タイトル:【虐】 ある闇医者の考察② 実装石の存在意義
ファイル:【虐】ある闇医者の考察② 実装石の存在意義.txt
作者:ジグソウ石 総投稿数:42 総ダウンロード数:1268 レス数:19
初投稿日時:2016/11/08-22:32:05修正日時:2016/11/09-20:50:51
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 ※人間と実装石の会話は全てリンガル使用済みとしてお読みください。

 俺は実装石専門の闇医者である。
“闇”といっても別に非合法な治療行為をしているわけではなく、ましてや中二病的な意味でもない。
(そもそも虐待行為が法に触れない実装石への非合法な行為など存在しないのだが)
事故などで潰された飼い実装の偽石と脳だけを抜き取り、公園の元気な野良実装の体と入れ替えて復活させたり
虐待派の依頼でムカデ人間ならぬムカデ実装を作ってみたり、表立って経営している病院のような一般的な治療行為は行わず
実装石への非実道的な医療行為というか、多少背徳的な医療行為を行っているのだ。

 そして医者とはいえ、非実道的な行為を行っているあたり、愛護派では決してない。
むしろ虐待派であり、実装石の肉体を切り刻んだり縫い合わせたりするのが大好きで、その趣味が高じて闇医者じみたこともするようになっただけだ。


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 ※前回のあらすじ


 蛆実装を虐待しながら実装石の知性について研究・考察していたとある闇医者が、実験のために残った蛆実装の中から一番賢い者を選んで変態させ、最初からそこそこ賢い仔実装を作ろうとする。

 実験は成功し、繭から賢い仔実装が出てきたかと思われたが、その賢さが尋常ではないレベルだったため、繭から出てきたのが本当にただの仔実装なのかどうか訝る闇医者。
そのとき、仔実装が妙なことを言い始めて……?


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 「お前、自分が蛆だった頃のこともちゃんと覚えてるようだな」

 「覚えているというか、思い出したテチ。蛆ちゃんだったときのことも、それ以前のことも………」

 それ以前?
一体何を言っているのだこいつは。

 「ワタチは繭の中にいたとき、この世界の真理に触れたテチ。そして全てを思い出したテチ」

 「はぁっ?」

 いや、マジで何を言っているんだこいつは。
この世界の真理だとか何とか、怪しい宗教の教祖じゃないんだから。
アレか? 中二病蛆の入っていた箱に入れてお手伝い6号に渡したから、死んだ中二病蛆の霊が乗り移っちまったとかそんなんか?
いや、闇とはいえ医者が霊とか言い出すのもアレだけど。

 「いや、本当にお前が何を言っているのかさっぱり分からん。お前は一体何なんだ? もしかして……いわゆる実超石ってやつの一種なのか?」

 「違うテチ。間違いなく何の能力もないただの仔実装テチ。ただ繭の中で溶けていたときに真理を見たおかげで、この世界の成り立ちと、どうして自分が実装石に産まれてきたのかを思い出しただけテチ」

 「思い出したって……宙に高速で文字を書くどこぞの魔法使いのお兄様じゃないんだから」

 「人間さん、人間さんは“生まれ変わり”って信じるテチ?」

 生まれ変わり?
そんなもの、科学こそ万法の真理と心得るべき医者が信じるわけないだろう。
実装石には死んだ仔や出来損ないとして産まれた蛆実装を親が食ってしまうことで“産まれ直し”させてやろうとする習性があることは知っているが………

 「生まれ変わりだと? そんなものがあってたまるか。人間に限らず、生物の死んだ後に残るものは無だけだ。科学で証明できない死後の世界だの何だの、馬鹿馬鹿しいにも程がある」

 「じゃあ人間さんは、全てに“原因”があって“結果”があると思ってるテチ?」

 「そりゃそうだろう。そうでなければ科学や物理法則など証明できるものか」

 「だったらどうして人間さんはそんなお顔に生まれてきたテチ? どうしてブサイクな顔に生まれる人とイケメンに生まれる人がいるテチ? どうして若くしてハゲる人と、歳を取ってもフサフサの人がいるテチ?」

 「そ、それは親からの遺伝ってやつでだなぁ」

 「なら、人間さんはどこでそんな親から生まれる宿命を背負ったテチ? どうして貧乏な家に生まれる子や、お金持ちの家に生まれる子がいるテチ? ワタチたち実装石のように虐待される生き物に産まれる存在と、
  パンダさんのように大事にされる存在、どうして実装石は実装石に産まれて、パンダさんはパンダさんとして産まれてきたテチ?」

 「……………ッ!!!」

 確かにこいつの言うとおりだ。
この世に生を受けて以降のことならいくらでも説明がつくが、そもそものスタートラインの違いがどうして生まれるか、その“宿命”というものの原因については誰も解明することはできない。

 「………そこで昔の偉い人は考えたテチ。もしかして、生まれるよりも前に何かその原因となることがあるのではないかと。もしかしたら命というのは生と死を繰り返していて、前の生でやらかしたことが原因となって
  今の生での宿命が決定されているのではないかと」

 「……………」

 「そしてそれを“輪廻転生”とか、前世の行いが現世の宿命の原因となることを“業”(ごう)と呼んだテチ」

 「言いたいことは分かるが、そんなもん所詮は証明不可能だろ。ただの机上の空論……宿命なんてものは偶然やイレギュラーといった不確定要素の集合体だと考えたほうがよほど現実的だ」

 「確かに死んだ後の魂の行方が観測不可能な以上、証明も不可能テチ。でも、それらを評定することで一応の辻褄は合うテチ。むしろ科学を真理だと考える人がどうして原因と結果、つまり因果という
  科学の原理ともいえるものを無視して、宿命というものに対してだけ偶然で済ませようとするのか、逆にお尋ねしたいテチ」

 「むむむ………」

 「なにがむむむだテチ」

 こいつの言っていることは一応理解できる。
俺は医学部出身だが、仏教学科の友人が卒論を書くのに付き合っているとき、研究室に入り浸って様々な本を読んだことがあるのだ。

 こいつが本当に真理とかいうものに触れたかどうかはともかくとして、実装石の言語能力の謎っぷりを考えれば生前からこのような宗教的な知識について知っていることも特に不思議ではない気もする。
まあ実装石のデタラメっぷりにはもはやツッコむだけ無駄というだけなのだが。

 それにこいつの話が真実にせよただの妄想にせよ、なかなか面白い話であることには変わりない。
少々興味が湧いたので、しばらくこの不思議な実装石に付き合ってやることにしよう。

 そういやこいつ、実超石ではないと言ったが、また別の意味で珍しい個体だな。
名付けるなら仏法石? ……いや、真理=実相ということで、実相石といったところか。

 「ふむ……まあ納得しきれはせんが、とりあえず『生まれ変わり』というものを認めた前提で続きを聞いてやるとしよう。で、どうしてそんな話が出てきたんだ?」

 「ようやく本題に入れるテチ………実のところ、ワタチは本来実装石に産まれるはずの魂じゃなかったテチ。実装石たちの魂を救うために、あえて実装石として産まれてきた者なのテチ」

 「……………さんざん引っ張った挙句に言うことがそれか………百歩譲ってそれを信じたとして、それがなんだってんだ? ですから自分や他の実装石を虐待するのは止めて下さいとでも言いたいのか?」

 「全く逆テチ。実装石というものは他の人間さんを理不尽に傷つけたり不当に貶めるようなことをした人間さん—————たとえば“ヤ”がつく自由業の人とか、ブラック企業の経営者や管理職の人なんかが死んだ後、
  その報いとして産まれ変わった存在なんテチ。だから虐待であろうと愛護であろうと愛誤であろうと、どんな形でも人間さんのお役に立つこと、人間さんに好き勝手に扱われることでその罪を購うべき存在なんテチ」

 おいおい、実装石自身が口にする言葉とも思えんことをサラっと言いやがったな。
とはいえ、逆にそれでこいつの言うことに信憑性が出てきてしまったぞ。

 「罰として実装石に産まれ変わったんだから、人間さんが実装石を虐待しようが愛誤しようが全く罪にはならないテチ。むしろ実装石の罪を洗い流してやっている行為なので、善い業を積んでいることになるテチ。
  野良実装を虐待しても愛護派の人間さん以外は誰も咎めないし、他の動物を虐待する人間さんほど異常者扱いはされないテチ? 人間さんには本能的に“実装石は虐待してもいい生物だ”という意識が刻まれているんテチ」

 「つまり俺がどれだけ実装石を虐待しようが実験に使おうが、何も問題はないってことだな。じゃあお前はどうして実装石に産まれてきて、今ここでこんな戯言を吐いてるんだ?」

 「繭の中で一度溶けたとき、ワタチは命や魂の集合体………宇宙とか世界そのものとでもいうべきものを見たテチ。それに触れたことで、ワタチはさっきまで話したような知識や自分の本来の使命を思い出したんテチ」

 「使命?」

 「そうテチ。ワタチは実装石が少しでも心安らかに、前向きに死ぬことができるように、実装石たちに“実装石は人間さんに奉仕するために産まれてきた”ということを教えるために産まれてきたんテチ」

 うーむ、言いたいことは分かったが……こいつ、一つだけ肝心なことを忘れてないか?

 「人間さん、人間さんは実装石を虐待するのが大好きな虐待派テチ? だったらたくさん実装石を飼っていると思うんテチが……」

 「ああ、確かに虐待用、実験用、雑用実装と、かなりの実装石を飼ってるが……虐待派の中には虐待するときだけ公園の野良実装を浚ってくるやつとか、そもそも持ち帰らずにその場で殺して回るだけのやつもいるぞ。
  なんでわざわざ俺のとこに産まれてきたんだお前?」

 「別に人間さんのところを選んで産まれてきたわけじゃないテチ。ただ野良だろうと飼いだろうと食用だろうと、ワタチは産まれた場所で同じことを語ろうとしていただけテチ。もし人間さんがワタチの言うことに
  一切興味を持ってくれなくてただプチっと潰されたとしても、また別の場所に生まれ変わって同じことをするつもりだっただけテチ」 

 「ふーん。で、俺のとこにいる実装石どもに何の用なんだ?」

 「できれば一ヶ所に集めて、ちょっとお話をさせていただきたいテチ。そしてその後、人間さんがワタチを虐待して殺して欲しいテチ。それに耐えて笑って死んでいく姿を見せることで、実装石たちに人間さんの役に立って
  死んでいくことの素晴らしさと、その中に実装石の救いがあることを教えたいテチ」

 「おいおいちょっと待て。さっきお前、自分は実装石に産まれるはずではなかった魂だって言ったよな? それだと俺がお前を殺すのは実装石殺しとは違うってことで、俺が罪業を背負うことになるんじゃないのか」

 「それが罪になるのはワタチが死にたくもないのに殺されて、人間さんを怨む負の感情が向けられた場合テチ。ワタチは人間さんを怨んだりしないし、むしろ多くの実装石の魂を救うことに繋がるから善業になるテチ」

 「まあ……そう言うなら構わんが……」

 「お骨折り感謝するテチ」

 そう言って、仔実装ならぬ仔実相(?)はぺこりと頭を下げた。


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 そして、俺は家にいる実装石たちのほとんどを一つの部屋に集めた。
雑用実装たちは部屋の入口を固めるように数匹立たせているだけだが、虐待用に拉致してきた元野良や実験用にショップで買ってきた安売り実装たちは全て集結している。
仔実相が部屋の中央に立ち、それを虐待用実装や実験用実装たちが車座になるようにして取り囲んでいた。

 仔実相は集まった実装石たちに一礼すると、俺との対話で語ったのとほぼ同じことを滔々と話し始めた。

 曰く、実装石は人間に奉仕するために存在している。
愛護であろうと虐待であろうと、人間の求めるままに扱われることこそが救いを約束する。
野良生活で不幸な死を迎えても多少の罪は購われるが、人間を楽しませて死ぬことでもっと早く実装石としての生活から救われるなど、仮にこいつの言っていることが論理的には間違ってはいないにせよ、
傍から見ていたらまさに新興宗教の教祖か何かが無知な民衆を洗脳、煽動しようとしているとしか思えない内容だ。
しまいには、それを受け入れれば希望を胸に抱いて笑って死んでいけるとまで抜かしやがった。

 もしもこの説教、説法を聞いているのが中途半端に知恵のある者や、逆に己の考えを持てないほど意志薄弱な者であったなら乗せられ(騙され?)もしただろう。
だが—————

 「—————というわけテチ。だから人間さんに—————」

 仔実相がなおも演説を続けようとした瞬間、どこからともなく糞の塊が飛んできて仔実相の顔面に直撃した。

 「チュブア! ………な、なにをするテチ?」

 「やかましいデギャァァ!!! このガキ、エラそうにカマえてナニを言い出すかと思ったら……言うにコトかいてニンゲンのために死ねデス? ふざけんなデッスァァ!!!!!」

 「ここのニンゲンはワタシたちをさらってきてヒドいことをするやつデス! ワタシの長女も次女もウジちゃんも、みんなギャクタイされてコロされたデスゥ!」

 「このガキはニンゲンの手先デス! みんなでブッコロしちまうデスゥゥーッ!!!」

 「テ、テェェ……や、やめるテチ! そんなことをしたらさらに罪業を積むだけテ……チュベェ!」

 言いかけた仔実相の顔面に、元野良実装のパンチが炸裂した。

 「ナニをワケのわからんことを言ってやがるデスゥ! ニンゲンの手先は死にやがれデシャァァ!!!!!」

 そして、仔実装から成体実装まで合わせて十数匹の実装石たちによるえげつないリンチが始まった。
殴る、蹴る、踏みつけるはもちろん、髪を引きちぎり、服を引き裂いて禿裸にし、全身に糞を浴びせて貶める。
そして最初にキレた成体実装が馬乗りになり、マウントポジションからのパンチで仔実相はボコボコにされた。

 「テ………テチィィ……………」

 成体実装同士の喧嘩でも、ウエハースをマシュマロで包んだかのように脆い実装石の肉体はたやすく壊れる。
ましてや仔実装サイズの者が成体実装にやられたとあっては、体はもはや原形を留めてはいなかった。
仔実相は手足がおかしな方向に折れ曲がり、胴体は踏みつけてしまったコッペパンのようにほぼ扁平に潰れている。
顔は片目が飛び出し、逆の耳はちぎれて取れかかっていた。
そんな姿でなおも喋ろうとしているようだが、顎が砕けているのかまともに声が出ない。

 「デフー……………デフー……………ざ、ざまあ見やがれデスゥ」

 荒い息を吐く成体実装が勝ち誇った顔をする。
部屋の奥でその顛末を見ていた俺は椅子から立ち上がると、仔実相のほうへと歩いていった。
ずかずかと近づいてくる俺にビビった実装石どもがそれに合わせて後ずさる。
俺は再び円を描くように取り囲まれる格好になった仔実相の前に座り込むと、顔を覗き込んで生死を確認した。
どうやら辛うじて息はあるらしい。

 「あー……やっぱりこうなったか。お前、一つだけ致命的に間違ってることがあるよ。それは『実装石にはお前のご高説やその論理を理解する知能と、それを受け入れるだけの高尚な精神性がない』ってことだ。
  啓蒙するなら実装石じゃなくて人間のほうにすべきだったな。まあ自分が実装石に生まれ変わるべき魂じゃなかったって言うなら、次は人間に生まれ変わって人間側を啓蒙するんだな」

 「テ………チ……………」(パキン!)

 仔実相は最後に力なく一鳴きすると、偽石を崩壊させて絶命した。

 「とはいえ人間側を啓蒙するにせよ、虐待派ってものは希望を胸に笑って死んでいく実装石を見たいんじゃなくて、恐怖と絶望に顔を歪めて死んでいく実装石が見たいんだってことを分かってないようじゃ
  また失敗すると思うけどな」

 この仔実相は本当に実装石の魂を救うため、自ら実装石として産まれてきた徳の高い魂だったのかもしれない。
だが、こいつ自身が実装石というものの愚かさと性根の腐りっぷりを、そして人間(虐待派)というものの性(さが)を理解していないようでは、何度やり直したところで人間も実装石も変えられはしないだろう。
対象についての正しい認識を持たず、評価を誤ったうえでの対処など、やはり誤ったものにしかならないのだ。

 実装石どもは仔実相の体を踏みつけ、引き裂き、食いちぎり、その残骸に蛆実装たちがたかっている有様だったので、もはや赤と緑の血と潰れた肉片しか残っていない。
俺は実装石の死に対して憐憫の情など毛筋ほども抱いたことはないが、実装石たちの魂を救わんとした実相石の無惨な姿にはさすがに多少の憐れを感じずにはいられなかった。

 そういえば、仏教学科の研究室でチラ読みした『現代語訳・法華経』には、お釈迦様が過去世で菩薩として修行していた頃、それを嘲笑ったり物を投げつけたりして迫害した連中が死んだ後に地獄に落ちて、
長い間苦しんだ挙句にようやく生まれ変わってお釈迦様の弟子になり、救われたって話が載ってたな。(※注:『不軽菩薩品』より要約)
いま仔実相をリンチして殺した実装石たちも、地獄に落ちた後に苦しみ抜いていつか救われる日が来るのだろうか?
ならば、俺もこいつらを地獄に送るのに少しばかり協力してやるとしようか。
なにせ実装石を殺すことは罪にならないどころか、善い業を積む行為らしいからな。

 ————— ドパカァン! —————

 「デブュェ!!!」

 俺が一番近くにいた成体実装の顔面をつま先で思い切り蹴り込むと、吹っ飛んだ成体実装はリンチに参加せずに遠巻きに見ていただけのお手伝い実装たちの頭上を飛び越え、壁に激突した頭が水風船のように破裂して
壁に赤と緑のシミを作った。

 「デヒャアァーッ!?」

 「や、やっぱりこのニンゲンはワタシたちも殺すつもりデス! ニゲルデス! ニゲルデスゥー!!!」

 「ワ、ワタシたちは何もしてないデスゥゥーッ!」

 たちまち部屋の中が蜂の巣をつついたような大騒ぎになる。

 「フオーーーーッ!! きさまら一匹残らず皆殺しだ〜〜〜〜っ!!」

 虐殺王と呼ばれた頃の本性を表したシ○バーマンのように荒ぶりながら、俺は雑用実装も含めた実装石どもを部屋の壁に向かって蹴り飛ばし続けた。


-END-


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 あとがき


 今回はちょっと虐待成分が薄めになってしまいましたが、作者にとって実装石というものがどういう存在なのかを作中の実相石を通じて語らせました。

 愛護と虐待いずれの対象としてにせよ、実装石は人間の役に立つべき家畜のような存在であり、そのような存在として産まれてくるのは前世の行いが悪かったせいであるから、
虐待しようが愛誤の末に死なせてしまおうが、気に病んだり恥じたりする必要は一切ないというのが作者の基本スタンスです。
しかしどちらの立場にせよ、それを他の人間に押し付けようとしても意味がない、むしろロクなことにならないというのを実相石と実装石のやり取りを通じて描いてみました。

 ちなみによく言われる『死んだ後に霊魂だの何だのが残るなんてのは信じられん。意識を司る脳が消滅するんだから無に決まってんだろ』という意見や、
『釈迦は輪廻転生があるなんて言ってない。無記述であって、そんなこと考えるより修行しろって言ってる』という意見にもちゃんと実相石なりの反論をするシーンがあったのですが、
長さはともかくさすがに理屈っぽくなりすぎるので割愛しました。
作中の主人公のように、半信半疑ならぬ半信半スルーの感覚でお読みください。
感想の※欄で要望でもあれば編集し、以下におまけとして載せてもいいのですが……

 次回作はまたエンタメ性を重視したものを書きたいと思います。


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 おまけ(※欄のほうで要望がありましたので掲載)

 「なにがむむむだテチ」の後あたりに追加してお読み下さい


 「とはいえ、やはり死んだ後に霊魂だの何だのが残るなんてのは信じられん。意識を司る脳が消滅するんだぞ?」

 「人間さんは『九識論』を知らないテチ? 昔、中国の偉いお坊さんが書いた本に載ってるテチ」

 「聞いたことぐらいはある気がするが、内容までは知らん」

 「人間さんに限らず、生物には五感にあたる『眼』『耳』『鼻』『舌』『身』の五識があり、それらを統合する『意』識があるテチ。人間さんが言うように、死んだ後に朽ちたり火葬されたりして
  無くなってしまうのはここまでテチ。けど、さらにその深層にも『識』はあるテチ。例えば第七識の『末那識』(まなしき)。これはよくRPGとかで魔法を使うMPの素になると言われている『マナ』の語源テチ。
  これには実体がなく、肉体が消滅しても消えない魂そのもの、キリスト教やユダヤ教圏とかで言われるエーテル体みたいなものテチ。心理学でいう無意識とか集合意識に近いものと考えることもできるテチ」

 「いや、理屈自体は分かるが、その説明じゃ証明にはなってないだろ」

 「だからさっきも言ったとおり、観測が不可能だから証明も不可能テチ。けど、人間さんはTVを見たり電話を使ったりするテチ? あの電波だって似たようなものテチ。目には見えないけどちゃんと飛び交ってるし、
  受像機や受信機があればその内容を再生するテチ。同じように、死んで肉体がなくなっても魂の内容は変わらないテチ。善い業を積んだ魂はそれに相応しい善い状態のままだし、悪い業を積んだ魂は悪い状態のままテチ。
  それがいわゆる天国とか地獄という状態テチ。本当にそういう場所があるわけじゃなくて、魂に相応しい“境地”を感じて……違うテチ。意識や感覚器官で“感じる”のではなく、『末那識』で“観じる”テチ。
  全ては自分自身の魂が“観せている”イメージにすぎないテチ。だから西洋人と東洋人で天国や地獄のイメージが似通っていたり、逆に共通点があったりするテチ」

 「ほう、なるほど……そう考えると逆に天国や地獄というものの存在にも信憑性が出てくるな」

 「そしてまた新たな肉体を得るときが来ても、善い魂は善人になれる運命や宿命を持って生まれてくるし、悪い魂はまた悪人になってしまうような境遇に生まれてくるテチ。泥棒をするような人間さんは
  “泥棒をしても何とも思わないやつ”、人殺しをするような人間さんは“平気で人を殺せるやつ”というレッテルが魂に貼られるテチ。そしてまた“そんなことをしなければいけない宿命”を持って生まれてくるテチ。
  これが『業』というものの恐ろしさテチ……だからこそ悪いことをしてはいけないんテチ」

 うーむ……オカルトという点においては同じ土俵の話だが、倫理向上のための理屈としては神様がバチを当てるだとか、ただ地獄に落ちるとかいう迷信じみた話よりもよほど筋が通っている気がする。

 「その『業』が蓄積されている場所……あらゆる命の宿命を決定付ける原因である魂の深層を『阿頼耶識』(あらやしき)。さらに『業』がへばり付く以前の清浄な状態の魂の層を『阿摩羅識』(あまらしき)
  というテチが……長くなるので省略するテチ。ただ魂は転生するもので、その背負った業によって生まれや宿命が決定付けられるということだけ分かっていただければいいテチ」

 「それ、仏教の話だよな? 原始仏教には輪廻だの転生だのなんて話は出てこないと聞いたことがあるが……」

 「そもそも初期の仏教というのは『成仏』とか『仏』というものについて理解が及ばない無知な民衆にも分かりやすいように、イメージとして伝わりやすいように説かれたものテチ。歳の小さい人間さんが溺れないように
  “カッパが出るから池に近づいちゃいけない”と教えるようなものテチ。でも本当はそんなものいないテチ? それに少し大きくなってひねくれた人間さんにカッパの話なんてしたら、むしろ池に近づこうとするテチ。
  だからある程度の知恵がついたら、池の中に藻が生えてて足が絡まってしまうんだと本当のことを教えるテチ。それが後期の仏教テチ。中〜後期の仏教には、お釈迦様が仏様になれたのは前世やそのまた前世で
  こんな修行をしたからなんですよというふうに、何度も生まれ変わってることが前提で語られているものがたくさんあるテチ。(※注:『金色王経』など)そこを読まずに『輪廻転生』という文言だけ探して、
  見つからなかったからといって“輪廻転生なんてお釈迦様は言ってない”というのは間違いテチ」


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1 Re: Name:匿名石 2016/11/09-00:01:55 No:00002748[申告]
実装石を虐待用動物として扱う作者さんなりの理由を示しながらも
虐待、愛護いずれも自由、どちらにせよ実装石は人間に構ってもらってナンボと結論づけたうえで
さらに持論の押し付けはろくなことにならないってオチにすることで
最近※欄で争ってる愛護派、虐待派双方へのカウンター作品になってるのがいいな
これだよ
※欄は作品の感想書くべき場所なんだから、持論を披歴したいなら作品を書いてその中でやってくれ
2 Re: Name:匿名石 2016/11/09-00:44:08 No:00002750[申告]
なまじ賢い実装だったばかりに自分以外の実装の愚劣さを忘れてたのが仔実相の失敗か
賢い実装が実装界の変革とか人間との関係とか考えて活動するとこういうオチになりがち
でも、そのありがちがいい
頭でっかち実装の末路はいいものだ

※1
それこそあなたなりに実装の喜劇なり実装周りの人間達の狂騒劇なり書いてそれを通して主張したら…って案件だな
持論を語るやつは邪魔だが作品を語るのは申し訳程度で他人そのものに文句言ってる人の方がもっと邪魔
3 Re: Name:匿名石 2016/11/09-00:49:58 No:00002751[申告]
なんでや!
○ルバーマン本人は慈悲の理想を願った正義超人やないか
実装だと手足短すぎの頭デカすぎで虐殺王ごっこやっても楽しくなさそうだな
4 Re: Name:匿名石 2016/11/09-00:53:00 No:00002752[申告]
実相が言ってるでも作者さんが実相に言わせてるでもいいけど実相なりの反論は読みたいぞ
蘊蓄や高説が積み重なってれば積み重なってるほど他の実装には通じずにリンチされる末路が映えるからな
5 Re: Name:匿名石 2016/11/09-00:59:51 No:00002753[申告]
忠実に使役されてただけなのに巻き込まれる雑用どもかわいそう
他は雑に殺されてよし
6 Re: Name:匿名石 2016/11/09-01:25:55 No:00002754[申告]
仏法を語るつもりが自分が末法になっちまったなあ
7 Re: Name:匿名石 2016/11/09-20:35:35 No:00002761[申告]
あくまで実装石作品に求めるものじゃないかもしれないが
実装が人類史上でも最高の智慧者がそんなものないよって言ってるものに反論する姿はちょっと見たい
8 Re: Name:匿名石 2016/11/09-20:43:28 No:00002763[申告]
実装石というだけで生まれついて末法だから仕方がないね
9 Re: Name:匿名石 2016/11/10-07:36:51 No:00002765[申告]
荒れるようなことはすべきでないって「正論」も言い方や状況次第ではそれ自体荒らしになるってことだろ
根本的に作者さんと管理人さん以外が他人の書き込みに言及すべきじゃないんだよ
時間にしてまる1日、間のレス数も5個以上ついて流れてる状態で蒸し返すような最後に俺の意見を言わなきゃ気が済まないさんには理解できないだろうが
10 Re: Name:匿名石 2016/11/10-07:53:51 No:00002766[申告]
持論を延々やるやつらが1番悪いが
作者氏からは他人の感想や持論にあれこれ言うやつも含めて
虐待派も愛護派もなく押しつけはやめた方がいいって言われてるんだろうに
俺は正論、俺は枠外と思ってる※1や※9みたいなのがいるから意見そのものは正論なはずなのに自治厨扱いを受けちゃうんだろうな
無能な味方が1番の敵とはよく言ったものだよ
11 Re: Name:匿名石 2016/11/10-08:00:24 No:00002767[申告]
そんなことより仏法石の高説を聞いてやろうぜ
…つまらん
やっぱ虐殺だな!
12 Re: Name:匿名石 2016/11/10-12:24:50 No:00002768[申告]
実装だからこその面白解釈が聞けるかと思ったら後期仏教的な釈尊生存時とのずれの理由付けまんまで
そこはもっと頑張れ実僧と思った
13 Re: Name:匿名石 2016/11/10-18:12:11 No:00002771[申告]
実相以前に仏教の変容なんかの勉強になってよかった

実相はどうすれば他の糞蟲を教化できたんかね
人間で生活に余裕があって何より自分から学ぼうとする人でも頭抱えるレゾンデートル問題を研究所に集められただけの野良実装に理解させるには
14 Re: Name:匿名石 2016/11/10-20:03:25 No:00002774[申告]
実相石もだけど自分が至ったのと同じルートで理解、定着させてそれに基づいた行動をさせようって考えるから
並みのバカ実装なんてどうやって教育すればええんじゃ?って問題にぶち当たるんじゃないか
野良実装にニンゲンの役に立つように行動させようと思ったらこの世では虐待されたりきつい教育されたりで苦しんだ方が天国で永遠に贅沢と好き勝手できるとでも言ってやりゃいいんだ
嘘も方便だ

そう簡単に行ってくれるといいが、実装じゃ来世の概念を理解できないか
理解できても今もあの世も両方シアワセにしろ!でますます糞蟲化するか…
15 Re: Name:匿名石 2016/11/10-21:48:13 No:00002777[申告]
>心理学でいう無意識とか集合意識
ん?集合的無意識が阿頼耶識じゃなかったけ?
末那識は、他の識を受けて、故に我があるっていう自我の立ち位置を示すって認識だったんだが。
昔、般若心経についてお坊さんの講釈を聞いたのをうろ覚えにしてるだけなんで、間違えてるかもしれん。仏教系の方で、詳しい方いたら、講釈よろろ。

あと、マナの語源て本当?
サンスクリット語で末那識はマナスだから、まあありそうちゃありそうだけど。

自然崇拝が発祥だと思ってたんで、語源元的に拝火教のVohu Manahから来てる言葉だと思ってたわ。
16 Re: Name:匿名石 2016/11/10-22:09:21 No:00002778[申告]
>>2777
その解釈で間違ってないよ
無意識=末那識 集合的無意識=阿頼耶識という感じで

だけどこの場合は「六識よりも深層」という意味で使われてるから
そこまで詳しくない人間相手だからまとめて言ってるだけだと思う

末那=マナというのも学術的にどうこうという話じゃなく
本当の意味でのマナの語源というよりは、精神世界のことだからMPの素だろ的な単純な理屈で
ゲーム会社が使い出したんだということを指してるんだろう
17 Re: Name:匿名石 2016/11/10-22:21:40 No:00002779[申告]
>>2778
講釈ありがとー。

どちらにせよ、新たな実装種、実相石は設定として凄く面白い。
派生として解脱を目指す実僧石とか、実装に仏性は宿るのかと禅問答しあう虐待派の話も楽しそう。

スク読み返してて思ったけど、仏教テイストなら、六道とかの方がイメージが湧きやすかったかも。

天道
人間道
修羅道
畜生道
餓鬼道
地獄道
new!実装道

実装道にまで堕ちたら、果たして解脱できるかね?www
18 Re: Name:匿名石 2016/11/10-22:47:55 No:00002780[申告]
実相の言うことを信じるならば実装虐待は実装の魂を救済して別の道に上げる効果があるはずだから
実装道からの直通は無理でもいつか解脱に至る可能性は残されているはず
虐待や愛護、使役で与えられた救済値-実装生でさらに積んだ悪業値>実装道から抜けるのに必要な救済値になればだとすると
相当な善蟲生が必要っぽいが
19 Re: Name:匿名石 2016/11/24-18:21:11 No:00002950[申告]
バンバンバンプ紅白出場おめでとう
このスクの設定だと実装にも前前前世はあるだろうけど
3年前に同じような虐待で殺した10代くらい前の実験用実装が今日殺した実装の前前前世とか
そのくらいの雑で業が深い輪廻巡ってそう
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