タイトル:【馬・虐燈】 ふたログのお題にて
ファイル:まさにてきとー.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3438 レス数:0
初投稿日時:2006/08/19-14:21:50修正日時:2006/08/19-14:21:50
←戻る↓レスへ飛ぶ

 俺には、もう何も無くなった。
突然の会社倒産、ローンで差し押さえられたマンションや車。
全てが無くなるまであっという間の出来事だった。
恋人も、友人も、家族さえも俺の傍から去っていった。

 橋の下に住み始めてから1年。
俺に友人と言えるべきものが出来ていた。
「デス〜」
「お?グリか」
「デス?」
「済まんな〜。今日はまだお通じ来てないんだ・・」
「デ〜・・」
「大丈夫、食うもの食えば直ぐ出るさ。さ、今日は何持ってきてくれたのかな?」
ひ、ふ、み
「仔実装3匹か。しかも丸々肥えてるじゃないか、良くやった」
「デス〜〜」
撫でてやると顔を赤らめて照れる。

 グリと俺は奇妙な共生関係だ。
俺は主に糞を提供し、グリはそこらの野良の実装を提供する。
ずいぶん、一方に偏った内容だが提案者はグリだった。

 公衆トイレも無く、穴を掘っただけの簡易トイレにしていた頃。
グリは匂いに釣られて住み着き、俺の糞を食べていた。
追い払っても、追い払っても直ぐに戻ってくるこの奇妙な食癖の実装石。
まさか、その実装石に命を救われるとは・・・。

 橋の下に来た初日
世の中はくそったればかりだ。
みんな俺から離れていった。友人だけじゃなく、婚約した恋人も、親さえも・・・。
「困った時は力になる」?今じゃなきゃ、何時なんだ、それ?
何が「貴方を愛してる」だ、財布をだろ?あのバイタ。
「お前は自慢の息子」だ?会社倒産してローン抱えた途端「恥さらし」かよ?
どいつもこいつも、皆分かってない。
俺の事を分かってくれようとしない。
俺は一人ぼっちだ・・。

 橋の下に住み始めて一週間
便所に糞蟲が住み着いた。
どうやら、糞食の実装石のようだ。
気に入ったのか、追い払っても戻ってきやがる。
・・・・・俺を見てくれるのはあいつだけだ。

 橋の下に住み始めて2週間目
俺は死に掛けていた。
コンビニの廃棄弁当も手に入らず、ここ数日は水以外取れてない。
相変わらず、便所には糞蟲が住み着いて、糞食ってるし、マジで糞虫だ。

 橋の下に住み始めて2週間と3日
あいつが俺に寝床にまで来た。
俺はこいつに食われるのか?
俺は糞蟲の餌ほどの価値しかなかったのか。
ハハハハハハハハ、そりゃ、皆逃げるは・・・。

 橋の下に住み始めて2週間と4日
予想に反して俺は襲われなかった。
「のどが乾いた」と言うと
あいつが俺に水を持ってきた。
捨てられてたペットボトルに入った、汚い川の水。
美味しかった。
あいつは俺の糞が欲しかったらしい。
食べないと出ないと言う事をジェスチャー交えてなんとか伝える。
あいつは帰った。
もう、来ないだろうな。

 橋の下に住み始めて2週間と5日
やっぱりあいつは来ない。
おれは糞蟲にさえ見放された。
存在する意味さえないカスだった。
初めて泣いた。
俺は本当に一人ぼっちになってしまった。

 橋の下に住み始めて2週間と6日
そろそろお迎えが来そうだ。
誰にも要らない子にお迎えは来るのか?
それを考えると死が平等に訪れるとはいえ不安になった。
永遠に一人なのだろうか?
一人はいやだ・・・・。

 橋の下に住み始めて3週間目
あいつが来た。
戻ってきてくれた。
連れてきた仔実装を差し出してきた。
俺は夢中で食べた。
まだ足らないと言うと自分の左手を差し出した。
俺は泣きながら食べた。
俺は一人じゃない。

 橋の下に住み始めて三週間と1日
あいつはぼろぼろになりながらも成体実装を連れてきた。
多少元気になった俺は、丸焼きにして美味しく頂いた。
久々のトイレであいつも大満足したようだ。
あいつに名前を付けた。
グリーンから取ってグリだ。
もう、あいつじゃない。
そして俺も一人じゃない。

 橋の下に住み始めて1ヶ月と2週間
俺とグリは大分仲良くなった。
グリは「人間」と「金平糖」をキーワードに、少し離れた公園から獲物を持ってきてるらしい。

 橋の下に住み始めて2ヶ月
グリが妊娠した。
俺も良い餌を作るためにコンビニを回るようになった。
沢山栄養あげないと。

 橋の下に住み始めて2ヶ月と1週間
グリが実装燈に襲われた。
グリはもう助からない。
体中を蝕まれたグリの偽石を探し出し、砕いた。
グリは、お礼を言うと微笑んで死んでった。
お礼をいうのはこっちの方だ。
「本当に有難う」
腹を割き、子供だけでも助けようとしたが、8匹中生き残ったのは3匹だけだった。
捕まえた実装燈は羽をむしり、繋いで置く事にした。
俺はまた一人なのか?

 橋の下に住み始めて2ヶ月と一週間と1日
仔実装にかかりきりだった為に放置されていたグリを埋葬する。
その際にグリの体から出てきた実装燈の幼生を発見。
可愛そうなので親の体に穴を開け、入れてあげる。
親も転げまわって喜んでいる。
・・・親子仲良くな。

 橋の下に住み始めて2ヶ月と3週間
実装燈は自分の子供に食い尽くされて死んだ。
が、子供は無事に成長した様だ。
繋いで、ペットとして飼う事にする。
餌は勿論、俺の糞だ。

 橋の下に住み始めて3ヶ月
グリの子供、3匹のうち賢いのは一匹だけの様だ。
トイレの躾けさえ理解できない2匹は望みどおり、自然に帰してやる。
もう2度と会う事も無いだろう。
残った賢い仔にグリと名付けた。
立派な母親と同じ名だ。
しっかり後を継げよ。

 橋の下に住み着いて4ヶ月
俺は一人じゃなくなった。
友人グリとペットと。
正直、橋の下の生活が板に付いて来た。
俺はもう一人じゃない。

■感想(またはスクの続き)を投稿する
名前:
コメント:
画像ファイル:
削除キー:スクの続きを追加
スパムチェック:スパム防止のため3654を入力してください
戻る