「テチャァァァァァァ!」 公園を裸仔実装が走る。 その背後からは鬼気迫る形相の成体実装。 「待つデスクソ奴隷ぃぃぃ!」 なんてことはないいつもの風景。公園は今日も平和そのものだ。 仔実装はあっという間に成体に捕まった。 「手間をかけさせるなデスッ!お前はたった今奴隷からゴハンに格下げデスッ!」 「テチャァァァァァァ!助けテチィィィ!」 「なんでデス?」 「テ?」 成体は奇跡的に仔実装の言葉に耳を傾けた。 「お前を食えばワタシの腹は膨れるデス。お前を逃がしたら腹は脹れないデス。なんで助けるデス?」 成体の言葉に絶句する仔実装。 最早交渉の余地など残されていない。仔実装は幼いながらに己の命運が尽きたことを悟った。 「そこまでデスッ!」 しかしそこに立ち上がる者がいた! そこに立っていたのは全身を赤く染めた服と実殺と書かれたメンポを着けた実装石! 「ドーモ、野良実装=サン。実装スレイヤーデス」 実装スレイヤーと名乗った実装石が両手を胸前で合わせお辞儀をする。 成体も暫くその様子を見ていたがそれ以上のリアクションがなかったので手にした仔実装にぞぶりと食らいついた。 「テヂャァァァァァァ!!」 「待てと言ってるデスゥゥゥゥ!」 「うるさいデス。ワタシは今モゴモゴ食事中なんデス邪魔するなデスゥげふっ」 言っている間にも野良の成体は仔実装を食べ尽くしてしまった。 「ゆ、許せないデシャァ!」 咆哮と共にブリブリと音を立ててパンコンする。 そしてのそのそとパンツを脱いで糞を一掴み。 「ウンチ投げデスッ!」 実装スレイヤーは大きく振りかぶって自分の足元へと糞を叩きつけた。 「デ?」 「デデェ!?」 自身の起こした結果に驚愕する実装スレイヤー。 性懲りもなく再度糞の山に手を突っ込み投擲を敢行する。 だがそのどれもが一投目と同じ結末を迎えた。 「デッ!デッ!デッ!デッ!」 送球フォームを全く理解していないのか何度も地面へ糞を叩きつける。 そうしている内に返り血ならぬ返り糞で赤い服はどんどん緑に染まっていく 「オロローン!なんで飛ばないデスゥゥゥゥ!」 勝手に号泣する実装スレイヤー。 「お前、いったい何がしたいんデス?」 あまりにも意味不明な行動に困惑する野良実装。 「ワタシを…ワタシをバカにするのは許せないデシャァァァァ!」 野良実装としては率直な感想を言っただけだったが実装スレイヤーの逆鱗に触れてしまったらしく、背中から新品の爪楊枝を取り出した。 「デデッ!?」 これには流石にビビる野良実装。新品の爪楊枝ともなれば実装石の皮膚など容易く貫通する。 「死ねデシャァァァァァァ!!」 咆哮と共に爪楊枝を振り上げて突撃する実装スレイヤー。 その速度はまさしく普通の実装石。 野良の眼前に来て爪楊枝を勢いよく振り下ろす。 「隙だらけデシャァァ!!」 実装スレイヤーの腹へ強烈なボディブローが突き刺さった。 せめて実装スレイヤーが突きを繰り出していたら結果は違っていただろう。 「ヴェブェ…オロロロロロロロ!」 堪らずその場に膝をつき盛大に嘔吐する実装スレイヤー。 しかし実殺のメンポが邪魔をして吐瀉物は口の中に溜まり、一部は鼻へと突き進むばかり。このままでは窒息死してしまう。 「…!…!!……!」 必死になってメンポを外す。縫い付けられていた頭巾を引き裂きボロボロにしながらもなんとか窒息だけは免れた。 「デププ。お前どうしようもない馬鹿デス」 「馬鹿じゃないデスッ!ワタシは実装スレイヤー!実装石を狩る実装石デスッ!」 「馬鹿も休み休み言えデスッ!」 いつまでも続く奇行に遂にブチキレた野良に押し倒される実装スレイヤー。 そのままマウントをとられ一方的に殴られ続ける。 「さっきから訳解んないデシャァァァァァァァ!」 「デブッ!デヒャッ!や、やめてデッ!」 反撃すら叶わずボコボコにされる実装スレイヤー。 頭から出血が始まり、その血が偶然目へと入った。 「テッテレー」「テッテレー」「テッテレー」「テッテレー」「テッテレー」 「ぶ、分身の術デス…!」 ただ一方的に殴られ強制出産させられているだけなのに何故か得意げに言い放つ。 だが野良実装もマウントを止め蛆実装の方へと向かった。 そして徐に蛆実装を食い始める。 「テッテレー」「テッテレビャァァァ!」 「クソガキ一匹じゃ足りなかったのでちょうど良いデス」 「食べるなデシャァァァァァァァァ!!」 「産まれたくないレフ!やめてレフ!」 「親ガチャ大失敗レビャァァァァ!」 「産むんじゃないレフクソママァァァ!」 「産ませないレフゥゥゥ!」 とうとう蛆にすら罵倒され始め、仕舞いには胎に噛みついて抵抗するものまで出る始末だ。 だがその犠牲は無駄ではなかった。マウントを解かれ、実装スレイヤーは自由になったのだ。 「こ、こうなったら最終手段、糞飛びの術デスゥゥゥゥ!」 言いながら頭巾から溢れた金平糖状の物をバリバリ貪る。 「さ…サヨナラデス!」 その言葉と共に糞が勢いよく放たれた。 自身の体へも負担が大きい非常事態での逃走手段である。 ドドンパによって空へ浮き、1.5m程の高さでガス欠になりそのまま地面へと落着した。 どうやら先程の糞投げと強制出産により糞に変換する内容物がほぼ底をついていたらしい。 しかも着地の衝撃で骨盤が変形し足があらぬ方向へと折れ曲がっている。これでは自力での敗走すら不可能だろう。 「デ……………デギャァァァァァァァァァァ!!」 「…お前本当に馬鹿デス」 血涙を流しながらパニックになる実装スレイヤーにもはや同情か憐れみの目で突っ込む野良実装であった。 「助けてぇぇぇ!ゴシュジンサマぁぁぁぁぁ!」 だがまだ諦めていないのか、実装スレイヤーは目の前のベンチに座る男に向かって叫んだ。 「助けて!助けてデスゴシュジンサマっ!」 「デデェ!?」 さすがの野良実装もこれにはビビる。 実装石では人間相手では勝てるはずもない。 そうだ。自分が無理ならご主人様、人間に倒してもらえば良い。 人間からすれば実装石を殺すなど赤子の手を捻るより容易いだろう さあご主人様!あの薄汚い野良をやっつけて!生きてるのを後悔しながらワタシの奴隷にして! ワタシの計画通りこの公園全ての実装石をワタシに跪かせて供物を捧げ神と崇めさせて! 「なんで?」 「デ…?」 だがその目論見は物の見事に外れた。 「俺のモモはピンク色の服を着た実装石だ。赤い服を着たお前をなんで助ける?」 「で、でもワタシがモモデス…お着替えしただけデス」 「違う。お前は実装スレイヤー。モモではない。自分でそう名乗っただろ」 実装スレイヤーはその言葉に絶句した。 男の言ったことは正しく何も間違っていない。実装スレイヤーの足りない頭では反論の余地が無かった。 「なんだか解らないけどコイツは連れていくデス」 野良は実装スレイヤーの後ろ髪を掴みズルズルと自分のハウスへと戻っていった。 これからは奴隷かサンドバッグか食糧のどれか、あるいは全部だろう。 「助けてデス!助けてデスゴシュジンサマ!ゴシュジンサマァァァァ!」 実装スレイヤーの悲痛な声を無視し、男は公園を出ていった。 これにてサヨナラ!実装スレイヤー=サン! 「デギャァァァァァ!」