タイトル:【考察】 考察ネタは退屈かもしれません。独自解釈OKな方のみお読みください。
ファイル:ベンケイ・シー.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2339 レス数:0
初投稿日時:2006/09/07-05:43:29修正日時:2006/09/07-05:43:29
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私は、椎「」弁慶(シイ「」タダヨシと読む)。
実装産業大学医学部公衆衛生環境科(*1)の助教授だ。

実験が一段落したのでコーヒーカップを手にビデオを見ている。


♂・♀・*・+・∞


モノクロ映像で黒板を前に白衣の男が記号をカッカッと書きなぐっているOPが始まる。


カチャ。

「相変わらずそのドラマ好きっすねぇベンケー先輩。」

私の部屋のドアを開け後輩の「」原が入ってきた。

「ベンケイと呼ぶな。タダヨシだ。」

「いいじゃないっすか。先輩の好きなドラマの主人公の名前っぽいし。
そうそう! 先輩が欲しがっていたサンプルが届きましたよ。」

「解った行こう。」

私はビデオを止め白衣を羽織って研究室に向かう。


私の専攻は脳神経外科なのだが(*2)県の環境衛生課の依頼の仕事を
教授と私個人の人脈でよく請けている。
立場上この研究室の助教授ということになっているが
教授は色々な方面のお偉いさん方との宴会に明け暮れている為、
実質は私が中心に研究活動を行っている。

今も現職なので変な表現だが教授の現役時代、
私と共に研究三昧の日々を送っていた頃を知らない他のスタッフや学生は
接待の日々を送る教授に対し何かと陰口を叩くが宴会三昧もスポンサーから資金を調達して
私が好きなように研究を出来るようにという教授の思惑もあると当人も言っていたが呑み助で
破天荒な教授の事だから…

まぁどうでも良い話だな。

最近の研究テーマは市街地に蔓延っている実装石が環境特に衛生面でどの様な影響を与えているかだが、
私はこれとは別に仮説を立て検証しているテーマがある。

今回、手に入ったサンプルもその追い求めているテーマの解決の鍵になるかもしれないモノである。

人間の欲望を映す鏡として実装石は人間の望むままに姿を変えてきたという仮説が一般的だ。
私はもしかすると実装石に対して人間が何らかのリアクションを起こすように実装石が影響を
与える因子を出しているのではないかという仮説を立てている。




以前から疑問に思っていた。


どうして彼ら実装石に関わる人間は一般人からすると非常識な行動を取っているのか?


実装石に関わる者というと実装石の欲望のままに甘やかし猫かわいがりし
他者の迷惑も顧みないような愛護派と実装石と見るや一般人が目を背けるような残酷な手段で
実装石を傷つけたり殺す虐待派と呼ばれる存在がある。
(もちろん程度の差はある。あえて極端に二派で説明させて欲しい)


まず愛護派について。

彼らは実装石の無限に肥大する欲求に応じ一般市民から見れば非常識なレベルの贅沢をさせる。
大抵の愛護派の実装石はブリーダーやペットショップで躾けられていた事を忘れ糞便もたれ放題。
部屋の壁や飼い主の客や往来の人間に糞を投げつけるような行動を取るが飼い主は気にしないどころか
褒め称える姿をよく見かける。
(この行為は先の県議会で実装石飼育に関する条例で罰則の厳格化が決議されたので改善されつつある)

まともな一般市民であればたかがペットに人間以上の贅沢をさせるのはまだしも
部屋中を糞便だらけにしても意に介さない愛護派というのは理解しがたい存在である。


次に虐待派について。

彼らは人間に近い知能を持つ実装石を様々な方法で虐待及び虐殺することに愉しみを見出している存在で、
実装石の手足を切り取る事や偽石とよばれる珪素質(*3)の物体を抜き出す為に開腹行為などを平気でやってのける。
魚すらも捌けないような青年が身長60cmから30cm程度の実装石の腹を割いて全身を血に染めても平然と
しているどころか歓喜の声を上げている様子は一般人には理解しがたい。

その一方で猫や犬に実装石同様の虐待及び虐殺行為を働くかと思えばそうではなく
むしろ愛護する傾向が多く、実装石にのみ矛先を向けている事が多く見受けられる。


実装石は今のような姿、習性を身につけたという仮説があると先ほど述べたが、
それは人間と何らかの形でコミュニケーションをとるためではないだろうかと考える。
(この考えは割りとメジャーだ)

その上で、実装石が人間とコミュニケーションをとるために何らかの因子(当初私は寄生虫を想定していた)
これらが人間の脳に影響を与え感染した結果、通常では考えられない行動を行っているのではないかという仮説の下、日々検証を行っているのだ。

先日、国立大の知人に送ったサンプルでは確認できなかったがその痕跡ようなものが見受けられたと
連絡があった為、私は確信を強めている。

研究室に入り、ストレッチャーのサンプルを見る。

ストレッチャーに乗せられているのはでっぷりと太った中年の女性である。
先ほど事故で亡くなったばかりの新鮮なサンプルだ。

この中年女性は実装石愛護派の急先鋒とも言うべき女性で死因は交通事故。
愛護派といっても色々な立場があるがこの女性の場合は実装石を思いっきり甘やかして
近隣住民とのトラブルで煙たがられていたという所謂糞蟲飼いである。

このサンプルが手に入ったのはかねてより大学病院と親しかった事もあったが
実装生態研究会の部長の後押しがあり研究のお題で手に入れることができた。

サンプルの解剖を始める。
死後確認一時間も経過していないので新鮮である。
頭部を切開しサンプルの組織を取り出す。

取り出したサンプルを電子顕微鏡に設置しスキャンを開始する。
教授が分捕った予算とスポンサーの資金で最新の走査型透過電子顕微鏡(*4)が置けたのは良かった。

前頭葉の組織の中に思ったとおり異物が存在している。
マーブル模様のアメーバの様な外見のウィルスだ。

このウィルスが人間の前頭葉組織に干渉し愛護派や虐待派を問わず実装石に人間が関わるように
仕向けていると思われるのだ。
厄介なことにこのウィルスは羅患した人間が死ぬと次第に崩壊し次第には消え去るという特性がある。
国立大の知人の報告はその崩壊しかけたウィルスの欠片を発見したものだったので崩壊速度は予測で48時間程度。

私はサンプルから得られた結果に満足し更に寝食をわすれ検証に没頭した。




それから半年にわたる検証でウィルスに関して以下のようなことがわかり学会で発表した。


・ウィルスは前頭葉で繁殖し人間の意志及び行動に影響を与える。
・ウィルスの目的は人間と実装石のコミュニケートである。
・コミュニケートの内容は問わずとにかく人間が実装石に構うように仕向ける傾向が有る。
・皮膚および空気感染はしないようで体液や糞尿を介して感染する。
・感染した人間が死ぬとウィルスは48時間以内に崩壊を起こし痕跡を残さない。
・崩壊速度は48時間以内。
・崩壊時に外気に拡散しようとし発症者の半径1m以内に近づくとキャリアになる。
・感染後の発症率は感染者の本来の性格で変化するが精神的に不安定な人間の発症率が高い。
・ウィルス感染チェック試薬は試験段階だが感染のチェックは妊娠検査薬並に簡単に可能。

当初、ウィルスが人間の行動に影響を与えるというこの報告に懸念いや拒否する学者も多かったが
追試の結果、ウィルスの存在は明らかにされた。
ウィルスはCaresVirus(構ってウィルス)と名づけられ一般にはCウィルスと呼ばれるようになった。(*5)

Cウィルスは世間でセンセーショナルに受け止められ、感染者と非感染者との軋轢や
実装石への大々的な駆除が始まった。

更なる研究で全ての実装石がCウィルスを保持しているが必ずしも全ての実装石が他者へ
感染させるわけではなく所謂糞蟲と呼ばれるような固体が感染源となることが判明したが
「実装石は人間を狂気に走らせる存在」との見方が定着しつつあったため個体数は大幅に激減し一時は絶滅するとみなされた時期もあった。

だが、人間に近い知能を持ち躾け次第では人間の役に立つ事や性格が良ければ愛らしい愛玩動物
としての価値も有る実装石へのニーズは根強かったために品種改良が進みウィルス感染チェックを
定期的に行い安全であるとされた固体が世間に出回り実装石の市場規模は相変わらずだ。

実装石はウィルスを介してまで何故コミュニケーションに飢えているのか?
私はこの点に付いてもある仮説を持っているが別の機会に開陳したい。

私の名は椎「」弁慶。
人は私の名をベンケイ・シーと呼ぶが(*6)タダヨシ・シイ「」だ。



(*1)実際にこのような名称の学科は存在しない。
  モデルとしては九州大学を中心に実在する「環境社会医学専攻社会医学講座」がモデル。

(*2)学生の頃に参加した共同研究で教授知り合いと意気投合して教授の研究室に入った。

(*3)実物はン億円なので資金が豊富な私大でも置いているところは少ない。

(*4)偽石が珪素であるのは作者の私の独自設定なのでスルーしてくださると幸いです。

(*5)過去に実装ウィルスネタでスクがあったと思うので名称は個別にした。

(*6)雑誌T○MEの記事でこの名前で書かれすっかり定着してしまったことには閉口する。


あとがき

考察モノはあまり受けないと思うけどかねてからの疑問を書いてみました。
お付き合いいただきありがとうございました。

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