実翠石との生活Ⅲ 短編まとめ8 ----------------------------------------------------------------------- ブランコ 秋人と実翠石の裏葉の間に、待望の娘が生まれた。 母親譲りの愛らしい容姿と、美しい黒髪を持って生まれた実翠石は松葉と名付けられ、両親から溺愛され元気いっぱい育っていた。 よく晴れた休日。 秋人は裏葉と松葉を連れて、近所の公園に来ていた。 年度当初に大規模な害獣駆除と公園整備が行われたため、公園は人々の憩いの場という本来の役割を取り戻している。 「パパ、ブランコで遊びたいです!」 そういって元気よく秋人の手を引く松葉に、秋人も裏葉も笑みが絶えない。 「ほら、しっかり掴まってなさい」 「は〜いです!」 優しく背を押す秋人に、松葉は素直に返事を返す。 ブランコから放り出されて怪我をしないよう、ずいぶんと控えめに押していたが、それでも松葉は満足だったようだ。 きっと、両親と一緒に遊びに来られたというだけで嬉しかったのだろう。 ひとしきり遊具で遊んで満足した松葉は、両親に手を引かれてお家へと帰っていった。 『ママ、ママ!ワタチタチもあれで遊びたいテチ!』 『そうテチ!あんなデキソコナイが遊んでるなんて生意気テチ!ワタチタチも遊びたいテチ!』 『公園はワタチタチ実装石のものテチ!ニセモノの分際で公苑で遊ぶなんてムカつくテチ!』 飼い実装のミドリは、公園で遊んでいた実翠石を見て喚き立てる仔達を抑え切れなかった。 ご主人サマとの散歩の途中でたまたま見かけた卑しい肉穴人形達が、その飼い主と遊んでいるのを見て、ミドリ自身も無性に腹立たしかった。 だが、春先に不意の妊娠とはいえ勝手に三匹も仔を産んでからというもの、ご主人サマのミドリを見る目は非常に冷ややかだ。 ここで妙な真似をすれば飼い実装の地位を失いかねない。 その恐怖がミドリを何とか自制させていた。 だが、親の心仔知らずというやつで、仔供達は本能的な実翠石への敵対心を露わに鳴き喚いている。 さして賢くもない仔実装如きに、本能を抑えろというほうが無理な相談ではあるのだが。 『ご、ご主人サマ、ちょっとだけ公園で遊んでいってもいいデス・・・?』 ミドリの控えめなお願いを、飼い主は軽く舌打ちしつつも聞き入れてくれた。 実翠石を見て興奮したのか、糞を漏らしている仔達に眉をひそめながら、ミドリは仔をブランコに乗せて押してやる。 だが、ミドリが押した程度ではさして揺れず、仔達は不満そうに騒ぐ。 『こんなんじゃ全然楽しくないテチ!』 『そうテチ!あのデキソコナイはもっと楽しそうだったテチ!』 『ニセモノより役に立たないなんてクソママテチ!』 仕方無しにミドリは助走を付けて思い切りブランコを押した。 『デスゥッ!』 ブランコは仔達の要望どおり勢いよく跳ね、 『テチャァァァッッ!?』 『テヒィィィィィィッ!?』 『テッチャァァァァァッ!?』 ブランコに立ったままだった仔実装達を放り出した。 『ヂッ!?』 『チベッ!?』 『テベッ!?』 放り出された仔実装達は物理法則に従って地面に叩き付けられ、その尽くが公園の地面の汚い染みと成り果てた。 『デジャアアアアァァァァァァッッ!!??』 仔の末路に悲鳴を上げるミドリを、飼い主は相変わらず冷ややかに見つめていた。 首輪も名前も与えていないのに飼い実装面をしていた糞仔蟲共。 そんな奴らにかける情けなど全く持ち合わせていない飼い主は、いい厄介払いが出来たと口の端を小さく歪めていた。 ----------------------------------------------------------------------- こどもの日を祝ったり祝えなかったり 「わぁ〜!」 テーブルの上に並べられた料理の数々に、実翠石の松葉は瞳を輝かせた。 手毬寿司、筍の煮物、ぶりの照焼等々、いずれもこどもの日にちなんだメニューだ。 「松葉が元気に育ちますようにって、パパと一緒に作りましたです」 母の裏葉の言葉に、松葉がはにかんだ笑顔を浮かべる。 「パパ、ママ、ありがとうです!」 松葉の笑顔に秋人と裏葉は顔を見合わせて微笑み合う。 「さあ、冷めないうちに食べようか」 「はいです!」 「デザートには柏餅もあるからな」 「わ〜い♪」 優しい父と母に囲まれて、今日も松葉は幸せいっぱいだった。 一方、とある公営住宅の一室では・・・。 「ああああああああああああああああああっっ!!」 『デギャッ!?デヒィッ!?や、やめてデスゥ!』 秋人の元妻の敏代は、怒りに任せて何度もビニール傘を叩き付けていた。 その矛先にいるのは、もう何代目なのかも分からない、テチヨと名付けた実装石だ。 売れ残って成体にまで育ってしまい、捨て値で売られていたが故に敏代に買われる羽目になったテチヨ。 その瞳は両方とも緑色に染まっていた。 意図しての妊娠ではなかったが、そんなことは敏代にとって関係なかった。 過去に患った病気により子供を望めない身体になっていた敏代にとって、こどもの日なんてものは自身の存在を否定しているに等しい呪いの日だった。 それだけでも不愉快極まるのに、テチヨは飼い実装の分際で断りもなく妊娠し、飼い主である敏代を馬鹿にしてきた。 客観的に見れば被害妄想もいいところなのだが、メタ認知能力など欠片も持ち合わせていない敏代にはそんな事は理解できなかった。 今も腹を庇って殴打に耐えるテチヨの仕草にますます激昂し、ビニール傘を包丁に持ち替えて滅多刺しにし始めた。 『デゲアァァッ!?や、やめてデスッ!お腹の仔が死んじゃうデスゥ!?』 「うるさいぃっ!!死ねっ、死ねっ、死ねぇぇぇぇっっ!!」 テチヨの腹の中の仔を思っての悲鳴に逆上した敏代は、獣じみた叫びを上げて逆手に持った包丁をテチヨに振り下ろし続けた。 敏代が我に返った時には、テチヨは首から下が腹の仔もろともズタボロの肉塊と化していた。 敏代の手も服も、テチヨの血や飛び散った肉片、そして糞で汚れきっている。 「・・・どうして・・・どうしてよぉ・・・」 ぽろぽろと両目から涙が溢れて止まらなかった。 どうしてこんなことになってしまったのだろう。 敏代には理解できなかった。 きっと秋人に離婚されなければ、こんな事にはなっていなかったはずなのに。 離婚の原因となった忌々しい肉穴人形の嘲笑が脳裏をよ ぎる。 自分から秋人を寝取り、全てを奪っていった、男に卑しく媚びることだけが取り柄のクソビッチ。 怒りに任せて、かろうじて原型を保っていたテチヨの頭部に、思いっきり包丁を突き立てる。 「・・・いつか殺してやる・・・!」 呪詛そのものの言葉は、血と糞の臭いで淀みきった空気の中へと溶けていった。 ----------------------------------------------------------------------- 今日は母の日 今日は母の日、ということで、秋人は実翠石の裏葉と娘の松葉を連れて近所のケーキショップへと来ていた。 前々から予約していた、母の日を祝うケーキを受け取るためだ。 何事もなくケーキを受け取り、三人手を繋いで帰路に着く。 「パパ、ありがとうございますです」 「プレゼントはケーキだけじゃないぞ。松葉がもっと素敵なプレゼントを用意してくれてるからな」 「わっ、パパ、それはまだ秘密ですぅ!」 親子の他愛もないやり取りだったが、それこそが秋人達が求めていた幸せだった。 『デギィィィィィィィッ・・・・・・!!』 三人の仲睦まじい様子を、飼い実装のミドリは血涙を滂沱の如く流しながら睨み付けていた。 飼い主に連れられての散歩の途中、たまたま見かけた卑しい肉穴人形の母娘。 バカなクソニンゲン相手に必死に腰を振ってこさえたであろう娘が黒髪だったことも、ミドリの怒りをいや増した。 ミドリにも娘がいた。 本来ならば、ミドリだって母の日を娘達に祝ってもらえるはずだったのだ。 だが、ミドリの飼い主は、ミドリの娘の存在そのものを認めなかった。 数日前、ミドリと産まれたばかりの五匹の娘達を前にして、飼い主は冷然と告げた。 このまま家族まとめて捨てられて野良として生きるか、産んだ仔を皆殺しにして飼い実装のままでいるか、好きな方を選べ、と。 『ママはワタチタチにひどいことなんてしないテチ!』 ミドリはたっぷり悩んだ後、飼い主に啖呵を切った長女を抱き上げて、その頭を噛み潰した。 『ヂッ!?』 頭部の三分の二を失った長女は、ビクリと大きく震えた後、二度と動かなくなった。 『マ、ママ・・・?』 呆然とする次女を引き倒してその頸部を思い切り体重をかけて踏み潰す。 『チベァッ!?』 次女の首が転がっていき、三女の前でようやく止まった。 『に、逃げるテチィィ!』 悲鳴を上げて駆け出す三女の後ろ髪を掴んで引き寄せて、腹を思い切り何度も踏み付ける。 『チボァっ!?』 口から吐瀉物を吐き出し、総排泄孔から糞を溢れさせ、三女は内臓破裂で死亡した。 『チヒィィィッ!?』 姉妹が立て続けに殺された事に腰を抜かした四女は、それでもずりずりと後ずさって逃げようとする。 自身を殺そうと後を追ってきたミドリに、四女は震えながら媚びてみせた。 『テ、テチュ〜ン♪ マ、ママ、カワイイワタチを殺すのなんてだめなのテチィ〜・・・ヂッ!?』 媚びの甲斐もなく、四女は長女と同様に頭を齧り取られて絶命する。 『ママ、プニプニしてほしいレフ〜レピャッ!?』 何も分からずプニプニを要求する五女の蛆ちゃんは、三女と同様に何度も踏み付けて始末した。 蛆実装の脆い身体は水風船のように破裂して、床に汚い染みを作った。 『い、言われたとおりにしましたデスゥ・・・』 涙ながらに見上げてくるミドリに、飼い主は吐き捨てるように言った。 「糞蟲が」 その後、ミドリは麻酔無しで眼球を摘出された後、眼孔を焼き潰されて、二度と仔が産めないように措置された。 ミドリは遠ざかってゆく裏葉達の背中を、呪い殺さんばかりに睨みつけながら自問自答した。 自分はこんなに辛く悲しい目に遭ったのに、あのニセモノ共はどうしてあんなにシアワセそうにしているのだろう? ニンゲンに愛されるのはワタシタチ実装石であるべきなのに、何故デキソコナイのダッチワイフ如きが寵愛を受けているのだろう? 自分は仔を持つことすら許されなかったのに、あの卑猥な肉便器が黒髪の娘を産み育てる事を許されているのは何故なのだろう? ミドリにとってはあまりに理不尽な現実だったが、残念なことに怒りを発露することすら許されなかった。 「いつまで突っ立ってるんだ?」 苛つきを隠そうともしない飼い主の声と共に、蹴りが見舞われる。 『デギャァ!?ご、ごめんなさいデスゥ!』 半ば引きずられるようにしてミドリは飼い主に続く。 産まれたばかりの仔達を犠牲にしてまで固執した飼い実装の地位だが、それがいつまで維持出来るかは、飼い主の気分次第だった。 「ママ、母の日おめでとうです!いつもありがとうございますです!」 そういって松葉が掲げた画用紙には、裏葉を真ん中にして左右に秋人と松葉が笑顔で手を繋いでいる絵がクレヨンで描かれていた。 「ありがとうです、松葉。とっても、とっても上手に描けているです」 松葉の頭を撫でる裏葉の瞳には、うっすらと涙が滲んでいた。 両肩に置かれた秋人の手が、ひどく温かい。 松葉が描いた絵のとおり、きっとこれからも優しさと愛情に満ちた日々が続いてゆく事を、裏葉は願わずにはいられなかった。 ----------------------------------------------------------------------- 髪のお手入れは大事です よく晴れた休日。 実翠石の松葉は両親と共に公園に遊びに来ていた。 春先に野良実装の大規模駆除と環境整備が行われて以来、公園は人々の憩いの場という本来の役割を取り戻している。 松葉は野良実装に絡まれる事なく、父の秋人と遊具で遊んだり、母の裏葉と野花を摘んで花冠を作ったりなどして楽しんでいた。 だが、子供らしくはしゃいでいるうちに、濡烏と評すべき黒髪が少しばかり乱れてしまっていた。 「もう、松葉は元気が良すぎです」 裏葉は控えめに笑い、松葉を自分の隣に座らせると、櫛を取り出して松葉の髪を梳かし始めた。 「ママに髪を梳かしてもらうの、大好きです〜♪」 嬉しそうに裏葉にお気に入りの黒髪を委ねる松葉だったが、髪を梳かしてもらうのが気持ち良いからか、はたまた遊び疲れたのか、いつの間にやら船を漕ぎ始めていた。 そんな裏葉の様子に、秋人と裏葉は顔を見合わせて微笑み合う。 楽しい時間はこれまで、というわけで、秋人は裏葉を起こさぬようにそっと抱き上げ、裏葉と共に家路に着いた。 『テヂィィィィィィィィッ・・・!』 幸せそうな松葉達を、主人に抱っこされて散歩中だった飼い仔実装のテチミが忌々しげに睨み付けていた。 最初のうちこそ、卑猥な肉穴人形共が飼い主に媚びようと身繕いに必死になっている、と嘲笑ってやろうと思っていた。 だが、母娘が仲良くしている様子を見ている内に、母実装との仲がギクシャクしている事を思い出してしまったことで、怒りと嫉妬が抑えきれなくなりつつあった。 家に帰り着いたテチミは、デキソコナイ共がしていたように髪を梳いてほしいと母実装のミドリに要求した。 『ワタチのきれいな髪をお手入れするテチ!あんなビッチ人形共なんかよりワタチのほうがかわいくなくちゃおかしいのテチ!』 ミドリは最近では飼い主にばかり媚び、母である自分を蔑ろにするなど糞蟲じみてきたテチミに愛想が尽きかけていた。 だが、あまり騒がしくされてもご主人サマに迷惑がかかると思い、仕方無しに言う通りにしてやる事にした。 といっても、指のない不器用な手では、櫛で滑らかに髪を梳くというのはなかなかに困難だった。 『ママは不器用すぎテチ!使えないクソママテチ!』 まごつくミドリに、テチミは遠慮なく苛立ちをぶつける。 そのうち櫛が髪に絡んでしまい、ミドリが何とかしようと四苦八苦し始めたところで、テチミはとうとう癇癪を起こした。 『テチャァッ!いつまでグズグズやってるテチ!?ほんとに役に立たないクソママテチ!』 髪に絡んだ櫛をミドリが掴んでいるにもかかわらず、テチミは甲高い鳴き声を上げて暴れ始めた。 その結果、後ろ髪の大部分が櫛に絡んでブチブチと抜けてしまう。 後頭部のひりつく痛みと目の前にぶら下がる髪の毛に、テチミは火がついたように泣き喚き始めた。 『テヒャアァァァァァァァァァッッ!?髪、髪、髪が無くなったテチャァァァァッッ!?』 糞をたっぷり漏らしながら泣き叫ぶテチミを、ミドリは対照的に酷く冷めた目で見つめていた。 最近悪化していた糞蟲じみた言動に加え、半ば禿に近い状態となったテチミに、完全に愛情が失せたのだった。 こんな仔は生かしておいても仕方ない。 ご主人サマにも迷惑がかかってしまう。 もはや間引く事に躊躇いを感じなくなったミドリは、テチミの首を捻って始末した。 『ヂッ!?』 死体は飼い主が見ていないところでドアに挟んで潰し、不幸な事故として飼い主に報告した。 飼い主もテチミの小煩さに辟易し始めていたので、形ばかりミドリを慰めて、深く追求することはなかった。 ----------------------------------------------------------------------- 早朝掃除 日曜日の早朝。 秋人は実翠石の裏葉と娘の松葉を連れて、町内会の清掃活動に参加していた。 「さあ、松葉。ゴミ拾い、頑張りましょうです」 「はいです!」 秋人達に割り当てられたのは、遊歩道のゴミ拾いと路肩の雑草抜きだった。 まるで宝探しゲームのように、楽しげに落ちているゴミを拾っては袋に詰める松葉の姿は、見る者の多くを和ませる。 落ちているゴミの多くはタバコの吸い殻だったが、他のゴミや雑草と合わせるとそれなりの分量になった。 集めたゴミで膨らんだ袋を集積所に持っていくと、 「おや、お嬢ちゃん、よく頑張ったねぇ」 「お疲れ様。いつもありがとうね」 と他の参加者から労いの言葉をかけられる。 「えへへ、いっぱいほめられちゃったです♪」 はにかんだ笑顔を浮かべる松葉の黒髪を撫でながら、秋人も笑顔で応えた。 「頑張ったご褒美に、今日の朝ごはんはホットケーキを焼いてあげような」 「わ~い、パパのホットケーキ、楽しみです!」 喜ぶ松葉の様子に目を細めつつも、裏葉は秋人の腕をつつく。 「もう、パパったら、ちょっと松葉を甘やかしすぎじゃないです?」 「裏葉にもちゃんとご褒美はあるぞ?」 「私にも、です?」 きょとんとする裏葉の耳元で、秋人はそっと囁いた。 「ああ。・・・今夜、松葉が寝てから、だけどね」 「あっ・・・はい、です・・・♥」 頬を染めながらも秋人の腕をぎゅっと抱き締める裏葉だった。 『テヂィィィィィィ・・・!』 松葉が褒められている様子を、二匹の野良仔実装が物陰から睨み付けていた。 生意気にも黒髪を生やしたデキソコナイが大勢のニンゲンに媚びている様を見た野良仔実装姉妹だったが、苛つきこそしたものの人前に飛び出すような無謀な真似はしなかった。 『あの媚上手な肉人形は見てるだけでムカつくテチ!』 『でも次女チャン、あのクソ人形みたいにすればきっとワタチタチもイイコイイコしてもらえるテチ!そうすればカワイイワタチタチならきっと飼いになれるテチ!』 『チププ!長女姉チャン、さすがテチ!これでクソママともおさらばテチ!セレブな飼い実装生活の始まりテチィ!』 姉妹は幾らか知恵が回るらしく、ここは黒髪のヒトモドキの真似をしてニンゲンの気を引き、あわよくば飼い実装になってやろうと画策したのだ。 野良仔実装姉妹はさっそく行動を開始した。 仔実装にも拾いやすいタバコの吸い殻が落ちていないか、目を皿のようにして探す野良仔実装姉妹だったが、掃除が終わったばかりではさすがに見当たらない。 苛つきばかりが募っていったところでようやく、姉妹は遊歩道に備え付けられたベンチに腰掛けてタバコを吹かすニンゲンを見つけることができた。 姉妹はニンゲンの足元に駆け寄ると、テチャテチャと騒がしく鳴き喚く。 『クソニンゲン、そいつをよこせテチ!』 『ワタチタチはセレブな飼い実装になるんテチ!何ならオマエに飼わせてやってもいいテチ!』 野良仔実装姉妹に絡まれたニンゲンこと近所に住む不良少年は、うるさく鳴き喚く姉妹を見て舌打ちすると、吸っていたタバコを次女の前髪に押し当てた。 『テ?テチャァァァァァァァッ!?』 ろくに水浴びもしないため油分が溜まっていた髪と服はよく燃えた。 前髪から頭巾、そして後ろ髪へと火が広がってゆく。 『テヒィィィッ!?クソニンゲン、さっさと助けろテチ!ワタチが死んじゃうテチ!長女姉チャンも見てないで何とかしテチ!』 『テヒィィィィィッ・・・!』 その場で転がって何とか火を消そうと足掻く次女を、長女は震えて見ている事しか出来ない。 火が燃え移ったら、自分の髪や服まで失われかねないからだ。 昏い笑みを浮かべた不良少年はジッポライターを取り出すと、震えて次女を見つめているだけの長女の後ろ髪に火をつけた。 火は長女の後ろ髪を焦がし尽くすと、実装服に引火して燃え始める。 『テヒャアァァァ、熱いっ、熱いテチィィィィィッ!?』 次女と同様にその場を転げ回る長女。 服と髪が燃え尽きて火は収まったが、姉妹は揃って全身に火傷を負い、ピクピクと痙攣するばかりだ。 不良少年はつまらなそうに舌打ちすると、タバコの火を消すように姉妹の身体を踏みにじった。 『ヂッ!?』 『チベッ!?』 そのまま不良少年はどこかへと立ち去ってゆく。 後には汚い染みだけが残された。 その日の夜。 情事の後の満たされた気怠さに身を委ねながら、裏葉は隣で眠る秋人に身体を擦り寄せた。 たっぷりと膣内に注がれた秋人からのご褒美が股間を伝う感触に、誰に見られている訳でもないのに妙な気恥ずかしさを覚える。 秋人の安らかな寝顔を見ている内にいたずら心が芽生えた裏葉は、自身の桜色の乳首を秋人の口にそっと含ませた。 「んっ・・・♥やっぱり、松葉そっくりで、上手、ですぅ・・・♥」 無意識に吸い付く秋人が何だか可愛らしく思えて、胸の内がひどく温かい。 乳首を唇から離すと、唾液が糸を引いて秋人の口元を汚した。 「んっ、ちゅっ・・・♥」 秋人の口元を汚す唾液をそっとキスで拭い、最後に頬へと軽くキスをする。 「おやすみなさいです、パパ♥」 そう言って裏葉はいっそう身体を秋人に擦り寄せて瞳を閉じた。 これからもずっと、家族三人、仲良く幸せでいられますように、と願いながら。 -- 高速メモ帳から送信
1 Re: Name:匿名石 2025/06/02-01:48:27 No:00009676[申告] |
いくら慈母面しててもコロっと夜叉になるのが実装石とはいえ飼い実装の環境が中々に鬼畜過ぎる
実翠石への嫉妬云々など瑣末事に感じるくらいには まあ実装石を飼おうと思うニンゲンなんて所詮はって事なんだろうけど |
2 Re: Name:匿名石 2025/06/02-10:14:13 No:00009677[申告] |
最近のイチャラブぶりを見てると俺も実装石のように歯軋りしそうになるよ |