季節は冬、アパートのベランダに紐で吊るされた柿がそこにはあった! そう干し柿である!! 日本古来の風物詩たるこの和スイーツ しかるにこれを不届きな赤緑の視線が狙いをつける 盛んに木枯らしが吹き付ける中 アパートの敷地内に緑色の不法侵入者の… そう、皆さんご存知!野良実装の一団だ!!!! そろそろ中実装にさしかかろうという30センチほどの姉実装を先頭に ひとまわりづつ小さくなりながら末妹の親指実装まで合計5石 一揃いに列なしてならぶその様、まさにマトリョーシカの様にも見える この薄汚いマトリョーシカの一団が如何にしてこの敷地内に不法侵入に至ったか それは話をほんの少しだけ遡らねばならない - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 野良実装姉妹 オヤジっ装 親実装 成体実装 姉実装 姉妹の最も姉な実装 中実装にさしかかろうという中途半端サイズ 前から2〜6番目 合計5匹 7番目 姉妹の62女 近年稀に見る糞蟲 8番目 姉妹の68女 黒髪実装 車に轢かれた 9番目 親指実装 ウンチ出たレチ 10番目 仔実装 チョウチョさん待っテチ - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 負けじと大声で返す末妹 にらみ合う二匹の糞蟲 どちらも一歩も譲らない 先に動いたのは… 先に動いたのは62女だった どちらにせよ、末妹が姉実装たちに追いつくためには自分を通り越さねばならない 従って62女が末妹のところへ行くのが正しいと判断したのだ もし死臭に気付かれたとしても、その場で直ぐに口を塞げばよろしい ああ、何という糞蟲!恐ろしい思考が62女の糞蟲回路を駆け抜ける しかし、その判断は少し遅かった 「テ?」 足が動かない、62女の足が、まるで地面に張り付いたかのように動かないのだ 「テヂィ!」 力を入れて踏ん張るが全く無力!気が付けば足元の湯気が無くなっている… そう、突き刺すような冬の気温は68女の汚肉と62女の糞を丹念に混ぜ合わせたものをすっかり冷え固め それを混ぜ合わせた62女の足を地面にしっかりと固定させてしまったのだ!!! 「フンヌァ!!テチャ!!」ズボッ 気合を入れて左足を抜く62女、確かに左足は抜けたが 右足がまだ地面に固定されたままだ、そして… 「クックが、クックが取れちゃっテチィ!」 左足の実装靴が地面に張り付いてしまっている 「ワタチの、コウキでカシコイワタチのクックが…」 そんな惨状は意に介さず、末妹は呟く 「ウンチ出たレチ」 「うるせえテチャ!!見てないで手伝うテチ!!」 とうとう見栄も外聞もかなぐり捨ててキレる62女 野良実装である彼女らにとって髪、服、靴はかけがえのない財産 ぴったりのサイズのものが代わりに手に入ることなどほぼありえない(※5) (※5)もちろん同属から奪うのはアリである 「クック…ワタチのクック…」 62女はなりふり構わず硬くなった粘土のような実装糞から実装靴を取り返そうとするが すでに表面が硬くなっているため腕は汚肉糞の表面をなめるばかりだ ところで、糞蟲である彼女らはすっかり忘れているが、読者諸兄は忘れてはいないだろう ここが車道であること そして62女が地面に接着されている位置はつい先ほど68女が轢かれた場所であること そして、そんな場所でいつまでもイゴイゴと蠢いていることが何を意味するか ブォン!! 「テ?」 次の瞬間、62女の真上を自動車が通った 幸いにして左足が汚肉糞を抜けていたため、上半身と左足は無事だったしかし 汚肉糞に固められていた右足をタイヤに磨り潰された 「テ、テ、テ…テッヂュアアアアア!!??」 62女の絶叫が響き渡る 右足!高貴で美しいワタチの右足!! ぐちゃぐちゃになって地面と一体化した右足! タイヤ痕がついてアスファルトの隙間に詰まった右足! 62女の両目から本気涙が、赤緑の線を作って垂れていく ブォン!! もう一台、自動車が62女の真上を駆け抜ける 広い車道にとってわずか15センチにも満たない62女はただの影だ おまけに実装糞にまみれ、車目線ではただの糞だまりにしか見えない 「テヒッ、ハッ、テヒィ」 幸運にも2台目の自動車の時にはタイヤとタイヤの間にいた62女は無傷 だがこのままここにいればどうなるかはわからない デ…゙デ…゙デ…゙デ… ナンデ…ナンデワタチが…美しく賢く高貴なワタチのアンヨが 62女は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で必死に末妹に訴えかける 「オマエーッ!!助けろテチャーーーー!!」 「ウンチ出たレチ」 末妹はなおも動かない デデデデデデデデデデデ… 「さっきからうるさいテチ!何の音テ…チ…?」 振り向いた62女が見たもの、それは……… <ドグォォン>ロードローラーだッ! そう、時刻は早朝、深夜の道路工事を終えたロードローラーがこの狭い通りを通りかかったのだ 双葉重工業社製、直列12気筒・翠星型ジソリンエンジン搭載(※6)、重量10トン、30馬力の巨体だ! (※6)実装石を液化した特殊燃料で動くエンジン、排ガス規制により防塵フィルタなしでは都内へ乗り入れができない 双葉重工業社の社是、Enjoy & Exciting をかたどったE&Eマークのエンブレムを爛々と輝かせ 左右それぞれ赤色と緑色の遮光キャップに覆われた二つの前照灯はまるで”実装さん”の両目のように62女を睨みつけた <<プシューン>> 律儀に一時停止標識を守り、いったん停車するロードローラー ああ、なんと模範的な運転手! この場に警察官がいればきっと表彰は間違いなかったろうに! そしてブレーキとともに辺りにジソリンの臭いが広がる 実装石に馴染みのない人にとっては、ちょっと汚い公園の臭いがうっすら漂ったかな?程度の臭いだ だが、わかる人にはわかる これは死臭だ、それも実装石の! 実装石は非常に燃えやすい生物だ なんかよくわからんくらいアホほど燃える タバコ一本で炭になるほど燃え上がることだって珍しくない そんな可燃性の強い生物である実装石を手段を選ばず液化した燃料、それがジソリンだ 「テ、テテテ、テ」 62女が硬直してしまうのも無理はない おぞましい死臭に包まれた巨体がまさに顔面にそびえ立ったのだ そして、ロードローラーの窓から銀様命の刺青の入った毛むくじゃらの腕が伸びる 街灯に照らされたその丸太のような腕がドアミラーの位置を直す こんな時間帯にこんな場所をうろついていそうなものはゴミ漁りの野良実装くらいだろうに それでも細やかな気配りを忘れない! ああ、なんと素敵な運転手! この場に警察官がいればきっと免停を取り消してくれただろうに! だが、この運転手の気配りは無意味だ まさか道路にへばりついて癒着している仔実装がいるなど、普通の人なら想像すらしない この運転手も当然に62女の存在には気付かなかったのだ 「テ、テェェ…」プスス… あたり一面に死臭を漂わせ、爆音を響かせる巨体に恐怖した62女 すでにパンコンしようにもウンチの在庫もなく、虚しくおならの音を響かせる <<プシューン>> 青信号によってエンジンに再び火が入る マフラーから火のついた実装髪や実装服の断片がひらひらと舞い上がる 辺りに漂う実装石の死臭、そして舞い散る火の粉、それはさながら地獄のような光景だ(※7) (※7)もちろん、通常のジソリンはこのように危険な燃料ではない 排気ガスに実装服や実装髪の破片が混じっているところを見ると この車両は防塵フィルタを装備せず、純度の低い違法精製の粗悪なジソリンを用いている可能性が高い ロードローラーは再び動き出す 無数の実装石のいのちのともしびを燃やして 「テテテテ!テェエアアアアー!!」 悲鳴とも絶叫ともつかない声を上げて体をよじる62女 デデデデデデデデデデ 聞こえるだろうか?30馬力の翠星型ジソリンエンジンの回転するうなり声が! 普通は実装石は焼殺されようとすれば悲鳴をあげる! しかしジソリンに加工された実装石は? それは生きたまま溶かされて液化され、ジソリンとして津々浦々を流通した挙句タンクに充填され エンジンの内部で燃焼されることによって初めてエンジン音という名の悲鳴を上げることができるのだ! ジソリンエンジンの轟音、それは無数の実装石の悲鳴とも言える そしてロードローラーがその巨体を爆音とともにゆっくり、ゆっくりと62女に迫る! 小石を踏めばパシッと小さな音を響かせ、小石が爆ぜる 「テヂィィィ!テッヂャアアアー!」 恐怖の雄叫びをあげる62女は体をよじり、必死で右足と癒着した汚肉糞を剥がしにかかる コツン そして固まった汚肉糞をより分けている時、何か硬い物に腕が触れた 硬い物、それは…赤い目だ!かつて68女だったもの それがしっとりと62女を見据えている それは恨み?怒り?哀れみ?それとも別の感情か とにかく68女に見据えられた62女は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった 〒゙〒゙〒゙〒゙〒゙〒゙〒゙〒゙〒゙〒゙ その間にもじわじわとロードローラーは迫る とうとうローラーはつま先に達し、次に胴を押し潰す、しかし62女は声を上げることすらかなわない いや、68女の赤い目から目線をそらすことすらできない 永遠とも思える苦痛の中でパキン死すらできぬまま、62女はじりじりと潰れていく じっくりとつま先から潰れた62女だったが、最期まで残った頭部はトマトめいて潰れ 辺りに赤緑の飛沫を撒き散らした 「ヂィ」 この時になってようやく、断末魔の叫びを上げることができた いや、この声は断末魔ですらなく、ただ押しつぶされた肺が出した息が喉を通過する音であって 最後の瞬間まで62女は悲鳴らしい悲鳴を上げることはなかったかもしれない ともかく62女は飛沫を撒き散らすことでようやくこの世から消えてなくなった そういう意味では62女はジソリンに加工された同属と比べ幸せだったと言える 末妹はあまりの光景にただ見ていることしかできなかった その壮絶な光景が眼前で繰り広げられているにも関わらず、末妹にとってはどこか他人事だった それもそのはず、全てのコトが起こったのは車道で、末妹は歩道にいる この高さ10センチの縁石は別世界を隔てる越えられない壁 いかにロードローラーと言えど模範的に律儀な素敵で免停中の運転手がいる限り、歩道を走ることはない 末妹にとってはよくできたアトラクションか、映画のようなものに過ぎないのだ ただし、ひとつだけの違いといえばこれは現実で 62女は飛沫を撒き散らして無残に絶命したということである 「レ?」 そして、その破片は末妹の前髪にわずかについた そっと腕を上げる末妹、その腕先には62女だったものがわずかについていた 「レ、レ、レ…ウンチ!?」 「ウンチ出たレチ!ウンチ出たレチ!」 イゴイゴと上半身をゆすり暴れる末妹 そう、この末妹、決してウンチの処理ができないわけではない 元来、実装石というものはウンチを擦り付けることで所有権を主張したり、相手を侮辱する そしてウンチコールをしさえすれば姉実装が全てしてくれる つまりこいつは無意識下に姉実装をウンチドレイだと思っているわけだったのだ! 「ウンチ出たレチ!!ウンチ出たレチ!!」 悲鳴にも近い絶叫を上げてなおも激しくウンチコールをし、姉実装の助けを求める末妹 必死で前髪を掻き毟り、ウンチ〜62女だったものの除去をはかる 「ウンチ出たレチ!!!ウンチ出たレチ!!!」 激しく掻き毟ったせいですでに前髪は剥げ落ち、禿実装と化した だがなおも末妹はイゴイゴと暴れる 末妹にとって顔面はウンチで汚染されたに等しい状態だ 縁石のふちでイゴイゴと暴れる末妹、だがそんな一人相撲も終わりがはっけよいのこった ズリ、ボチュン 末妹は縁石のふちで暴れていたため、自分の糞に足を滑らせて10センチ下に滑落してしまったのだ 幸いにしてパンパンにパンコンしたパンツがクッションとなり無傷だった…が パンツが破裂し、全身糞まみれになってしまったのだ 「レ、レ、レ、レッヂャアアアアアア」パキン 末妹はおぞましい断末魔の叫びを上げると偽石を破裂させ、絶命した 全身糞まみれになった不衛生な己の姿に耐えられなかったのだ これは過保護な姉実装が悪かったのだろうか? それともウンチを武器として用いる実装文化が? それとも姉実装をウンチドレイとみなした末妹の糞蟲性が? いずれの問題が悪かったのは、もはや今となってはわからない ただそこには、両目を灰色に濁らせ、舌を出して絶命する小さないのちの跡が残るのみである - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 想像以上にどんどん長くなっているのと書きかけの後編を誤って上書き保存して今ダメージ受けてます 感想マジ嬉しいです、すごい嬉しい、もっともっと欲しい

| 1 Re: Name:匿名石 2017/03/19-00:44:41 No:00004543[申告] |
| 完全に親指がウンチコール以外の言葉を忘れてる件w |
| 2 Re: Name:匿名石 2017/03/19-02:30:36 No:00004544[申告] |
| これってあと1回で本当に終わるのか?
もうね、前編とか中編とかにこだわらずに 1から順に数字を振り直した方がいいんじゃないの? 自分が書きたい事を書いてたら 6話でも7話でもあっという間だよ? |
| 3 Re: Name:匿名石 2017/03/19-13:05:23 No:00004545[申告] |
| 柿はいつでてくるの?
なんだか、こんな鈍臭い実装姉妹が、人の家の干し柿取れる気がしないし。 これからどんなストーリーに発展するのか楽しみ! |
| 4 Re: Name:匿名石 2017/03/19-18:30:00 No:00004546[申告] |
| ジソリンとかいう外道な燃料 |
| 5 Re: Name:匿名石 2017/03/19-23:41:43 No:00004547[申告] |
| 謎過ぎる高度技術w
思わず運転したくなったw |
| 6 Re: Name:匿名石 2017/03/20-20:11:13 No:00004551[申告] |
| いきなりSFになっちゃってる |
| 7 Re: Name:匿名石 2017/03/20-20:13:37 No:00004552[申告] |
| 是非後日談書いて欲しい |
| 8 Re: Name:匿名石 2017/03/24-21:02:43 No:00004573[申告] |
| そろそろ続きを寄越すデスゥ |
| 9 Re: Name:賞金首 2017/03/25-00:49:03 No:00004575[申告] |
| ちょっと一回消えてしまったので大幅に書き直してます
ところで、昔の設定を活かした新しい設定って必要かなって気がするんですよね 干した実装石を燃料にするスクとか昔ありましたので、一歩踏み込んで、という… それでジソリンを思いついたんですが、あんまりそういうのって良くないでしょうか? あと、後日談要ると思いますか?いかがでしょう? |
| 10 Re: Name:匿名石 2017/03/25-00:53:20 No:00004578[申告] |
| 古い設定を活かすって凄くいいんじゃないでしょうか
まあ、中には賛否両論というか否だらけで復活させんなよ…ってネタもあるだろうけどジソリンは違うだろうし あと、後日談はあるなら凄くいるでしょう そもそも後日談どころか柿に到達してないけど |
| 11 Re: Name:匿名石 2017/03/25-11:55:30 No:00004580[申告] |
| 設定が無いのが設定と昔は言われてたので設定拾っても拾わなくても自由かと。
問題は面白くなるかどうか、その点に関して俺は期待して全裸待機してるぜ。 後日談も期待しまくってる。 |