俺:無職無一文 実装とコンビニ弁当で生きてる グリ:食糞実装2代目 実装と交換に俺の糞を食べてたグリの仔 ペット:実装燈 親を食い尽くして生まれた仔 番犬:実蒼石 公園で拾った孤児 橋の下に住み始めて8ヶ月のとある朝 鼻を撫でる羽根の感触で目を覚ます。 目の前にいるのはペット? 状況に寝起きの頭がついていけない。 目と目が合い、顔を赤らめたペットが、まるで愛しい恋人のように俺を抱く。 柔らかな肌温もりと、芳しい汗の匂いが、昨晩の記憶を呼び覚ます。 真っ白になった頭は、場違いな台詞を紡ぎだす 「おはよう、ルー」 それに応えを得た事が嬉しくて、思わず抱きしめる。 昨日、流し尽くしたはずの涙が一筋零れ落ちた。 橋の下に住み始めて8ヶ月と1日 クシャミで目を覚ます。 しんしんと冷える寝床で、冬の到来を知った。 我が家を見渡せば、ベニヤ作りだった家は流され、毛布も寝袋も既に無い。 ダンボールを重ねただけの家に新聞紙のタオル。 食事も心配だ。 やってくる冬にむけて備えをしなくては。 既に3匹も俺の糞だけでは足りなくなり、既に番犬とペットは肉食となっている。 ・・・・グリだけは頑なに、糞を食べてるが。 流石に最近では、俺だけでは人手がたらず、番犬に狩りを手伝って貰う様になった。 ペットは引き続き、見張りをして共食い、逃亡を防いでくれている。 そして、グリには一番大事な仕事、俺の友人としてそばに居てもらっている。 橋の下に住み始めて8ヶ月と1週間 腫れ上がった頬を冷やしつつ、昨日を思う。 まさか、ダンボールが金になるとは思わなかった。 新参者で横取り者の俺は、複数の乞食にリンチを受けた。 集めたダンボールも、家の一部ごと持ってかれた。 全部持ってかれなかったのは、番犬の必死の威嚇のお陰だろう。 痛む体を横たえながら、風通しの良くなった家で途方に暮れた。 橋の下に住み始めて8ヶ月と2週間 遅々として進まない冬支度。 狩りする時間さえ惜しんでも、そうそう都合よく落ちてるわけない。 無邪気に遊ぶグリ達に怒鳴りつける。 わかってる。 これは八つ当たりだ。 橋の下に住み始めて8ヶ月と3週間 番犬が俺の代わりに狩りをするようになった。 一度に取れるのは1,2匹。 小さな体で何往復もして、食事の準備をする。 橋の下に住み始めて9ヶ月 グリが親と同じように手伝いをしたいと言ってきた。 まだ仔実装のお前に、何が出来る? お前はまだ、俺に守られていれば良い。 俺の傍に居れば良い。 それだけがお前の価値だ。 ・・・・翌朝、グリは何処にも居なくなっていた。 橋の下に住み始めて9ヶ月と1日 番犬と共に、一日中探したが見つからなかった。 番犬なら番犬らしく、鼻の一つも利けばいいのに! ペットもペットだ、本当に何の役にも立たない。 グリが、グリだけが俺の心を癒してくれた。 俺の傍で温もりを与えてくれた。 グリ、お前も俺を置いていってしまったのか? ・・・俺を、また一人にしないでくれ。 橋の下に住み始めて9ヶ月と3日 居なくなって、今日で3日目 俺は、また一人になってしまった。 グリは何処にも居ない。 慰めたいと、ペットが歌を歌う。 思わず、叩き落とす。 恨みがましく見つめる目が、苛立たしい。 なぜ、俺を苛立たせる? 役に立たないなら、せめて足を引っ張らないでくれ。 ・・・何かもかも面倒だ。 寝てしまおう。 橋の下に住み始めて9ヶ月と4日 番犬が、グリを探そうと五月蝿い。 そんなに暇なら、保存食分位、取って来れば良い。 明日までに実装石30匹の生け捕りを命じた。 これで暫く静かになる。 ようやく得た静寂も、ペットによって破られた。 貴方を元気付けたい。 貴方に笑って欲しい。 「何も出来ないペットの分際で?」 「お前に何が分かる?」 私には分からない。 だけど大きな哀しみは分かる。 ・・・私は親殺しだから。 自分の罪を指摘され、詰まった俺は話題を変えて逃げた。 「はっ、女が男を慰める方法は一つだろ?お前に出来るのか?」 それが望みなら・・・。 黒い服が滑り落ち、白く艶やかな肌が目を焼く。 思わず触れた肌の柔らかさ、温かさが俺を狂わせる。 俺は全てを貪り、ペットはそれを受け止めた。 全てが終った後、その温もりを抱きしめ俺は泣いた。 グリ以外を見ていなかった自分を。 自分は不幸だと思い込み、全てを拒絶してた自分を恥じて。 そして、そんな俺を癒してくれたペットの優しさに。 ペットの柔らかな羽と腕に腕に抱かれ、子供のように眠った。 ・・・心優しきペットの名を考えながら。 橋の下に住み始めて9ヶ月と5日 布団から出ると、ルーと顔を合わすのが気恥ずかしい。 静寂から逃げるように、顔を洗いに外に出る。 そして驚く、家の前の緑の集団に。 ・・・それから気付く、足元で丸まり、冷たくなった番犬に。 橋の下に住み始めて9ヶ月と6日 死にかけていた番犬は、懸命の介護により一命を取り留めた。 番犬は入るに入れず、一晩、外で明かしたようだ。 俺は土下座し、約束と交換で許して貰った。 私に構わず、グリを探しに行ってくれと言う番犬に断りを入れる。 「グリも家族だが、お前も俺の大事な家族なんだよ」 えっ? 「俺は気付いたんだ。いや、お前たちに気付かせて貰ったんだ。俺は、一人じゃないと」 でも・・・。 「だから俺は行かない。明日、大事な家族全員で捜しに行こう、セイ。」 はい! そして、夜が明けた。 ・・・・長かった夜が。 橋の下に住み始めて9ヶ月と1週間と3日 あれから結局、グリはまだ見つかってない。 諦めきれない2人を慰めつつ、今日も虚しく我が家へと帰る。 ・・・・ ・・・ ・・ ・ 夕暮れで、赤く染まる真冬の川原。 その中を歩くは、ボロボロの実装石が一匹。 両手で抱えるは、小さな小さな親指が一匹。 見据える先は、ボロボロの我が家、唯一つ。 秘めるは、守られるだけでない誇り唯一つ。 ただいま お帰り 家族は再び揃った、 もう、二度と離れる事は無い。 完 自分の失敗で色々と欝
