三代記 〜三代目達…悲劇と喜劇の実装生 中編〜 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− とうとう、約束の3ヶ月目に入った。 あれ以降、仔実装達は、少しは人間への反抗心が収まったようだ。 どうせ、この仔の事だ…上辺だけだろうが、人間には勝てないことさえ理解してくれれば十分。 勿論、最初から俺が躾をしていけば、 娘に糞を投げつけるという事件など起こらないように全員を躾ける事は出来ただろう。 しかし、これはマルの選んだ仕事で俺は手を出さない約束だった。 その結果といってはマルが可哀相だが1匹は約束の期限を待たずに処分された。 他の子も、里親を探せるほど十分なレベルには達していない。 もちろん、ただ飼われるだけなら必要なものを与えれば自分で環境を保つぐらいは出来る。 ただし、その必要なものの種類や量は、ペットクラスとこの仔達では大違いであるがな。 さらに、それ以外…肝心の人間と接するというマナーは言うまでも無い低レベル。 実装石が実装石に教えるというのには、マルとは言え荷が重過ぎたのだろう。 何せ、元が野良レベル知能の仔が殆どだ。 むしろ、実装石が良く3ヶ月でここまで仕込めたと思う。 散歩も列を乱さず出来る。 今は散歩どころか、部屋の仕切られた部分だけじゃなく家の中を何時間か遊ばせてやれる。 時折生意気だが、まぁ、挨拶も使い分けられる。 お陰でしばらくショックでマルにすら触れなかった娘も、 今は元通り仔達とも遊んでいる。 もう、約束の期間は迫っている。 生まれた日から、きっかり3ヶ月間…その末日は迫っていた。 躾が不十分な為、確実に愛護の人間に渡るとは確証はないが、 ハードルを下げて4匹を引き取ってもらえる人間を探す段取りをしていた。 ある程度の知能なら「実と装」の紙面募集に出せるが、 除外されるであろう4匹のレベルでは、 せいぜい地元ペットショップか実装ショップの店頭に、 こちらが金を払ってタダで並べてもらうのが精一杯だ。 『ねぇ…パパ…3ヶ月したらみんないなくなるの? 本当に1匹しかダメなの?』 『そうだよ。実装石は増えてしまうから選別は絶対だ。 マルの時のように何で妊娠するかわからないから、1匹でもどんどん増えてしまう。 今でもマルは何かで妊娠してしまうかもしれないし、これから飼うもう1匹だってそうだ。 マルは注意すればある程度防げるけど、頭が悪いほど不注意で妊娠するし、 実装石にとって妊娠はさらに本能が目覚め、流産は過大なストレスになるからね』 『なら、最後にみんなと一緒に寝たらダメかな? 仔実装ちゃん達全員と一緒のベッドで寝てみたいの』 『仕方ないな…1日だけだぞマル以外の実装石と寝るのは…例えマルの仔でもな。 それと、潰れ易いから蛆はダメ』 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− その日、最後にと仔実装達全員を一緒のベットに乗せて少女は眠った。 動く姿がかわいいペットと一緒に寝るのは、少女の楽しみだった。 確かに、外見だけを見るならカワイイぬいぐるみなのだ。 特に仔実装は小さいから動く姿も愛玩動物。 その実装石…これだけの数と一緒に寝られるのが最後だと思うと一際だった。 マルの時はなんとも無かった。 初めてのベッドの感触にはしゃぐ仔達と少し遅くまで戯れ、 ベットの上の仔達のはしゃぐ姿を写真に収め、少女と仔実装達は眠りに付いた。 そのまま朝が来れば、少女は最後の思い出を美しく残せただろう。 そのまま朝が来れば、仔実装たちも思い出を残してペットショップに行けただろう。 しかし、思い出は残らなかった。 夜中…仔実装が1匹、目を覚ました。 一番、賢いと思われていた仔だ。 彼女は、次々に妹達を起していく。 そして妹達に語りだした。 「こいつ、とってもナマイキテチィ!いつも偉そうで、ワタシ達の大切な髪を弄んだりするテチィ! 優しく扱わないテチ!本当はワタシ達の、このフカフカベットを横取りしてるテチィ! 美味しい食べ物を独り占めしてるテチィ! 許せないテチィ! ワタシの妹をあんな目に遭わせて、いい気になっているテチィ!」 この仔実装は、頭が良く聞き分けがあると思われた。 しかし、頭は割と良いが、聞き分けが良い訳ではなかった。 その賢い頭で、聞き分けが良い親や人間に従う振りをしていれば、攻撃されないという考えだけのヤツであった。 内心は常に人間に対する不満のみを根に持っているだけのヤツであった。 賢い頭で思い浮かべていたのは、マルの様な奉仕の精神ではなく、 本能のままの贅沢な生活であり、それが何故、自分には無いのかという疑問だけである。 それが、こうして1晩の贅沢によって悟った。 全ては本当はワタシの物…ニンゲンがワタシの物を横取りしているのだと…。 そして、後は全て自分に優位な幸せ回路によって処理されて答えを出した。 ニンゲンに復讐せよと。 人間に優しく扱われ、髪を梳かされ、遊んでもらい、 贅沢ではないが、他の実装石がうらやむ保障された生活すら、 彼女達には、それが当たり前となると、あって当然であり、そこが最低ランクとなる幸せ回路。 それが、ただ1回、人間と同じベットに上がって睡眠をとっただけで、 人間と対等、いや、これは自分達には当然と考えるところまで捻じ曲がる。 本当に幸せな思考回路だ。 この回路の前には、賢いも利口も低脳も、性格すらも関係なくなる。 全てが短時間のうちに均一な能力に落ちるのだ。 そして、一旦、回路が開いたら飼い実装としては最後だ。 他の仔も、その考えに何も考えずに賛同した。 自分達のナカマで、自分が逆らえない相手の言うこと、 それも、自分達に直接マイナスが無いと思えばそれは正論で従う方が得であると…。 この理論は、圧倒的多数意思で容姿の異なる仲間を排斥する行動と同一理論である。 あれだけの親の教育も、人間との差を見せられてもなお、 この5匹の仔は、都合の良い回路を通した思考には逆らえなかった。 そして、いや、あの仔の惨殺すら、彼女達の回路に正当な復讐の大義名分を与えていたのだ。 早速、賢い仔が起きないかどうかを確認する。 不幸な事に、少女は完全な熟睡時間にあった。 ペチペチと頬を叩く。 当人は力強く叩いているつもりだが、仔実装の力ではまさに蚊に刺された程度。 しかし叩いた当人は、無反応な人間に自分の攻撃が成功したと舞い上がる。 何事も自分の基準でしか量る事を知らないのだ。 次々と攻撃をする仔達…。 そして、勝ち誇った気分になるとさらに興奮してとどまるところを知らない。 興奮が興奮を呼び収拾が付かなくなるのも実装石の特徴である。 「ニンゲンのクセにこんな髪は抜いてやるテスゥ!」 「あんな痛い目に遭った妹ちゃんの恨みテチィィィィ」 髪をひっぱり抜こうとする。 「やっぱりニンゲンなんて、ワタシ達には勝てないテチ♪こうテチィこうテチィ」 「きっとワタシの素晴らしいパンチでぐうの音もでないテチィ!もう謝っても許さないテチィ!」 顔を殴り、身体の上で跳ね回る。 そして、ついに… 「みんな見るデチィ!こいつに奴隷の証をつけるテチィ! コイツは、ワタシ達の奴隷としてコキ使うテチィィィィ!」 枕元で下着を脱いで、いつにもまして盛大な脱糞をする。 そして、それを手に少女の髪に投げつける。 臭いに生理的に寝返りを打つが、眠りの深い少女はまだ目覚めない。 深い熟睡状態では、人間は簡単に目が覚めない。 一瞬「テテェ!!」と青ざめて腰を抜かした仔達だが、 すぐに体勢を立て直して大笑いをする。 そして、後に続くのは真似をする妹達だ。 「テププププ、クサイウンチまみれの低俗奴隷テチ!」 「ニンゲンには相応しいミニクイ姿テチィ〜ン♪」 「ここはワタチ達のベットテスゥ!こんなにクサくしてオマエは出て行くテスゥ!!」 「妹チャンのカタキテチィ!もっとウンチまみれにするテチィ!」 「奴隷テチィー♪ニンゲンなんかクソムシになるテチィ〜♪クサイクサイクズテチィ♪」 それから、仔達は自由に遊び始めた。 少女の部屋を我が物顔で荒らし始めた。 少女をさらに糞まみれにするため踏ん張るもの、餌や出口を求めて散策するもの様々だ。 興奮が冷めず勃起したマラの処遇に困り、髪にこすり付けて射精する仔マラもいる。 ドアが成体のマルには開けられても、力の弱い仔実装たちには操作できないのが救いだっただろう。 「食べ物、食べ物…何にも無いテチィ!本当にニンゲンは使えないテチッ」 「ンチンチ…開かないテチ…ママは簡単に開けられるのに…クソニンゲンのせいデチィィィィ」 「お布団ウンチ!テププププ…クサイテチィン♪」 「キモチイイテスゥ〜♪オカス!オカステッスゥ〜ン♪」 「カトウ奴隷に相応しくウンチだけで飼ってやるテチィ高貴なウンチをあり難く食うテチィ♪」 一番賢い仔は、戸が開かないと文句を言いながら、ハサミを見つけてきて舞い戻って来た。 「ニンゲンの髪はクソムシのクセに千切れないテチィ!でも、ワタシは賢いから千切れるテチィ♪」 ジョキ…ジョキ… これに加えて、1匹が盛んに糞を少女の口に押し込んだ。 眠りも浅くなり、そうなると、鼻を突く臭いに少女は流石に目を覚ます。 『キャァァァァァァァァァァァァァ…』 空気を裂くような悲鳴が響く。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 娘の悲鳴に飛び起き、子供部屋に向かったとき、 娘は部屋の前で震えていた。 酷い有様だった。 頭は異臭を放つ物体に塗りつぶされ、背中まであった自慢の髪も所々が切られ、 地肌が見えるところすらあった。 口の中にも糞があり、懸命に吐き出そうとむせている。 放心して視点の定まらない目、止まらない涙。 片目は糞が垂れて入ったのか痛そうに閉じられている。 ついに嘔吐する。 その背後で聞こえる、勝ち誇ったような醜い笑い声。 俺が…甘かった…。 娘の要求に答えて許してしまったのが…。 妻に娘を風呂に入れるように言う。 『パパ…苦いよぉ、クサイよぉ…目が痛いよぉ』 ああ、これで、鏡を見たらどれだけショックだろうか…。 ガチャ… となりの荷物置きに使っている部屋から、マルが蛆を抱えて顔を出す。 「なにかあったデス!?ご主人様の部屋デス!?ご主人様に何かあったデス!」 『何かやらかした所じゃない!!この有様だ!!お前から先に入れ!!!』 俺は冷静さを失いかけていた。 もっとも、普通、冷静で居られるはずが無い。 あんな娘の姿を見せられたら、相手がマルであろうと、 実装石の姿をしたものが目に映れば感情的に蹴り潰すのが普通の反応だろう。 俺も反射的に蹴りの姿勢になっていた。 俺は、虐待派人間としての経験と判断で、 咄嗟に総殲滅させるより、死よりも恐ろしい状態を与える事を選んだために殺さなかった。 マルはその怒号に身を震わせて開いたドアから子供部屋に入る。 マルにも騒ぐ仔の高笑いで何が起こっているか気が付いている。 「お・オマエ達、何をしているデス…ご主人様に何をしたデス…」 マルの声は震えていた。 それもそうだ。 怒ると言っても、今までは俺が怒る姿は冷静な感情を殺した躾だ。 こんな隣近所にも響くほどの怒鳴り声を受けた経験など無い。 『何をしたか見るまでも無いだろう!この糞虫連中のした事はな!!』 仔実装達は、俺の姿と怒号でベットの奥で固まって震えている。 マルはベットによじ登り、糞まみれの有様を見てガクガクと崩れ落ちた。 そして、手に散乱する娘の無残な髪のを拾い集めた。 「ごごご…ご主人様のキレイな髪デス…ワタシたちのよりキラキラひかる黒い髪が…」 「テテ…あんな弱いクソニンゲンはワタシ達が退治してやったテチィ!」 「い・妹ちゃんのカタキを取ったテチィ!ワタシは偉い事をしたテチ…ママ褒めて欲しいテチィ」 「キモチイイテスゥ!もっと奉仕させたいテスゥ♪今度はあんな醜いのよりキモチよくなれるメスを差し出すテス!」 「奴隷テチィ!ニンゲンは奴隷に出来るテチィママみたいにニンゲンに頭下げるのはミニクイテチィ!」 「そうテチィ!ママはカトウテチィ!ニンゲンが勝てないワタシ達はママより賢く立派テチィ」 最初は俺を見て震え上がった糞虫共も、自分で自慢するうちに、 自分達の言葉でどんどん気を良くして横柄になっていく。 「おいニンゲン!低俗野良奴隷でもいいテス!メスを用意するテスゥ〜♪」 マラ仔がマラを突き出してテトテトと歩み出てくる。 マルが「オマエはな…」と言った瞬間、マラ仔が消えた。 いや、俺が消したのだ。 実装石の動体視力の処理速度では、まさに消えたようにしか見えないだろうな…。 怒りに任せたので、自分でもどれだけの力で手を振ったか判らない。 とにかく実装石独特の皮膚感は無いが、感触でマラ仔の頭部を平手で打った事は確かだ。 流石に落ち着こうと勤めた俺でもマラの態度に収まりが付かなかった。 『教育的指導をするマラ仔はあっちだ馬鹿』 グキッ!「デ!」 マルの首を無理やり90度強引に捻る。 ベットの横、机の横の壁に、仔実装の胴体だけが無様に密着していた。 服からはみ出すマラもそのままに、ピクピクと手足が震えている。 頭部は壁に肉片と体液の花を咲かせている。 「デデ!デスゥゥゥゥゥ…」 マルの目の前で、ズルズルと力を失った胴体が垂れ下がり、やがて密着力を失って地面に落ちる。 その姿を見て仔達も気が付いて動きが止まる。 マルでさえ人間との肉体的実力差がコレほど開いているとは思っていない節がある。 珍しく、我慢強くなったマルが大量にパンコンしている。 『1匹残す約束だったな…今すぐ選べ…そいつ以外は地獄行きだ。 選んだヤツは生き地獄だ…ずうーっとお前と共に生かしてやる。 言わなくても変更理由は理解できるな? 約束は破っていないぞ!待遇はお前たちが勝手に悪くしただけだからな』 マルは90度曲がった首のまま、頭を抱えて突っ伏した。 「デデェ〜…選べない…選べないデスゥ!」 『なら、俺が候補を選択しても文句は無いわけだ。 そいつを選ぶか他のやつを選ぶか、それぐらいは決めろよ!』 そう言って、一旦、身体だけになったマラ仔を拾い上げる。 なーに偽石さえ無事なら、栄養剤さえブチ込めば再生できる。 ストレスを感じるまもなく昇天したんだから問題なくな…。 『おい、糞虫ども!貴様らの足りない頭でよく考えろ! 娘に手を上げようと言い出したヤツはどいつだ! 正直に答えれば褒美をやる』 仔には汚れにくい頭巾に番号を縫い付けて判るようにしてある。 全員戸惑って誰も指差さない。 しかし、判りやすい。 1匹が盛んに寄り固まる他のヤツを後ろから小突きながら、俺にわかるように指差している。 あの一番見所のある賢い仔だ。 コイツ、他のヤツには後ろから黙っていろと脅しながら、 自分は他者に責任を押し付けるために、後ろから指差しているのだ。 そもそも、集団の一番後ろに隠れようと言う魂胆からして性格の悪さを表している。 そう思うと、マルも本来はこんなクズ虫だったのかと悲しくなる。 マルへの認識を改めるべきだと思った。 こいつが告白した事やその時の心情に嘘は無いだろうが、やはり装飾は有るのだろう。 思えば、その過去の危機の逃れ方も都合が良すぎる。 現実の行動は、やはり言葉では伝わらない逃げ腰性格や他者を盾にする本能的行動が、 コイツの危機を救っていたのかもしれない。 『では、一番賢いのはどいつだ?』 全員が自分を指差す。 『ダメなやつは?』 3匹全員がそれぞれを指差して、お互いに騒ぎ出す。 『では、俺に飼われたいのは?』 再び、全員が自分自分とアピールする。 『では、俺の娘に手を出そうと言い出した”賢いやつ”は?』 全員が一瞬考えて、自分を指差してから再び「テテテ!」と否定する。 『この布団で寝たいヤツ』 再び全員が手を上げる。 『では、俺の娘に手を出そうと言い出した”クズ虫”は?』 2匹が賢い仔を指差し、賢い仔は悠々と別の仔を指差す。 そして自分が2匹から指差されている事を知って、怒り、前の2匹を殴りつける。 まぁ所詮は実装石なんで、まるでコントの様にわかり易い。 幼稚園児ですら引っかからない誘導尋問にも1発だ。 俺は一番賢い仔実装を掴みあげ、代わりに頭なし仔マラを2匹に残してやる。 「テァァァァー!ワ・ワタチはカワイイレッチュン♪何でも言う事聞くレッチュー… ゴシュジンサマァ〜レチィ♪毎晩相手するレチィ♪ウンチ食ってやってもいいレチュ♪」 親指風に声と口調を変えて、懸命に媚を売ろうとしている。 賢いだけに何がおきるか判っているのが、なお一層の怒りを買う。 そもそも、それだけ判っていながら何故自分に都合の良い解釈で行動できるかが不思議だ。 知能がありながら、ごく短い時間の予想は出来ても長期の熟慮がまるで無い。 まったくもって、あるだけで機能不良な無駄な知能なのだ。 見ているだけで激しい怒りが血管を切りそうだ。 こんなのと何年も生活を共にしたとはな!! 『おい!コイツが首謀者だ。 コイツを残すか、あっちの3匹の中から選ぶか、あるいは蛆か、お前の考え1つだ。 俺としては、蛆を含めて1匹も安楽させてやる気は無いがな! 昼まで時間をやるから良く決めろ!それまでに決まらなければコイツを残す。 お前を含めて全員即刻虐殺されないだけマシだと思え!』 グキ!「デェッ!」 賢い仔をベッドに放り投げ、マルの首を戻してやると(勢いあまって反対に僅かにズレたが…) マルは立ち上がり、すぐにヘナヘナと崩れ落ちた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− もう…何もかも終わりだ… ワタシは…ワタシですらニンゲンパパさんを甘く見ていた。 ニンゲンはあんなに早く動ける…殺そうと思えばワタシたちなど息をするまもなく殺される。 それは判っていた。 判って居なかったのは、その目だ… どんな生き物よりも怖い目だ… イジメル事も、殺す事も、ワタシ達に対しては、何の感情も無く、 とても強い怒りだけが向けられた目… ワタシを躾けたときのように、ジワジワといたぶる時も、 目はワタシに哀れみを持っていた。 ダメな仔を処分した時の、黙々とした責めの時は、 ワタシ達をなんとも思わない冷たい目だった。 今のニンゲンパパさんの目は、燃える火のような目…。 ワタシ達など生きているものとさえ思っていないのに、怒りだけが差し向けられている。 一方的弱者に対しても、何のためらいも無く命を奪える目…。 その目をしながら、ワタシ達を簡単に殺さないと言った。 それがワタシには恐ろしい。 身体に力が入らない。 愚かな仔達は、ニンゲンパパさんが居なくなると、ワタシに駆け寄ってきた。 「ママ!大変テチィ!ニンゲンがマラちゃんを酷い事にしたテチィ!」 「許せないテチィ!ワタシたちはニンゲンを奴隷にしたテチィ!なのに反抗するテチィィィ」 「口ほどにも無いテチィ!このフカフカベッドはワタシ達の物テチィィィィン♪」 恐怖を感じた分、虚勢を張るのが野良の宿命とはいえ、この仔達はあまりにも救えない。 やはり、ワタシがワタシ如きが賢い実装石を何代にもかけて選別して作られると言う、 ペット実装に並ぶ仔を作ろうと夢を見たのが…全ての間違いなのだ。 ワタシが飼われている事で、いつしか生まれながらのペットと同じ能力だと誤解した。 本でもペットは元は賢い野良から始まっているという所にばかり気を取られていた。 何代も掛けて、野良としての本能が無くなってこそペットとなる仔を産めると言うのに…。 ワタシはニンゲンさんが優しい事に甘えすぎて、夢を大きく見すぎた。 ワタシは、虚勢を張って震える仔達を優しく手で包み込んだ。 「ニンゲンヒドイテチィ!ワタシ達は何もしていないテチィ! それなのに威張るから、立場を判らせてやっただけテチィン… それなのにまた怒るテチィ!あいつらどうしようもないバカテチィ!」 賢い…そう思っていた仔が盛んにしゃべりながら甘えてくる。 「はいはい…そうデス…そうデス…お前たちは正しいデス だから、もう考える事も何かを心配する事も無いデス… もう、生きる事を考える必要は無いデス」 そう答えてワタシは泣いた。 ひたすら泣いた。 ワタシの答えはもう決まっていた。 でも、ワタシは昼までそうして泣いた。 ワタシはあの優しいご主人様の為に贖罪しなければいけない。 甘い夢を終わらせて、日々生きている事が責め苦になる生き方を…。 ニンゲンパパさんの言った生き地獄をワタシも受けなければいけない。 でも、仔には長く生きることは許されない。 絶対に…。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 昼になって答えを聞きに行く。 糞虫どもはすっかり子供部屋を占拠したつもりで自由気ままだ。 娘はショックで寝込んでいる。 学校を休ませたが、熱を出してうなされている。 食べ物も吐いてしまう。 目も心配だ。 どちらにしろ、肉体以上に心の傷は慰めようが無い。 それなのに、この糞虫どもの騒ぎようはいったい何様のつもりなのだ! 何事も無かったかのように餌をねだってくる状態だ。 頭を潰したマラ仔も半分再生して、ピクピク動き出している。 知能が糞虫化するほど反対に生命力が高くなるな。 マルは、ベッドの上で深夜のあの時のままに座っている。 もうダメかコイツも…。 「ニンゲンパパさん…」 突然、マルが話し出したのでビックリした。 「決めましたデス…この仔達は放棄するデス… 蛆ちゃんも含めて5匹のワタシの仔全てをニンゲンさんの好きにしていいデス」 『すべて放棄すると言う事か? 助からないなら一気に殺される事で、少しでも仔の刑が軽くなると言う考えか…。 俺も甘く見られたものだ』 「違うデス…5匹全部に、ニンゲンさんの言った生き地獄を味遭わせて欲しいデス… 苦しい方の生き方、死に方を与えて欲しいデス。 ワタシも責め苦を受けるデス…ワタシが愚かだったデス… 夢を見ていい気になりすぎていたデス…もう2度と仔を設ける気は無いデス」 『なるほど、知識を吸収したお前らしい考えだ。 ケジメを付けると言うのだな?』 そのやり取りを聞いていた仔実装達は、話の内容が理解できたのか怒り出し歯向かって来る。 こういうことだけはしっかり理解する知能も驚きだが、 半日で全てを忘れて歯向かって来る根性にも驚きだ。 足を蹴り、懇親の力で噛み付いてくる。 それを1匹取り上げて、胴を握り服を脱がせるとその肌に指を突き刺す。 指でゆっくりと腹を割いていく。 「デヂァ!デァァァァァァァァ!!」 器具を使わずに皮膚を裂くのだ。 神経のまともに走っていない実装石の肉体でも相当な現実的苦痛が襲い掛かるだろう。 実装石の感じる痛みの大半は見た目での肉体の損傷によって感じる物だ。 バカであればあるほど耐久力が強いのも、現実に感じている痛覚が少ないのも作用している。 ただ、バカほど大げさに痛がるので、肉体を傷つけた時の反応に知能の差は無い。 一方で知能によって肉体に走る神経の数や敏感さに影響するとも言われている。 とにかくコイツは、通常より陰惨な状態で腹を割かれていることだけは確かだ。 「デビ!デベビベラァ…デデデ」 躍動する内臓を掻き分け指で探る。 心臓の近く…無い… 胃の裏…あった、ここか 摘んで取り出す偽石。 仔実装は開かれた肉体から偽石が取り出されたのがわかると、 裂かれて本来の頭で描いたとおりに出ない手で取り戻そうと懸命だ。 偽石の危機となると、普通は仮死に落ちている損傷でも元気に抵抗する。 取り出した偽石をしまうと、傷口が開いたままマルの居るベッドの上に放り投げる。 あとはそれを繰り返すだけだ。 逃げる事しか出来ないノロマを捕まえ、 散らかされた本の隙間に隠れているつもりのヤツを出ているケツから引き出し、 再生中のマラ仔からも偽石を取り出す。 取り出した偽石を持って部屋を去ろうとすると、 ヤツらは瀕死のまま叫び続ける。 偽石が本体から離れれば離れるほど本体の再生力は落ちる。 今の状態では危険なだけにヤツらも必死だ。 本当に何事も自己しか頭には無いのだな… こんなクズには、ペットの待遇どころか、まともに相手をする事すらバカらしい。 同時に、それでも、ただ殺すだけではこちらも収まりが付かない。 しかし、恐怖を与えるには、やつらのレベルに合わせるしかない。 どう足掻いても、こちらが徒労を感じるだけの生き…いや、ナマモノだ。 とりあえず、台所でタッパにドリンク剤を流し込んで、偽石を4つ沈める。 あとは、マルの部屋に行き水槽を持って子供部屋に戻る。 瀕死の4匹と蛆を水槽に詰めると、台所に持って行き、板で蓋をして漬物石で重りをして再生するまで放置する。 マルには、昆虫採集用のプラスチック容器を与え、 なんとか身体が直立状態で入る水槽でのみ寝ることを許した。 マルの事だ…言いつけは律儀に守るだろう。 再生が遅いので仔実装の回復には1日掛かった。 翌日も娘は学校を休む事になった。 相変わらず、食事が喉を通らない。 お粥のような流動食系は余計に嫌う。 その一方で、漬物石の下の糞虫どもは元気に餌をねだってガラスを叩いている。 俺は娘の為に会社を休んだ。 確かに娘も心配だが、同時に、この休みの間にやっておくべき事をしておく。 昼は道具を揃えに買い出し、午後、糞虫水槽を例の物置部屋に持っていく。 『マル!2度と仔を設けない約束を守る為にする事はわかっているな?』 律儀に、横になる事の出来ない容器で過ごしたのだろう。 フラフラしながらマルが弱く返事する。 「はいデス…」 『マルが読んだ本に書かれている内容を自分で言ってみろ』 「は・はいデス… 実装石の確実な避妊方法はたった一つ…総排泄口を焼き潰すだけデス… 出来た仔を流産させるのは避妊ではないデス。 仔をイタズラに設けられない様にするにはそれしか無いデス」 全てはデタラメな構造の実装石そのものが悪いが、 爆殖の元凶は、何でも触媒として受胎する性器だ。 それを焼く事で着床する事を防ぎ受胎できなくする。 同時に産道と消化器官の一部を併用する腸も焼く事で受胎・出産全ての機能を再生しない状態にしてしまうのだ。 子宮が無く、排泄・出産器官全体がその機能を備えているから、腸全体を焼く必要がある。 ひどい場合は、排泄口部分でなく、腸内に入り込んだマラ付の精子で受胎できるからだ。 受胎・出産両方の機能が完全に失われれば、自然と脳内の性欲も薄れて受胎率がさらに低くなる。 しかし、それだけに処置の痛みと精神的ストレスで死に至る実装石は多い。 処置中も処置後もだ。 ただし、それは少し古い情報だ。 今は、ペット実装も研究され、愛護派の為に薬によって負荷無く避妊も堕胎も出来る。 だが、甘やかし愛護派向けの薬だけにその価格はべらぼうに高いし、 避妊状態を回避できる期間も短く定期的な服用や注射も必要になる。 一般には保健所や実装病院で先の避妊手術として排泄口焼きをする。 勿論、病院ですれば後に残る痕跡やその後の生活も出来るように処置してくれる。 処置一回で済むだけに、薬を飲み続けるより安いとはいえ、これも無駄に金が掛かるのは確かだ。 『貴様如きクズにもはやまともな処置がされると思うなよ。 当然、このまま今すぐ、コイツらの目の前で処置するという事は理解できるな?』 ブルブル…ジョワー…プリプリプスゥー… マルの目の前で、家庭用ガストーチに火が点けられるとマルが漏らしだす。 ゴォーーーーーーシューーーーー マルが聞いた事が無い音だろう。 『せっかく買ってやったが、用無しになったな!』 ビリ…服と下着を破り捨てる。 胴体に指がもぐ込むほど握って固定すると、グキ!グキ!と足を股間の付け根から捻って間接を外し、 足を開かせた状態で固定する。 「デスッ!デェ!ジィィィィィアッ!」 その光景に水槽では、喜ぶもの半数、怯えるもの半数…。 ジュジュジュ…ジュァァァァァ 「デッギァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」 排泄口をトーチに近づけ、肉が焼け焦げると、そのままトーチの口に排泄口を突っ込む。 排泄口の中でトーチが酸素不足で消えるまでの数秒間、 マルの腸内は千数百度の火であぶられた。 それを何度か繰り返す。 さらに、念を入れて排泄口の口を焼き潰す。 実装石の皮膚は人間に近い水分を含んでいるので、トーチの炎でもコレ位では消し炭にはならない。 しかし、その火傷跡は酷い痛みを伴い、長く苦しむ事になり、下半身に広くケロイドが残る。 もちろん、病院なら痛みも少なくケロイドが最小で済むように工夫されている。 さらに、それだけでは終わらない。 唯一の排泄器官を失うのだから、その代替がないと長生きは出来ない。 俺が代替に選んだのは、水道の蛇口と塩ビパイプ… 蛇口に長さ5cm程のパイプ、それに90度エルボをつけ、胃に届く長さのパイプを組み合わせる。 それに、返しになる物をパイプの先端に接着したものだ。 コレを焼けた排泄口から無理やり押し込んでいく。 「デビィ!デギボビペジピグァーーーーーーーーー」 全てが終われば、股間にペニスのように蛇口の生えたブザマな実装石の完成だ。 性器、尿道、肛門をかねている器官を焼かれ、 実装石にとっては大切な胃と同等の腸(形の違いだけで役割は胃と同等)を焼かれ、 胃に異物を押し込まれ、ブザマな格好となる…。 これだけの事をしなければ避妊できない実装石の罪深さが集約された形だ。 仔を産むことを失うという事は、同時に、排泄でストレスを解消することも出来なくなる。 どちらも実装石が食事とともに大切にしているものであり、 普通は失われる事が無いようにデタラメな再生機能がある。 だからこそ、それを失うという事はコイツらにとって、何重にも圧し掛かる想像を絶する地獄になるのだ。 さらに、マルは知識でそれを理解しているだけにさらに苦痛は上乗せだ。 フラフラになりながらも、ヨタヨタと馴れない違和感に歩きながらおまるに跨り、 自分で蛇口を捻ろうと努力する。 「デッ!デッ!」 しかし、実装石の力と手では上手に開けることは出来ない。 さらに、その代替排泄装置を固定しているのはマルの身体自身なのだ。 一方向に捻れば、体内でパイプが肉を内臓を捩る。 そして、動いてしまうので余計に力が加わらない。 『ははは、残念だが思っていたのとは全然違うようだな?』 俺はおまるの上で悶絶するマルを横目に、それを見せ付けた糞虫どもに向かう。 見せ付けたことが大した効果を出すとも思えない。 何故なら、コイツらは自分のことにしか興味は無い。 恐怖で逃げ回っているヤツでさえ、マルの痛みを感じているのではなく、 ただ怖いから逃げているだけだ。 正直、こいつらに相当する贖罪など、まともに考えるだけこちらのストレスになるだけだ。 最適な処置方法など1つしかない。 1日過ぎて冷静に考えれば結果はそうなった。 『お前たちは、人間よりご立派な立場にあるそうだな?』 「当たり前テチィ!オマエ達はもう奴隷にしたテチィ!偉そうにせずに大切に扱うテチィー」 動言一つ一つが癪に障るな…この賢い糞虫は… 「立場が判ったらさっさとこんな場所から出すテチィー! お風呂テチィ、ゴハンテチィ! 言う事聞けないならオマエなんか追い出すテチィン」 『それは、俺に飼われなくても生きていけるという意味か?』 「当たり前テチィ!ワタシが飼わせてやっているテチィ♪ワタシに選ばれたことを光栄に思うテチィ」 『いらね』 「テ!?」 『だから、お前らいらねーし、出て行かせてやるよ 選びたきゃ、勝手に他へ行け』 「テ!?と・当然テチィ!オマエみたいなクズニンゲン達にワタシを飼う価値なんて無いテチィ! ワタシに相応しい飼い主が待って居るテチィ!! お前たちなんかそのニンゲンに言いつけてボコボコにしてやるテチィ!」 売り言葉に買い言葉は、短絡思考の実装石らしい判で押したような行動だ。 それにしても幸せな連中だ。 何をしても時間が経てばサッパリ忘れ去る。 コイツらに真面目に復讐する事を”暖簾に腕押し”と言うのだろうな…。 それでも、娘が受けた屈辱を何分の一かでも返さないと、 人間としてのプライドが許さない。 まずはコイツらを洗う。 そして、餌を食わせる。 今までの栄養重視の安実装フードと違い、 値段は大して変わりないが、味重視・栄養軽視の実装フードを与える。 殆ど小麦だけ、あとは色素と肉や野菜などの味を再現した合成調味料で作られている。 実装石の顔を模した形のクッキー風の特徴ある餌だ。 とにかく栄養成分が原料以外何も無い分、凝った作りだ。 突然の優遇に、多少不安になりながらも本性を晒した糞虫は止まる事を知らない。 味だけは、下手な菓子類より味が濃いので全員気に入ったようだ。 「やっと立場を理解したテチィ♪もっと美味しいの寄越すテチィン♪」 「ウマ…ウマ…次はオンナテスゥ!オンナを寄越すテスゥ〜ン♪」 「はじめから、この程度の贅沢させてもバチはあたらないテチィ…愚かテチィ」 「本当に愚かテチィ!ワタシ達に出て行って欲しくないから慌てているテチィ♪テプププププ」 あーあー、好きなだけ言ってくれ…何の為に贅沢させているかすぐに判るからな…。 そして食うだけ食って漫画のように膨らんだ腹を投げ出す糞虫の前に、 ヤツラの偽石の入ったタッパを見せる。 「ワタシ達のタイセツナモノテチィ!」 「テププププ…素直に返しても許さないテチィ♪」 「そうテチィ、ワタシ達のタイセツナモノを弄んだ罪として、ソレを返してから裸踊りするテチィン」 「そうテスゥ、犯させるテスゥ!もう辛抱溜まらんテスゥゥゥゥゥ」 『つくづくバカだな…こうするんだよ』 ヤツらの目の前でタッパの栄養ドリンクを捨てると、 ゴム系の透明なコーキングシール剤をタッパに大量に流し込む。 「「テ!?」」何が起こっているかはわからないだろうな…。 ただ、返すわけではないという事だけは理解できるようだ。 虐待をしていた頃に知った邪道的方法だ。 ストレスや消耗で偽石が壊れない方法として一般に知られているのは栄養剤漬けだが、 普通は使わない方法として、この”接着剤漬け”がある。 こうすると栄養剤漬けで栄養を補給させて崩壊を防ぐより遥かに長持ちする。 物理的に偽石の崩壊をほぼ完全に防いでしまうのだ。 虐待道は、この崩壊してしまう偽石と加虐のバランスの妙を楽しむところがあるので、 知っていてもこの方法を使う人間は少ない。 しかし、これだけの糞虫への復讐の要求に見合う方法はコレしかない。 『説明するだけ無駄だろうが、コレでお前たちは死にたくても生半可な事では死ねなくなったわけだ。 さらに、コレが俺の手元にあるうちは、お前たちの肉体の再生力は恐ろしく低い。 傷を負ったら延々と長い時間痛みに苦しみながらも、それだけでは死なないわけだ。 ただの実装石以下のゴミクズって事だな』 続いて、4匹の額に半田ゴテで文字を書く…『クソ』と頭巾に書かれた『番号』を…。 『クソ1』は、道具を使う事を覚えた賢いと思われた仔だ。 『クソ2・5』は、良くも悪くも平均的で、人間に対する考え方だけが悪い仔だ。 『クソ3』は、性欲に目覚めて他の仔を通り越して馬鹿になったマラ仔だ。 さらに、『クソ2』の頭皮に脱毛剤を薄めたのを擦り付ける。 もう1匹、『クソ5』には逆に育毛剤を擦り込んでやる。 『クソ3』マラ付には、亀頭の先端を焼き潰して密閉させ、さらに皮を引き伸ばして先端を包んで焼き付ける。 一番賢い糞虫には、特に何もしない。 糞虫4匹と1匹の蛆をスーパーの袋に詰め込んで口を縛ると、 火傷の痛みに弱っているマルを引き連れて公園に向かう。 マルを拾った公園だ。 マルは何が起こるのか判っているだけに辛いだろう。 仔実装達は、ココで望み通り解放されるのだ。 いくら知恵やマナーが身についていても、人間に飼われていた仔実装が、 何の助けもなしに普通の生活は出来ない。 同時に生存するだけなら本能だけでも”生きていく”事が出来る。 何でも食い、食ってさえ居れば苦しみながらも生存できる。 ほぼ病気になる事は無く、多少の損傷は再生する。 その肉体機能は、自然界での強さに寄らず強靭な生存機能が備わっている。 一方で、彼女達が味わった贅沢は、野良の世界では絶対に手に入らない。 人間と生きるための知識はあるが、同族と生きていく知識は学んでいない。 そして、その肉体の再生機能は著しく劣る事になっている。 野良の世界は人間に飼われる生活より彼女達には苦痛なのだ。 何せ、性格は野良の糞虫級でも、彼女達にはマルのように野良の経験は無いのだから。 ベンチ裏の草むらで袋を開けて5匹を取り出す。 こいつらには始めての風景だ。 「テチィ!ここはドコテチィ」 「広いテスゥ!全部ワタシ達のお家にする事を許すテスゥ〜♪」 「なにテチィ!ここは!クサイテチィ!なんて場所テチィ!」 「すすす・捨てるなら、ワタシ達に豪華な家を差し出すテチィ! こんな場所じゃとても寝られないテチィ!」 4者4様の考えだ。 とにかく、まともにキレイ好きに育ち、外に出る事すらなかったコイツらには、 公園に微かに漂う同族の不潔な臭いですら嫌悪の対象だ。 特に賢いほど苦痛である。 『俺には飼われたくないんだろ?だから捨てるのは当たり前だ。 なんなら、ゴミとして焼却処分してもいいんだぞ』 「かか・飼わせてやるテチィ!オマエがカワイソウだから、今後も飼わせてやるテチィ! い・今なら、何も言わずにあのお家に連れ帰る事を許すテチィィィィ」 しかし、ペットが野良となるのが恐ろしく苦痛であるのに、 命を失う”処分”という言葉と天秤に掛けると、かならず生きるほうを選択するのも実装石の業だ。 『そのコッチが要らないと言ってるんだ。 あと、これは俺からの餞別だ』 俺はその賢い仔実装に蛆を抱かせて、その手と蛆の胴体を針と糸で縫いつける。 「レピィィィィレピァァァァ」 「テ!テ!テチュァァァァァ」 知能は賢く、小さい頃からしっかりと姉妹を家族を認識して生きてきた。 人間に対しては傲慢で、姉妹に対しても利用する事を考える糞虫でも、 自らの手で家族を殺すという事に至らないのが仔実装だ。 こいつは、なんとなく放置すると、すぐに環境に慣れてしまいそうなので予防線を張っておく。 『じゃ、頑張れよ』 俺は5匹を横目にマルを引き摺って公園を去る。 『クソ1と2』は俺達を追いかけてきたが、仔実装が全力疾走でも人間の歩行速度には及ばない。 『クソ5』は、すぐにベンチの人間に媚を売りに言って驚かせているのが見え、 『クソ3』マラ仔は、同族の姿を見つけて追い掛け回そうとしているのが見えた。 家に戻ると、娘と妻が何かを庭で燃やしていた。 娘はマルの姿を見ると、震えながら家に入っていった。 俺は妻とマルとともに、その燃やしていたものを見た。 それはマルと共に撮った写真だった。 それとあの仔達の生まれたときや、育っていく姿。 髪を梳かしてやる姿もある。 そして、記録メディアも燃えていた。 何も燃やす事は無いだろうに…と思ったが、娘にとってはデータすら2度と触れたくないものに違いない。 それを見て、マルは自分の頭巾で顔を隠して泣いた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 人間が本当に自分達を捨てた事で、1と2は慌てた。 彼女達の知能の範疇では、優れた自分達を捨てるという選択をニンゲンがするとは思わなかった。 なんだかんだ言っているニンゲンの言葉の詳細を、 結局は、殆ど理解できていなかったのだ。 その為に、理解できる言葉を自分達の頭の中で組み合わせて解釈するしかなかった。 さらに、幸せ回路というフィルターを通して処理される為、 本当に外の世界に放置されるまで、何も理解できなかったのである。 結局、彼女達を育てたのが実装石であるマルというところが、 只でさえ低かった彼女達の知能に人間の言葉を完全に理解させる重要性を植えつけられなかった。 追いかけても追いかけても遠ざかっていくニンゲンの姿に、 彼女達は追いかけるのをあきらめた。 そして考えた。 なに、ワタシ達の様な知的で、カワイク、ニンゲンに勝てるほどの実装石を求めないニンゲンは居ない。 あいつやママには、ワタシ達の価値はわからなかっただけだ。 そんなニンゲンには飼わせてやる価値は無い。 それは、急激に置かれた外の世界に対する恐怖心を無くそうとする幸せ回路の機能が働いていた。 「蛆ちゃん…心配しないテチィ!あんな酷い事するニンゲンやママが居なくなってせいせいテチィ」 「そうテチィ…オネイチャンの言うとおりテチン♪ワタシ達はまたニンゲンに飼われるテチィ 今度はもっと良いお家に住むんテチィ」 「レヒレッフレヒィィィ♪」姉の手に縫い付けられた蛆はそれを聞いて涎を流して喜んだ。 「それにしてもここはクサイテチィ〜…下賎のクズどもが闊歩しているテチィ…」 「ここがお外…ママは野良には関わるなって言ったテチィ…怖いテチィ」 何をするべきか何も出来ないままに、2匹は道の真ん中に座り込んでいる。 時折、通り過ぎる親仔実装たちが、彼女達を見て笑いながら通り過ぎていく。 「テェ〜ン!!オネイチャン!アイツがワタシを叩いたテチィー」 ベンチのニンゲンに媚を売りに言った『クソ5』が頭を腫らして駆けてくる。 そして、『クソ1』に頭巾を取って腫れた部分を見せ泣きつく。 ママが居ない今、頼れるのは一番賢い『クソ1』であった。 「そんなクズより、ニンゲン奴隷を持つワタシを飼えといったら、マヌケな顔のナカマがワタシを叩いたテチィ あのニンゲン笑うテチィ…ソイツ、ワタシを笑ってイッパイ叩くテチィー」 飼い…特に彼女達の様な、外の世界を知らない実装石の致命的な点は、 自分達の外観に疎いという点である。 本来、実装石というのは、仲間からの迫害を気にして、他者と違う容姿になる事に敏感である。 しかし彼女達は、それを理解しながらも、髪、服にしか意識が向かない。 肉体に刻まれたものが著しく機能的に悪くならない限りは、 それは、アクセサリーの一種…飼われているステータスと感じる場合がある。 特に、理解力が低いほど能天気で、自分がそんな酷いことをされるはずが無いという考えで処理される。 彼女達が自分の頭に刻まれた『クソ』という文字の意味も理解できなければ、 それによって笑いものにされているという事を理解するのには、恐ろしい時間が掛かる。 「デプププ…なんて格好デス お前たち頭悪そうデス!よくそんな格好で外を歩けるモノデス♪」 5を叩いた飼い実装石が、仔実装たちを蔑む。 『何をしているのサリーちゃん…まぁ、さっきのヤツじゃないの! サリーちゃん、行くわよ…あんな捨て実装に話しかけると悪い病気が移るわよ ウチの仔は優しいから、すぐに優しく声を掛けちゃって大変だわ… サリーちゃん、その仔達は馬鹿で飼えないのよ…』 ジャーキーをグチャグチャと租借しながら、その富裕実装は哀れな仔実装たちを挑発し続けた。 「哀れデスゥ♪惨めデスゥ♪クソババァの言うとおり、お前たちは捨てられたデス 二度とニンゲンに飼われない様に、頭に醜いしるしを付けられたデス」 富裕実装は、ついにスカートを捲り、尻を突き出してケツを叩いて見せた。 実装石には最大の侮蔑行為である。 仔実装達はお互いの額を眺め、2と5は額を確認した。 3匹はその最大級の侮辱に歯を剥き出して怒った。 バチ! その威嚇に怯んだ富裕実装は、向かってくる仔実装達に、ポーチからデスタンガンを取り出して威嚇する。 そして、飼い主の下に駆け出していく。 「おい!ババァ!美しいワタシが襲われるデス!あいつら歯を剥いたデス!なんとかしろデスゥゥゥ」 態度はデカイが、まるで相手にならないはずの仔実装相手に、富裕実装は激しく漏らしながら人間の足元にすがる。 『まぁ!優しいサリーちゃんを怖がらせるなんて!』 飼い主も実装タタキを取り出して仔実装たちを鞭打つ。 「「デピィィィィィ!!」」 実装タタキの電撃に、仔実装達は逃げるしかなかった。 しかし、仔実装達は、本来、同族のリンチによって気が付く焼印の意味を、 その何十分の一の痛みで学習する幸運に恵まれた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 後編へつづく…

| 1 Re: Name:匿名石 2014/10/30-22:43:38 No:00001528[申告] |
| ある程度の暴走と悲劇は予想できてたけどコレほどとは…
あと、実は賢い子じゃなくて並みの子に本命がいるとかそういう方向のどんでん返しかと思ってたけど 単に全部糞蟲だっただけなのが少し物足りなかったり |
| 2 Re: Name:匿名石 2024/02/03-03:05:32 No:00008670[申告] |
| マルまで罰するなんてとんでもない虐待派デスゥ・・・ |