『 たとえ明日世界が滅亡しようとも、今日私は糞蟲を打ち据える。 』 ※この作品は、実装と、実装以外と、私自身と、画面の前の貴方を虐待する作品です。 人間が絶対的強者でなければ納得のいかない方には、不快な描写が含まれています。 ジャンル内には、コズミック・ホラー、SF、作者の厨二病炸裂といった要素を多く含みます。 それらを苦手な方が閲覧された場合の、肉体的・精神的・社会的な苦痛・損害の一切を私は補償しません。 また、特定の思想や宗教を啓蒙しているわけでもありません。 流されやすい方には、悪影響です。 反骨心の強い方には、不快感を与えるだけになります。 ただ有象無象がひしめく実装界の中のひとつの物語と納得して、 あるがままを受け入れて頂ける方のみご閲覧ください。 ※上記の中で、一つでも納得されない箇所があれば、このまま即座に「戻る」ボタンを押して、ご退室をお願いします。 読者の皆様には、スクリプトを自由に閲覧する権利があります。 作者である私にはスクリプトで自由に表現する権利があります。 読者間であれ、作者に対してであれ、お互いを尊重するご配慮ができない方は、コメントを差し控え願います。 他者を尊重するご配慮ができない方は、 コメントで表現するのではなくカウンター作品の執筆による表現を推奨します。 本作品に登場する名称・人名・実装石をモデルに執筆されても一向に構いません。 ぜひ、お互いの作品を以て、存分にお互いの矜持を語り合いましょう。 ご納得された方のみ「旧支配者のキャロル」をBGMに、スクリプトをお楽しみください。 ※なお、このスクリプトは無貌の神 Nyarlathotep の監視対象となっています。 にゃる・しゅたん! にゃる・がしゃんな! にゃる・しゅたん! にゃる・がしゃんな! 「 Nyarlathotep との接触 」が自動発動しますのでご注意ください。 ※黒き豊穣の女神、畝の後ろを歩くもの、我々全てのお母さま、シュブ=ニグラス様がログインされました。 泡立ち爛れた雲のような粘液を滴らす巨大なお口を持っているので性的な意味で食べられないようご注意ください。 これ以上、グレートオールドワンを増やしてはなりません。 【 第二章: それは、たぶん。不徳を戒める慎ましき憎悪の鉄槌。 】 この世にある、あらゆるモノは有限である。 この世にある、あらゆるモノには届かない。 存在するあらゆる資源は、決して無限ではなく限りがあります。 それ故に、恩恵を享受できるモノとできないモノが生まれます。 世界は決して平等ではないのです。 ならば持つモノ持たざるモノとは。 そこにどんな違いがあるのですか。 違いなんてありません。命に貴賤なんてありません。 ただただ、スタートラインが不平等なだけでしょう。 だというのに、持つモノに限って不自然な平等を叫ぶのです。なんという幸運でしょう。 持たざるモノには、不自然さを指摘する資格すらありません。なんという不運でしょう。 暗転 季節は冬。 深々と降り積もる雪を見つつ、トシコ夫人は飼い実装のニセルドレーダを撫でながら、 満足気に高層ビルの階下に広がる年の瀬で多くの人が行き交う街を見下ろしていた。 「おーっほっほっ!今年もそろそろ終わるザマスねぇ! ニセルちゃま!ほぉら、見てごらんなさい!貧乏人たちの必死な姿を! こんな光景を眺められるのはワタクシたちのような高貴な存在にだけ与えられた特権ザマス!」 トシコ夫人の骨ばってゴツゴツした指で顎を撫でられたニセルドレーダは、 心底、嫌そうな顔をしつつも夫人の見下ろす階下を共に覗いて、心の底から下卑た笑みを浮かべる。 「デーップップップ!」 ニセルドレーダは嗤う。 このドレイニンゲンを傍に置いておく限り、私の思い通りにならない事はない。 つまりそれは私の美貌によって、この世の全てが私にひれ伏すという事なのだ。 実に、愉快極まりない。 「ぶほほほほっ。ニセルちゃま! 今日は午後から優雅なパーティざますよぉ!楽しみザマスねぇっ!!!」 トシコ夫人も悪趣味な金歯を覗かせながら下卑た笑みを浮かべる。 飼い主に似るとは、正にこういった仕草からきた言葉なのだろう。 いやいや、果たして、似てきてしまったのはどちらなのだろうか。 …… ……… パーティ会場では、様々な上流階級の人々が、 俗世の穢れを落とすかのように、高価な酒と食事に酔いしれていた。 トシコ夫人に小間使いとして雇われている少女、双葉は給仕のために右往左往している。 そんな双葉を嘲笑うかのように、 ニセルドレーダは双葉の足元に見事なアンダースローで投糞を決めた。 ツルッ!ズッデーンッ!! ガランガラン…ッ 「…っ!! いたたた…。」 双葉は糞に足を取られてしまい、盛大にこける。 給仕していたトレイも床にぶちまけてしまった。 「デープップッ!デヒャヒャヒャ!」 ブリュリュ! ベトォ… 哀れにも食材と汚物にまみれて地面にうずくまる双葉にニセルドレーダが近寄ってきて、 自身の尻から新たな糞をひり出すと、双葉の顔に塗り付けて笑い声をあげる。 その有様を見て、周囲の招待客もさすがに哀れに思ったのか、 ニセルドレーダを追い払い、双葉に声をかけようとハンカチを差し伸べながら近づくが…。 「まぁーーーったく!また双葉ザマスか!!! ほんっとにトロいザマスねぇっ!!? このくらいのお仕事なら、ニセルちゃまにだってできるザマスよ!!? 恥ずかしくないザマスか!? ちょっと、あーた!今、ニセルちゃまに何かしようとしましたザマス!? ダメざますよ!!!?? ニセルちゃまは、か弱い実装石なんザマス!! ワタクシたち、富める者が庇護してやらねばならぬ存在なんザマスよ!!」 トシコ夫人が双葉に厭味ったらしい下卑た笑みと言葉を投げかけ、招待客を威嚇する姿を見て、 声をかけようとした招待客は何も言えず、恐れをなして後ずさりして距離をとった。 「も、申し訳ありません。奥様。今、片付けます…。」 双葉の方は情けなさと怒りで震えていた。 だが、トシコ夫人への怒りはない。 トシコ夫人は本当は優しい人なのだ。 彼女は、それを知っている。 身寄りのない孤児だった彼女を引き取って、 高等教育まで受けさせてくれたのは、他でもないトシコ夫人なのだ。 トシコ夫人には一生頭が上がらない。 トシコ夫人の救いの手が差し伸べられなければ、 彼女は間違いなく悪虐な施設職員達の慰み者となったか、臓器提供のための肉として生涯を終えていただろう。 そもそも、引き取られた当初は大切にされていたのだ。 それはそれは、本当の娘のように可愛がってもらっていた。 それが、なぜこんな扱いになったのか。 (あいつだ…あいつのせいだ…) 双葉は、唇を噛みしめながら、 ニセルドレーダと呼ばれる実装石を睨みつけ、過去の出来事を思い出していた。 …… ……… 施設職員に性的虐待をされそうになり、這う這うの体で施設から逃げ出してきた双葉。 だが子どもの足だ、しかも着の身着のまま素足で動き回れる距離など、そう遠くない。 路地裏で擦り傷だらけの足を休めて身をかがめていると、そこに小さな仔実装がいる事に気付いた。 その仔実装も擦り傷だらけで、路地裏の影に隠れて身を震わせていたのだ。 双葉は自然と、その仔を抱き上げる。 仔も生まれて初めて感じる他者の温もりに安堵するかのように、互いに身を寄せ合った。 そんなところへ、トシコ夫人が通りかかったのだ。 引き取られた当初はどちらも大切にされた。 双葉はなるべく迷惑にならないよう、トシコ夫人の言う事は何でも素直に聞くことにしていた。 だが、仔実装の方は、わがまま放題で、トシコ夫人にべったりだった。甘え上手というべきか。 トシコ夫人も、手のかかる仔実装の方に徐々に愛情を多く注ぎ始める。 それでも双葉は我が儘を言わなかった。 そして高校を卒業して戻ってきてみれば、今のような有様となっていたのだ。 それでも、なお、双葉はトシコ夫人の言うがまま。それが恩人へのせめてもの恩返しと思って。 ああ、どこで、どうしてこうなったのか。 夫人はあんな笑い方をする人ではなかった。夫人を変えてしまったあいつが憎い憎い憎い!! …… ……… 双葉が床に散らばった食器と食べ物の残骸を丁寧に片付けていると、 遠くから何かが割れる大きな音が聞こえた…気がした。 そう思ったのは、誰一人として音に気付いていなかったからだ。 とうとう幻聴まで聞こえてきたのか。と自虐的な笑みを浮かべながら双葉は割れた皿を拾う。 コツン!コツン!コツンッ! ゴズッ…ズズッ…ゴズッ…! いや、どうやら幻聴ではなかったようだ。 それは確かに聞こえている。 パーティで賑わっている会場の中でも、確実に会場内に響き渡っている。 まるで、革ブーツで一歩一歩しっかりと踵を踏みしめているような音だ。 それに合わせて、何か大きな硬いモノを引き摺っているような擦れた音。 だが、誰一人として、その音を気に掛ける素振りがなかった。 不思議な現象に首を傾げつつ、双葉は割れた皿の破片を丁寧に片付ける。 コツン!コツン!コツンッ! ゴズッ…ズズッ…ゴズッ…! パリンッ! それは突然、目の前に現れた。 皿の欠片を拾い集めようと手を伸ばした時。 革製の黒いライダースーツで全身を覆い隠し、 黒塗りのフルフェイスを被り、ミラーコートになっているシールドからは顔貌を知る事のできない大柄な彼が、 等身大もある、巨大な一振りの銀色に輝くスレッジハンマーを背負って、会場を真っ直ぐ歩いていくのだ。 だが、そんな人はパーティが始まって以来、どこにもいなかったはず。 確かに、皿の欠片を踏みしめる瞬間までは、傍にいる事すら視認できなかったのだ。 会場内の誰一人も、彼を注視しない。だが、彼に驚き慄いている存在が一人だけいた。 いや、一人ではないか。 「でぎゃああああああ!!!!??? でぇぇぇえ!!!デズァ!!!!デェェズゥ!!!!!」 訳の分からない叫び声をあげるニセルドレーダに向かって、彼はコツコツと不気味に距離を縮めていった。 招待客にぶつかりながら逃げ惑うニセルドレーダ。 仕舞には、招待客にまで糞を塗り付けて、デスデスと喚き始めたではないか。 「ニセルちゃま!? ど、どうしたんザマス!?」 トシコ夫人が、逃げ惑うニセルに追いすがろうとするが、 客の足の谷間をスルスルと逃げていくニセルには届かない。 だが、それを追う彼には、客がまるでいないかのように、 人にぶつかる事なく、自然と真っ直ぐに歩いているのだ。 私は怖気が走る。あれは触れてはいけないモノだ。 人知の埒外にある存在なんだ。図らずもあれに近づこうとしているトシコ夫人を守らなければ! 双葉は震える手足を抑えて、トシコ夫人を追いかけた。 … 人垣をかき分けながら逃げ惑う内に、 ニセルは、とうとう壁際まで追いつめられていた。 「でぎゃああああ!!!?でぎゅっですっでー!!!?ぎゃあああああ!!!!!」 ぶりゅりゅ!ベヂョッ!ベヂャッ! まるで狂ったように何もない空間に投糞を繰り返すニセルドレーダを見て、 招待客は糞で服が汚れては堪らないと、怪訝な顔をして離れていく。 投糞は、ニセルに近づこうとしていたトシコ夫人の顔にまでべっとりと張り付いてしまった。 夫人は、突然の行為にたじろぎ、その場に立ち竦む。 だが、ニセルの必死の抵抗も虚しく、肝心の彼には届かない。 彼は、まるで幽鬼のようにニセルドレーダを見下ろしていた。 フルフェイスのミラーコートから、 覗けるはずのない双眸が怪しく光り揺らめいているように見えた。 ヴゥォォォンッ!!! ボッ!!! 「デgy……ッ!!!!??」 彼がスレッジハンマーを横薙ぎに振るう。 すると、ニセルドレーダの下顎から上側がゴッソリと砕け散った。 下顎から、だらしなく皮一枚でぶら下がっている頭部の残骸のみが、スレッジハンマーの無慈悲な威力を物語っていた。 ドサリッ… ニセルの体が地面に崩れ落ちる。 「きゃああああ!!!!?? 実装石がひとりでに弾け飛んだっ!!!??なに、あれ!?病気!!!??」 招待客が阿鼻叫喚の地獄絵図で、その場から離れていくのに対して、 同じく叫び声をあげながらも、トシコ夫人はニセルの遺骸へ駆け寄った。 「んぎゃあああああああ!!!!??? ニセルちゃあああああ!!!!!??? あ、あーた、誰ザマス!!!?なんで突然現れたザマス!? なんで、ニセルちゃまにこんなひどいことをっ!!!!!」 ニセルの死体を抱えつつ、トシコ夫人は彼を睨みつけて吠えた。 どうやらトシコ夫人にも、彼が見えてしまったようだ…。 彼は…嗤った。 いや、声を出していないので、正確には分からない。 だが、怪しく双眸を光らせて肩を上下に振るわせていたのだ。 嘲笑っているんだ。双葉の恩人を!!!! 彼はスレッジハンマーを軽々と振り上げて、トシコ夫人の前に立つ!!! 双葉は考えるまでもなく、トシコ夫人を護るため、夫人の上に覆いかぶさった。 「奥様は私の恩人なの! 誰にも傷つけさせない!!」 「あ、あーた…。…ふ…たばちゃ…ん…」 糞を投げつけてきたニセルと、自分を脅威から護ろうとする双葉。 その明確な差異に、夫人の心は解きほぐされる。 だが、時すでに遅し。 ゴッ!ガッ!グシャ…! 「 Up from the sea, from underground Down from the sky, they're all around They will return, mankind will learn New kinds of fear when they are here Look to the sky, way up on high There in the night stars are now right. Eons have passed, now then at last Prison walls break, Old Ones awake! Madness will reign, terror and pain Woes without end where they extend. Ignorant fools, mankind now rules Where they ruled then:,it's theirs again Stars brightly burning, boiling and churning Bode a returning season of doom Scary scary scary scary solstice! Very very very scary solstice! 」 彼は不気味な歌を口遊みながら、何度も何度もスレッジハンマーを振り下ろした。 夫人と、それを覆う双葉もろとも…。 そして、世界が…。 べた付く油のように、鈍い極彩色の虹色に彩られていく…。 そうして天に…。アレが…。 夥しい、無数の紅と翠の巨大な瞳が、この世界を覗き込もうとしていた…。 …… ……… 騒然とした現場を背に、背広を着た壮年の刑事が女性に事情聴取をしていた。 何かの魔法陣のように広がった人間2人分の肉片と、実装石1石分の染み。 悪魔崇拝のサバトなり儀式なんかがあったと証言が出てきても、誰も疑わない凄惨な現場だ。 鑑識が肉片から故人の遺留品を探すのに吐き気を堪えながら頑張っている。 「…えー。で、もう一度、聴きたいんですが? 本当に、自然に弾け飛んだの?実装石が?そんで人間二人が…??」 「だから、そうにしか見えない光景だったって言ってるじゃないですかぁ…!!」 女性はガクガクと震え、涙を流しながら嘔吐を繰り返していた。 「…なんだろうな、これ。新種の病気…? …そういえば。先日も同じような事件があった…ような?」 刑事は頭を捻る。 確かに先日、同じような事件があったような気がする。 …いや、あったはずだ。 どこかの公園で、青年と仔実装数匹が勝手に弾け飛んで不気味な陣ができた、と。 …だが、あれはいつのことだったか? もう年かなぁ…、記憶が白く霞んでいく気がする…。 そんな捜査記録はないし、そんな報道が流れた記憶もないのに…。 ……ん?…実装石? なんだっけ…それ? ………ん?……え? “ 俺たちは、何で、ここにいるんだ? ” 暗転 季節は冬。 深々と降り積もる雪を見つつ、トシコ夫人はロッキングチェアに腰かけ、養女の双葉が煎れてくれたお茶で喉を潤すと、 優し気な表情で高層ビルの階下に広がる、年の瀬で多くの人が行き交う街を見守っていた。 「ふふふ。今日も、幸せそうな人で賑わっているザマスね…。 ふたばちゃん、せっかくのクリスマスなんザマス。 ワタクシのようなおばあちゃんなんかと一緒に過ごしてもつまらないでしょう? 遠慮せず、友達や彼氏のところにでも行ってくればいいザマスのに…。」 そう言いながらも、トシコ夫人は骨ばってゴツゴツした指で、双葉の小さな手を握る。 双葉は、心底嬉しそうな笑顔で、夫人を見つめ返して、微笑んだ、 「私は、トシコお母さんの傍にいるのが一番幸せだよ? ずーっと、お母さんの傍にいたいなぁ…。」 …施設職員に性的虐待をされそうになり、這う這うの体で施設から逃げ出してきた双葉。 だが、子どもの足だ、しかも着の身着のまま素足で動き回れる距離など、そう遠くない。 路地裏で擦り傷だらけの足を休めて身をかがめて体を震わせているところに、 偶然にも、トシコ夫人が通りかかって助けてくれたのだ。 「まったくもう…。ふたばちゃんは本当に甘えん坊さんザマスねえ…。ふふふ。」 「えへへへっ♪」 トシコ夫人が微笑むと、双葉も微笑む。 それは、決して豪華でも贅沢でもないけど、とてもとても静かで優しい時間だった。 ピンポーン! 二人の静かな時間を切り裂くようなインターフォンが鳴った。 宅配業者が、生き物注意!の札を貼ったプレゼントボックスを抱えて入ってくる。 「ええ!?なんだろう、これ!? すっごく豪華なプレゼントボックスっ!!」 「うふふ、実はね、ふたばちゃんに内緒でサンタさんにお願いをして、 クリスマスプレゼントを届けてもらうように頼んだんザマスよ? さ、開けてみてごらんなさいザマス。ふたばちゃんもお姉さんになるザマスよ。ふふふ。」 トシコ夫人に促されて、双葉は頬を赤く染めながら箱を開いた…。 そこには、赤と緑のオッドアイと、緑色の服を着た小さな仔じっsry ガシャァアアアアンッ!!!!! バリィィィィィィンッ!!!!! 時が止まり、全てが凍り付く。 そして、突然、空間が音を立てて罅割れ、粉々に崩れ落ちた。 コツン…コツン… ゴズッ…ズズッ… 革のブーツで踵を鳴らす軽快な音と、重量のある鉄塊を引き摺るような音が周囲に響く。 そして、罅割れた向こう側…。 虚無の空間から、銀色に輝く巨大なスレッジハンマーを突き出して“彼”が這い出してきた。 フルフェイスの奥で、怪しく光る双眸を揺らめかせながら、彼は双葉の前に歩み寄る。 そして、双葉が大事そうに抱えている箱の中から、仔実装を引き摺り出して…。 ブジュリッ! …と、握り潰した。 すると不思議な事に、握り潰された仔実装は虚空に消えて、 箱の中には可愛らしい小さな仔犬が姿を現したではないか。 「どうせ、その辺で腹を抱えながら嗤っていたんだろう? ウルム・アト=タウィル? ほら、どうした、嗤えよ?」 彼が虚空を睨みつけて不敵な笑みを溢す。 いや、フルフェイスによって、彼の相貌は窺い知ることはできないのだが…。 それでも、彼が不敵な笑みを浮かべている事が分かった。 だが周囲には何の変化も見られない。 …彼は銀色のスレッジハンマーを天高く振り上げると、 奇声とも咆哮ともつかない雄叫びを挙げながら、虚空へと全力で叩きつけた。 「嗤い方を忘れたか?こうするんだよ!! ヒィャッッッハァァァーーーーッ!!! 」 ヴゥォォンッ!!! ボッ!!! 「デギャアアアアアア!!!?? デビャアアアアアア!!!!!! ギャアアアッ!!!ギャアアアア!!!!!!!!」 虚空が切り裂かれ、左半身を圧潰された不気味な生き物が姿を現す。 666の獣の数字の刻まれた碧の衣。 血走った赤と緑のオッドアイ。 プロビデンスの目の如きミツクチの奥に怪しく蠢動する瞳を携えた不気味なアギト。 名状しがたきモノ、緑色の悪夢。這い寄る混沌。 …さて、なんと表現したものか。 その邪悪の権化は、崩れた半身を抱えながら、血走った眼で彼を睨みつける。 「デギャギャ、デヒュヒュ、デプププ……!」 まるで憎まれ口でも叩くように、恨みがましく唾を飛ばして喚き散らすと、 背後の空間が三日月の如く切り裂かれ、奴はそこに捕食されるように吸い込まれていった…。 カチャッ… カチャカチャ…カチッ… そうして、 粉々に罅割れた空間が、ひとりでに修復されて…。 時は、巻き戻り、動き出す。 …… ……… トシコ夫人が微笑むと、双葉も微笑む。 それは、決して豪華でも贅沢でもないけど、とてもとても静かで優しい時間だった。 ピンポーン! 二人の静かな時間を祝福するようにインターフォンが鳴った。 サンタクロースに扮したペットショップ定員が、 クリスマス装飾でデコレーションしたキャリーバッグを抱えて入ってくる。 「ええ!?サンタさん!? え!なんで!?」 「うふふ、実はね、ふたばちゃんに内緒でサンタさんにお願いをして、 クリスマスプレゼントを届けてもらうように頼んだんザマスよ? さ、開けてみてごらんなさいザマス。ふたばちゃんもお姉さんになるザマスよ。ふふふ。」 トシコ夫人に促されて、双葉は頬を赤く染めながらキャリーバッグを開いた…。 すると、フワフワの尻尾を目一杯に振り、元気いっぱいな仔犬がキャンキャンと舌を出しながら身を乗り出してきたのだ。 双葉とトシコは、新たな家族を優しく迎え入れる…。 …そうして今日も。 あの家族と、この街には、平和な時間が流れる。 高層ビルの屋上で、銀色のスレッジハンマーを杖代わりに、 フルフェイスと、ライダースーツに身を包んだ彼が、仁王立ちになり街を見下ろしていた。 街の路地裏にも、公園にも、行き交う人々の間にも、ウルム・アト=タウィルの化身たる糞蟲の姿は微塵も存在しない。 綺麗に綺麗に磨り潰してやったのだ。これで、“この”世界は救われただろう。 彼の横を、涼やかで爽やかな風が吹き抜けた。 今日も、“この世界”は平和である。 彼は満足気に嗤うと、スレッジハンマーを肩に背負い、空の彼方へとコツコツと歩いて消えた…。 > To be continued… {後書き} 今回も愚作をご閲覧頂き、誠にありがとうございましたm(__)m 実装石は、愛玩動物としても、絶対悪として描いても輝ける、実に素晴らしい存在です。 (クトゥルフ+実装石)×厨2=ヒャッハー まずい。 私には、これが美しい方程式に思えてきた…。ああ…ああああ…っ!!! 窓に!窓にっ!!! ■■■が…■■■■で■■に…【検閲済み】をするなんて!!!【削除済み】!!!! …せっかくの休みの日に、何やってるんだろうか、私は…。(; ・`д・´)

| 1 Re: Name:匿名石 2017/01/24-20:10:53 No:00003992[申告] |
| 世界は平和になった
それでよいのです |
| 2 Re: Name:匿名石 2017/01/24-23:12:50 No:00003999[申告] |
| なるほどスレッジハンマーが銀の鍵か。
ウルムに案内されずにヨグソトースの門を使えるとか邪神に魅入られている系ジャナイデスカヤダー それでニャル様がみていらっしゃるのですな(笑) おやドアノックの音が 誰だろうこんな夜更けに? |
| 3 Re: Name:匿名石 2017/01/24-23:30:29 No:00004000[申告] |
| クトゥルフ知らないとあんまり楽しめんな
ググりやすい資料でも紹介してくれるとありがたいです |
| 4 Re: Name:匿名石 2017/01/25-00:27:03 No:00004001[申告] |
| クトゥルフはwikiで調べれば、割と詳しく書かれています。
楽しくまとめられているのは、クトゥルフ神話TRPGのルールブックなのですが、割と高いです。 でも興味もてないと、調べてても飽きるかもしれませんね。 <ヨグ=ソトース> 瑠璃色や虹色というキーワードと、天に浮かぶ巨大な瞳、無数の瞳という表現が出たら、だいたいヨグ=ソトース。 全にして一、一にして全。かつてあり、現在あり、未来にあり、どこにもあり、どこにもない。時間と空間を支配している邪神で別次元に存在してる。とにかく巨大で、人の存在している宇宙を一つのビー玉と例えると、そのビー玉が無量大数入る袋が無量大数入いる袋を無量大数入れてる袋が無量大数ryという無限ループを繰り返すくらい途方もない巨体。召喚するだけで、時間や空間に関わるあらゆる恩恵を賜れる。呼び出し方は、アル・アジフという魔導書(ネクロノミコンの原典)に記されている真の名前を呼ぶか、一定の手順に従って招来の呪文を唱えるか、地球のどこかに埋蔵されている太古に作られた「銀の鍵」というアーティファクトを使う事で、ヨグ=ソトースにアクセスする事で連なる時空の門を開く事ができる。 ウルム・アト=タウィルという眷属(従者)が本来はヨグ=ソトースや門への仲介役を担っている。ウルム・アト=タウィルは、造形が不確定だけど、人間の半分ほどの大きさで、常に衣に覆われて、人に似た輪郭を模している、と表現されている。 <ナイアーラトテップ(ニャルラトホテプ)> クトゥルフ神話におけるトリックスター。 最高神アザトースに仕える従者と表現されるけど、実際はアザトースそのものと考えていい。この世はアザトースの泡沫の夢で構成されていて、最高神アザトースが癇癪起こすと全て無になるので、アザトースを飽きさせないため、延々と各星々の種族に干渉して、喜劇や悲劇を生みだしながらアザトースを楽しませている。旧支配者と呼ばれる邪神たちに仕えるのも仕事だけど、実際は彼らよりも強くて、アザトースすら馬鹿にしてるヤバいお方。 |
| 5 Re: Name:匿名石 2017/01/25-02:45:08 No:00004002[申告] |
| <ナイアーラトテップ(ニャルラトホテプ)>
どんな姿にでも変身できる。 銀髪の美少女に変身してコミックスやアニメを買い漁ることも。 |
| 6 Re: Name:匿名石 2017/01/25-19:57:47 No:00004013[申告] |
| クトゥルフよく知らないがそれはそれで楽しめたw |
| 7 Re: Name:匿名石 2017/01/25-21:30:52 No:00004016[申告] |
| ※4&5
説明サンクス |
| 8 Re: Name:匿名石 2017/01/26-02:48:53 No:00004019[申告] |
| >5
おいwニャル子さんwww |
| 9 Re: Name:匿名石 2017/01/26-05:25:51 No:00004021[申告] |
| カッコイイ!!!
こんなスタイリッシュなヒャッハーは初めてだ!!! |