タイトル:【観察】 船実装
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初投稿日時:2023/06/14-17:36:23修正日時:2023/06/14-17:36:23
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船実装


フタバ社に所属する貨物船には「船実装」と呼ばれる実装石の群れが乗船している。
彼女らは何世代にも渡って貨物船で生活し、船を下りることなく死んでいく。
今回は、とある貨物船の船実装たちの、ある一日の生活を見てみよう。

*

○月×日 午前10:30
一人の船員が、ある程度育った仔実装たちに船内の雑用を教えている。
仔実装にできる事はたかが知れているが、狭い所の掃除や、
貨物と貨物の間で確認しにくい場所のチェックなどやれる事はある。

「テヂィィィィ!」
「大丈夫か! …気をつけないと駄目だぞ」
一匹の仔実装が貨物に挟まれて潰されそうになり、船員が急いで助けた。
「テチュー!(ありがとテチ!)」
小さな身体をぺこぺこと折り曲げてお辞儀をする仔実装に、船員の心はほっこりする。

「よーし、ここのチェックが終わったらおやつの時間だぞー! 今日は氷砂糖だ!」
「「「テチュゥーン!(やったテチィ!)」」」
仔実装たちの歓声を聞きながら、船員は仕事を続けるのだった。

*

○月×日 午後1:30
昼食が終わり、甲板では成体実装たちがブラシ片手に掃除をしている。
彼女らは基本的に2匹1組になり、安全を確認しながら仕事をする。

「デェース!デスデッス!(フックが外れそうデス。掛け直すからちょっと待つデス)」
「デスデェェス!(ここがもう少しでキレイになるから先に終わらせるデス!)」
貨物船の舳先の掃除をしている成体実装の安全フックが外れかかっているようだ。
もう片方の成体実装がフックを直そうとするが、舳先にいる成体は掃除を優先したいようだ。

その時…! 大波が船の舳先に叩きつけられた。
「デェェェェェッ!?」
舳先に居た成体実装はあっという間に海に飲み込まれていった。
「デ…デエェェェン!(あぁっ、落ちたデスゥ!)」
1匹残された成体実装は、しばし涙目で呆然としていたが、
やがて事故を報告する為にとぼとぼとその場を離れた。

*

○月×日 午後3:00
育児室で、数匹の親実装たちが生まれたばかりの仔実装に教育している。
「デェース、デスデス(ワタシたちはニンゲンサンがいなければ生きていけないデス)
 デスデスデッス(この船でニンゲンサンを手伝って、ゴハンを貰って生きるデス)
 デデデッスン(良い子にしてればアマアマもウマウマも貰えるデッスン)」

部屋にいるのは仔と親だけで、作業の役に立たない親指や蛆はいない。
それらは産まれてもすぐに間引かれ、船尾にある『娯楽室』に連れて行かれる。
親指や蛆を隠して育てようとする親実装もまれにいるが、
そういう親実装は育児係から外され、指導を受けた上で船内の掃除担当などに異動となる。

「テッテチィ?(ママ、どうしてニンゲンサンがいないと生きられないテチ?)」
「デッスデスデス(ワタシたちのママのママのママの…昔のママの頃の話デス)
 デェ~ス~(昔のママたちがニンゲンサンの船にやってきたんデス)
 デデッデス(そして、ゴハンを貰う代わりにニンゲンサンを手伝うケイヤクをしたのデス)
 デデッスデス(だからオマエたちもしっかり仕事をできるようになるデスよ)」
「テッチュウ!(凄いテチ!わかったテチィ!)」

親実装の説明は、正確には少し違う。
荷物に紛れて船に乗り込んでいた実装石の親仔を見つけた昔の船長が、
戯れに仕事をさせてみた所、彼女らは思ったよりも上手くやり遂げた。
これは、しつけ次第では役に立つかも…と思い、船内で飼ったのが始まりだ。

餌代はあまりかからないし、事故で数が減っても簡単に増やせる。
しつけは多少手間だが、仕事の片手間にやれない事はない。

特に愛嬌があったり美しい個体は、愛玩用としてペットの様に扱われる事もある。
過去には、歌声が綺麗な個体や、ダンスを踊る姉妹実装もいて、
休憩時間の船員たちを楽しませていた。

「ま、退屈な船旅だし、船員には息抜きや娯楽も必要ですから」
船長のトシダ=アキオは、過去に雑誌の取材でこう答えている。

*

○月×日 午後5:00
船員たちが交代で夕食を摂る時間になった。
船実装たちも、彼女たち専用に作られた共同スペースに集められる。
船員が持ってくる食事は、大抵は標準的な実装フードがメインだが今日はいつもと違った。

「お前たち、今日はよく働いたから特別な食事だぞー」
運ばれてきたのは実装フードに何かが混ぜられたペースト状の餌。
そこから漂うのは、嗅ぎ慣れてこそいないが本能を刺激する肉の匂い。

「「「デッスーーーン♪」」」「「「テッチャアァー♪」」」
成体実装も仔実装も大喜びだ。
早く食べさせてくれと、船員に催促する。
「まあ待て待て、ちゃんと全員に行き渡る分はあるから、取り合いするんじゃないぞ」

その餌は、実装フードに賞味期限切れの缶詰を混ぜた物。
焼き鳥や角煮などの缶詰を安く仕入れたが、消費しきれず残ってしまったのだ。
人間が食べる訳にはいかないが実装石なら問題ないだろうと、
料理長の判断で船実装たちに出される事になったのだが、
そのまま食べさせたのでは実装石には味が濃すぎる。
濃すぎる味は舌を肥えさせ、以後の食事にも影響があるだろう。
よって、普段は彼女らには与えない安物の実装フードに混ぜ合わせて与える事にした。

それでも実装石にとっては普段より濃厚な味着けで好評だった。
「デッ、デッスーン♪(ウマウマデスゥ!)」
「デスゥデスデスッ(まったりとしてコクがあり舌の上でとろけるデスゥ!)」
「テッチュワァ~♪(もしかしてこれがステーキというものテチィ!?)
「テチッテチッ!(もっと、もっと食べたいテチィ!)」」
あまりの食いっぷりに、明日以降の食事に不満を漏らされないか心配になった程だった。

*

○月×日 午後7:30
シャワー室で、雨具を着けた船員が実装石たちにシャワーを浴びせている。
「今日も一日がんばったなー。夜はゆっくり休めよー」
「デッスーン!」「テチュ!」「デスデスゥ!」「テッチィ!」
船実装たちは思い思いに髪を洗ったり、身体を洗ったりしている。

「そうそう、明日は港に着くからな。申し訳ないが、しばらく部屋に居てもらうぞ」
船員の言葉に、成体実装たちは一様に不満げな顔をする。
何しろ、港に留まり積み荷の上げ下ろしをする数日間、
船実装たちは共同スペースから出られないのだ(育児室の船実装は育児室で待機)。

船員たちは港に下りて街で買い物したりできるが、人間ではない実装石は諸々の事情で
他国に上陸する事ができないし、船内をウロウロして邪魔になっても良くない。
それで、成体実装たちは不満な顔をしているという訳だ。
仔実装たちはまだよくわかっていないのか、不思議そうな顔をして成体を見上げている。

「ま、我慢してくれ。その国じゃ珍しい果物が手に入るみたいだから、
 お前たちにも買ってきてやるからさ」
「デスー!」「デッスゥン!」「テチィ?」「テッチュテッチュ!」
どうやら不満は収まったようだ。
同じ船で働く者同士、無用な揉め事はない方が良い。

*

○月×日 午後10:30
業務が終わった船員が、船尾にある部屋入っていく。
『娯楽室』と呼ばれるその部屋は、船実装たちの立ち入りが禁止されている部屋だ。
そこは完全防音で、中でどんなに騒いでも、部屋の外の廊下には響かない。

扉は二重になっており、扉と扉の間のエリアでは、外から船実装が迷い込んでいないか
中から出ようとしていないか、念入りにチェックする事になっている。

「やぁ、今日も来たよー」
「デェ~ス(こんばんはデス、ニンゲンサン)」
船員の声に応えるのは、部屋の隅に座る身体は大きいが妙によぼよぼして声の低い実装石。
彼女は育児係や船内作業員としての仕事を長きに渡って務め、いわば『定年』を迎えた船実装だ。
体力は落ち、力も萎えているが、愛情深く知能も発達している。
この貨物船にはそんな老実装が数匹所属し、この部屋で老後を過ごしている。

「こないだ産まれた親指ちゃんたちの様子はどうだい?」
「デデェ~、デスデス(もう寝てるデス。トイレや食事の基本的なしつけはまだ途中デス)
 デッスン、デデェッスン(その前の親指ちゃんたちは、基本のしつけは済んだデス)」
老実装はそう言って、傍らのケージを指し示した。
そこにはすやすやと眠る、数匹の親指実装たち。
老実装の言った通りトイレのしつけは済んでいるらしく、パンツは汚れていない。

「俺の蛆ちゃんはどうだ? 昼間来てプニプニしてやった時は、
 そろそろ繭を作りそうな感じだったが…」
「デッスデ~ス(あのあと繭を作ったデス。そこにあるのがそうデス)」
老実装が指し示した先には、蛆実装が作った繭かあった。

「よしっ、これで今回の勝負は俺の勝ちだ!」
船員が褒美にと金平糖を渡すと、老実装は何度も頭を下げて受け取った。
「デスンデスン(ワタシみたいな年寄りを仕事させてもらえて、
 コンペイトウまで頂けてありがたい限りデス…)」

娯楽室。
それは船員たちの勝負の場。
親指実装や蛆実装を使って退屈な船旅を紛らわす。
基本しつけの終わった親指を競い合ってさらにしつけ、誰の親指実装が一番上品に仕上がるか。
また、誰の蛆実装が一番早く繭を作るかの真剣勝負。

ちなみに勝負が終わった親指はペットとして飼うなり、
帰国した際にしつけ済み実装としてショップに卸したりする。

船長のトシダ=アキオは語る。
「娯楽室は、昔は糞蟲化した奴を閉じ込めて虐待する部屋だったんだがね。
 その…虐待を嫌う船員もいるもんで、可愛がる方に変えたんですよ。
 だから今は健全なもんですよ…えっ、糞蟲が生まれたらどうするかって?」
船長はそこで少し言いよどんで、口を開いた。
「まあ、海にポイですわ」

*

○月△日 午前1:00
娯楽室を船員が訪れる。
「よぅ…『奥の部屋』、使わせてもらうよ」
「デッスデスー(どうぞデスー)」
老実装は半分ねぼけていたが、寝床から手を振って返事をしてきた。

娯楽室の奥の部屋はいくつかの仕切りで区切られている。
仕切りの中には、裸の実装石がいたりいなかったり。
船員が一番手前の仕切りを覗くと、中で首を鎖に繋がれ、
顔や身体などあちこちに青痣のできた禿裸仔実装が喚いた。

「テチャーッ!テッチャアアァァァッ!(ここから出すテチッ!クソニンゲン!)」
「…糞はお前だろ。調和は乱す、文句を言う、糞を投げる…」
「テチャテチャア!?(高貴なワタチが好きなようにして何が悪いテチャア!?)
 テチッテチテチィッ!(オマエたちドレイはワタチに尽くすテッチィィ!)
 テチャテッチャアアァァ!(早くゴハンとコンペイトウ持ってくるテチャア!)」

「絵に描いたような糞蟲だな…まあいいや、メシの時間だぞ」
船員が糞蟲のいる各仕切りの中に安物の実装フードを撒いた。

「テッ!?テチィィ!(ゴハン!よこすテチ!)」
よほど腹が空いていたのか、実装石にとっても美味しくないはずの安物フードを
むさぼるように食べる糞蟲たち…。何しろ前回の食事は三日前だ。

「さて君たち。今まで俺たちの虐待につきあってくれてありがとう。
 良いストレス解消になったよ…で、次の港に着く前に、ここらで解放しようと思う」
長旅の間に発生した糞蟲はこの『奥の部屋』に繋がれる。
そして船員たちのストレス解消に貢献した後、次の港に着く前に解放…海に投棄されるのだ。

船員の話よりも床に散らばる安物フードに夢中な糞蟲たち。
…最後の食事をむしゃむしゃとむさぼる禿裸を見ながら、
船員は半年前までの禿裸仔実装の事を思い出していた。
(コイツも昔は、綺麗な声で歌う可愛い奴だったんだけどな…。
 ちょっと可愛がり過ぎたら糞蟲になっちまった…残念だよ)

船員が壁のレバーを下ろす。
糞蟲たちが繋がれた部屋の床が割れ、さらに鎖に繋がった首輪が外れる。
つまり…。
「「「テエエエエェェェェ……!」」」
糞蟲たちは穴に落ちていった。その先は船の外だ。

「じゃあな…」
船員の目には涙が浮かんでいた。

*

○月△日 午前10:00
前述の通り、港に到着。
これからの数日は船実装たちは共同スペースで待機となる。
同じく船内待機の船員もいるのだが、港の人間との会話や荷物の上げ下ろし作業で忙しく
食事とシャワー以外では、頻繁には会いに来てくれない。

「テェェ…(退屈テチ…)」
「デスデェスゥ(こればっかりは仕方ないデス)」
「デスゥデスゥ(みんなでこの部屋の掃除でもするデス)」
自発的に掃除を始める大半の船実装たち。

「デデェ…(ワタシたちだけ待機なのに掃除するなんて馬鹿らしいデス…)」
中には嫌がってサボる者もいるのだが…そういう個体はやがて糞蟲化し、
『娯楽室の奥の部屋』行きとなる運命である…。

*

こうして船実装は船に生き、船に死ぬ暮らしを送る。
今日もどこかの海で、船実装たちが働いている。


—終—


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スレで出したネタを形にしました。
思ったより虐待分が少なくなったデス…。
あとジックス(船実装による性処理)は書けなかったデスゥ。

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1 Re: Name:匿名石 2023/06/14-19:29:50 No:00007292[申告]
生物ピラミッドでかなり下にも関わらず山でコロニー作れる程度には賢いし、仕事を与えて無軌道に可愛がらなければ十分にあり得そう。
こう言う組織でもやっていけるお手伝い実装見てると実装人に混じって働いてる実装石を思い出す。
2 Re: Name:匿名石 2023/06/14-22:28:42 No:00007293[申告]
面白かったです! ウジ実装や親指実装が娯楽室行きと書かれていたのを読んだときは、「あっ……」って思いましたが、良い意味で予想を裏切られました!
3 Re: Name:匿名石 2023/06/15-02:25:38 No:00007294[申告]
糞蟲は虐待して憂さ晴らしは楽しいだろうなあ…
4 Re: Name:匿名石 2023/06/15-03:53:19 No:00007296[申告]
元来不潔になりがちな実装石は閉鎖環境に向かないし正直労働力としても怪しいもんだが
人間にとって色んな意味で刺激や退屈凌ぎにはなりそうではある
5 Re: Name:匿名石 2023/06/15-16:02:44 No:00007297[申告]
閉鎖環境のストレスはヤバいというのはよく聞く話
糞蟲率がそこそこぐらいの世界線なら良きマスコットになり得るのは間違いない
糞蟲虐待によるストレス解消で船員同士の揉め事防止にもなって爆アドだ
6 Re: Name:匿名石 2023/06/18-10:04:05 No:00007313[申告]
時たま糞蟲化したりする以外は下手な人間より素直で働き者だな
7 Re: Name:匿名石 2023/06/19-02:46:51 No:00007322[申告]
シャワーはカッパ着て人間がやらないといけないのか
面倒だなぁ
そこも教育して完全に食事以外は全てできるようにしてほしい
ギャクタイハになってしまうかもしれん
8 Re: Name:匿名石 2023/06/19-02:48:32 No:00007323[申告]
あと蛆はこれだと繭になれてるけど
ほとんど繭になれないわけで
蛆実装は・・・
仔実装のみ設定なら
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