8月…虐待派は暑くて活動を休む者が多かったが、それでも野良実装は順調に数を減らしていた。 連日の猛暑で頭がフットーしそうな野良実装たちは、少しでも涼を求めた。 街中では野良実装の多くがコンビニなどの商店に入ろうとしては駆除され、 一部は枯れた川に飛び込んで死に、一部は地下から下水に入り込んで溺れ死んだ。 噴水は枯れ、地は裂け、街中の野良実装は絶滅したかに見えた…。 だが野良実装は死滅してはいなかった! * 猛暑の続くある日…買い物ついでに公園を訪れたとしあきの前に、薄汚い緑の小人が現れた。 その緑の服を着た小人は、としあきを見上げると小さく鳴いた。 「…デッスゥーン」 「うおっ、実装石か…?生きてる野良は久々に見たな」 連日の猛暑で実装石の死骸は数多く見ているが、こうして生きている個体は珍しい。 だが、かなり弱っているようだ。 水が欲しいのか、としあきが手にしていたペットボトルをじっと見ている。 「…飲みたいのか?」 「…デスゥ」 ふらふらと立ち尽くし、媚びのポーズをとる力もなく見上げるだけの実装石を哀れに思ったか、 としあきはペットボトルの蓋に中身…スポーツドリンクを注いで渡してやった。 「デスデスゥ…」 野良実装は頭を何度も下げてそれを飲み干すと、頭を下げ下げ去っていった。 としあきがこっそり後を追ってみると…くたびれたダンボールハウスがあった。 仔はおらず、小さい実装服だけが床に敷かれていた…仔は暑さで死んだのだろう。 野良実装はその小さな実装服を抱くようにして横になり目を閉じた。 たまたま人間がいたので危険を冒して水をねだったが、 それ以外では暑い昼間は不要不急の行動をしない…正しい選択だ。 …正しい選択ではあるがそれを実行できない実装石は多い。 ごく一部の、水をキチンと貯えて考えて行動した者…そしてその中で運が良かったものだけが 夏を乗り切り、涼しい秋を迎えられるのだ。 としあきは静かにその場を後にし、スポーツドリンクを飲み干すと、公園を出て家に帰った。 * 翌日…としあきは小さなペットボトルのジュースを買って公園を訪れた。 野良実装の生活に無責任に介入するのは良くないと理解してるつもりだったが、 今年の異常とも言える猛暑の中、一匹だけで耐え忍んでいる野良実装の姿を見て、 少し情が移ってしまったようだ。 「…来ないな」 あの野良実装がまた姿を見せるかと思ったが、しばらく待ってみても現れない。 ダンボールハウスの様子を見に行くと…中で昨日の野良実装が死んでいた。 よく見ると食べかけの金平糖のような物が転がっている…恐らくコロリだろう。 …苦しんだ様子がないことから、ポクリと呼ばれる安らかに死ぬタイプの駆除剤かもしれない。 あのあと別の人間から貰って食べてしまったのか…。 いや、あるいは駆除剤と解かった上で保管しておいた物を、死ぬつもりで食べたかもしれない。 暑さ、渇き、飢えの苦痛に耐えられなくなった時に食べるつもりで保管していた…。 そんな可能性も十分考えられる…それほど、今年の暑さは異常だった。 「俺がやった水で僅かでも口を湿らせて、駆除剤を舐めたってことか…?」 この夏の暑さによる苦しみよりも、駆除剤を舐めて死を選んだのか。 真相は判らないが、末期の水を与えたことは確かだろう。 としあきはその野良実装を、近くの木の根元に埋めてやることにし、そっと持ち上げた。 驚くほど軽い野良実装の身体…その死に顔は安らかだった。 ~完~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ スレに投下したスクについたレスを元に加筆修正しました。 ありがとうございました。

| 1 Re: Name:匿名石 2023/09/01-13:33:42 No:00007922[申告] |
| 賢くても自死とは…悲哀を感じるデス |
| 2 Re: Name:匿名石 2023/09/01-20:22:10 No:00007923[申告] |
| これだけ個体数が減るのは地域住人としては願ったりだろうけど
逆に公園で確保して家で事を行う虐待派や一部の観察派は保護紛いの干渉とかをしそう |