-15:16:09
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「デッデロゲェ~ン♪」「デッデロゲー♪」「デッデロゲー!」

独特な節回しと胸の悪くなるようなゲロゲロとしたヴィブラートを効かせて、
秋の繁殖シーズンを迎えた無数の実装石たちが膨らんだ大きなお腹をなでていた。

「もうそんな季節か」
公園を訪れていた観察派兼虐待派の男とその飼い実翠が、物陰から目を細めて幸福そうな妊娠実装たちを眺める。

リンガルアプリを手元のスマート端末で起動して、所謂『シアワセの唄』の内容を翻訳する。

『おいしいゴチソウに楽しい毎日、ニンゲンに飼ってもらえるかも……』
冒頭を聴いて男はすぐアプリを落とした。

「なあ、楽しめそうだな」ニヤニヤと実翠に目を合わせる。

「です、やっぱり歌えなくしてやりたいです」
おとなしく心優しい実翠石というパブリック・イメージとはかけ離れた姿だった。
陰惨な笑みを浮かべて幸せそうな妊娠実装たちへファック・サインを向ける実翠石。

「好きだねえそれ、今回はどんな感じで行くんだ?」

「コンペイトウに見せかけた弱めの実装シビレをバラ撒いてやるです」
嬉々として下劣な攻撃性を露わにし、飼い主に提案すらして見せる。

彼女は実装石が幸せの絶頂にいる、唄う姿を破壊するのが好みだった。

……

実翠石は天使ではない。好かれれば好き、嫌われれば嫌い返す、ごく人間的な感性を持つ個体も当然存在する。

時を遡ればその時、まだ実翠石は実装ショップのショーケースの中にいた
何度も何度も、ケージに入れられ持ち帰られていく仔実装や実装石を見た。

「幸せになるですよ~」ブリーダーに教えられた優しい仕草で、いつも手を振った。

決まって実装石は口を歪ませて、クソを漏らしながらそれへ卑しい笑顔で応じた。

「当然テチュ~!オマエよりカワイイワタチはチアワセになるんテチュ~ン♡チッププゥ~!」

快い見送りへ実装石たちが送ったもの。
尻を向けてニンマリと嗤い、こちらを嘲笑う。幸せな、シアワセそうな表情。
決まって、実装たちは感極まると歌を歌う。歌詞は様々でも同じメロディ、同じリズム。

「デッデロゲー♪デッデロゲー♪」
実装石がシアワセの唄とよぶもの。独特の、胸の悪くなるようなゲロゲロとしたヴィブラート。

……

何度もそれが繰り返され、実翠石の心を澱ませて行った。
このショップがパピーミルまがいなものであったが故に実装石たちは質が総じて低かったこともある。

実翠ブリーダーから送り出され、ショップに買われ、ご主人様を待つ生活。
ブリーダーの元にいた際には姉妹同然の実装石たちがいたが、ここではまるで違った。

『仲良く暮らそう実装種。みんなで手を取りシアワ生活!』
思い出すのは教育を受けていた時に見せられたビデオのシメのメッセージ。
カラフルな図像に描かれるアニメ調の実装種が手を取り合うエンドカード。
世界は、そういう世界だと思っていた。

「これは、なんなんです?」
胸の中を凍らせていく実翠石。それがいよいよ極まった時にだった。

「おー、この店は実翠石なんか置いてんのか、最近増えてるもんな」
自分のショーケースを覗き込んだ男が現れた。

「いいね、顔がいい、実翠石っぽくない」
彼女は、その表情を気に入られた。

……

「オマエらよりシアワセになってやるです!」

男に手を引かれて実装ショップを出る際、彼女は生まれてからいちばんの大声を出した。

「こりゃすごい」男は目を開いて、その姿を見守った。

掘り出し物という言葉がある。
思わぬところに思わぬ価値を持つものが転がっていたりすると、それを拾って得をしたりなんていう話。

男は、それを見つけたと思った。直感でわかる、この掘り出し物は実装石を嫌っている。

こんな環境の悪い実装ショップで高値だからと売れ残ってしまっていた個体だ、
大方、実翠ブームにノせられて仕入れられたはいいが実装を求めるこのショップの客層と合致しなかったのでそうなったんだろう。
その間にまあ何か色々見ているに違いない。

この掘り出し物があれば、やり尽くして飽きつつあった趣味の更なる先が見えそうな気がした。

公園虐殺、託児仔拷問、高級実装を堕落させる、黒髪実装の髪の毛をレインボーアートデラックスで台無しにする。

様々なことをやって、様々な実装の破滅を見てきた。

今度は、この掘り出し物を通じてその2週目といこう。男はそう思った。

……

「テッチュ~ン♡」

『そこの肉穴はゴチソウ持ってくるテチュ!ニンゲンドレイはワタチのおチリでもナメるテチュ~!』
リンガルにお決まりのアレコレが並ぶ。その典型的な糞蟲の仔実装は虐待用の廉価品で、男が虐待ショップからの通販で手に入れてきた。

実翠石はそれを渡され、また、ハサミという刃物を手に取らされた。

「イジメてみ、楽しいよ」男のその命令に困惑がない訳ではなかった。
非暴力を解くブリーダーの教えが頭をよぎりかけて、でも、鬱屈の果てにもう正確な言葉はあまり思い出せない。

結局、逡巡の後にご主人様の命令だから、の一点で己を納得させると、実翠石は自分の足元に臭いクソを投げてチプチプと笑う仔実装をひょい、と掴み上げる。
その後ろ髪を器用に切り取った。理由は肉体を傷つけてしまうのがかわいそうだったからだった。

はらりと脂ぎった髪が床に落ちては広がっていく。

「テ、テェ~~~!?」
仔実装は目を飛び出させんほど見開いて絶叫すると、男の足元へとヨチヨチと駆け出す。

「テチュン!テッチュウウウウン!!」
クソまみれの手でズボンの端を掴み、ゆさゆさとして片手で実翠石を指す。

『カワイソウカワイソウなワタチを助けテチュ~!』
『ダイジダイジの髪サン取られてオヨヨ……なんテチィ!』
『テェェン!変なのがイッポーテキにイヂメてくるんテチー!』

クソを投げていた事はどこへやら。
か弱い自分、被害者の自分を最大限に押し出して実翠を成敗してと泣き喚く文言が次々と実装リンガルアプリに表示されていく。

男は、無言で仔実装を実翠石が居る方向へ軽く蹴っ飛ばすと、実翠石がふたたび仔実装を掴み上げる。

テチテチ鳴いてイゴイゴと暴れる小さなナマモノの服は、破りやすそうだったので、彼女はそれをギュッと掴んでみた。
実装が服を大事にしているとは聞いている。

自分もうんちで服を汚されたのだからこれは正当な仕返しだ、そう考えて自分を納得させて、実翠は仔実装の服を思い切り引っ張った。

ビリビリと服が破かれ、響いた絶叫。

「チャアアアアアアンッ!?!?」仔実装が声を張り上げた。

実翠はその不愉快なナマモノの弱点めいた何かを察し、自分の中で盛り上がる濁った心を感じた。

「才能があるなあ」男は教えずともそこへ辿り着いた実翠を眺め、ニヤニヤと事の次第を見守っている。

実翠は仔実装を凝視した。表情の変化をよく観察した。
今や仔実装の顔は、ショップ時代に見送った無数の実装石達に重なった。暗い高揚から、そんな筈もないのにそれを別実装と考えず同一実装として考えた。

だから、苦しむ顔を見ると止まれなくなった。

自分を嘲笑していたこいつの手を傷つけたらどうなるだろう、自分は笑われて傷ついたんだからこのくらいしてもいい。
自分を嘲笑していたこいつのつま先を切り取ったらどうなるだろう、自分は笑われて傷ついたんだからこのくらいしてもいい。
自分を嘲笑していたこいつの耳をちぎったらどうなるだろう、自分は笑われて傷ついたんだからこのくらいしてもいい。
自分を嘲笑していたこいつの手足を捩じ切ったらどうなるだろう、自分は笑われて傷ついたんだからこのくらいしてもいい。


実翠石は仔実装の肉体を夢中で傷つけていった。

そもそもこいつが先に悪い事をしてきたんだ、だからこいつが悪いんだ。
だからこれは仕返しだ、仕方ない事なんだ。

「……オォ、テチョォ」
ずりずりと緩慢に床を這ってか細い声を上げる、赤緑色に濡れた奇怪なダルマを作り上げた時、実翠石は妙な満足感を覚えた。

『実装石だって実翠石の仲間なんだよ、たまに酷い事をする子もいるだろうけど、酷い事をし返しちゃいけないよ、そんな事をするのは糞蟲なんだ』
ブリーダーの言葉を思い出したが、もうどうでも良かった。

「テチュ、チィッ」
逃げているつもりのダルマを追い立てては刃物の先でいたぶっていく。
苦痛にか細い声を上げている。

思い切りその胴体に刃先を突き立てる。軽く潰れるような音。

さくり。ざくざく、どろり、ぐちゃ、ぐちゃ。

苦悶した表情で事切れたダルマ。禿裸の仔実装の身体が刃物で刻み潰されて原型を失っていく。

死体を見下ろすと実翠は震えた。
自分がこれをやったのだ、と思うと、悪寒が全身を覆ってしまう。しかし……

「いじめるどころか殺すとはね、今どんな感じだ?」

「……わるいことだとおもうけど、なんだかすっきりした、です」

「そうか、そうか、それでいいんだよ」
男は実翠の頭を撫でて褒めた。それから全てが始まった。


……

まずは簡単なことからだった。

「手をこの形にすると良くない意味があるんだ、実装石にはこれを突きつけてやれ」

「こう、ですか?」

「そうだ!やっぱり才能があるなあお前」

実装石に向けてする良くない語彙や良くないジェスチャーを教え込まれ、それを復唱したり真似したりするたびに褒められる。

実装を嫌う事で肯定が得られた。

……

「ママ!ママ!」「いじめないでテチュ!」「お願いデス!この仔たちは許してあげてデスゥ!」

群れの結束が固い準山実装たちを追い立てては、文明の利器である殺実装スプレーや大分の水を水鉄砲で浴びせて周る。
心が痛むが、農地近隣の山実装の害について飼い主に力説されたゆえ仕方がないと考えてこなしていく。

「デギャアア!!!」かばい合う親仔を引き裂いてしまう。
一方的に踏み躙ることになる。
動かなくなった親に縋りつく仔、やめテチュやめテチュと必死で乞う仔も殺さなくてはならない。

「テチャア!イタイテチィ!イタイんテチィ~~!マンマァ!」
もう動かないママに助けを求めて泣き喚く仔実装に動きが止まりかける。

プシュ

スプレーの小さな音と共に小さな命が失われる。
身体の奥でなにかが震える感覚がした。

「すごいなぁ、お前、実装石をこんなに殺せるなんて偉いぞ、実装石を殺せば殺すほどお前は偉くなるんだ」
動きを止めかけた時に決まって飼い主の男は暖かく実翠を褒めた。

「そうなん、です?」

「もちろん」

その日の帰り、沢山のご馳走と華美なドレスが実翠へプレゼントされた。
実装を殺す事で自分が豊かになる事と薄っすらと刷り込まれていく。

実装を殺すと達成が得られた。

……

「デスデス!デスゥ!(……違うデス!ワタシは仔を実装質に取られて……)」

「急に飛び出してきた実装をやっつけてくれてありがとうございます……ほんと私実装って苦手で」

ある時は仔煩悩な野良親実装から仔を奪い、命令通りにしなければ仔を殺す、と脅して路上で気弱そうな女性の前にとびださせた。
それを蹴りつけて撃退したように見せ、ニンゲンから感謝を浴びる。

「こいつは正義感が強いんですよ」「です!」

しらじらしく飼い主と演技して、胸を張って実装を見下しながら全能感に浸った。

「デジャアア!!!デッジャア!(デアアアッ!ニンゲンサン!ワタシの話を聞くデス!ちがう、ちがうんデス~!!)」

「すごく吠えて興奮してるな……駆除した方がいいだろう、コロリスプレーを当ててやれ」「ですー」
「わあ、頼もしい!」

「デギャアアアアアッ!」

実装をだますと尊敬が得られた。

……

心は傷ついていてもまだ無垢だった実翠石。
それはもう今やどこにもいない。

汚れた喜びと愛情、成功体験を目一杯に受け取って育ち、今や立派な虐待派だった。

気が付けば彼女は意識的に実装石への変質的な加害を、玩具として楽しんでいた。

……

「……!」
「……!……!」

声を出せない妊娠実装たちがずんぐりした手で喉を抑えては公園のそこら中で顔を見合わせて大パンコンをかましつつパニックを起こしている。

先ほどまで公園にいたクマの着ぐるみと、実装好みのピンク色の服を着た愛護派の二人組、
いわんやその正体を語るべくもない二人組から受け取った「コンペイトウ」が原因だとは思いすらもしていない。

彼女達の腹の中で、仔実装達もまた不安に苛まれているか、あるいは「コンペイトウ」の痺れる毒素に悪影響を受けているだろう。

シアワセの絶頂を破壊された実装石たちは、ただただ地団太を踏んで涙を流す事しかできないようだった。

……

「お、お喉シビれてるテチュ」
「お声が出せなくなってるテチ、ステキなシアワセのおウタさん止まっちゃったテチィ……」

物陰からそれを見て、賢い実装石とその家族が恐れつつため息をついた。
彼女の家系はこの公園を三代に渡って生き抜いた生粋の野良のエリートともいえるもの。
ゆえにこそ、愛護派に近づくことも接触することも避けていたからこそ危機を回避できた。

「また、今年も歌奪いが出たデス」

「テェ?歌奪いってなんテチ?」

「ポカポカの季節になると出るとっても怖いオバケデス、実装石をいじめて、カワイイこのお声を取っちゃうんデス」

母実装が仔実装にオバケの物語を語って聞かせる。
ある時は喉を焼いて回った、ある時は口を縫い付けていた、ある時は毒の霧を撒いた。
あらゆる手段でシアワセの唄を奪う、この土地に君臨するオバケのすべて。

「テェ~!怖いテチュ!怖いテチュ!」「テチュ!」
「ママのママが言うには、ホントの姿はジッスイなんていう醜いナマモノなんだそうデスゥ」

「ジッスイ……きっとさみしいからあばれてるんテチ」

「デ?オマエはそう思うデス?」

「きっとチアワセをとっちゃうのはうらやましいからなんテチ!」
「テチ!だからワタチはジッスイとオトモダチになってあげるんテチュ!」
「いっぱいいっぱいチアワセをあげて、オネガイして、コワイコワイをオシマイさせるんテチ~!」

「デデ、オバケとトモダチになんて、オマエはとってもやさしい仔デス」

突飛な夢物語を否定するに否定できず、親実装は心優しい我が仔の頭を撫でた。
ああ、この調子ではきっと春を迎える事はできまい、と胸をすこし痛めながら。

……

歌奪いの名は伝説めいてこの地の実装に語り継がれていく。
実装を害するオバケや悪魔。きっと、それはなんの間違いもないもの。

「ですすっ……ですですぅ」

その頃当のオバケは、物陰から不幸せそうに苦しむ妊娠実装達を見て心から笑んでいた。
歌を歌えない様子を見るのが、この上なく愉快なようだった。

【おわり】

レインボーアートデラックスで実装石を変な色にして遊ぶ実翠石のスクだったはずなんすよ。

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1 Re: Name:匿名石 2025/09/11-20:50:55 No:00009776[申告]
追記されててすごく満足
こういう悪い子も良い
2 Re: Name:匿名石 2025/09/12-02:49:08 No:00009777[申告]
しょっちゅう敵愾心向けられてたら意地悪したくなるのも出てくるよねそりゃ
3 Re: Name:匿名石 2025/09/12-15:32:24 No:00009778[申告]
レインボーアートデラックスが不意打ちすぎる
4 Re: Name:匿名石 2025/09/18-00:06:42 No:00009787[申告]
所詮は実翠石も逆恨みをするクソムシだったのか
5 Re: Name:匿名石 2025/09/20-03:35:53 No:00009789[申告]
これは逆恨みになるんだろうか?最初に加害しているのは糞蟲実装側のような気がするが……
それはともかく実翠が虐待派に染め上げられていく様を見てブラック・ラグーンの双子を思い出した
あの双子もこんな風に壊されていったのだろうか……
6 Re: Name:匿名石 2025/09/20-17:57:27 No:00009792[申告]
逆恨みって…普段は種族単位でヘイト向けときながら少しやり返したくらいでねえ
大人しいからってサンドバッグか何かと勘違いしているタイプの手合いが多いからな実装側も
もしゴリゴリにやり返す相手と理解しているなら一々嫉妬と自尊心の捌け口に発狂なんてしないだろう
それにそもそも外で騒いでる実装なんて普通に騒音公害だし
7 Re: Name:匿名石 2025/09/27-11:01:16 No:00009803[申告]
種族単位で差別されてもニンゲンサンの事が大好きな実装石・・・
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