------------------------------------------------------------ ミドリ(親) 成体実装 60センチ 教室に軟禁 ドドリ 中実装 40センチ強 問題児のクラスでオモチャにされる ドドリア 中実装 40センチ弱 焼却炉に入っちゃった ドリアン 仔実装 20センチ 幼稚園内で略奪行為 リアン 仔実装 15センチ 砂場に沈む リアンカ 仔実装 10センチ 砂場に置き去り アンカー 親指実装 5センチ 椅子とりゲーム中に尻で圧殺 ------------------------------------------------------------ 一夜明けて… 幼稚園の正門は固く閉ざされ その前には多数の保護者、関係者、報道陣、野次馬が詰め掛けていた 一見重々しい雰囲気の幼稚園だが、中身はそうではない 既に上へ下への大騒ぎの上、見苦しく責任を押し付けあっていた 翌日 園長は怒り狂っていた 既に愛護派間での彼の面目は再起不能と言ってもいい 愛実装一家をボロ雑巾のようにされた例の中年女性が 話を10倍以上に膨らませてほうぼうで言いふらしたからだ もちろん全ての諸悪の根源はアキコ 悲劇のミドリ一家が虐待派の保育士に無残な目に合わされたという内容である 園長の顔は真っ赤に青筋が立ち、これが風船であれば今にも破裂しそうになっていた その血走った目線の先には体験入園受け入れクラスの黒裏アキコ こちらはというと、今しがた呼び出されて園長室に通されたばかり 状況は悪いとは思っていたものの何も把握しておらず 園長室に背広姿の先客がうようよいるのに戸惑っていたが その先客たちは園長に冷ややかな目を向けていた その様子を見るに、先客たちは市の職員だと思われた そうなると… 黒裏アキコは既に、園長が何を言うかはほぼ察していた 「君が目を離したせいでっ…わが園の評判はめちゃくちゃじゃないか!」 やっぱり来たか、アキコはため息をついた トカゲの尻尾切り もともと実装石愛護派の強いこの地域において 将来の愛護派養成所とも言うべきこの幼稚園での失敗は愛護派にとって衝撃的な問題だった 白昼堂々と園内で実装一家の半分が死に、半分が行方不明になったのである それも実装石側の狼藉がきっかけとなったことが各位の証言から徐々に露呈するに従い これまで散々に喧伝されてきた”賢い実装石像”そのものも崩れて来ているのだ 言うまでもないことだが実装石といってもピンからキリまでいる 賢いお手伝い実装からミドリ一家のような馬鹿糞蟲まで様々である それが、賢いお手伝い実装だけにスポットライトをあて、自治体の予算のかなりの部分を充当して 健全な実装石像を維持してきたこの街の愛護派にとって 馬鹿糞蟲が目立ってしまう事態だけはどうしても避けたいものであった 挙句の果てに、幼稚園という公共施設でありながら 実装石に理解のある家庭の子弟とそうでない家庭の子弟を分け そうでない家庭の子弟が実装石を虐待するのを黙認することでバランスを取っていた その事実はこの園の隠蔽体質を代表する致命的な過失であった 当然、これらの問題を解決できねば、園の存続どころか この街の実装産業の根本に関わる問題になってくる ましてや、実装愛護派へ媚を売る運営をして来た園長個人など簡単に粉微塵になってしまう そうなると、園長に出来ることといえばひとつしかない それは全ての責任を黒裏アキコにひっかぶせて、ほっかむりをしてしまうことだ 黒裏アキコは一個人の職員に過ぎない おまけに実装石愛護派というわけではなく、そういうネットワークに参加してもいない つまり、園長はじめ、この問題に関わる愛護派にとっては スケープゴートにもってこいの人材だったわけだ、が… だが、それは前者の問題… 今回のトラブル、ミドリ一家のことに限ってはそれで話も済むだろう しかし、実装石のイメージの問題は?園の隠蔽体質は?運営の問題は? そういったことまでは全て個人に被せられる問題ではない すでに、そんなところにも目が届かないほどに彼らの目は曇っていたのだ だが、彼らはそれこそが最良の手段と信じている したがって、アキコを呼び出して一方的に糾弾しようというわけだ アキコだって馬鹿じゃない、それくらいのことはわかっていた だが、ここで折れれば全責任を負わされる ここは断じて負けるわけにはいかないのだった アキコはすかさず反論した 「そうはおっしゃいますが、園長 幼児とはいえ人間の子供と実装石では体格差がありすぎます 普通に、一緒に、遊ぶ、と言うこと自体が無理があるんじゃないでしょうか?」 「な、なんだとっ!君!」 予想外の反論にうろたえる園長 今日までの上下関係から、反論されることは全く考えていなかったのだ 園長に並ぶ愛護派たちもまさかの反論に面食らっている 「人間同士だって、一緒に遊べば事故も起きるし、怪我だってします ましてや、これだけの体格差のある実装石、入園させたらどういう結果になるか 現場のことを少しでも考えていただかれたのですかっ! その上で、前日になって何の準備もなく入園の話をされたのですか!」 アキコは昨日の思いのたけをぶつける。隠すことのない本音だ 会場がどよめく 園長から事前説明と称して一方的な話を聞かされていた市の役人や保護者の代表などは いぶかしげに両者を見る 園長と愛護派一派はとにかく火を消さんものと慌てるものの 動揺が酷く反論どころではない そこで、例の中年女性−ミドリ一家の飼い主が立ち上がって アキコに向かって怒鳴りつけた! 「馬鹿なこと言うんじゃないわよ たくのミドリ達のように賢い仔たちがカナシイ事になったのは あーたの指導が間違っていたからじゃないんですか!」 この期に及んで実装石擁護の姿勢を崩さない中年女性に 愛護派たちは周囲の目を気にしつつもウンウンとうなづく その様子を見て満足げに中年女性は続ける 「本来、実装石は高貴で賢く、美しいものざますのよ? 特に特級飼い実装は人間よりも賢く、一部ではシッターとしても役立ってるわよ その特級飼い実装のミドリ達が問題を起こすはずないじゃない!それをあーたは—」 そこでアキコは突然、立ち上がると中年女性の言葉を手で制して、ドアに向かった そして、中年女性が喋ろうとするのを遮って無理やり話し出した 「そうですか、では—」 アキコは観音開きのドアを両方開けた 「公平を期すために、ミドリちゃん達の感想を園児の皆さんに聞いて見ましょう」 ドアが開いた、そこには、園児達がずらりと並んでいた 園児達は語る、淡々と、そして黙々と… 昨日起こったことを、つつがなく… 証言が集まるにつれて、徐々にミドリ一家の痴態が明らかになる それに伴って愛護派の顔色はみるみる悪くなっていった こういった場にわざわざ集まるくらいなので この場の大多数を占めるのは愛誤寄りの愛護派だ だがしかし、人の恨みを買ってまでヨソの家の馬鹿糞虫の失態まで擁護するほどの 愛誤派というのはなかなかいない 同病愛憐れむ、愛誤派の敵は愛誤派なのだ なかには実装石よろしくミドリ一家の飼い主をニヤニヤ眺める愛誤派の姿も見える ここでもし、愛誤派が一枚岩となってアキコを糾弾していれば 今後の流れは大きく変わったかもしれない だが、同属と言えど妬みひとつで簡単に切り捨てるのが人間というもの そういう意味で、もしかすると実装石… こと馬鹿糞蟲は飼い主を映す鏡なのかもしれなかった しかし、ここで引き下がれないのはミドリ一家の飼い主の取り巻きや 許可を出してしまった役所の関係者たち、それにネジの外れた愛誤派である アキコを糾弾しようとしてしまった …そんなことをすれば、どうなるか後先も考えずに 能面のような表情のアキコは再びドアに手をかける 「保護者の方の対応は今後、園長先生にお願いいたします」 ドアの開いた先には、殺気立った保護者たちが溢れんばかりに立ち並んでいた ペットと関わるのさえ家庭によっては ましてや実装石という子供の情操教育に非常によろしくないことは明白 体験入園の件を事前に聞かされていなかった保護者たちは怒り心頭 ここは実装石愛護派に人気の高かった園、だが決して園長のような愛誤派ばかりではない それどころか、愛誤派だろうが自分の子供に危機が迫ればそれどころではない 「てめぇ、うちのかわいい逓茅嘉(てちか)が傷付いたらどうしてくれるつもりなんだよ」 保護者の一人が園長の胸倉を掴む、その保護者は園では有名なクレーマーだ 「うちの娘は」 「私が誕生日に贈った色鉛筆のセットを、お宅の実装石に汚損されたと言っていますが」 「ザッケンナコラー!スッゾコラー!」 「なら死ねよ」 「それでは皆様、お達者で」 退室するアキコと入れ違いに保護者が雪崩れ込む この幼稚園はもうおしまいだろう 「まっ、待ちたまえ、アキコくぅん!」 園長の声に振り向くと ちょうど園長が保護者にもみくちゃにされて人混みの中に消えるところだった アキコはかつて実習で見たビデオ… 飢えた野良実装の群れに飼い実装が襲われる内容の物を思い出した 野良実装が去ったあとには骨の一本も残らず あとには小さな赤緑のシミが残っただけだった 果たして人混みの去った後には何が残るだろうか…? そんなことを思い出すと自然と笑みがこぼれた 園長の悲鳴をBGMに アキコはもう実装石とは関わるまい、と心に決めた ---------------------------------------------------------- 山道を一台の車が走る 愛護(愛誤)派にとって最大の敵、それは虐待派ではない 愛護(愛誤)派にとっては虐待派はただの異常者であり、犯罪者であり、 眉をひそめ、警察に通報しこそすれ、いちいち気にかける存在ではない 彼らが最も憎悪する敵は別の愛護(愛誤)派である 愛護(愛誤)派そのものの評判を落とし、実装石の評判を落とし そして純真無垢な実装石を汚染し、糞蟲を生産する 糞蟲は感染し、次の糞蟲を生産する まるでゾンビのように次から次へと糞蟲は生産される それでは、その再生産を止めるにはどうすればよいのか? 大本の糞蟲を、そして糞蟲を生産する愛誤派を実装石から隔離し 感染を防ぐより他に有効な手立てはない ここに山奥を走る一台の車がある 悪趣味な赤緑色に塗装された大型車だ 運転するのは例の中年女性 後部座席にはふんぞり返った三匹の実装石 全てを失った例の中年女性… それに三匹の運命はもう誰も知らない ---------------------------------------------------------- (エピローグ) 半年後… 夕暮れの通り、三人の幼稚園児が歩いている そこに曲がり角から成体実装が数匹の仔実装を引き連れて曲がってきた このまま普通にすれ違って通りすぎる、いつものこの街であればそんな光景が見られたかもしれない しかし、すれ違う直前に幼稚園児は立ち止まった 「デデ?」 突然立ち止まった幼稚園児に成体実装は小首をかしげたが かまわずに幼稚園児の横をすりぬけようとした、その時… 「きゃ!汚い!」 「デギャッ!?」 実装石が赤緑の体液を撒き散らして路面に倒れる 幼稚園児が投げた石が頭部に命中したためだ 「デ…デデッ」 実装石は凹んだ頭を抑えてうずくまる 仔であろうか?後ろを歩いていた小さな実装石がうずくまった実装石の周りに心配そうに集まる 「やだ、いっぱいいる!怖い!」 「きもい!こっちに来ないで!」 「テヂョッ」 もう一人の幼稚園児が拾った石を投げつけると、仔実装を一匹道路の染みに変えた 「デジャッ!?」 突然のことに驚いた成体実装が悲鳴をあげると 驚いた三人の幼稚園児は泣きながら今来た道を走り引き返して行った 「オロローン、オロローン」 後に残された成体実装と仔実装は地面の染みを見て泣き続けた だが、日が沈むころには実装石たちは染みを残していなくなっていた こういった光景はかつてこの周辺の地域ではこれまで見られなかった 例の一件以来、この周辺は変わってしまったのだ 子供たちは必要以上に実装石を怖がるようになった ペットや友達、果ては知育玩具としての実装石の地位は地に落ち 多くの実装石が殺処分するにしのびないと思った飼い主によって路上に捨てられた そうして捨てられた実装石はなにもかもに差があった 知能、躾、行動規範… 元がまともなお手伝い用やペット実装石だったものにとっての不運は捨てられたことに留まらず ほぼ同時にただ甘やかされただけの糞蟲も大量に路上に捨てられてしまったため この時期に大発生した捨て実装は近隣住民から全く同情の目を得ることができなかったことも挙げねばならないだろう 状況の変化を素早く察知した賢い野良はすぐに姿を消した 少し賢い野良も徐々に潮を引くように消えていった 事情があって動けない者や愚鈍なものはこの地域の公園に残り 糞蟲を多量に含む行き場のない捨て実装と合流する 言うまでもなく、それは終わりの始まりだった (完) 長編は初めてですが、ようやくひとまずは完結しました 正直、このシリーズ全く感想つかないので よっぽどつまらないんじゃないかなと自分では思っていたのですが そんな中、最後まで追ってくださった方、本当にありがとうございます 第一話 http://jissou.pgw.jp/upload_ss/index.cgi/view/0_2380.html 第二話 http://jissou.pgw.jp/upload_ss/index.cgi/view/0_2382.html 第三話 http://jissou.pgw.jp/upload_ss/index.cgi/view/0_2430.html 第四話 http://jissou.pgw.jp/upload_ss/index.cgi/view/0_2440.html 第五話 http://jissou.pgw.jp/upload_ss/index.cgi/view/0_2441.html

| 1 Re: Name:匿名石 2016/12/17-20:32:04 No:00003191[申告] |
| 完結編、待ってました!
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| 2 Re: Name:匿名石 2016/12/17-20:53:50 No:00003192[申告] |
| 待ってたぜ! |
| 3 Re: Name:匿名石 2016/12/17-21:23:30 No:00003193[申告] |
| お疲れ様でした
そういやミドリは生き延びた?ってことでしょうか まあ、園長が社会的に死んだからいいか |
| 4 Re: Name:匿名石 2016/12/17-21:27:00 No:00003194[申告] |
| 説明読んで思ったけどドドリの行ったクラスって単に愛誤家庭じゃないうえに年少の子なだけで問題児ってほどではないような…
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| 5 Re: Name:匿名石 2016/12/17-21:30:39 No:00003195[申告] |
| ミドリが死ぬ描写はねえ
まともなお手伝いは巻き添えを食らう なんて酷い展開だ でも、乙です |
| 6 Re: Name:匿名石 2016/12/17-21:34:42 No:00003196[申告] |
| いや、これ、かなりの人気作品ですよ
掲示板より閲覧数を見ればわかりますよ 感想が少ないとしたら純粋に虐待作品で揉める対立ポイントがないからかと |
| 7 Re: Name:匿名石 2016/12/18-03:11:45 No:00003197[申告] |
| 完結お疲れ様でした
スカッとしました |
| 8 Re: Name:匿名石 2016/12/19-13:28:50 No:00003219[申告] |
| これだけ感想が描かれるようになったのって最近だよね
なんか以前はあまりかき込まない方がいいような雰囲気があったし 活発に意見が交わされるのはいいことだ |
| 9 Re: Name:匿名石 2016/12/19-19:27:10 No:00003230[申告] |
| 何時かのDQN親も居るけど、まあこればっかりはキレてもしょうがないか |
| 10 Re: Name:匿名石 2016/12/19-22:13:51 No:00003235[申告] |
| 色々と、ありがとうございます
過去に投稿していた頃は全く感想つかなかったので 過去作品でも良かったら感想つけていただけるとすごく嬉しいです |
| 11 Re: Name:匿名石 2016/12/20-08:31:43 No:00003245[申告] |
| ※10
作者さんかな? 完結おめでとうございますお疲れ様でした 一話目からずっと楽しませてもらっていました おもしろかったです新作も楽しみにしています |