実装の実験施設。 6匹の選び抜かれた実装たちが実験場に案内された。 森や湖のある広い実験場は実装たちが暮らしていくには快適な空間であった。 教官からは「お前らはここで53日間生き延びろ」と伝えられる。 そして、共感はある事をさらに付け加えた。 「問題が起きてどうしても棄権する必要があるならこのスイッチを押しなさい」 そして、この実験はスタートした。 『実験場中央広場』 「まず、みんな自己紹介をするダワ」 6匹の中の1匹そう提案する 「私は実装紅。よろしくダワ」 実装紅はそう続けた。 「ワタシは実装石デスー。こっちは妹の実蒼石デス」 「ボク、実蒼石ボクゥ」 2匹はぎゅっと固まって自己紹介した。 「私は実装燈ルトォ、よろしく、おバカさぁん」 実装燈は落ち着きが無くふらふらと落ち着き無く飛び回っている。 「ワタシは・・・薔薇実装・・・実装燈、落ち着いて・・・カワイソウ」 フワフワしている実装燈を薔薇実装が嗜める。 「ヒナはねぇ、実装雛なの〜」 「こんな楽な実験、この実装金が楽してズルして成功カシラ」 実装雛と実装金がくるくると仲良く回っている。 「ちょ、ちょっと待つのダワ・・・7匹いるのダワ」 「教官は7匹って言ってたルトォ。もう一度数えて御覧なさい。おバカさぁん」 「でも、確かに7匹いるボクゥ」 「この実装石の妹が言うんデス。間違いないデスゥ」 「やったのー。たくさんで遊ぶの〜」 「こ、これはこのカナの頭脳をもってしても難解カシラ」 「問題が起こったのダワ。残念だけど、リタイアダワ」 実装紅がスイッチを押そうとする。 「待つデス!!ここまで来て後に引けねぇデス!!」 実装石が必死にリアタイアを拒む。 「実装石はどうせ研究所に戻ってもまともな殺され方しないルトォ」 「保身で言ってるんじゃないデス!!」 「どうかぁ〜。おバカさぁん」 「・・・・カワイソウ」 8匹は沈黙に沈む。 「・・・このままみんなでゴールして、あとで教官に聞けば万事解決なの〜」 「か、カナもそう思ったカシラ」 「そうね。そうすればリタイアしなくて済むのダワ」 「それで行くデス!」 「ボクもそれで」 「ルトォ〜!!」 「・・・分かったカワイソウ」 それから7匹の生活がスタートした。 『中央広場5日目』 「今日も食料を探すのダワ。燈と薔薇、カナ、ヒナは森へ、私と姉妹は湖なのダワ」 「いっつも紅が仕切る・・・つまんなぁ〜いルトォ」 7匹を初め実装紅が指揮していた。 だが、実装紅の高圧的で独善的な態度は日に日に他の実装から嫌われていた。 「この実装紅の言う通りにすれば問題ないのダワ」 『中央広場7日目』 実験場はこの中央広場を中心に広がっている。 中央広場には10匹ほどの実装たちが暮らせる実装ハウスが設置されており、 7匹はそこに住んでいる。 集められた食料はその日のうちに公平に分配される。 幸い、個体のサイズがどの実装も同じ程度なので誰か1人食料が足りないという事も無かった 分配するのは計算が得意な実装金の役目 「これで公平カシラ?」 「いいのダワ。これで公平ダワ」 実際、実装金の分け方で公平かどうか実装紅にも分かってはいない。 ただ、全員なんとなく公平だろうという幻想の元、それを受け入れていた。 『西の森8日目』 「これは・・・良い物を見つけたルトォ」 実装燈が手に入れたのは実装銃である。 実験施設で使われているもので実装が使う事の出来る拳銃だ。 弾は五発、当たる場所が悪ければ致命傷になる。 「実装紅のおバカさぁん」 『中央広場9日目』 夜からの大雨で今日は餌を取りに行く事ができない。 『中央広場12日目』 問題が発生した。ついに実装石が餌の分配に文句を言い始めた。 実験場の実装たちはほとんどが優秀な個体だが、 実装の中で見れば一番愚かなのは実装石だ。 連日の大雨でストックしていた餌が少なくなっている上でこの騒ぎ。 全員がこれからの生活に不安を感じていた。 「うるさいダワ!こっちはちゃんと考えて分配してるダワ!!」 激しく言い争う実装石と実装紅。おろおろする実蒼石。 関係ないという感じの薔薇実装、何が起こっているのか全く分かっていない実装雛。 ただ事の成り行きを窺っている実装金。 言い争いは続く。戦えば勝てる事を実装紅は知っていたが、 そんな事をすれば自分が危うくなる。 7匹の中で実装紅の戦闘力は下から数えた方が早いからだ。 「もしかして、お前が7匹目デス?デププププ、お前みたいなバカはきっと7匹目デス」 「ち、違うのダワ!私はちゃんとこの実験に参加してるのダワ!!」 「・・・やっぱり、実装紅が7匹目ルトォ?」 2匹の良い争いに横槍を入れたのは実装燈だった。 「実装燈、違うのダ・・・・ワ」 実装燈の方に振り向いた実装紅は言葉を詰まらせる。 実装燈の手には実装銃が握られている。 「じゃあ、実装石に謝るルトォ。バカな実装紅は餌の管理も出来ず、実装石の餌を減らしてしまいましたって謝るルトォ」 プライドの高い実装紅にぞんな事が出来るわけも無く 実装紅は実装銃を睨み付けていた。 「・・・え、餌の分配は実装金の仕事だったのダワ」 「許可をしたのは実装紅ルトォ」 「デププププ、やっぱりバカ実装紅のミスデス。バカはこれだから困るデス」 小ばかにした感じで実装石は実装紅を非難する。 実装燈は銃口を実装紅に向けたまま、他の実装たちは動けないでいる。 「・・・許さないダワ!!」 実装石に飛びかかろうとした実装紅 「おバカさぁん」 パスという軽い音と共に実装紅はその場に倒れた。 実装紅の血特有の紅茶のような匂いがその場に立ち込める。 実装紅は腕を押さえて倒れている。 「実装紅、大丈夫なの?」 すぐさま、実装雛は実装紅に駆け寄る。 「クッ・・・実装燈!!」 実装紅は実装燈を睨み付ける 「どうしたルトォ?7匹目さぁん」 その言葉を聞くと実装紅は実装ハウスを飛び出した。 実装紅は雨の中を必死で走り続けた。いや、逃げ続けた。 『中央広場16日目』 実装紅がいなくなってから、実装燈が他の4匹を支配していた。 他の4匹は実装銃への恐怖から実装燈に従わずにはいられなかった。 唯一、薔薇実装だけが実装燈から対等に扱われていた。 『東の湖17日目』 「デス〜、疲れたデス。実蒼石、お姉ちゃんは休むデス」 「うん、あとはボクがやっておくボクゥ」 実蒼石は考えていた。 今の実装燈の支配下ではボクらは実装紅が管理していた時より貰える食料が少ない。 この前のような大雨になれば、ボクらが貰える食料はもっと減るだろう。 どこかに蓄えておく必要がある。 「実蒼石、お姉ちゃんはトコトン疲れたデス。先に帰って休んでるデス」 「うん、ボクはもう少し食料を集めてるボク」 「デプププ、この姉のようにちゃんと働くデスよ」 そう言うと実装石は足取り軽く中央広場の方へ駆けていった。 「姉さんを守れるのはボクだけボクゥ・・・」 『南の森18日目』 実装金と実装雛が森で木の実を拾っている。 「カナ、見て見て、こんなおっきなドングリなの〜」 「凄いカシラ〜」 実装金は愛想よく答えるが、心情はそうではなかった。 実装紅時代にやっていた不正な餌の分配はもう出来ない。 それどころか、実装燈の支配の下では公平にすら餌をもらえない。 隠してある餌もあるが、それが一ヶ月以上持つ分けない。 実装銃の事もある。弾はおそらく残り4発、盗もうにも実装燈が肌身離さず持っている。 個体中最も強い薔薇実装を手懐けているのも脅威だ。 「あ、薔薇実装なの〜」 実装雛の言葉に実装金はビックリした 「・・・」 「あのね。薔薇実装。見て見ておっきなドングリなの〜」 薔薇実装の周りを実装雛がくるくると踊るようにして回る。 「ソウ」 「薔薇実装、お花も見つけたの。薔薇実装にあげるの〜」 仲良さそうに話す2匹を見ながら実装金は少し微笑んだ。 『南の森20日目』 最近、実装雛と薔薇実装が一緒に餌を取りに出かけるようになった。 何が原因か分からないが、薔薇実装は実装雛の事を気に入ったらしい。 「このまま行けば、この実装金が楽してズルして連環の計カシラ」 『東の湖21日目』 「実蒼石、お姉ちゃんは疲れたデス。先に帰ってるデス」 「うん、あとはボクがやっておくボクゥ」 実装石が去ると実蒼石はせっせと食べ物を近くにある洞窟に隠した。 『中央広場22日目』 「ルトォ、美味しいルトォ」 実装燈は実装紅を追い出して以来、ずっと実装ハウスの中で運ばれたきた食べ物を食べるだけの生活をしている。 薔薇実装も同じような待遇だが、薔薇実装は最近良く外に出かけるようになった。 「薔薇実装はどうしたルト?あいつは強いばかりでバカだから困るルト」 『東の湖30日目』 いつものように実装石がいなくなってから食料の備蓄をする実蒼石。 「デス、実蒼石、お前は何やってるデス?!」 さっき、戻ったはずの実装石が戻ってきていた。 「こ、これは・・・」 「お前はみんなの餌を独り占めしようとしてたデスか!!」 「ち、違うボク。姉さん、聞いて欲しいボク」 「お前なんて今日から妹でもないデス。来いデス!実装燈に処分してもらうデス!!」 『中央広場31日目』 その日、実蒼石は選択を迫られていた。 自殺するか、実装ハウスを出て行くか 「不正をするなんてなんて意地汚い奴デス!しかも姉さんのためだなんて私に罪を着せるなんて酷い奴デス」 実装石は昨日から何度も実蒼石の顔を殴っている。 所詮は実装石の力だから実蒼石には何一つ痛くない。 しかし、実蒼石は泣き続けている。 「お前も実装紅と一緒で自分が一番可愛かったデス!なんか言ってみろデス。実装燈、早くこいつを殺すデス!」 1匹で大騒ぎする実装石に周りの実装たちは冷静だった。 食糧を他に備蓄していない実装など、目の前で騒いでいる実装石ぐらいだからだ。 いくら実装燈でもここで大きく出れば自分の不正がバレた時、自分が何をされるか分からない。 そう思い。 実蒼石に選択を迫ったのだ。 「早く殺すデス!!こんな奴、殺してしまうデス!!」 騒ぎ立てる実装石に周りがいらだち始める。 「実装石!静かにするルト!そうでないとお前から殺すルト!!」 そう言って実装燈は銃口を実装石に向ける。 「何でワタシが殺されるデス!!お前は頭が悪いデスか?!殺されるべきはこいつデス!!」 「お願い止めてボク、実装燈。姉さんは悪くないボク。全てボクが悪いボク」 さらに騒ぎ立てる実装石を押しのけて実蒼石が銃口の前に立つ。 「お前もいつまでもワタシの妹だと思っているなデス!!」 実蒼石を後ろから蹴り飛ばす実装石。 さらに実装石は倒れた実蒼石を踏みつけた。 「分かったボク・・・出て行くボク」 『中央広場32日目』 その日、実蒼石は出て行った。何も言わずに これで実装ハウスには5匹だけになった。 そして、告発を恐れ、誰も実装石とは行動を共にしなくなった。 一応、体裁を取り繕うために実装燈は実装石を褒め、褒美として多くの食料を与えた。 『西の洞窟33日目』 「こ、これは・・・実装銃カシラ・・・弾は無いカシラ」 『南の森35日目』 仲良さそうに遊ぶ薔薇実装と実装雛。 実装雛は器用に花でわっかを作っている。 そこへ本来担当でない実装石がやってくる。 実蒼石がいなくなり、告発を恐れて誰も実装石と行動をしなくなってから 実装石は1匹で行動していたが、最近では自分の餌取りの担当区外に来ては 誰かまわずちょっかいをかけていた。 「デプププ、なんデスか。その下手糞なわっか、ワタシならもっと綺麗に作れるデス」 「えぇ〜、ヒナのわっかそんなに下手なの〜?」 実装雛は薔薇実装にそう訪ねる。薔薇実装は首を横に振りカワイソウと言い実装雛の頭を撫でた。 仲良さそうな2匹を見て、実装石は怒り出し、実装雛から花のわっかを奪うと壊してしまった。 それを見た薔薇実装が実装石を叩き、実装石は30cmほど吹っ飛んだ。 「や、やめるの!薔薇実装、暴力はめーなの」 すぐに実装雛は薔薇実装を止めに入る。 いつの間にか、実装石は遠くのほうへ逃げて行ってしまった。 このやり取りを影でこっそり見ている実装がいた。実装金だ。 「これで連環の計はばっちりカシラ」 『東の湖38日目』 「実装石、ちょっといいカシラ?」 「なんデス?」 珍しく実装石に話しかけてきたのは実装金だった。 「カナ、ちょっと気になる事を耳にしたカシラ」 「なんデス。もったいぶらずにさっさと話すデス」 「実装石、どうも実装雛が餌を隠して貯めているらしいカシラ」 「デ?何で実装石に言うデス?」 「カナは頭が良くないから、きっと頭が良い実装石になら分かると思ったカシラ。それに前にも実装紅や実蒼石の不正を見破っているカシラ」 「デ・・・そうデス!!ワタシはお前らなんて比較にならないほど賢いデス!!」 「怪しい場所は南の森の・・・」 「わかったデス。調べるデス」 「あと、カナから教えて貰った事は内緒にしておく方がいいカシラ」 「なんでデス?」 「ご褒美は実装石だけが受け取れば良いカシラ。恐れ多くてカナには実装石の分け前なんてもらえないカシラ」 「・・・分かったデス。お前、良い奴デス」 そうして、実装石はその日のうちに実装雛の隠し食料を見つけ出した。 『中央広場39日目』 前回と同じく実装雛には追放か、自殺かが迫られ、 実装雛は追放を選択した。その夜の事 「薔薇実装、ちょっといいカシラ」 「・・・」 実装雛の追放で気を落としている薔薇実装に実装金が近づく。 「実装雛、あれは実装燈が命令して実装石に調べさせたカシラ」 実装金は薔薇実装の側でいろいろと囁く。 「実装燈がいなくなれば、実装雛はここで暮らせるカシラ」 薔薇実装は聞いているのかいないのか、微動だにしない。 「外は危険カシラ。逃げた実装紅、追放された実蒼石。今ごろどこかで死んでいるかもしれないカシラ」 「実装燈がきっと7匹目カシラ」 「カナも一緒に行くカシラ。一緒に実装燈をやっつけるカシラ」 すると、薔薇実装は立ち上がり。 「実装雛、カワイソウ。実装燈・・・」 「カナも協力するカシラ」 実装金の言葉に薔薇実装はうなずいた。 「まず、薔薇実装が襲ってから、実装銃をカナが奪うカシラ」 そうやて、薔薇実装と実装金は実装燈の部屋に押し入った時の作戦を立て決行した。 薔薇実装の最初の一撃で、実装燈は実装ハウスの壁に叩きつけられ、 実装金がその間に実装銃を実装燈から奪った。 実装燈は何か言いかけたが、薔薇実装はそれを聞かず、水晶で実装燈を貫いた。 「終わりカシラ」 パスパス、という軽い音と共に薔薇実装は倒れた。 実装燈には水晶が突き刺さり、床に力なく倒れている。 薔薇実装も頭と胸を実装銃で撃ち抜かれ、実装燈の上に倒れこんだ。 「あと2発カシラ。次は二虎競食の計カシラ」 『中央広場40日目』 実装燈と薔薇実装が死んでから 実装ハウスはとても静かになった。 実装金から2匹はお互いに争って死んだと聞かされた実装石と実装雛。 どちらもそれを疑う事は無かった。 それと3匹になってしまった事から食料の確保が難しくなるという理由で実装雛の追放は取り消された。 3匹は協力して食料を集めだした。 『東の湖の向こうにある森41日目』 「そう・・・これで復讐できるのダワ」 「もう一発しか残ってないから大切にするカシラ」 『西の森を抜けた所にある平原42日目』 「姉さんが?」 「実装紅の奴が実装燈を殺して実装銃を持って行ったのカシラ。次はきっと実装石カシラ」 「ど、どうしようボク」 「そこでこれを渡すカシラ。弾は一発。迷ってたらお姉さんは死ぬかしら」 『中央広場42日目」 突然の大雨に3匹は急いで実装ハウスの中に駆け込んだ。 そこには実装銃を構える実装紅の姿があった。 「お久しぶりダワ。実装石」 実装紅の手には実装銃が握られていた。 「デデッ!!・・・じ、実装紅。いいい今さら、何デス!!」 「姉さんはボクが守るボクゥ」 実装石と実装紅の間に実蒼石が飛び込んでくる。 「じゃあ、2匹仲良く死ぬダワ!!」 2匹は同時に実装銃を撃った。 『中央広場43日目』 「二虎競食の計も成功カシラ。あとは尖った木の枝でも殺せそうなのが2匹」 昨日からずっと実装石は実蒼石の死体の側で泣いている。 後ろから実装金が近づいてきても気付かないほど泣いている。 『西の森44日目』 実装雛は走っていた。 薔薇実装、実装燈が死に、次に実装紅と実蒼石が死んだ。 そして、昨日、実装石までもが死んだ。 実装雛は知っていた、自分が7匹目だと言う事を。 もう自分には生きる道なんか残っていない。 あの実装ハウスにいてもどうせ殺される。 どうにか外の世界に逃げ出したい。 自分が今まで嫌っていた世界に、 この実験場に来て実装雛は最初は幸せだった。 53日間、食事にありつけるならそれでよかった。 でも、今は外の世界に出て、少しでも生きていこう。 何でも良い。どんな生活でも良い。殺されるのだけは嫌だ。死ぬのだけは嫌だ。 『中央広場53日目』 実験終了のアナウンスと共に研究員が実験場の中に入ってくる。 「カナ、誰か生き残ってるか?」 「実装雛が逃げたカシラ」 「あぁ、あいつは西の平原の餓死してた」 「で、結局、ニセの7匹目は誰だったのカシラ?」 「その実装雛さ。じゃ、次も頼むよ。本当の7匹目さん」
