タイトル:【虐】 愛しても、いいですか? 2/5
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3669 レス数:2
初投稿日時:2006/08/24-21:41:52修正日時:2006/08/24-21:41:52
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愛しても、いいですか?  2/5



 二週間が、またたく間に過ぎた。

 週末の休みは、結局全部ルミの世話に費やしてしまった。
 朝はルミを起こし、一緒に朝食を摂ると、留守中粗相のないようにときつく戒めて、出社する。
 餌やトイレは、出かける前に整え、準備を済ませる。
 昼はルミ一人なので、食事の許可を出してやる事はさすがに出来ない。
 だから、食事の前後の挨拶は忘れないようにと言いつけて、後は自由に食べていいと伝える。
 その代わり、夜はなるべく早く戻って、共に夕食を摂る約束をする。
 その後は、風呂に入り、しばらくおしゃべりしたり、ボール遊びをしてから、就寝。
 ルミの居る部屋を一度暗くしたら、なるべく灯りを再点灯させないようにしなければならない。
 そうでないと、実装石は昼夜の感覚が鈍ってしまうのだ。
 だから、ルミを専用の布団に入れておやすみを言うと、自分もそのまま寝てしまうことになる。
 おかげで就寝時間は早まり、なんと午後10時にはベッドに入る生活になった。 
 酒を片手に午前2時頃まで起きていた今までの日々とは、えらい違いだ。
 そのおかげか、としあきは朝早く目覚めるようになり、また体調も整い、かなり健康的になったと自覚できるようになった。
 副次的効果とはいえ、これも、ルミが来てくれたおかげだ。
 としあきは、やがてルミの存在に深く感謝するようになった。


 一ヶ月が経った。
 ルミは、相変わらずしっかりとした生活態度を崩さず、素直で明るかった。
 実装石の成長は早い。
 ついこの前まで手の平サイズだったルミは、すでに片手では掴み切れないくらいの大きさになっている。
 身体全体が大きくなったせいか、以前よりもリアクションがわかりやすくなった気がする。
 また、微妙な表情の変化も、よく伝わるようになった。

 水槽のスペースにはまだゆとりがあったが、としあきは、ルミの「外出」を許すようになっていた。
 小さな梯子を水槽に設置してやり、自由に行き来できるようにした。
 これまでの態度から、それでも大丈夫だろうと判断したのだ。
 無論、イタズラ出来そうな範囲の危険物は、すべて片付けてあるし、棚の上から落下しそうなものも、取り除いた。
 家具の角にも加工を施し、ルミがぶつかっても怪我をしないようにする。
 留守の間に、ルミがイタズラをして怪我をしないよう、としあきは、細心の注意を払っていた。


 時計が午後九時を指そうとする頃、としあきは、ようやく自宅の玄関に辿り着いた。

「ご主人様、おかえりなさいテチ」

 帰宅したとしあきを、ルミが座って迎える。
 どこから覚えたのか、わざわざ三つ指をつく真似までしている。

「ごめんな、今日は残業だったんだ。お腹空いただろ?」
「はいテチ。もうお腹ペコペコテチ」
「ごめんな。——でもな、今日はお詫びに、いいのを買ってきたぞ」
「え、なんテチか?」
「食後のデザートだよ。さ、とにかく食事にしような」
「はいテチ♪」

 いつもなら、もう風呂を済ませ、談笑している時刻だ。
 ルミの奴、きっと寂しかったことだろう。
 そっと抱き上げ、両手で包むように持ち上げる。
 ふと、ルミが無言でこちらを見つめていることに気付いた。

「ん、どうした? 遅かったから怒ってるのか?」
「違いますテチ」
「じゃあ、どうした? お腹空き過ぎてヘロヘロか?」
「いいえ、そうじゃないテチ」

 なんだか、ぼうっとしているようだ。具合でも悪いのかな?
 としあきは、一応ルミの様子を心配しながら、食事を用意してやった。
 待たせてしまったんだ、今夜は水槽の中じゃなくて、食卓の上に置いて食べさせてやろう。
 としあきは、キッチンテーブルの上にルミを置くと、そこに準備を整えてやった。

「ここは、どこテチか?」
「ここは、俺がいつも食事している所だよ」
「エエ! そ、それはいけないテチ! ルミは、ルミの場所で食べないと…」
「今日だけ特別だよ。ここで、一緒に食べよう」
「テ、テチ?」
「二人で食べると、飯も美味くなると思うよ」
「テチ……テチ♪」

 なんとなく意味を理解したようで、ルミは、嬉しそうな笑顔を向ける。
 としあきは、帰りがけに買って来たコンビニ弁当を広げると、割り箸を折った。

「キャッ!」
「ん、どうした?」
「パチッ、て言ったテチ!」
「ああこれ? 割り箸って言うんだよ。こうやって、折って使うの」
「ワリバシ…テチ?」
「ご飯を食べる時に使う道具だよ。ごめんな、脅かして」
「ドウグ?」
「うん、そのうち教えてやるよ。さ、食べようよ」
「はいテチ。いただきまーすテチ♪」
「はい、いただきます!」
「食後には、金平糖もあるからな!」
「キャーッ♪ ありがとうございますテチ〜!!」

 その日の夕食は、とても楽しいものになった。
 ありきたりのハンバーグ弁当が、なぜかとても美味く感じられた。
 口にしているものは違うのに、なぜか、同じ幸せをルミと分け合っていたような気になる。
 デザートの金平糖も、本当においしそうに頬張る。
 としあきも、一粒だけ一緒に食べて、懐かしい甘さに頬を緩ませた。
 二人は、顔を見合わせて、一緒に笑った。

 本当に、久しぶりだった。
 離婚間際、としあきは、すでに妻と一緒に食事をする機会がなくなっていた。
 せっかく高い金を払って整えた最新式のキッチンも、せいぜいガスで湯を沸かす程度にしか使わなくなっていた。
 料理を作れないとしあきにとって、こんな立派なキッチンなど、無用の長物に過ぎなかった。
 このままずっと、まともに使われる事なく埃を被って行くのか、とも思ったが…。
『いつか勉強して、ここで、手作りの食事を作ってやろう。ルミのために』
 色々タイプを変えているとはいえ、いつまでも実装フードばかりというわけにはいかない。
 としあきは、いつしか箸を止めて、ぼうっとキッチンを見つめていた。

「ご主人様?」
「え?」
「何かありましたテチか?」
「え? いや、そんなことないよ」
「お疲れサマなのテチか?」
「うーん、ちょっとボンヤリしてただけさ。気にしなくていいよ」
「ルミ、ご主人様が心配テチ」
「どうして?」
「ご主人様…時々、とても寂しそうなお顔するからテチ」
「…ぅ」

 ひょっとして、見抜かれていたのだろうか?
 としあきは、ルミの心配を笑って誤魔化すと、そっと頭を撫でてやった。

「お前が居るじゃないか」
「テチ?」
「ルミ、お前が居るのに、寂しくしてたら悪いだろ?」
「チー…」
「俺は、寂しくなんかないよ。大丈夫、大丈夫さ」
「……はいテチ!」


 ルミを風呂に入れ、就寝前にちょっとだけおしゃべりにつきあってやる。
 残業で疲れているせいか、ちょっとボール遊びに付き合ってやれるゆとりがない。
 ルミは、文句一つ言わずに、としあきの傍でおしゃべりを楽しんだ。

「オハシ、使ってみたいテチ」
「えー? ルミの手には指がないから、無理だよ」
「指がないと、無理テチ?」
「さすがにね」

 仔実装は、丸い手の中で指骨を動かして、物を掴む。
 掴むと言っても、実際は引っ掛ける程度しか出来ないので、とても箸なんか使えっこない。
 だがとしあきは、箸に興味を持ったルミに、強く感心していた。

「よし、じゃあ、ちょっと早いけど食器を使う訓練を始めてみようか」
「ショッキ?」
「そう。俺みたいに、道具を使って物を食べることだよ」
「ルミに出来るテチか?」
「ルミが頑張ればね」
「うー、難しそうだけど、がんばってみたいテチ!」
「おし、それでこそルミだ!」
「テチー♪」

 明日、仔実装用のフォークやスプーンを買ってやる約束をして、寝る事にする。
 布団を敷いて、その中に入れてやると、ルミが、また無言でこちらを見つめている事に気付く。

「ん、どうした?」
「ご主人様、あのね…」
「ん?」
「ルミ、いい子にしますから、言う事聞きますから、だから…」
「なんだ?」

 掛け布団を指先でさすりながら、ルミの囁きに耳を向ける。
 ルミは、消え入るような小さな声で、そっと囁いた。

「——ルミがネンネするまで…お傍にいて欲しいテチ」

「ルミ、ワガママだな」

 としあきは、水槽の中に手を入れる。

「ひっ! ご、ごめんなさいテ……チ?」

 怒られると思って身構えようとするが、としあきの指は、ルミの頭を優しく撫でた。

「テチ…?」
「ルミが寝るまで、見ててやるよ」
「テ…ご主人様」
「おやすみ。いい夢見るんだぞ」
「ありがとうございますテチ……おやすみなさいテチ」
「うん、おやすみ」

 よほど疲れていたのか、それとも、安心しきっているのか。
 ものの数分も経たないうちに、ルミは、軽やかな寝息を立てはじめた。
 あまりの寝つきの良さに呆れながらも、としあきは、つい微笑みを浮かべてしまう。
 水槽の中に敷かれた小さな布団の中、静かに眠りにつくルミの様子は、とても可愛らしく、愛らしい。

 もし、俺達に子供が居たなら…
 俺は、自分の子供を、こんな風に微笑みながら眺めていたのだろうか?


「…人様…」

 水槽から離れようとすると、不意に、ルミの囁きが耳に届く。
 どうやら寝言のようだ。
 実装石も、寝言を言うのか、初めて知った。
 としあきは、なんとなく、ルミの寝言に聞き入った。


「ご主人様……大好き…テチ…」


 ルミを、抱き締めてやりたくなった。
 もちろん、そんな事をしたら、小さなルミは潰れてしまうけれど。
 なぜか、不意に、涙がこぼれた。
 昔、無理矢理忘れ去ろうとした「家族を作る」事の意味と、大切さを思い返してしまった。


 子供好きだったとしあきは、結婚したら、沢山子供が欲しいと思っていた。
 だけど妻は、自分は絶対生む気はないと主張した。
 としあきは、妻の意志を尊重し、無理矢理自分の願望を押し殺した。
 そしてその分、妻を幸せにしようと頑張った。
 結婚してから三年目。
 妊娠を嫌がる妻の提案から、万が一の事を考えて、性生活もなくした。
 それでも、一生懸命頑張って働けば、いつか二人はもっと幸せになれるだろうと、信じ込んだ。

 だが、今思えば…
 性生活の停止は、浮気相手が妻に命じたものだったのだ。
 自分以外の男に抱かれる事を良しとしない浮気相手が、としあきと二度とセックスするなと言いつけたのだ。
 そこから、築き上げてきた家庭の幸福は、ひび割れ始めた。
 としあき自身は、妻の浮気も、いずれ許すつもりだった。
 ほんのひとときの、火遊び程度で終わるだろうと、考えていたからだ。
 だが妻は、としあきよりも浮気相手の方を選び、その上、彼の子供を孕んだ。

 裏切り——
 それは、妻の明確な裏切りだった。

 俺は、色々なものを我慢した。
 いつもあいつの言い分を優先して、自分は我慢した。
 浮気だってしなかったし、ただひたすら、家庭の事に意識を向けて頑張った。
 でも本当は、子供が欲しかった。
 幸せな家庭が欲しかった。
 家族を、作りたかったんだ!

 妻から送り届けられた離婚届を手にした時、丸一日泣き喚いた事を思い出した。


 嫌な事を思い出したせいで眠れなくなったとしあきは、そっと部屋を移動し、久しぶりにパソコンの前に座った。
 そういえば、ここしばらくネットで情報を集めていない。
 ルミの世話と相手に夢中で、実装石についてのさらなる勉強を怠っていた。
 気分転換も兼ねて、久しぶりに、愛護派の集まる掲示板へ出向いてみる。
 としあきは、いままでこの掲示板に書き込んだ事はなかったが、これを機会に、ルミの事を語ってみたいなと思い始めていた。


 久しぶりの、愛護派専用掲示板。
 ——そこでは、予想外の事態が発生していた。


 掲示板は、荒らされていた。
 しかも、どこからか紛れ込んだ虐待派の連中によって。

 無数の虐待画像が貼られており、一瞬、掲示板を間違えたかと思った。
 しかも、それはイラストばかりではなく、なんと実物の実装石を甚振り、傷つけ、虐待している写真まで混じっている。
 いくらなんでも、これはあまりに酷すぎる!
 虐待掲示板でも、ここまで凄まじいものは見た事がなかった。

「くそっ! いったい、どこのバカがこんな真似を!!」

 これでは、とてもじゃないがルミとののろけを投稿できる雰囲気ではない。
 としあきは、唯一の心のオアシスを荒らされた事に激しい怒りを覚えた。

「まったく、管理人はどうしたっていうんだ! 荒らしに慣れていないのかな?」

 そう思いながら、あえて過去ログを遡る。
 見たくもない虐待画像のオンパレードにはあえて目を向けず、テキストだけを拾っていく。
 やがて、画面のテキストだけをコピーしてメモ帳で読む事を思いつく。
 としあきは、ブラウザを閉じ、ふうと息を吐くと、あらためてテキストデータを読み返した。

 その後、としあきは。
 なぜ素直にブラウザを閉じ、別のサイトを見に行かなかったのかと、心底後悔した。

 掲示板が、荒れるわけがわかった。
 そして、管理人がいつまで経っても削除処理をしないわけも、理解した。


 ——掲示板に虐待写真を貼り付けていたのは、管理人自身だったのだ。

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1 Re: Name:匿名石 2023/07/18-19:26:35 No:00007549[申告]
実装石がキャーて違和感あるな
2 Re: Name:匿名石 2024/02/23-22:46:20 No:00008774[申告]
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