タイトル:【虐観察】 飼い実装テヴェールの穏やかな日々 その3 お留守番
ファイル:飼い実装テヴェールの穏やかな日々 その3 お留守番.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:452 レス数:2
初投稿日時:2025/06/28-22:05:14修正日時:2025/06/28-22:05:14
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飼い実装テヴェールの穏やかな日々 その3 お留守番
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「行ってきまーす!」
『行ってらっしゃいテチ〜』
飼い仔実装のテヴェールは、ママさんと共に幼稚園に向かうご主人サマの秋穂を手を振って見送った。
パパさんもお仕事に行っているため、少しの間はセントバーナードのバルクホルンと二匹でお留守番だ。
『ボールで遊ぶテチ!』
寂しくないよう、バルクホルンと一緒のスペースに置かれたテヴェールは、ピンポン球を持ち出してバルクホルンに向けて転がした。
バルクホルンは前足を使って器用にピンポン球を押え込み、テヴェールに向かって軽く押し出す。
小さな身体でテッチテッチと楽しそうにピンポン球を追いかける姿は、かわいいと言えなくもない。
何はともあれ、テヴェールにとっては楽しい時間が過ぎていった。


実装石、特に仔実装以下の個体は孤独に対して強いストレスを覚える事で知られている。
非力で脆弱な肉体故に自活力が皆無であるため、親実装や飼い主の人間に相手にされないというのは自身の命の危機とイコールであるからだ。
だからこそ、おあいそを始めとする媚びや、お歌、踊りといった行為で親実装や人間の関心を買おうとするのだが、それが良い結果もたらすかというと・・・。


『テェェェンッ、テェェェンッ・・・!』
とある社会人一年目の女性に飼われている仔実装は、住処として充てがわれた水槽の中で泣き声を上げていた。
ブリーダーの躾を乗り越え、ショップで買われて念願の飼い実装になれたと思ったのに、ご主人サマは全然構ってくれなかった。

『ご主人サマ、おかえりなさいテチ!ずっとお留守番で寂しかった分、一緒にいたいテチ!』
「・・・悪いけど、疲れてるからまた今度ね」
日中はずっとどこかに出掛けているし、夜遅くになって帰って来たと思ったら、まともに相手をしてくれずにご飯を食べて寝てしまう。

『ご主人サマ!お留守番している間に新しいお歌と踊りを考えたテチ!見せてあげるテチ!』
「うるさい!もう眠いんだからやめてよ!」
頑張って覚えたお歌や踊りを見せてあげようとしたら、何故かすごく怒鳴られてしまった。

『・・・ご主人サマ、ワタチ寂しいテチ。ご主人サマと同じお布団で一緒に寝たいテチ・・・』
「・・・やめて、寝る時くらいゆっくりさせてよ」
寂しいので一緒に寝てほしいとお願いしても嫌そうに断られてしまった。

『・・・ご主人サマ、少しでいいからボールである遊んで欲しいテチ・・・』
「・・・チッ・・・」
ほんのちょっとでいいからボールで遊んで欲しいのに、すごく嫌そうに舌打ちされてしまった。

飼い実装としていっぱい可愛がって褒めてもらうのが夢だったのに、どうしてご主人サマは相手をしてくれないのか。
仔実装にはさっぱり理解できなかった。


無論飼い主にも事情がある。
馴れない社会人生活に寂しさを覚えて仔実装を買ったものの、日々の仕事に疲弊してしまい、仔実装を構う時間的、心理的余裕が失われていたのだ。
もっとも、仔実装にそんな事情を斟酌しろというのが無理な相談なのだが。
『・・・ヂィィィッ、何で、何でなのテヂィィィッッ!?』
仔実装はストレスにより徐々に精神を蝕まれてゆき、自身の身体を噛んだり髪を抜いたりといった自傷行為に及んでいった。
日毎にみすぼらしい外見になってゆく仔実装に、飼い主はますます愛想を尽かしてゆく。
そんな悪循環が一ヶ月ほど続いた後、仔実装は偽石を自壊させて死んだ。
「・・・こんなに糞まみれになって、汚いわね・・・。なんでこんなことに時間を使わなきゃいけないのよ・・・」
飼い主は悲しむどころか、ゴミの処分の手間が増えた事に苛立ちを覚えるだけだった。

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1 Re: Name:匿名石 2025/06/29-02:41:00 No:00009727[申告]
仔実装に限らず実装って空気読みや気遣いが絶望的に苦手だし半端な知性で価値観押し付けてくるのが悪循環の元凶よね…
2 Re: Name:匿名石 2025/06/30-20:09:43 No:00009729[申告]
飼い主の仕事疲れで構ってもらえない仔実装がストレスで自傷していく様は美しい…
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