タイトル:【虐・怪】 夏の思い出
ファイル:夏の思い出.txt
作者:特売 総投稿数:42 総ダウンロード数:900 レス数:5
初投稿日時:2023/08/11-08:35:48修正日時:2023/08/11-16:39:23
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夏の思い出

これは私がまだ小学生の頃の話です

ある年の夏休みに父方の田舎に帰省する事になり
私はそれをとても楽しみにしていました

以前にも父方の田舎には何度か訪れていて
そこでの楽しかった思い出がよみがえって来て
私は行く前日からワクワクしていました

当日は朝早くから家族全員で車に乗って出発しましたが
途中で渋滞に巻き込まれて到着したのは夕方になってしまった

長時間車内にいた事で少しへとへとになって歩いていると
ふとつま先で何かを引っ掛けた感じがし
そこに目をやると小さな緑色をした人形のようなものが転がっていた

どうしてこんなところに人形がと思ったら突然チーチーと鳴き出し
手足をばたつかせたので思わず

「ひゃぁ」と声を上げた

異変に気が付いた両親が駆け寄って来てその原因となるヒトガタを見て
なんだ実装石かと口々に言って安堵していた

その時の私はここにも実装石がいるのだなと思って見ていました
しかし大きさ的にまだ仔のようだし普通は近くに親がいるはずなのに
一匹だけでいるのは珍しい事だ

迷ってはぐれたのだろうか?迷子はちょっと可哀想だなと思って
未だに鳴いている仔実装に
「早くお家に帰りなさい」と言って近くに生えていた小さな花を摘んで渡すと
鳴き止んで立ち上がり何処かえと走り去っていった

だが一部始終を見ていた母親からは実装石に関わると碌な事にならないから
そういう事はよしなさいと叱られてしまった

*****************************************************

到着したその日の晩は祖父母に会えてとても嬉しく
一杯色々なお話をした
祖母の凝った手料理はとても美味しかったし
祖父の昔の話を聞くのも楽しかった
父も少しお酒を飲み過ぎたのか母が慌ててお水を取りに行っていた
その内に私も何時の間にか寝てしまったようで
目が覚めたらもう朝になっていた

顔を洗った後朝食を済ませて縁側に向かうと
庭先の石の上に仔実装がちょこんと座って私の方を観ていた
その手に小さな花を持っている
間違いない昨日の夕方に出会った仔だ

お礼でも言いに来たのかなと思って暫く見つめていたが
何か様子が変だった
ひたすら私の方をみつめて微動だにしない鳴き声すら出さないのだ
何だか不気味になって来て部屋の奥に慌てて引っ込んだ

話を聞いて祖父が庭の様子を見に行ってくれたがその時にはもういなかった
もういない事に安心した私はもうすっかりその事を忘れ
その日は買ってもらったばかりの水着に着替えて
両親と共に近くの川で夕方になるまで遊んだ

だが翌日の朝またその仔実装は居た
昨日と同じように石の上に座って片手には萎れた花が握られていて
怖くなって両親を呼んだが逃げもせずにひたすら私を見つめている

慌てて駆けつけた祖父が持っていた鍬で仔実装を薙ぎ払い
祖母が慌てて私の手を引き奥に連れられたが背後から死んだという声が聞こえていた

それを聞いてもう怖い事は無くなったのだという気持ちと
仔実装が可哀想だなという気持ちが混じった気持ちになっていた

だが翌日になっても再びその仔実装がいたのだ
死んだはずなのにどうして…私は縁側で腰を抜かして座り込んでしまった

その日祖父はその仔実装を捕まえて山を二つ越した所に連れていて首を落して谷底に捨てた
にも拘らず
次の日には仔実装は庭の石に座って私を見つめていた

もうみんな訳が分からなくなって困っていた所に
祖母が知り合いの拝み屋さんに来てもらう様に連絡をしたと言ってきた
その日の昼下がりにその人は家を訪ねてきた
乗って来た車から降りた姿は
拝み屋さんと言われていたが見たところ普通のおばあさんで
右手には白木の杖が握られていた

*****************************************************

そのおばあさんは仔実装の側に近づいた
仔実装はそれには構わず私をずっと見つめていた
するとおもむろにおばあさんは杖の先で仔実装を抑えつけたのだ
突然の事に慌ててもがくも強い力で抑えられているのか
杖の先は微動だにしなかった
そして杖の先に込められた力が少しずつ強くなっているのか
苦しみ方が激しくなり手足をばたつかせていた

やがて耐えられなくなったのか仔実装は杖の先に噛み付いた
そのタイミングをみからっていたのかおばあさんは杖にありったけの力を込めた
仔実装の胴体はあっけなく潰れ杖の先には噛み付いて動かなくなった頭が残った

そしておばあさんは私達の方に振り向くと
「もう大丈夫じゃ」と言った

どういうことなのかと両親が訪ねると
ゆっくりとした口調で説明を始めた

「この仔実装はお嬢ちゃんの事が大好きになって
毎日家を訪ねてきたのだよ
それも単に好きとかでなく強い思慕を抱いておったのじや
だから殺されてもなおその思いは消えず
他の仔実装に乗り移ってまでして会いに来ていたのだ」

それを聞いた私は背筋がゾッとした

「だがもう心配はないよ私がこの杖で仔実装を抑えつけて苦しめ
やがてお嬢ちゃんへの思いよりも自分を苦しめている杖をどうにかしたいという
思いで頭が一杯になった瞬間に命を絶ったからな
今この仔実装の強い思いは杖に向かったままじゃ
後はこの杖を供養して終わりじゃよ」

そう言って白い布で杖を包むと車のトランクに収めた
祖母がお礼を言って菓子折りと何かが入った封筒を渡しているのが見えた

そしてみんなでおばあさんを見送ったあと
私は祖父母と両親にありがとうと言った
気にしなくていいと言ってくれたが
心配をかけてしまった事で申し訳ない気持ちで一杯だった

その後の残り二日は皆で買い物に出掛けたり畑仕事を手伝ったりして過ごし
家に帰った
ちょっと怖い思いもしたけどまた来年も来たいなと思った

これが私が体験した不思議な出来事です
みんなも実装石にはむやみに関わらない方が良いと思いますが
いかがでしたでしようか

        
                              終


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1 Re: Name:匿名石 2023/08/11-11:08:41 No:00007762[申告]
鳴き声も出さず全く動かずにじっと見つめてくるだけって想像すると結構怖いな
しかも殺しても毎日やってくるし
実装石が実在したら本当に怖い話としてありそうな内容で良かった
2 Re: Name:匿名石 2023/08/11-15:22:53 No:00007763[申告]
実装石は大概五月蠅いし糞蟲設定だからコメディ感出てるけど
黙って立ってたら普通にビジュアル自体は不気味だからなあ
3 Re: Name:匿名石 2023/08/11-17:58:34 No:00007766[申告]
これは関わってはいけないの新解釈、見た目は複製生き人形だし黙って執着されるとキモいな…
偽石に共感性的なテレパス能力もうっすらあるみたいなエピソードもあったり偽石移植とかもたまに出てくるとなると乗り移りももしかしてって思わせる
4 Re: Name:匿名石 2023/08/13-18:13:25 No:00007777[申告]
コダマ的不気味さがある
5 Re: Name:匿名石 2023/09/19-09:22:36 No:00007990[申告]
ちょくちょくスレでも「夜道にこんなのいたら怖い」ってレス見る事あるけど
実際あんなデカい単色の目でじっと見られてたら不気味だよねぇ…
ただ一瞬声をかけられて花を渡されただけでここまで強く思って好いてしまうのは
この仔も今まで親もなく一匹だけでよっぽど寂しかったのかな
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