「先生!急患です!」 宿直室で軽く作業をしている私(医師)のところへ、血相を変えた看護師が慌ててやってきた。 「まずは落ち着いて…患者はどんな容態だい?」 看護師を落ち着かせるために、強く意識しながらゆっくりとした口調で語りかける。 「患者は中年の男性です!肛門に成体実装石が刺さって抜けなくなったそうです!」 しかし余りにも信じがたいその内容に、さすがの私も面食らったのが顔と声に出てしまった。 「あぁ?」 「なんでも寝ている間に成体実装石のテチコちゃんが、自分から強引に肛門に頭を突っ込んできたのが抜けないので助けて欲しいと……」 男には嘘だと分かっていても、頷かなければならない瞬間がある……。 「そうか……」(ギュッ) 言い分を否定したら故意による自傷になるから保険外診療になっちゃうんだよね、困ったことに。 とりあえず無事済んだら、知り合いの精神科医に紹介状を書くか……。 宿直の長い夜は、まだ始まったばかりである。
