「筋肉実装」 俺の名は利明、高校を出た後も就職もせずに、親のすねを齧って生きている。 世間一般で言うニートと言われてる奴らと、まあ一緒の様なもんだ。 だが俺には世間一般のニートとは違う所がある。 俺には力がある、それはもう圧倒的と言って良いほどの力だ。 公園に行けば俺の圧倒的な力は、あの緑色の糞蟲に抗いようの無い暴力として向けられる。 俺の前では糞蟲も恐怖に脅え、命乞いをする。 幾ら命乞いをした所で、俺様が許すとでも思っているのだろうか、 糞蟲には情け無用だ、俺様はモニターの前にへばり付いてる軟弱なニートとは違う。 公園の中で俺様は誰よりも強い存在なのだ、俺を止められる奴は誰もいない。 今日も日が暮れて、公園に人気が無いのを確認して、俺様は行動に移った。 いくら俺様でも他人に見られたら、基地外の烙印を押されかねない。 公園の様子をこっそりと隠れて、注意深く観察した。 そんな所も俺様の頭の良い所だ、世間の虐待派の奴らは何も考えずに、 糞蟲を見つけたら、脊髄反射のように殺しに掛かる。 なんてバカな奴らだ、圧倒的な力は糞蟲限定だと言う事を、分かっていないのだ。 よし!周りに人の影はいないな。 俺様の殺戮ショーの始まりだ、まずはベンチ前のあいつらだ。 俺はあいつらを逃がさないように、背後からこっそりと忍び寄った。 俺様の得物は金属バットだ、これなら人に見られても、素振りの振りをすればごまかせる。 しかも一撃で死なない様に、力の調節も簡単だからな。 世間ではバールのよう物やカッターナイフなど、 見られたら取り返しの付かない得物を使う奴もいる。 俺から言わせれば、バカとしか言い様が無い、 見られた時の誤魔化しも出来ない様では、所詮は素人だ。 俺は糞蟲の背後に回って、挨拶をした。 普段は挨拶所か、目を見て話も出来ない俺だが、糞蟲相手なら話が出来る。 なぜならあいつらは、俺様より下等な存在だからだ。 『よ〜、実装ちゃん』 俺は最大級の笑顔であいつらに挨拶をした、まずは俺の事を安心させなければな。 素人はいきなり行動に移すが俺は違う、手足を潰して逃げられない様にしてから、 それこそ死なせてくれと口にする位じわじわと、しつこく痛めつける。 俺は金平糖の袋をあいつらに見せやった、すると意地汚いあいつらは、無警戒に近づいて来やがった。 「金平糖テチ」 「ニンゲン!早くよこせデス」 「食わせてくれたら、飼わせてやらんでも無いデス」 糞蟲どもは口々にステーキだの、家に連れて行けだのと騒ぎ立てやがる。 カキィィィン! 糞蟲の群れに俺はいきなり金属バットを振った、すると2匹の実装石が足でも折ったんだろう、 うずくまって、緑色の糞を盛大に漏らした。 『おい!金平糖が貰えると思ったのか、ん〜』 「テギャー!足が、足が痛いデス」 「コイツは虐待派だったデス」 「痛いデス!痛いデス!デジャァァア」 俺はその内の一匹に目を付けると、金属バットで折れた足を叩いた。 ゴキン! 「ジャ!ジャァア!」 無様だぜこいつら、俺様の力の前になす術も無く、のた打ち回ってやがる。 興奮した俺は、そいつの足を滅多打ちにした。 『オラァァア』 『糞漏らしてんじゃねぇぇえ』 『聞いてんのかよ、糞蟲!」 『死ね!死ね!死ね!死ね!死ねぇぇえ!』 ハアハア!俺は糞蟲の足を完全に潰してやった、足の無い糞蟲が這いずって逃げて行く。 「デジャァ!殺されルジャー」 「コイツおかしいデス!気が狂ってるデス!」 何だとぉお!糞蟲の分際で俺様が狂っているだと、おかしいだと、何様だと思っているんだ。 お前の命は俺様の気持ちで次第で、どうにでもなるんだぞ。 まさに神だ!お前にとって俺様は神だという事を、知らしめてやる。 『俺を怒らせた罪は重い』 『お前には、簡単な死は無いと思え』 「助けてデス、もう勘弁してデス」 俺を見て脅える糞蟲、何て気持ちが良いんだ、コイツの全てを俺が握っているんだ。 幾ら命乞いをしても無駄だ、オマエの事など誰も見てはいない。 糞親も俺には声も掛けやがらねえ、彼女どころか友達すらいない俺だが、 こいつらは今、俺だけを見ている、俺に命乞いをして、俺に助けを求めている。 だが幾ら俺にお願いをしようが、糞蟲の運命は決まっている、 アバヨ糞蟲。 俺は糞蟲の体を死なない様に何度も叩いた、手を潰し耳を削ぎ落とし、 目玉をえぐってやった、糞蟲は助けてくれる筈の無い俺に、何度も助けを求めた。 『ハハハ・・ハハいい気味だぜ!』 『死にたいか!アァ死にたいかぁ』 糞蟲は仰向けになりピクピクと虫の息だ、人間ならとっくに死んでる筈だが、 悲しい事に実装石は、デタラメな生命力が災いして死に切れない。 『最後の仕上げだ』 俺は金属バットを糞蟲の口に突っ込んだ、残った片目で俺に何かを訴え掛けているのが分かる。 『哀れな目をしてんじゃねぇぇえ』 ゴキリ! 糞蟲は偽石をすり潰す様に、音をたてて逝った。 『おら!バット返せよ』 ヌチャ 俺はパンコンしながら見ている、もう一匹の糞蟲にバットを向けた。 バットを向けてる俺様はかっこいいぜ、自分でも惚れ惚れしちまう。 糞蟲はさっきの奴と同じ様にパンコンしながら、這いずって行く進歩の無い奴だ。 『足一本もらった!』 グシャ! 『グハァァァ』 吹っ飛ばされたの俺だった何だ一体。目の前に何だかでかい奴がいる。 緑色のでかい奴は2mをゆうに越える大男だ・・・いや待てよ。 格好が実装石そのものだ、目がオッドアイになっている、一体奴は・・・ 「俺の名は筋肉実装だ!・・デス」 「公園の平和を乱す貴様を殺す!デス」 筋肉実装だと、見るからに筋骨隆々のその体は、もはや人間の限界を超えている。 どう考えても、こいつは実装石だ突然変異か、それとも実験材料が逃げてきたのか。 「貴様の様な糞人間から、公園を守る為に俺は来た!デス」 「貴様も虐待派の端くれなら、この俺と勝負をしろ!デス」 何だコイツ勝手な事を言いやがって、俺は強そうな奴とはやらない主義だ。 第一、怪我でもしたら大変だろう、ここは何とか穏便に解決をしよう。 『あ〜あのですね、喧嘩はいけないと思いますよ』 『僕は暴力とか嫌いなんで、ここは穏便にですね・・』 「フンッ!」 バッシィィィン! 俺はびんたを顔に食らって吹っ飛んだ、何だコイツ話し合いも糞無いのか、 なんて暴力的な奴なんだ、んっ鼻自がぁぁあ! 『血が出たじゃないか!』 『どうしてくれるんだ、親にだってぶたれた事が無いんだぞ』 筋肉実装は俺が潰した実装石を見つめている。 ヤバイ・・あれを見られたら俺はあいつに殺されかねない。 筋肉実装は潰れた実装石に駆け寄り、必死に介抱をしている。 死んでるんだ、何をしたって無駄だ・・・そうだ今なら。 俺は落ちているバット拾うと、筋肉実装に殴りかかった。 カッキィィィン! 手ごたえ有りぃぃ!バットは奴の頭に直撃した。 死ね!筋肉実装!終わりだ!筋肉実装! 「嬉しいぞ・・・フフフ」 効いていないのか渾身の力を込めて、振ったバットが効かないとは。 「私に挑んでくる勇者には、手加減は失礼に当たる!デス」 「お前は私に本気にさせる事が出来るか!デス」 「さあ、何処からでもいい、私を攻撃してみなさい!デス」 おかしな事になったぜ勝てる訳無いだろ、ここは何とか逃げ出さなければ。 俺はバットを奴に投げた、その隙にここから脱出だ。 俺は走った、あと少しで公園の出口だ、 ざまー見ろだ、人間様が実装石ごときと真面目にやってられるか。 「得物を投げてその隙をつくか・・・中々やるな!デス」 目の前に奴が息一つ切らさず立っていた、手には俺が投げたバットを持っている。 「これは返しておこう、大事な武器なんだろう!デス」 バットを返して貰った俺は観念した殺るしかない、こいつを殺るしかないんだ。 『オラー、死ねやぁぁあ!』 ガチッ!ガキンッッ!カンッ! 何だこいつの体は、まるで硬いコンクリートでも叩いているようだ、叩いている俺の手が痛い。 奴はつまらなそうな顔をすると、俺に話し掛けてきた。 「フム・・何をやっているんだ貴様は・・・遊んでいるのか!デス」 「貴様は今までの中で、最低の戦闘力だ!デス」 「それでは此方から、行かせて貰うぞ!デス」 「フォォォォオ!!」 ドゴゥゥ! ボキ!ボキキィィ! 奴の攻撃は俺の腹に食い込んだ、アバラの折れる音がする。 『ゲッ!ゴボゥゥア』 俺は腹を抱えてうずくまり、今日食ったものを全て吐き出した。 奴が近づいて来る、もう勘弁してくれ、お前には適わない俺の負けだ。 「どうした・・こんな事位で、倒れている場合じゃないぞ!デス」 俺は土下座をして許しを請うた、なりふり等構っていられない、 死ぬよりはましだ、相手は実装石、人間の常識など通用しない。 あいつは俺を殺す、実装石に人間の法律が効く訳が無い。 『勘弁して下さい、ほんの出来心です』 『二度と・・二度と公園の平和を、乱すような事は致しません』 あいつは俺の耳をつまむと、足がつかない位まで持ち上げた。 指の無い手で、どうやって持ち上げているのかは分からないが、奴には常識は通用しない。 ミチ・・ミチチッ 耳が・・耳が千切れてしまう。 あいつは俺の頭を押さえると、力任せに俺の耳を引き千切った。 『ギャァァァア!耳が!耳がぁ』 おれの耳から血がボタボタと落ちてくる、手で押さえたが血の勢いは止まらない。 あいつを見ると、俺の耳を旨そうに食ってやがる。 『な・・何やってんだぁ!俺の耳を返せ!』 あいつは不思議そうな顔をすると、俺に話しかけた。 「貴様は戦いを放棄した、敗者は勝者に食われる運命!デス」 『訳の分からない事を言う奴だ、それが戦いのルールじゃないか!デス」 ルールだと実装石の常識を、人間に押し付けやがって、逃げるんだ殺される。 俺は立ち上がり、公園の外を目指して走ろうとした時、奴の蹴りが俺の足に炸裂した。 「ホオオオゥゥ!デシュァア!!デス」 熱い!足を蹴られた、蹴られた所が燃えるような熱さだ・・・足が!足がなくなっている。 『ヒィィィ!俺の足がぁぁあ!』 奴は俺の足を食いながら近づいて来る、もう駄目だ公園なんかに来るんじゃなかった。 「殺してくれ!・・・一思いに殺せぇぇ!!」 「全く何て軟弱な奴だ!デス」 下を見るとあの人間に、殺されそうになった実装石が俺を見ていた。 俺を見る実装石の目は、助かった事への感謝の目だ。 「人間は食った、もう大丈夫!デス」 足の骨が折れているな、どれ俺が直してやろう。 折れ曲がった足を、真っ直ぐにしやれば良いんだな。 「少し痛いが我慢しろ、俺を信じるんだ!デス」 「ありがとうデス、もう安心デス」 「こうだな、よっと・・・ブチ!」 俺は優しくやったつもりだが、簡単に足が千切れてしまった。 「デジャァァァア!足が・・足が取れたデスゥ!」 「あれ!すまん、取れてしまった様だな!デス」 「大丈夫、もう一本の足はちゃんと直してやるから!デス」 実装石はなぜだか、泣き喚いて俺から逃げようとする、 親切を仇で返すとは、けしからんな。 「デジャァア!殺されるデズゥ」 「来るなデス!来るなデス!あっちへ行けジャャァア」 正義の味方にそれは無いだろう、むかついたので優しく踏みつけてやった。 「バカが!デス・・」 「デッジャァァァア!!」 目の前の実装石はピクリとも動かなくなってしまった。 俺はベンチの方へ目を向けると、人間の女が飼い実装を連れてやって来た。 あの実装石もきっと、あの女に虐待を受けているに違いない。 公園の平和を守る為に、あの実装石も助けなければ。 『カトリーヌちゃん、あなたの好きな金平糖ですよ』 「カトリーヌの好物デス、ご主人様、大好きデスゥ」 ガサリ! 『キャァァア!何よ!あなた何なの』 「俺は公園の平和を守る者、正義の筋肉実装!デス」 やはりな・・首輪なんぞ嵌めて、実装石を奴隷の様に扱っておるわ。 「問答無用だっ!実装アッパー!デス」 『ヒギィィ!!』 人間は俺のアッパーを喰らい吹っ飛んで行った、あごの骨はぐしゃぐしゃになったか。 これに懲りて二度と、実装石を奴隷の様に扱うんじゃ無いぞ。 「テチャーご主人様がぁ!ご主人様が!」 飼い実装は自由になった、これからは自分の好きな様に生きるが良い。 「ご主人様になんて事するデス」 「お前なんか死ねデス」 なんて事だ、助けた相手に死ねとは・・・洗脳か!洗脳に違いない。 酷い虐待を受け洗脳されたに違いない、それならば合点が行く、可哀相な奴だ。 「いい加減に目を覚ますんだ!デス」 「もう怖い人間はいないんだ、お前を虐待する者はいないんだ!デス」 俺は実装石の高さまでしゃがんで、両手を顔に添えて優しく話した。 「そんな事、誰が頼んだデス」 「オマエおかしいデス、頭が変デスゥゥ!」 可哀相な奴だこのまま生きて行くより、いっそ殺した方がコイツの為か・・・ 俺は両手に思い切り力を入れると、実装石の頭は爆発したように吹っ飛んだ。 『デッジャァァァア!』 まったく俺が何をしたと言うのだ、感謝の言葉ひとつもよこすのが筋だろう。 あそこに見えるのはダンボールハウスだ、どれどれ平和にやっているかな。 ダンボールハウスには仔実装が数匹と、親実装が仲良く暮らしている。 平和だ・・俺が求めているのは、こんな平和な家族を守る為に生きているんだ。 よしよし、可愛い仔実装だ、頭のひとつでも撫でてやるか。 「可愛い仔実装達だね!デス」 「筋肉実装が頭を撫でてあげよう!デス」 仔実装達はダンボールから外に出て、私に纏わりついてきた。 可愛い仔達だ、純粋で無垢な心を持った実装石の未来を担う子供だ。 「よしよし・・・プチ!」 あれ・・力を入れた訳じゃないのに・・・ 「何してるデス・・・私の仔がぁぁぁあ」 「オマエは何デス、仔が何をしたデス」 「オマエみたいな奴は、ここから出て行けデスゥ!」 ムカ・・ピキン! グチャッ!! 『デギャァァア、テッチィィィ」 俺の名前は筋肉実装。 正義を守る事は孤独との戦いだ、最近この公園も実装石が少なくなってきた。 いくら俺が守っても、限界があるようだ。 俺を唸らせる強い奴もいない・・・この辺が潮時か。 また次の公園に行こう、俺を待っている実装石がいるに違いない。 少しは骨のある奴に会えるかも知れない。 筋肉実装は弱い者の味方だ、公園の平和を守る正義の実装石だ。 俺の行く所には、虐待派の屍を作って実装石の為に生きていくんだ。 俺の戦いは終わらない、虐待派の人間がいなくなるまで。 俺の名前は筋肉実装 ---------------------------------------------------------------------------------- この話はパス板にあった、でかい実装石がモデルです。 真面目なスクの合間に、チャチャと作ってみました。
