タイトル:【生態】 土竜の唄2
ファイル:土竜の唄2.txt
作者:特売 総投稿数:42 総ダウンロード数:784 レス数:4
初投稿日時:2023/08/23-02:22:10修正日時:2023/08/23-07:48:42
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土竜の唄2

半月の妊娠期間を経て次女は仔を五匹出産した

だが水場の無い穴倉の中では三匹の粘膜を取るのが精一杯であり
残りの二匹は粘膜が固まってしまい蛆化してしまった

残念な事ではあったがなってしまったものは仕方がない
悲しみに暮れている暇などないのだ
こうして三匹の仔育てが始まった

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幸いな事にここは食べ物には困らなかった
坑道を巡回するだけでミミズや虫を見つけて捕らえることができた
時には匂いを頼りに地下を掘り進んで獲物を探すこともあった

そんなある日のことだった
何やら何時もとは違う匂いがする事に気が付いた
匂いのする方向に掘り進んでいくと大きな植物の根に突き当たった

これは何だろうかと考えあぐねていたが
ふと村にいた頃に皆で掘り起こした食べ物の事を思い出した
確かそれは芋と言う物で食べられるだけでなく保存も効くものだった

試しに齧ってみたら最初は味がしなかったが噛めば噛むほどに
甘味が出て美味しかった
ある程度水分も含んでいるので喉も潤せた

(ワタシはツイているデス…これだけあれば仔達にも十分食べさせることが出来るデス
畑の作物とは違いお芋は地中に出来ているものだから誰の物でもないデス)

だがあまりにも大きくて持ち帰る事は困難なため
次女は一旦巣に戻り仔達を連れて再び芋を発見した場所に向かった

芋の前に連れてきた仔達は大はしゃぎした
皆夢中になって齧り満腹感に浸っていた
それからはお腹が空く頃になると仔を連れて通うようになった
数日かけて食いつくしては匂いを頼りに付近を堀り返して
新しい芋を掘り当てた

十分な食料が確保された事により仔達は順調に育っていった
幸いな事に糞虫思考の発露もなく皆賢く優しい性格になっていた
これは一緒に飼っている蛆実装の世話が情操教育に役だった結果ともいえる

だが夏の暑い盛りを迎えた頃から仔達に変化が生じだしていた
何時の頃からなのか夜中に寝静まった頃をみからって
コッソリと巣を抜け出しどこかに出掛けているのだ

心配になって気が付かれないように後を付けていくと
やがてその先に月明かりに照らされている所に辿り着いた
その先は緊急脱出用に地上に出られるようにしている通路の一つであり
近くにはニンゲンの畑がある場所だった

間違いない仔達は地表を出歩いている
あれ程危険だから非常時以外は外に出てはいけないと教えていたのに何故…
その疑問は地表に出た瞬間に理解した

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嫌な予感は的中していた仔達の声がニンゲンの畑の中から聞こえてくる
声のする方へと行くと
辺りには赤くてみずみずしい実がたわわに実っていた
そしてその先には赤い実を夢中になって齧っている仔達の姿があった

仔達は次女がいることに気が付くとみんなその場に硬直して動かなくなった 

巣に戻ると次女は仔達を張り倒した

「何故デスっ!何故ニンゲンの畑から盗みを働いたのデス?」

普段滅多な事では怒らない次女の剣幕に押されて仔達は泣きながら詫びた

発端は一女の好奇心からであった

ここ最近になってあの通路の方からいい匂いが流れ込んでくることに気が付いたのだ
暑くなる前まではそんな匂いなんてしなかったのに何故と思ったら
居てもたってもいられなくなったのだとか

だがあの先は普段は立ち入ってはいけないと次女から強く言われている通路なので
その事を相談するわけにはいかず夜中にコッソリと調べる事にしたのだ
地表に出た一女が見た物は正に楽園にも等しいかった

そこには地下での生活ではまずお目にかかれない鮮やかで美しい光景が広がっていた
月明りに照らし出された赤い実は宝石のように輝いていた
しばらくの間呆然としていた一女であったがその赤い実を手に取ってみたくなった

一番低い所に実っていた実を苦労して落とすと
それを試しに食べてみた

一口齧って咀嚼してみた
すると口の中いっぱいに今まで体験したことのない味が広がった
甘いひたすらに甘いそして後から感じる酸味が心地よかった
一女は夢中になって実を齧り出した

やがて腹が膨れて冷静さを取り戻した一女は抜け出したことが発覚する前に
慌てて巣に戻ったのだった

だがその行動の一部始終は他の姉妹にはしっかりバレていて
夜中に何をしていたのかを問い詰められて白状した

そして次の日の夜姉妹達を連れて再び畑へと向かった
皆赤い実の味に病みつきになってしまったのは言うまでもない

それからは次女の目を盗んで姉妹で夜中に畑に通っていたと言うのだ

次女はその日一日かけて仔達に説教をし二度と畑に近づかない事を約束させた
念のためにあの通路は塞いで簡単に行き来できないようにした

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暫くの間ニンゲンが襲来してくる事を警戒し餌探しも
巣からあまり離れないように用心した
だが何時まで立ってもやって来る気配がなく
数日後に警戒を解くことにした
明日からは普段通りの範囲で餌を探すことにしよう
ここ数日は餌が十分に集まってなくて困っていたのだ

その後は特に大きな問題は発生せず平穏な日常が戻っていた
季節はまだ暑いながらも朝夕にあれ程五月蠅く鳴いていた蝉の声がしなくなり
夜になると秋の虫が鳴く声が聞こえるようになっていた

三匹の仔達もアレからもすくすくと育ち
もう少しで成体になる頃合いになっていた

次女はある日の夜に三匹の仔達にある事を告げた
もうすぐアナタたちはオトナになる
だから近い内にここを巣立たねばならない事を

仔達はいずれその時が来ると理解していたのか
その言葉を静かに受け止めた

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翌日から仔達は独り立ちに備えて新たな新天地を探しに行くようになった
数日後には目ぼしい候補地を見つけ周囲の調査を済ませた後
巣穴として使えるように準備を開始した

移り住んだあかつきにはすぐに冬に備えた備蓄を始めなければならないから
忙しい毎日になる事だろう

そして冬を越して春になればそれぞれが家族を作り子育てにと
忙しくも幸せな日々を送る事になる

そんな未来を思い浮かべた次女の目には何時の間にか涙がつたい落ちていた

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その頃次女は再び妊娠した

三匹の仔達の時と同じくらいの妊娠期間が過ぎた頃に産気づき
そのまま出産した

今度は仔達も手伝ってくれたおかげで
生まれた六匹の仔は全員粘膜を落すことができた

次女は再び仔育てに一女達三匹は独立に向けた準備にと
周囲が急に慌ただしくなってきた頃
ニンゲンがやって来た

皆巣に引きこもって息を潜めて様子をうかがったが
特に何かする訳でもなくそのまま立ち去った
無事にやり過ごせたとその時は思ったのだが
数日後にまた以前よりも多くのニンゲンがやってきたのだ

再び巣に籠り様子をうかがっていたのだが
今度は何故か通路を踏みつぶす音が響き
その側で何かをしていた
だがそれもしばらくするとニンゲン達はどこかに引き上げてしまい
再び静けさが戻った

怖かったひたすら怖かった
あのまま巣を攻撃されたのなら全滅していた所だ
夜になって通路を確認したがやはり数か所が踏みつぶされていた
これでワタシ達の動きを封じたと思っているのだろうか?
おそらく逃げ道を塞いだ後に本格的に襲う算段なのかも知れない
だとするなら夜のうちに通路を復旧して脱出する必要がある

慌てて脱出の準備をしまずは通路の復旧を行うことにした
固まって行動するのは危険だという事で四手に分かれて脱出する事に決め
足手まといになる生まれたばかりの仔と蛆実装は巣に置き去りにする事にした

向かうは仔達が独立のために準備した新しい巣だ
次女は一女の申し出によりそこに身を寄せる事にした
曰く頑張ったら巣穴がとても大きくなってママと一緒に暮らしても余裕なのだとか

全員最小限の食糧を携帯し脱出準備が整った

打ち合わせ通りにそれぞれ決めた脱出ルートに分散した
まずは潰されて塞がっている通路を何とかしなくては…
大急ぎで掘り進んでいくと背中の上からカチリという音がした
その瞬間体に何か鋭いものが三つほど体を貫き通した

「しまったぁぁぁこれは罠デスゥゥ」

そうニンゲンにしてやられたのだ
なんてずる賢いのだ
立ち去ったと見せかけてこんな罠を仕掛けていたのだ
それも地中なら自分達に分があると言う油断を誘っていたのだ

どんなにもがいても体に刺さった物は抜けることがなく身動きが取れなくなった
体を走る激痛に苦しみながらやがて朝を迎えた

昨日と同じくらいの数のニンゲンが近づいてきているのが分かった
その頃にはもう体は動かすのがやっとな位にまで衰弱していた
ニンゲンはワタシを掘り出すと罠から外して箱の中に放り込んだ
暫くして仔達も次々と放り込まれたが既に皆死んでいた

ニンゲン達がワタシ達を指さして何か喋っている
何を言っているのかは分からないがワタシ達の事を悪く言っているのは
なんとなく分かった

そのあと袋に放り込まれ中に何かを噴射された
そこで意識はワタシの途絶えた 
       
                             
                              終  

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1 Re: Name:匿名石 2023/08/23-05:43:15 No:00007826[申告]
結局畑を荒らすのはやめられないんだなぁ
せめて山実装の様に食用需要があれば人間側に駆除の付加価値が上がるのだが
2 Re: Name:匿名石 2023/08/23-08:38:13 No:00007828[申告]
やっぱ実装石の秋仔はクソだな
3 Re: Name:匿名石 2023/08/28-04:46:32 No:00007875[申告]
実装石殺すべし!
4 Re: Name:匿名石 2023/11/12-20:32:49 No:00008456[申告]
あっさり駆除!
虐待派からすると物足りないが駆除派からすると王道!!
チューインガムで腸閉塞くらい(ここで既存スクとネタ被りに気付く)
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