タイトル:【観察】 干し柿を求め、実装姉妹は住宅街を駆け抜ける(中編)
ファイル:ああ、幻の干し柿を求めて 中編.txt
作者:賞金首 総投稿数:41 総ダウンロード数:1015 レス数:9
初投稿日時:2017/03/17-03:13:38修正日時:2017/03/18-00:10:02
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季節は冬、アパートのベランダに紐で吊るされた柿がそこにはあった!
そう干し柿である!!

日本古来の風物詩たるこの和スイーツ
しかるにこれを不届きな赤緑の視線が狙いをつける

盛んに木枯らしが吹き付ける中
アパートの敷地内に緑色の不法侵入者の…



そう、皆さんご存知!野良実装の一団だ!!!!



そろそろ中実装にさしかかろうという30センチほどの姉実装を先頭に
ひとまわりづつ小さくなりながら末妹の親指実装まで合計5石

一揃いに列なしてならぶその様、まさにマトリョーシカの様にも見える


この薄汚いマトリョーシカの一団が如何にしてこの敷地内に不法侵入に至ったか
それは話を少々遡らねばならない


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野良実装姉妹

オヤジっ装 親実装 成体実装

姉実装 姉妹の最も姉な実装 中実装にさしかかろうという中途半端サイズ
前から2〜8番目 合計7匹 
9番目 親指実装 ウンチ出たレチ
10番目 仔実装 チョウチョさん待っテチ

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テッチ、レッチ、テッチ、レッチと掛け声も高らかに意気揚々と8石は行く

目指すは住宅地のゴミ捨て場である
「もうすぐテス!この道を渡ればニンゲンサンのゴミ捨て場テス!」
姉実装が檄を飛ばす


目の前にそびえるは小さな二車線道路
<止まれ>の看板と小さな信号が見える
非常に見通しの悪い十字路である

歩道と車道の間には小さな縁石があり、10センチほどの段差を作っている
これは実装石には大きな障害物だが、勿論これをクリアせねば餌は手に入らない


1石、1石と歩道から車道に降り、テッチ、レッチ、テッチ、レッチと車道を渡る
幸い早朝ということもあってか赤信号にも関わらず車は来ない


無事に車道を渡りきると
1石、1石と車道から歩道の縁石にしがみつき、テッチ、レッチ、テッチ、レッチと縁石を登る


わずか10センチの段差といえど身長わずか30センチの姉実装には重労働
ましてや妹実装達の手助けもしながらというのは大変だ
従って途中からは妹実装達にもお互いに手助けするように声をかける

「テスゥ…」

しかし、さすがの姉実装も応えたのか、途中で座り込んで休んでしまう
そして、少し間を置くとそろそろ頃合かと思って声をかける

「大丈夫テス?全員揃ったテス?」

普通の仲良し実装姉妹ならこんなバカバカしい質問するまでもないだろう
だがしかし、この姉妹はやはりちょっと普通とは違う
昨夜、腹を空かせた親実装が”つまみ喰い”するまでは15姉妹だったし
つい先月、親実装がジックス派に捕まるまでは姉実装含め4姉妹だった
半年前に姉実装が産まれた時には12姉妹だったというのに…

列の末尾にいた仔実装がテッチテッチと縁石まで行き、伏せて下を見る
人間なら屈んだり下を向けば済む話なのだが、実装石ではそうはいかない

なぜなら、頭がデカく足が短い体型による重心の都合上
不安定な姿勢をとればすぐ転がってしまい、ましてこの高さから転げ落ちればただでは済まない
(これが姉実装が仔実装を様子見にやらせた理由なのだが)

気の利く姉実装のこと、普段ならこんな手抜きはしないが
既に体力が限界にさしかかろうという状態、つい手を抜いてしまった
それがどんな結果を産むかも考えずに

「大丈夫テチィ!」
様子を見に行った仔実装が答えるや、すぐに姉実装は歩き出す

「ゴミ捨て場は近いテス、みんなあとちょっとテス!」

テッチ、レッチ、テッチ、レッチと掛け声も高らかに疲労困憊の6石は歩み出す


そこに残るは先ほどの仔実装…

姉実装には大丈夫と告げたが、、、
だがしかし、果たして縁石の下、わずか10センチ下の車道には親指実装がいた

引っ込み思案で思慮深く、気品溢れるたたずまいを持つ、姉妹の68女である
野良実装には似合わない美しい顔立ち、そして黒曜石のような艶のある黒髪
彼女はその持ち前のおしとやかさ故に大声をあげることもできずにおろおろと慌てふためいていた

仔実装…姉妹の62女はこの黒髪の68女の事が普段から気に入らなかった

何かあってもおろおろするだけで声を荒らげたりするような事はなく
それでいて見た目が良いため親実装にも大事にされていた
親実装としては託児行為のための切り札として体罰を避けていただけなのだが
62女の目には贔屓としか映らなかった


62女と68女とは同じ出産でつい先日産まれた姉妹である
できの良い姉実装と差別されるのはともかく、近い姉妹であることが余計に62女の気に障った
そこでちょっと困らせてやろうと思ってわざと意地悪をしたのだ


「チププププ、いい気味テチ!オマエはそこでそうしているのがお似合いテチ!」
62女の嘲笑を受けるも、表情一つ変えずに68女は縁石を登る手を緩めない
そんな68女の様子に苛立ったか、62女も声を荒げる

「オマエ生意気テチ!本当に置いていくテチィ!」
言うが早いか縁石を登ろうとする68女の手をぐりぐりと踏みにじる
これにはたまらず68女も2歩、3歩と後ずさる

「どうして酷いことするレチ?」
68女が重い口を開く、野良実装ににつかわしくない透き通るような美しい声であった

その冷静な反応にますます62女の憤りは増す
「オマエがムカツクからテチ!!ナマイキだからオシオキしてやってるテチ!!」
そんな怒りに打ち震える62女の姿を見ても全くどこ吹く風の68女
それがますます62女の怒りに火をつける

「今からもっと激しくおしおきをしてやるテチ!感謝するがいいテチィ!」
62女はブリブリとパンコンをするとすかさずパンツに手を突っ込む
そして手に取った糞を68女に向かって投げ始めた

黒曜石のような黒髪、そしてよく手入れされた実装服がまともに糞を浴びて糞緑色に染まる
「やめるレチ…オネチャ、やめるレチ」
「うるさいテチ!オマエなんかこうしてやるテチ!!」
68女の哀願も虚しく62女は執拗に糞を投げつける

たまらず68女は一歩、一歩と後ずさる
実装生物が車道に立ち止まる、そんな事の意味も考えずに…


ブォン!!


次の瞬間、62女の目の前を一台の自動車が駆け抜ける
そう、68女のいたところはあくまで車道、62女のいる場所は歩道
縁石を隔てた空間には例えようもない格差があった

68女のいたところには赤緑のシミが残っていた
それは68女の生きたわずかな痕跡、血肉のひとかけらが道路にわずかにへばりついたものだった

「チ、チププププ、やったテチ、やったテチ!」
62女はいやらしい、引きつった笑みを浮かべる
元来小心な彼女は自分のもたらした結果に高揚すると同時に恐怖していた
思わぬ結果に怒りと恐怖が混濁したアンビバレンスな感情が湧きだしたのだ
そして62女は恐怖より怒りを選んだ

己に怒りの炎を激しく燃やすことによって、その恐怖の感情を吹き消そうとしたのである
小心、卑劣、矮小、人は言うだろう

しかし、その15センチに満たない小さな体でその小さな偽石はその重圧に耐えられない
もし現実を直視すればたちまちパキン死してしまうだろう
そう、誰も彼女を責められないのだ、誰も…


「ナマイキなクソムシにはこれがお似合いテチィ!」
そして縁石をイゴイゴと降りると、赤緑の染みの上に跨り、パンツをずり下ろす

プリプリプリプリ
「どうテチ?どうテチ?ワタチのウンチのオアジは?チプププ!」
赤緑色の染みの上にこんもりほかほかと湯気の立つ糞の山ができる
いやちょっとさ、君、これはやりすぎちゃうん?

「テェッピャッピャ!こうしてやるテチ、こうしてやるテチ!ウンチ食らうテチ!」
62女は糞の山に足を突っ込むと、ぐりぐりと赤緑の染みと混ぜ合わせる
あたりには血肉と糞の入り混じった嫌な臭いが立ち込める
68女だったものは62女の糞が入り混じり、汚い緑色のねばねばしたものになっていた
もはやそこに68女の痕跡を見出すことは何者にも難しいであろう

糞の湯気の反射する中で薄暗い街灯に照らされた62女の顔は醜く歪んでいた
しかし、そんな62女のことを見つめる赤緑の目があった

「ウンチ出たレチ」
「テヒッ!?」
62女はあまりのショックに危うくパキンするところだった

そう、先ほど(※3)おいてけぼりにした姉妹の末妹が自力で追いついたのだ
(※3)前編参照

末妹はパンパンにパンコンしたパンツをずりずりと引きずりながら、それでも追いついてきたのだ
一瞬、この世の終りかと思った62女だったがこれはチャンスだと思った
的確な状況判断によって、自分の今の姿を見たのがこのバカな末妹だけだと気付いたからである

「ウンチ出たレチ」
末妹はパンパンになったパンコンパンツを腕で指し示す
「テッヂ…」
末妹の目を覆わんばかりのポンコツぶりに思わずキレそうになる(※4)62女だがいったん堪える
(※4)姉実装はこの末妹を叱りつけることなくちゃんと面倒を見ている、偉いぞ、姉実装!

そう、62女の実装靴は現在、糞まみれなのもそうだが、68女の死肉がこびりついている状態である
死臭漂わせた状態でうかつに近づいてはまずいと判断したのだ
62女はその卑劣な糞蟲頭脳をフル回転させて、まずは末妹の身柄を押さえることにした

「テッチュ〜ン♪オネチャのところで来るテチィ♪」
異様に甘ったるい気持ち悪い声を出す62女
末妹は一歩、二歩と足を踏み出すが、縁石のところでぴたりと止まる
「ウンチ出たレチ」

そう、今、末妹は来た道の縁石の上、歩道に立っている
対して62女は車道上、縁石の下にいるのだ
その差は高さ10センチ

仔実装である62女と違い末妹は親指実装
ましてやパンコンして溢れんばかりのウンチをこぼしながら歩いている
この状態では縁石から降りることが出来ない

だが、62女としてもむやみに動くことは出来ない
その小さな体では縁石を登るのは重労働、その間に末妹に異変に気づかれるわけにはいかないのだ
しびれを切らし、たまらず大声をあげる62女
「こっち来るテチ!早くするテチ!!」
「ウンチ出たレチ!!」

負けじと大声で返す末妹
にらみ合う二匹の糞蟲
どちらも一歩も譲らない


先に動いたのは…







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感想ありがとう、本当に筆が進む
つい欲が出てしまうけど、やっぱり自分に正直だ
過去作も感想貰えるの嬉しい

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1 Re: Name:匿名石 2017/03/17-04:29:32 No:00004525[申告]
素晴らしい作品をありがとうございます。
実装姉妹の群像劇、とても楽しませてもらっています。

68女は愛護派に拾われてほしかった。
62女、てめーはダメだ、虐待派に拾われて地獄を味わえ。
2 Re: Name:匿名石 2017/03/17-13:02:53 No:00004527[申告]
○○さんちの大家族を思い出した
3 Re: Name:匿名石 2017/03/17-13:28:16 No:00004528[申告]
凄まじい家族だなこりゃw
希少な黒髪実装が無惨な死を遂げてる一方で糞蟲は相変わらず文字通りの意味で糞蟲と言うw
続き期待しちゃうぜw
4 Re: Name:匿名石 2017/03/17-18:07:28 No:00004531[申告]
干し柿は、後編で登場するんだな?

作者は、糞蟲の特徴をよく捉えているし、表現の仕方も
一級品と思う、読んでいて『流石一流作者は違う』その一言
5 Re: Name:匿名石 2017/03/17-18:47:04 No:00004532[申告]
親指は親指でさえなければ公園の主になれる体力持ちだったろうに惜しいなあ
後編で死ぬだろうと思うと実に惜しい
6 Re: Name:匿名石 2017/03/17-21:29:09 No:00004533[申告]
>62女の哀願も虚しく68女は執拗に糞を投げつける

62女と68女が逆になってるところが
一箇所あるよー
7 Re: Name:匿名石 2017/03/17-22:58:23 No:00004534[申告]
4まで数えられて外出時の危険意識がある姉、
黒髪、群からはぐれてもタフさを見せ追いつこうとする親指。
そして半年間の間、減った分だけ増えて数を維持できた運。
部分を見るとアホだけどもしかして結構なエリート野良一家なんじゃあ。
8 Re: Name:匿名石 2017/03/18-00:16:07 No:00004538[申告]
感想ありがとう!過去作のも含め全部じっくり見させてもらってます!
あと指摘ありがとうございます直しました

干し柿は最後に登場する予定…というか一匹づつ丁寧に描写する予定ではなかったので思っていた以上に長くなってます、前編の冒頭通りそもそも干し柿のあるところまで行けるのは6匹だけです
のでもう一回の中編と、希望があれば後日談でこの親指実装の結末も描こうかなと思ってます
9 Re: Name:匿名石 2017/03/18-00:58:14 No:00004539[申告]
タイトルを「まだ見ぬ干し柿を住宅街に求めて」に変えると
なんとなく最近流行しているクトゥルー神話っぽくなるのはここだけの秘密だ
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