タイトル:【虐・観察】 同族によるイジメとかは書いててノルデスゥ
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初投稿日時:2006/08/19-03:58:50修正日時:2006/08/19-03:58:50
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三代記 〜二代目 平穏なる実装生 前編〜

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別荘はお池のほとりにあった。

地面がとてもドロドロでとっても歩きにくい…
おっきな木の板がナナメに地面に刺さってる。

「あそこなら雨が凌げるデス…あそこが別荘デス!
 どうデス!一面湖を見渡せるデスゥ!贅沢なつくりデスゥ!」

「ママ…後ろ以外壁がないテチィ…きっと夜は寒いテチィ…」

キッ!!
ママの両目がとっても怖くヒクヒク動いてる。

こ・怖い…ママ、怒らないで…ぶたないで…

「うるさいデス!ちょっと大きくなったからって知ったかぶりするなデス!
 湖を見渡す贅沢な別荘デス!セレブ用の景観重視のつくりデス」

ママどうして!?何かおかしい…どうしてワタチには怖い顔をするの?
ちょっと聞いてみただけなのに…

どうしてだろう…急にママが怖く感じる…。
ママと一緒に居ると決めたのに…ママに怒られると体が動かなくなる。
あの時の…ワタチと妹達だけになってしまったときと同じ怖さ…。
木が揺れた音でも怖くて動けなくなった怖さで動けなくなったような感じがする。

でもワタチ達は、ママと一緒に居ないとゴハンも食べられない。
あの怖いのに食べられちゃう。
ママの側は安心するのに…怒ったママは別人みたいだ。

「さぁ、下らない事を言っている暇があったら、さっさと材料集めるデス!」

ママは前のお家のときと同じく、そういうと別荘の屋根の下で蛆チャンを抱えて座り込んでしまった。
ワタチはママが怖くて何も聞けなかった。
きっと蛆チャンを見守るからなんだと思うことにした。
ママの言うことを信じていれば、きっと大丈夫なんだと言い聞かせた。

ワタチは親指チャンと一緒に近くのゴミ箱とかを探して材料を集める。

ワタチはイッパイ考えて、ビニーニュブクロをドロドロの地面に敷いて、
別荘までの道を作った。
少し歩きやすくなった。

ダンボールやプラチチックを拾ってくるのは大変だった。
とってもとっても持ちにくくて重くて…。
前は妹チャンが居たから少し軽かったのに…。

親指チャンも木の棒を一生懸命引っ張って運んでくれる。


それに材料を持って来ても、今回はママがぜんぜん手伝ってくれない…。
蛆チャンと一緒に歯軋りしてイッパイ寝てる…

起こしたら、顔を叩かれた。

「お前が作るデス!勉強デス!!
 デ!親指ちゃんを働かせたデス!?親指ちゃんが倒れたら大変デス!
 お前はサッサと壁を作るデス!」

…とても怖い…でも、これはママがワタチにイッパイ勉強をさせるためなんだ。

でも、日が暮れるまでに横の壁を作るのが精一杯だった。
でも、前にはキラキラ光るお池が広がっていて、とてもキレイだった。

とっても疲れたけど、ママはワタチ達の頭を撫でてニッコリしてくれた。
ワタチはイッパイママの匂いを嗅いで、ママの活躍を聞いた。

パンチ一発でフットバシタところとかワクワクした。
そうだ、ママは傷ひとつ付いていないんだから、きっと本当の話だ。
強いママと一緒なら何も怖くない。
ここで、ずーーーーーっとママと暮らすんだ。

ママが怒らないときはとっても優しい…。

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彼女は偶然の幸運でもたらされたものを自分の実力と慢心しきっていた。
そして、完全に我が仔は”道具”でしかなかった。

それは彼女自身が一旦、仔を失った、手放したと感じたから…
そして、彼女自身が一度、同族の肉の味を…
それも我が仔の味を知ってしまったことが関係していないわけでもない。
とにかく、襲撃以前よりはっきりと判るほど愛情の薄れが存在した。

そうなると、他者と接するのと同じである。
むしろ、自分より弱いことが明らかなので、媚びや演技をして反応を探る必要もなく、
自然と本能むき出しの態度となることが多い。
仔は親を信頼するが、親は仔への繋がりを失うと赤の他人であり、
何の根拠も無くコキ使えたり非常食やデコイに出来るだけのモノである。

彼女は質問されるということに対して、仔に接する態度よりも、
”自分の嘘を他人に指摘された”と感じて対応するようになっていた。
格下…つまり奴隷に反抗されるのは、プライドだけは高い彼女には怒りの元となる。

教育ではなく道具を使う感覚で、他人と同じく我が仔を利用することを、
彼女は襲撃事件によって身に着けたのである。
その彼女には、自分の足を引っ張る仔実装は生意気に映り、
我が仔の中でも特に道具以上の価値はない。
仔実装ではありふれすぎて、餌を貰うのにアドバンテージが少ないからだ。


しかし、仔実装はそれによって親より多い情報と接し、より高い知能へと自己学習するようになって来た。
仔実装は、精神的本能の持つ親への甘えと、自己の学習知識での独立した行動の境界に居た。

それでも親元に強く引かれるのは、仔実装の持つ依存性や家族への情であった。

親の分身たる仔実装ではあるが、もって生まれた性格や知能も、
人間と同じく環境に合わせて変化をしていく。
本能的な甘えによって家族と共に居るが、
個体としては、知能と知識と機転のバランスが取れて育ち、
一旦芽を出した悪い性格が、圧倒的力の差のあるモノからの服従の強制によって抑えられていた。
そして、それに馴れる事を身に着けようとしていた。

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お池の別荘で何日かが過ぎていた。

最初の日は大変だった。
お家は寒いし、寝ている間に蚊がイッパイで、イッパイ刺されて、
ママもワタシも親指ちゃんも蛆ちゃんもミニクイ顔になった。

お水で洗ったりしても痒くて痒くて大変だった。

ワタシはその時にイッパイ叩かれて泣いた。

「勉強不足デス!お前はバカデス…ワタシの仔なら、きっともっとマシな家になるデス
 ワタシはニンゲンに食べ物を貢がせに行くデス
 戻るまでに何とかするデス!」

ワタシは一生懸命がんばって、隙間のないお家に作り上げた。

「何デス!前の湖が見えないデス!セレブは湖畔の見えるお家デス!
 明日作り直すデス!」
と怒られた。

ママ、ゴメンナサイ…。

みんな、お顔がブツブツ腫れてたから、ニンゲンから貰う餌が少なくて怒りっぽくなっていた。

でも、ワタシはママの言うとおりにするしかない。
ワタシ一人ではこの世界で生きて行けない。
ワタシはとっても弱い…あの3匹の恐怖に何もできない…。
ママに捨てられたら、ワタシだけじゃ生きていけない。
強いママに守ってもらっているからワタシはゴハンが食べられる…生きていられる。


ワタシは何とか考えて、前の壁をゴミ捨て場から拾ってきた”アミアミな布”に変えた。
蚊も入ってこれないし、お池も見える。

そうして、ママはワタシにも優しくしてゴハンを分けてくれるようになった。



そんなある日の夜…。

ワタシは、物音に気が付いて目を覚ました。

ガサ…ベタベタ…ガサ…

目の前には、6つの赤と緑の目が光っている。
ワタシははっきり思い出した。

”あの時の3匹が居る”

「テチェァァァァァァァァァ!!」
ワタシは無我夢中で叫んでママの体にしがみついた。

間違いない…あのガリガリの体にパリパリの髪…
再生しない片腕のヤツ…
髪の毛のない頭の変形したマラ付き…
あの時の光景がはっきりと頭に思い出される。


ママが目を覚まして「デデデェ!!」叫ぶ。
クサイ臭いがする…ママの下着が生暖かい。

「ママ!ママ!ママ!あいつらもう一度叩き潰して欲しいテチィィィィィ」
ワタシは一生懸命にママの服にしがみ付いた。
親指ちゃんも一緒に服にしがみ付いて「レチレピィィィィレェェェェェン」と泣きながらお漏らししている。
ワタシは怖いけどイッパイ我慢した。
だって、ママと一緒に居るから大丈夫…。

ヤツらは、アミアミの壁の入り方が判らない。
一生懸命上から引き下ろしている。
あいつらゼンゼン力がない…ママがボコボコにしたのは当然だ!
ワタシが板に挟んだ布すら引き抜けないんだ。

ママは、ゆっくり震える手で親指ちゃんをお腹の上に抱っこする。
片手でワタシの腕を痛いぐらいに握っている。
ワタシも握り返す。
大丈夫…ママが一緒だ。


突然、ママは親指ちゃんの服の背中をつまみ上げて、アイツらのまえに掲げる。
「コ・コ・コココ、コイツの方がウマイデス!コイツらをやるからワタシは見逃すデスゥゥゥゥゥ!!」

「レチィ!?」
「テチィィィィィ!!」

ワタシは耳を疑った。
でも、ママはしっかりとヤツラの前に親指チャンを”差し出している”
まるでモノを持つように服を吊り、突き出している。
ワタシの手も懸命に押し出そうとしている。
ワタシは抵抗するけど、ズルズルと前に前に押し出される。

「コイツラを食べてもいいけどワタシは許すデスゥゥゥゥ!!」

ママは親指ちゃんをヤツラに投げつける。

ベチ…「レチィィィィレヒィィィィィン!!」

「テ!」

ワタシははっきりと思い出した。
曖昧だった光景の全てがつながった。

ワタシが一生懸命連れて逃げようとしたのに、
腕が千切れるのも構わずに引き寄せたママの力と必死の顔…。

「この仔を差し出すからワタシは助けるデスゥゥゥゥ!」
そう言って泣き叫ぶ妹ちゃんを”差し出していた”ママの姿…。

走るワタシ達の後ろから聞こえてきた、
「ママー!痛い、助けて、食べないでママ」という声…。


3匹を八つ裂きにしたなんてウソだ!
妹ちゃんの為にずっと泣いてたなんてウソだ!
ワタシ達をずっと探していたなんてウソだ!
全部ウソだ!

ヤツラは下に落ちた親指ちゃんを取ろうとして、壁をあける方法を見つけたみたいだ。
下から布を上に上に手繰り上げている。
「レッ…レチィ…レレチィィィンレッチィィィ…レェ〜ン」
親指ちゃんは、落ちた衝撃で、とっても痛そうで、とっても苦しそうで、
ママやワタシを呼んでいる。

でも…もう助けられない…ワタシでは助けられない。

「デチィァ!」
ワタシは、握っていたママの手を離して、思いっきりママの手を振り払った。
グキッ!ととっても痛くなった。
お手手が動かない…とっても痛い…。

でも、ママから離れられた。

ワタシは咄嗟に、モゾモゾ逃げようと横の壁に頭を押し付けている蛆ちゃんに駆け寄って、
動くお手手で、蛆ちゃんを抱えて、すばやく布をくぐって外に出る。

ママはまだ腰を抜かしている。
そうだ、腰を抜かして動けないんだ。
ワタシ達を守るなんてウソなんだ。
マヌケな顔でワタシ達を睨んでいる。
そんな顔をしてもゼンゼン怖くない。
あんな頭が悪くて弱そうなヤツラに媚びてるママなんて怖くない。


ワタシは一生懸命に走った。
親指ちゃんの「レピギァァァァァ」という叫びが聞こえる。
ワタシは耳を塞ぎたかったけどどうすることもできずに泣いて走った。
「親指ちゃん…ゴメンテチィ!ゴメンナサイテチィィィィィィー」
「レ!レ!レェェェェ…ペァ…レヒ…レ」
親指ちゃんの声が弱くなって消えた。

ヤツラの一人が気づいて追いかけてくる。
でも、ドロドロなところに足を取られてゼンゼン速くない。

ワタチはビニーニュのところを走って草のあるところまで走る。


草のところで隠れながら逃げていると、
ママがワタシ達を追いかけてきたヤツを抜かして逃げてくる。

ワタチは今度はママから逃げないといけない…。

ワタシとママではゼンゼン足の速さが違う。

ワタチは蛆ちゃんを抱えて一生懸命に走った。
イッパイ泣いた…
ママのウソ…妹ちゃん…親指ちゃん…コワイ3匹…

イッパイ泣いた。


もう疲れ果ててしまった。
足がゼンゼン前に進まない…いつもは軽い蛆ちゃんがとっても重い…

ワタシはその場に座り込んだ。

その時、ワタシの上に大きな影が現れた…。

「テテテ!」
『なんだ、仔実装じゃないか…』

ニンゲンだ…沢山居る…「テ・テ・テ・テ…」いっぱいだ。

『仔実装か…それでも仕方ないか…』
ニンゲンが手を伸ばしてくる。
怖かったけど、ワタシは動けない。
『蛆持ってるぞ…疲れているようだな…襲われたのかな?』
ワタシ達は優しく持たれて、おっきな手の上に乗せられた。
ニンゲン…何もしないの?

ニンゲン達はワタシ達を覗き込んで話している。
手のひらの上で何もされなかったので、少し安心して体を休めた。

「デデ!デスゥ〜ン♪」

ママの声がする。

『おっ、実装石だ…成体だ…こいつの親かな?』
『そいつはラッキーだな!?糞はしてるが、そんなに汚くもないし洗えばOKだな』

ママは「そいつはワタシの仔デスゥ♪ワタシもカワイイからワタシを飼うデスゥ♪」と甘い声を出している。
盛んにカワイイしぐさをしている。
ワタシはママが大嫌いだ。

ワタシは「アイツは拾うなテチィ!酷いヤツテチィィィ!」と言ったのに、
ニンゲンはワタシの頭を指で撫でながら、ぜんぜん耳を貸さない。

別のニンゲンが片手でママを掴んだ。
「デッスゥ〜ン♪」
ママは、ワタシを見ながら当然みたいな顔でニンゲンの手に甘えている。


『これで人数分確保だな…どうする?コイツの仔みたいだけど…ソレ』

『まぁ、役にはたたないけど、邪魔でもないし一応連れて行くか…
 親と居られるのは最後だしな…これも俺の愛情のなせる業ってヤツ?』

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彼女は結局、決定的な過ちを理解せずに同じことを繰り返した。
それにより、再び、飢餓実装の襲撃を受けた。

もし、仔実装が最初に完成させた密閉された家なら、
漏れる匂いも少なく、しかも容易には進入を許さず、
彼女達は恐怖にパニックを起こさなかっただろう。

なまじ相手の姿が見えるだけに、必要のないレベルまでパニックが膨らんでしまったのだ。

奇しくも同じ3匹に襲われたのは、天罰だったのだろうか…
それでも、彼女は結局、危機を脱するために機転を利かせたつもりで、
まったく同じ方法にしか達しなかった。


僅かな差ではあるが、知能が勝る仔実装はソレによって、決定的な親離れの決意をした。

襲撃からの逃走は、いつしか親と仔の競争になっていた。

そして、仔は人間に拾われた。

ソレを見た彼女は、その人間が虐待派ではないと感じて、無防備にも飛び出して媚びた。

仔を優しく持ち上げるんだから大丈夫…
多少、機嫌を損ねても酷いことにはならない…
あれは、きっと飼うつもりで持ち上げたのだ…
ワタシも乗り遅れてはいけない…

彼女の知能や機転など、結局は実装石の範疇でしか通用しないと言うことを、
図に乗った性格の悪い彼女には想像することすらできなかった。

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ワタシ達は、ニンゲンの手のひらに乗せられて何処かへ運ばれた。

ニンゲンはゆっくり動いているようで、とっても景色が速く動いていく。
見える世界はとーーーっても高くて、初めて見る景色の見え方に、
ワタシも蛆ちゃんもとっても見惚れていた。

でも、キモチイイのをダイナシにするヤツがいる。

別のニンゲンに抱かれているママだ…

ニンゲンに両手で抱えられて幸せそうに手足をバタ付かせている。
「デスゥ〜ン♪デスゥ〜ン♪」
ワタシ達が聞いたことのない、とっても甘い声を出している。
ワタシ達に聞かせてくれた子守唄よりもっともっとずーっと甘い声…。

これがニンゲンをメロメロにする声?

ワタシ達と同じキレイな景色を見ていると思うとウンチを投げつけたくなる…。

すごく短い時間なのに、ワタシ達は見たことのない景色の場所に来ていた。

「ニンゲン遅いデス!はやくワタシを飼うデス♪」
「どうしたデス?早くすてーき食わせろデスゥ♪」
「プププ、ワタシが選ばれるに決まっているデスゥ〜♪」

ママとおんなじことを言う声が下から聞こえる。
見れば、イッパイ、ナカマが居る。
みんなオトナだ。
みんなハダカで、そこにいるニンゲンとお遊びしている。

『遅かったなぁ…たかが1匹、そこらの小屋を引っ剥がして持ってくればいいのに』

『夜でも、それじゃ実装石がパニックになるしな…
 下手にパニックの連鎖で連中が騒ぎ出すと楽しめないじゃんか』

ニンゲンの言っていることは大体判るけど、ぜんぜん意味がわからない。

『よし、洗って金平糖食わせてやれ』


ママがバケツに入れられる。

「冷たいデス!ニンゲンなら暖かいシャワーに入れるデスゥ!!」

服が脱がされていく。
ママはとっても気持ちよさそうに脱がされていく。
自分で下着を脱いでパチャパチャお水で遊んで楽しそう…。
でも、ニンゲンはママの服は洗わずに乱暴に投げてしまう。
そこには、イッパイ同じ服が落ちている。

洗わないの?服はとっても大切なモノだって言ったのに…

ママはとってもイッパイ洗ってもらっている。
ブクブク泡の出るものも掛けてもらってうれしそうだ。
あれが、ママの言っていたシャンプーってモノなのかな?
ワタシも蛆ちゃんもソレで洗って欲しい…きっとすごく気持ちいいんだ。
ママの顔が緩んで気持ちよさそうだから。

ワタシも洗って欲しい…
ワタシはワタシをキモチよくする指に甘えておねだりしてみた。
でも、洗ってくれない。
でも、ずっと、指で頭や頬やお腹を触ってくれる。

ママは、バケツから上げられると、乱暴にブンブン振られて、ナカマのところに降ろされた。
振られたときは絶叫して、降ろされるととっても怒った。
ワタシもああされたら、とっても怖い…ニンゲンは乱暴だ。

『さて、頭数もそろったしはじめるか!』
『おう!』

ワタシ達は、優しく地面に降ろされる。
もっとプニプニナデナデして欲しいのに、ニンゲンはとっても速く離れてしまう。

そして、ニンゲンが変な服を脱ぎだすと、
ママやナカマを両手で抱えあげる。

『『ジックス!!ジックス!!』』

ニンゲン達が大きな声を出し始める。
ニンゲン達の感じがとても怖い気分になってくる。

ワタシ達は遊んで欲しくて、ニンゲン達に近寄ろうとしたけど、
怖くなったので蛆ちゃんを引き寄せて、木の根元で見守った。

ママがタカイタカイされて、ワタシ達のように喜んでいる。

『『ジックス!!ジックス!!』』

ニンゲン達が怖くなった。
みんな、マラと同じモノが生えている。
マラは怖い…マラはキケン…

ママやナカマもソレに気が付いたみたいだ。
「「デスゥ!」」
でも、ママ達は喜んでいる。
「ニンゲンはケダモノデスゥ♪仕方がないから奉仕させてやるデスゥ〜♪」
「ワタシの美しさは罪デスゥ〜ン♪やらせてやるから豪邸を用意するデス♪」
「デププププ…これで飼われること間違いなしデス♪ニンゲンの仔を生んで贅沢するデスゥゥゥゥ」

ニンゲンのマラは、体から見るとゼンゼン貧相でも、
ママの体と比べるととっても怖い…。

「「デププゥ〜ン♪」」
『『ジックス!!ジックス!!』』

ママ達はとっても気持ちよさそうにしている。
マラが出たり入ったりしている。

「デデデ!!デスゥ!デペペペベベベベベ!!」

ナカマの一匹のお腹がペコンペコン変形している。
こ・怖い…とっても怖い…
でも、怖くて動けない…
マラに襲われているのと何も変わらない…。

別のナカマは、頭がペコペコ動いている。

「グボゲァァァァァ…」
ゲロしているのも居る。

手がでたらめに動いて、口をパクパクさせているナカマもいる。
きっと、声が出せなくなっているんだ。

あんなのが身体に入ってたら当たり前だ…。

怖い…怖い…逃げたいのに動けない。

「ヤメ!ヤ・ヤメルデス!ワタシに乱暴して許されるとデギァァァァァ」
ママも絶叫している。

ママのお腹はビリビリ小さく裂け、血がイッパイ垂れている。
ママの身体はシワクチャになるほど握られ、ウンチ穴がグチャグチャにされている。

まるでワタシの身体がそうされているように痛くなってくる。
キモチワルクなってくる。

「許して…許す…ぺ…ペヒッ」
ママが泣き出すけど、頭がポコンと突き出すと、それからワタシに判る言葉を言わなくなった。

「ペピァ…ポペ…クペペッ」
頭がボコンと盛り上がるたびに奇声が飛び出す。
手もピクンと動く。
そして、ママのお目目がポンと飛び出して垂れ落ちる。

『『ジックス!!ジックス!!』』

ワタシが動けないまま、ナガイナガイ時間、怖い事は続いた。

ママは口から血やゲロと一緒に、白いドロドロを吐き出し続けた。
ニンゲン達は、同じようになったママ達をベトッと投げ捨てて一箇所に集めた。

『本日のジックス同好会も無事終了!では、また来週、この公園で…』
と服を着てバケツを持って去ってしまった。

『あの仔実装どうする?』
『持って帰って育てるか?冗談キツイぜ!野良なんて育てても使い捨てオナホにしかならないぜ…
 ほっとけよ、この公園なら使える成体には事欠かないし』
『そうだな…ウチにはマリリンちゃんが居るしな』


ワタシはニンゲンが居なくなった後、恐る恐るママ達に近づいた。
とってもクサイ…
ヒクヒク動いているのも居るけど、ワタシにはわかる…助からないって。
ママも生きていた。
動いているけど何かの抜け殻のようになっていた。
ワタシに助けを求めるように手が動いている。

ママのウソツキ!
ニンゲンは怖い…
ニンゲンは…飼ってくれない…
ママの魅力なんて役に立たない…

ワタシは蛆ちゃんを抱えてママをゲシゲシ蹴った。
泣きながら蹴った。
怒りながら蹴った。
妹ちゃんのカタキ、親指ちゃんのカタキ、ウソを教えられたワタシのカタキ!

ワタシはイッパイ、ママを踏みつけて、満足して疲れたのでその場を去った。


ガサ…

物音に身を隠して眺めると、ママ達の所にあの3匹がユラリと現れた。
3匹だけじゃない…ガサガサと4匹…いやイッパイ現れた。

ズズズ…グチャ…ペチャ…

ママ達はどんどん食べられた。

ワタシ達はソレを見ながら「ざまぁみろ」と思った。
蛆ちゃんも「レヒレヒレヒィン♪」と嬉しそうだ。

ワタシ達は見つからないように息を潜めているうちに眠くなってしまった。

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彼女は自らの浅墓さを身をもって学習する機会を与えられた。
それは、最初にして最後の学習機会であった。

人間の行動は実装石の思考の範疇ではとても及ばないという学習の…。

男たちは過度の虐待派ではなかった。
しかし、本人たちが思っているほど愛護派とも呼べない…。
只単に、実装石セックスにハマってしまった人間…。
どの範疇にも収まらない曖昧な存在である。

実装石の頭では、結局、優しくする=愛護派、苛める=虐待派のくくりしかなく、
それは、飼いと野良の両方を経験し”人を選んで餌を貰う”という技能を身につけた彼女も、
結局はこの二極理論しか存在しなかった。
一見、彼女は優れた機転をもって行動しているように見えるが、
実は、それほど難しい計算や理論の元に行動しているわけではなかったのだ。

この公園では、狡猾に愛護派を装ってコロリを撒く虐待派や駆除者はおらず、
逆に厳しい愛護派も居なかった。
そうした曖昧な線引きが存在することを、彼女は命と引き換えに学んだのである。
いや、命と引き換えにしても、その死の間際まで理解できたとは思えない。

こうして、野良から奇跡的に飼われ、野良に堕ち、貧困から野良として裕福な生活を営むようになった、
彼女の波乱の実装生は、我が仔を生贄にするという彼女の因果に相応しく、
ニンゲンに道具として弄ばれ、
2度も逃れることのできた飢餓実装の腹の中に納まることで幕を閉じた。
ニンゲンに再び飼われる贅沢を渇望しながら…。


そして、その仔として親の全てを引き継ぎながらも、
仔はまだ純粋なうちに、様々な経験をすることで、知能だけなら親よりも高い生活力を身につけ、
姉妹を持つことで、精神的にも性格の改善された仔実装となっていた。

しかし彼女は、まだ生後2週間を迎えたばかりの仔実装…。
蛆実装を抱えての生活は絶望的ですらあった。

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目を覚ますと、昨日の怖い事のあとはキレイさっぱり無くなっていた。
夢じゃないのは判る。
捨てられたママ達の服が、まだ茂みに残っている。

ワタシは、蛆ちゃんと共に、このひろいひろい世界で二人きりになってしまった。
ワタシ達だけでゴハンを貰ってこなきゃいけない…
あの怖いニンゲンには近づけない。
ワタシ達だけで雨風を凌げるところを作らないといけない…
周りはワタシ達よりおっきなナカマばかりだ。

ワタシは、食べられそうなものを探してゴミ箱という物を探した。
ニンゲンに近づかなくても餌の置いてある所って習った。
あそこからゴハンを取るのは恥ずかしいほどバカでビンボーだと習った。
ワタシはお家の材料をあそこに取りに行っていた。
ワタシの時には食べられそうなものは何もなかった。

あ・あれだ…。

おっきなアミアミの箱に何かがイッパイある。
でも、今日はまだ、箱が立っている。
立っていると、ワタシもオトナもどうすることもできない。

ワタシは待つ…夕方にはいつも倒れている。
倒れるまで待つんだ。


すると、汚れたナカマ達がゾロゾロと開けた場所のゴミ箱に集まってくる。
イッパイどころじゃない…イッパイのイッパイのオトナが集まっている。
「食べ物デスゥ!食べ物のニオイするデスー」

ガタガタ…イッパイ群がってアミに手を伸ばす。
イッパイがイッパイに重なってガタガタと揺らしている。
アミの隙間から何かを取ろうとして奪い合っている。
オトナたちが狂ったように固まっていると…

ガタン!ベチャ!「「デギァァァァァ」」

箱が倒れて、固まっていたオトナたちが潰される。

「デスゥ!デシァァァァ!」

箱に潰されなかったナカマ達が、倒れた箱の空いているところからいろんな物を掻き出して奪い合う。

その外にはゾロゾロとさらに汚い、あの怖いナカマたちが寄ってきている。

ワタシは、蛆ちゃんにここに居るように言い残して、
心を決めて駆け出した。

何か食べるものを持ってこなきゃ…。

ワタシは、怖くてお漏らししながら、なんとか箱にたどり着いて、
争っているオトナたちの隙間から、零れ落ちた食べられそうなものを手にとった。
バチン!オトナの手が容赦なくワタシの顔を殴った。

大丈夫…ただ取り合っている手が当たっただけだ、ワタシを狙ったんじゃない。

痛い!でも我慢…蛆ちゃんの分を…

同じようにしてたワタシより大きい仔がオトナに押しつぶされている。

1匹がイッパイのナカマに殴られている。

死んだナカマを、怖いナカマが食べている。

ワタシは我慢して手に持てる物を両手に、なんとかゴミ箱を離れた。


うまく歩けない…頭がとっても痛い…右と左で景色がズレている。

それでも蛆ちゃんの待っている場所に戻る。

「オネイチャンヘンナカオレフ♪」
「蛆ちゃん食べ物テチィ…」
「ゴハンオイチィレフゥ〜ン♪」

ワタシも安心してゴハンを口にする…。
固い…クサイ…マズイ…
覚えている…あのハクチと言ったオバチャンの出したゴハン…
あれよりもずーっと固くてクサイ…。
それでも、ワタシが生きていくには、それしか取ることができないとわかっていた。

ママの教えてくれたことは、全部ウソではないけど、
ワタシがママと一緒じゃないと生きていけないのは本当だ…。


ワタシはお腹を何とか満たすと、ゴミ箱の騒ぎが収まるのを待って、
もう一度ゴミ箱に行く。

ギュウニュウパック…これならワタシでも持ってたくさん動ける。

ワタシは、蛆ちゃんを連れて、少し草の深いところに移動して、
ギュウニュウパックを木の枝とか石とかで一生懸命穴を開けていく。
痛いお手手…まだ、治ってない…
頭も痛い…でも頑張ってお家を作る。

日が暮れる頃、ワタシはなんとかギュウニュウパックの形のまま、
ワタシや蛆ちゃんの入れるお家を2つ作った。
ちっちゃいので、2人とも入る家にならないからだ。
石で飛ばないようにして、中に入れば、寒いけど雨の日も風の日も安心だ。

ワタシと蛆ちゃんは、向かい合わせで、お家の中で眠りに付いた。

お風呂に入りたい…服がクサイ…キタナイ…体が痒い…
柔らかいパンが…甘いお菓子が食べたい…金平糖…



朝、ワタシはどうしても身体が痒いのが我慢できなくて、
お池に行くことにした。
お池のお水でお風呂にしないと、ワタシのキレイな肌がボロボロ零れ落ちていっている。
お風呂に行くといえば、蛆ちゃんもとっても喜んでくれた。

ワタシはオトナとかに見つからないように草むらを歩く。

お歌を歌いながら、一列になって行進した頃がとっても楽しく思い出される。

でも、甘えてばかりいられない。
ワタシ達は生きていきたい…。


ワタシ達はお池の水でイッパイ身体を洗った。
草の上で、洗った服を拡げて乾かしながら蛆ちゃんと遊ぶ。

ガサガサ…
「お風呂のお水テチィ♪お風呂のお水テチィ♪お家のお仕事水汲みテッチィ♪」

楽しそうなお歌と共に、草むらから誰かが顔を出す。

「テチィ!?」
「テテ!!」

顔が合う。
よかった…オトナじゃない…。

4匹のワタシより大きい仔が、ワタシを見ながら大きな容器を抱えあって水場にくる。
4匹はワタシをチラチラと見ながら水を汲みに行く。

ワタシは落ち着いて蛆ちゃんを抱き寄せる。
「蛆ちゃん、お家に帰るテチィ」

「テチッ!」
4匹の1匹がワタシ達を睨む。

「アイツ…覚えているテチィ!あのナマイキなヤツテチィ!!」
「テテ!ママを馬鹿にしたヤツテチィ!?」
「間違いないテチィ!」

「テェ!」
ソイツらが怖い顔でワタシ達に近寄ってくる。
何!?ワタシ、お前たちなんか知らない…

「言ったテチィ…”ママがボコボコにする”って言ったテチィ!
 ママが住まわせてやったのに、デカイ態度のヤツテチィ!私達のお家でウンチばっかり漏らしていたヤツテチィ!!」

ワタシはとても怖くて、何とか服を持って逃げようとした。
でも、服を取ろうとすると、ワタシの大切な服をソイツが足で押さえる。

別のヤツがワタシの下着を持って乱暴に振り回す。
「ワタシの下着返して欲しいテチ…」
「見るテチィ!コイツ、ミドリの下着テチィ!ウンチばかり漏らしている証拠テチィ!!」
ワタシの大切な下着…

蛆ちゃんの服も振り回される。
蛆ちゃんが「レフー!」と怒って追いかける。
ソイツは蛆ちゃんをからかって服を見せながら近づいたり離れたりする。

「ボコボコにされるのはお前のほうテチィィィ」
ポコポコ!
痛い!まだ、直りきっていない頭を殴られる。
頬をぶたれる。
ソイツはワタシより大きいから、ゼンゼンワタシの手が届かない。
「ナマイキテチィ!お前のウンチパンツなんかこうだ!」
別のヤツがワタシのパンツを両手で引っ張っている。

「破れるテチィ!ワタシのパンツが破れるテチィィィ」
ゲシッ!
気を取られた瞬間、ワタシは後ろから蹴り倒されていた。
ズシンと背中に重いのが乗る…。

ポコポコ
「痛いテチィ、許してテチィ!ワタシのパンツ返すテチィィィィ」

ソイツは笑って一生懸命に引っ張っている…
ビリ…ビリ…パンツが裂けていく。

「レヒッレヒッ…ウゴケナイレフ…オネイチャーン、レェェェェェェェェン…」
蛆ちゃんが目を腫らして泣いている。
顔が真っ青で、苦しそうにレフレフ舌を出して息をしている。
「レビィ!レピァァ!」
蛆ちゃんの服を持ったヤツが、裸の蛆ちゃんの背中を叩く。
「面白くないテチィ、ぜんぜん動かないテチッ」
蛆ちゃんは叩かれ、蹴られるたびに、舌を痙攣させて泣き叫ぶ。

「蛆ちゃん!蛆ちゃん!パンツ!パンツ!」
ワタシはどうすることもできずに、蛆ちゃんとパンツに声を掛けて励ました。

でも、ビリビリと音がして、ワタシのパンツは半分になった。
「ワタシのぉぉぉ、ワタシの大切なパンツぅぅぅぅぅ」
「面白いテチィ!ミドリパンツ半分こテチィィィ!クサイの半分♪ミドリの半分♪
 次はこの服テチィィィィ♪」

ワタシは何もしてないのに…どうしていじめるの?

「レピピェェェェェ…」
ビリビリ…蛆ちゃんの服も破かれている…。
別のヤツが走りこんで、涙を流す蛆ちゃんの横腹を思いっきり蹴る…
「レパァ!」ゲポッ…
蛆ちゃんは跳ねたように顔を持ち上げ、大きく開けた口からゲロをだす。
パタンと呆気なく頭が地面に落ちると、血がいっぱい口から出てきた。
尻尾がピクピクと動いて動きが止まった。

「蛆ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」

蛆ちゃんは答えない…。

蛆ちゃん死んだ…
蛆チャンちんだ…
蛆チャン…

それからワタチは4匹にイッパイ殴られた。
イッパイイタイコトサレタ…
ちぬようなイタイことされた。

木の枝でイッパイ叩かれた。
お口にオチリを当ててウンチを食べさせられた。
ドロをウンチ穴に詰められた。
ウンチ穴に木の枝をイタイイタイくらい入れられた。

大切な服…服もズキンもボロボロになってる…タクサンふまれてシワシワ、ドロドロ。
パンチュ…半分しかない…半分はお水に流されてドコかにいった。
蛆チャン…丸い身体でぐったりしてる…ゆすったらドロドロって壊れた…。

ワタチ…一人になった…ダレも居ない…
とっても怖くて泣いた…ボロボロに破れた服を着て泣いた。
ママーママーって何度も呼んだ。
ママー、妹チャン、親指チャン、蛆チャーーーン…。
呼びながらイッパイ歩いた。
ココは暗くて寂しくてコワイ…とってもコワイ。

身体がイタイ…とってもイタイ…また、右と左でぜんぜん違うところが見える。
オテテもアチもとってもイタイ…
とっても歩きニクイけど、呼んで泣いて歩いた。

でも、疲れた…モウ…動きたくない…

ワタチは草のベットでオネムしたくなった。


ガサガサ…

オッキイカゲ…ダレ?ママ?

『あっ、ちっちゃいの居る…怪我しているの?可哀相…』

オッキイカゲ…ワタチを見てる…
オッキイカゲ…ニンゲンさん?

『待っててね…パパ呼んでくる…パパー!ちっちゃいのが怪我してるー…』

オッキイカゲ居なくなった…ワタチはママの夢を見た。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

いくら生活力があるとはいえ、僅か15cm程度…
成体の半分にも足りない大きさの仔実装が生きるのは、
自然の中では不可能であった。

まして、より小さく弱い蛆実装を連れてはさらに困難であった。

だが、本来彼女たちを襲うはずの飢餓や、同族や動物の襲撃、差別、天候などより早く、
彼女を襲うものがあった。

不幸である。

それでも、懸命に生きようとした仔実装が、かつて親からウソを教えられたとはいえ、
自らの口で蔑んだ相手と、広い公園で再び出会ったのは不幸である。

親の不幸…低い確率で出会った不幸…
そして、記憶力の弱い実装石が、たまたま相手が賢くて、
余分なことを記憶しておく余裕があった…という不幸。

そして、圧倒的多数と来れば彼女には成す術が無かった。

ある程度育った仔実装同士なら、簡単なことで死に至る事は無い。
単体同士の殴り合いなら、いい加減に双方が疲労して自然収束する。
口ではなんと言っても、本気で殺しあう威力で殴ることは少ない。

しかし、実装石にとっては数は魔力なのだ。

数が揃うと性格が強気になり、行動に抑制が効かなくなる。
イタズラのつもりが、興奮を抑制できなくなる。
それは、実装石が野良実装石であるかぎり、
どれだけ賢くても圧倒的多数の集団の知能レベルに染まる性質があるからだ。
そして、乗数的に興奮が増大しブレーキの利かない性質もある。

それに、実装石の基準はあくまでも自己にしかない。
単体ならお互いに疲労してやめるが、それは自分が傷ついて疲れたからやめるのであり、
相手も傷ついているからケンカに満足ではないのだ。
複数だと、疲れたら入れ替わるので、数の多いほうが自然と相手を駆逐するまで入れ替わって続くのだ。

賢い親から生まれた、この野良の中では賢い仔達も例外なく、
ただ1回殴って、泣かせて、からかって終わりのつもりが、
圧倒的数の優位という魔力に誘われるままに入れ替わり立代わり暴行を繰り返した。

それは、蛆の死を目の当たりにしてさらに興奮を呼んだ。

仔達は思いつく限りの加虐を本能のままに楽しんだ。

救いは、彼らの知能に直接死に至るほど危険な物が無かったということだけだ。
それでも、生きているのが奇跡なほど彼女はいたぶられた。
間接的には決定的に死に至る暴行だった。

彼女は結局、精神の幼児退化をする事で痛みや苦しみを和らげて生き延びた。
只でさえ少ない脳に回す栄養すら、再生に回したとも言えるかも知れない。
同時に痛覚を弱め、ストレスを緩和する…。
人間に起こる物よりも遥かに都合のよい実装石の生理機能であった。
しかし、弱い仔実装のそれが機能するということは、それだけ体が危険だったということだ。


彼女の親…一代目が好き勝手に我が物とした幸運が、
二代目の彼女には不幸という名で降りかかってきた。

しかし、親の業たる不幸は、ようやく、その定量を使い果たしたようだった。

全てが無に帰して、全てが始まった。
仔実装はようやく自分の持って生まれた運で実装生を歩めるのだ。
平穏な飼い実装としての実装生…。

彼女は戻ってきた小さな少女の手に、気を失ってまま包み込まれた。

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中編に続く…

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