前編のあらすじ。
実装ちゃん愛護派である私、桐野マイ。
その日は休みを利用して愛実装のコミドリ37世と一緒に市内の大きな公園に遊びに来ていました。
愛情いっぱいに遊ぶ私たちでしたが、なんとちょっと目を離した隙にコミドリが迷子になってしまいました(笑)!
とってもいい仔だけど、家の中以外のことは何も知らないか弱き飼い実装のコミドリ。
果たして、ご主人様から離れてしまったコミドリの運命やいかに……!?
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【コミドリ】
「テェ……」
ごわごわした感覚に目が覚める。
まだ周りは暗い。朝じゃないからもうちょっと寝てようと思ったけど、いくら手を伸ばしても毛布が見当たらない。
しかたなく目を開けて周りを見てみると、そこはいつもの『わたしのお家』じゃなかった。
「テッ!」
びっくりして飛び起きる。
目の前にあるのは緑の草。寝ていたのは土の地面。
見上げれば近くには大きな木が何本もあって、空には白いお月様が輝いてる。
「テェッ!? テェッ!?」
なに、ここ……!?
ここはどこ!? わたしのお家は!?
ぶるぶる。頭を振ってよく考える。
そういえば、おねむする前にご主人様に挨拶してない。夜のごはんも食べてない。
どうしてこんな所にいるんだっけ。必死になって考える。
「テチャッ!」
そうだ、思い出した。
わたしはご主人様と一緒にコウエンに遊びに来てたんだ。
ボールとか滑り台とかでいっぱい遊んで、ご主人様と一緒にお昼ごはんを食べて。
それから、それから……
ふたりの『のら』ジッソウに出逢って、『タンケン』に出かけた!
ご主人様から離れるのはこわかったけど、ふたりはいいひとで信頼できたから大丈夫だと思った。
煉瓦のどうろを歩いた。綺麗なお花があった。遠くには大きな水たまりもあった。
初めてのタンケンはドキドキでいっぱいで楽しかったけど、ファンさんとネルさんとお話をしてたら、急に眠くなって……
そのまま眠っちゃったんだ!
だから今は夜で、ファンさんとネルさんもいなくなっちゃって……
そうだ、ご主人様は!?
「テッチューッ! テチューン!」
ご主人様! どこ! どこにいるの!?
周りを見回すけど、ご主人様の姿はどこにもない。
知らない場所。周りは真っ暗。誰もいない。
頭の後ろから背中当たりがゾッとする。
こわい。こわい。こわい!
「テェェェェン! テェェェェェェン!」
心細いよ。かなしいよ。
どうしてご主人様いてくれないの?
「テェェェェェェェェェェン!」
わたし、これからどうなっちゃうの……?
【マイ】
「ああっ……♪」
私は泣き叫ぶコミドリの姿を遠くから暗視スコープで眺めながら、そのかわいらしい鳴き声に思わず身を震わせました。
ああ、コミドリ。私のコミドリ。
きっと今ごろすごく不安なんだろうな。悲しいんだろうな……♪
その感情を想像するだけで胸の奥がキュンとしちゃいます。
いま、間違いなくコミドリの命は輝いてますよ!
私が今いるのは、昼間の県立公園の中心部にある監視塔の上です。
実装ちゃんの大きさから見れば広大な公園ですが、人間なら高い所に登れば一望できる程度しかありません。
ここからならコミドリがどこにいても様子を見ることができます。
万が一、見失ったとしてもコミドリのリボンにはGPSがつけてありますし、
リンガル機能付き盗聴器で声はどこにいても聞こえます。
この県立公園に本物の野良実装や危険な野生動物はおらず、夜間封鎖されるので親切な通りがかりの愛護派に保護されることもありません。
コミドリがこれからどうなるか、何をするにも自分の行動次第です。
……え? 夜間の公園だって管理人くらいいるだろうって?
ええ。もちろん把握しています。申し訳ないけどちょっと眠ってもらってますよ。
さて、コミドリはそのまま三〇分ほど泣き続けてました。
いつしかその場で横になって膝を抱え、テチュンテチュンと小さな声でしゃくり上げています。
……かわいいなあ♪
しかしいくら泣いても私がやって来ないと気付くと、気持ちを切り替えたのか立ち上がって首を振りました。
お、さすがコミドリ!
さて、私の愛実装はいったいどんな行動をしてくれるのでしょう?
【コミドリ】
このままじゃダメだ。
知らない場所はこわいけど、泣いててもご主人様は来てくれない。
だってこのコウエンはものすごく広いから、きっとわたしの声も届かないんだ。
もしかしたらご主人様もわたしを探しているかもしれない。
ううん、きっと探してる。
元はと言えばわたしがタンケンに行くって言ってご主人様から離れたのがわるいんだ。
しかも勝手に寝ちゃったから、ファンさんとネルさんはたぶんお家に帰っちゃった。
でもご主人様は絶対にわたしを置いて帰ったりしない。
ご主人様はとても優しいひとだから、きっとわたしがいなくなって悲しんでる。
わるいのはわたしなんだから、わたしがご主人様を探さないと!
「テェェ……」
そう思って前を見るけれど、目の前に拡がるのはとても広くて暗い森。
よくわからないけど暗いところはこわい。何かが出てきてわたしを傷つけそうな気がする。
でも、行かなきゃ。
ご主人様はたしかわたしが離れる前にこう言っていた。
「このベンチで待ってるからね」って。
広場にあった長い木の椅子。
もしかしたらご主人様はそこでずっとわたしを待ってるかもしれない。
はやく行ってあげなきゃ、ご主人様もきっと心細いって思ってる!
「テッチ、テッチ」
昼間の景色を思い出しながら、わたしはこわいのを我慢して一生懸命走る。
夜のコウエンは静かですごく不気味。
だけどご主人様が待っていると思えば頑張れる。
煉瓦のどうろ。そうだ、ここを通った!
この草の所を抜ければ、ご主人様の待ってる広場がある!
「テェテ、テッチュー!」
わたしはご主人様を呼びながら走る。
広場に出た!
……あれ?
昼間とふんいきが違うけど、そこは確かにさっきボール遊びをしてた広場……だと思う。
だけど、なんで……
ご主人様がいるはずのベンチがないの?
【マイ】
おおーっ、すごいすごい!
コミドリちゃん、ほとんど間違えることなく昼間の広場までたどり着けました!
そこに私が待ってると信じて、勇気を振り絞ってがんばったんだろうね!
だが残念だったな、ベンチはすでに知り合いのマッチョに頼んで撤去済みだ。
ベンチがあった辺りにやって来て、きょろきょろと首を回して辺りを見回しています。
私の名前を呼んだり、なぜか地面を掘り始めたり、空を見ながらぴょんぴょんと飛び跳ねてみたり。
いろいろやっていたけれど、やがてそこが記憶にある場所とは違うと判断したみたいです。
コミドリは広場から離れて、また別の場所を探しに行きました。
【コミドリ】
道を間違えちゃった。
昼間と違って暗いし、来たときと違ってひとりだけだし。
わたしのばか……なんで、もっとちゃんと道を覚えておかなかったの!
「テェェェン……」
だめ、また悲しくなっちゃう。
泣いてちゃダメ。ご主人様だって悲しんでるはずだから、がんばって探さないと。
でも必死で走ったから、足がとても疲れちゃった。
私はその場でぺたりと座り込んだ。
ご主人様……勝手なことしちゃってゴメンナサイ。
涙がぽろぽろとこぼれる。寂しいのもあるけど、それ以上に自分が情けなくて。
一体どうすればご主人様に会えるんだろう。
もう一度大きな声で呼んでみたら、声が届くかな。
……ん? 呼ぶ?
「テチャッ!」
そうだ、ご主人様から渡してもらったジッソウフォン!
何かあったらあれでご主人様を呼べって言われた!
あれがあればご主人様とお話しできる! わたしを迎えに来てくれる!
身体をぺたぺた触ってみる。
えっと、えっと。どうしたっけ。どこやったっけ。
そうだ、思い出した!
ファンさんたちと遊ぶのに邪魔だから、ニンゲンサンに踏まれないようにってお花の所に置いておいたはず!
「テッチ、テッチ、テッチ、テッチ」
今度こそご主人様に会えると思うと、疲れた足もがんばって動かせる。
でも。
「テチャッ!?」
小石に躓いて転んじゃった。地面に顔をぶつけた!
「テェェ……」
いたい、いたいよ……
でも……泣いてられない! はやくご主人様に迎えに来てもらわないと!
「テッチ、テッチ、テッチ、テッチ、テッチ」
なんとかお花の所に辿り着いたけど、もう足はガクガク。
また倒れそうになるのをがんばって我慢して、お花の中に入っていく。
……あった!
ご主人様がいつもつかってる『すまほ』を小さくしたみたいなジッソウフォン。
これでやっとご主人様とお話ができる。できる、けど。
「テェェェェェ」
使い方がわからないよ……
ジッソウフォンの使い方を覚えたネルさんはいない。
教わったやりかたが難しかったからって、自分で覚えようとしなかったのがわるいんだけど。
本当にわたしってばか……こんなばかじゃご主人様から見捨てられちゃう。
やだ、そんなのやだ!
「テチャッ! テッ! テェェッ!」
なんとかうろ覚えの記憶でジッソウフォンをいろいろやってみる。
叩いてみたり、撫でてみたり、話しかけてみたり。
でもジッソウフォンのがめんは黒いまま。何も喋ってくれない。
せっかくご主人様とお話できるキカイがあるのに、なんで……
【マイ】
コミドリ! コミドリ!
どうやっても使えない実装フォンを抱きかかえながら、涙目で自分を責めて私に謝ってる!
くわ〜ん、かわいいよ〜!
でもごめんね! それ本当は実装フォンじゃないの! ただの黒い板なの!
はぁはぁ……あまりの愛しさに危うく大声で叫ぶところでした。
高い知性はあっても、信じた相手を疑うことは絶対にしない。
実装ちゃんという生き物は本当に人間と動物のいいところ取りです。
あえて言うなら人間の子どもならこんな感じでしょうか?
もちろん、私のことを盲目的に信頼するよう注意を払って躾してきた成果なんですけどね!
さあ、次はどんなかわいい姿を見せてくれるんでしょう。
そう思いながらスコープを覗くと、予想外の状況がそこにはありました。
【コミドリ】
「ククク……糞蟲ィ、こんなところでなにやってんだィ……?」
「テェッ!?」
ジッソウフォンを夢中で弄ってたら、いつの間にか後ろにニンゲンサンが立ってた。
もしかしてご主人様かなってちょっと思ったけど、そこにいたのはご主人様とは似ても似つかない大きな男の人。
不気味で、こわい雰囲気の人。
オニイチャンサマのこわいときにちょっと煮てるけど、それよりもっとこわい……!
「ああ、夜の散歩もたまにはいいもんだィ……最近は野良の糞蟲もめっきり見なくなったからなィ……」
こわい人は背中に手を伸ばすと、赤と青の長い棒を取り出した。
それを見た瞬間すごくぞくっとしてこわくなった。
「テチャァーッ!」
この人はわたしに酷いことをするニンゲンサンだ!
逃げなきゃと思うけど、足が震えて動かなくて……
「ヒャッハァィ! 死ねや糞蟲ィ!」
こわい人が赤と青の棒を振り上げた。
【マイ】
ちぃっ! 野生の虐待派かっ!
本当にこいつらはどこにでも湧きます。蛆虫め!
コミドリ自身の行動の結果ならともかく、通りすがりのつまらんこわっぱにコミドリの命を与えてやるわけにはいかないのです。
私は腰のベルトに差した『黒き断罪の短刀(カンビクション・ブラック)』を抜き放ちました。
腰をかがめ、気合いを込めて刃を一閃します。
「『星裂流・飛翔真空斬』!」
【コミドリ】
「アイエエエ!? ウデセツダン!? ウデセツダンナンデ!?」
こわい人が赤と青の棒を振り上げたと思った瞬間、手が途中から切れて棒ごと吹き飛んだ。
すごく血がたくさん出て、こわい人は涙目でちぎれた腕を残った手で掴んで逃げていく。
「テェ……?」
助かった……?
よくわからないけど、よかった……
安心したら急に心配になってきた。
あの人、すごい怪我だったけど大丈夫かな……?
逃げるとき泣いてたけど、もしかしたらあまりわるい人じゃなかったのかもしれない。
またすぐ腕が生えてくるといいね。
【マイ】
ふう、間一髪でした。
私が放った真空の刃(遠距離攻撃)は野生の虐待派の腕を切り落とし、
なんとかコミドリに気付かれないよう撃退することに成功しました。
これも通信教育でナイフ術を習っていたおかげです。
やはり何でも手を出してみるモノですね。
真空の刃で切られた腕は出血も少なく、運が良ければまたくっつくこともあるでしょう。
まあ実装ちゃんをいじめる虐待派など死んでも構いませんが。
【コミドリ】
「テェェェ……」
ウンチを漏らしちゃった。
あのこわい人がすごくこわかったからだけど、こんなんじゃご主人様に会えないよ。
せっかくいい仔になれてきたのに、これじゃまた昔みたいにお仕置きされちゃう。
わたしはぱんつを脱いで、とりあえず漏らしたウンチを地面にこぼした。
このままだと怒られるかなあ。砂をかけておけば大丈夫かなあ。
地面から土を集めて、見えなくなるまでウンチの山にかける。
これで許してもらえるかな?
ダメだったらちゃんと謝ろう。
もしかしたらお仕置きされるかもしれないけど、ちゃんとゴメンナサイって言う。
……でも、そのためにはまずご主人様に会わないと。
ウンチで汚れたぱんつをもう一度履く。
ぬめっとして気持ち悪いけど、ぱんつを無くしたなんて言ったらもっと怒られるから。
あ、そうだ! 向こうの方に大きな水たまりがあった気がする!
そこでちゃんとぱんつを洗えば、ご主人様もそこまで怒らないかも?
「テッチ、テッチ」
大きな水たまりに向かうよ。
何度か休憩しながらやっと辿り着いた水たまり。けど……
「テェェ……」
水たまりの前には段差があって水まで手が届かない。
下手に乗り出したら落っこちちゃう。
どれだけ深いかわからないし、わたしは泳げないから落ちたらそのまま沈んじゃうかも。
残念だけど、ぱんつは洗えそうにないよ。
「テ……?」
ふと、頭にぽつりと冷たいのが当たった。
見上げると上から水が降ってきていた。
最初はぽつぽつと、すぐにびちゃびちゃ、そしてざーざーと振り始めた。
これ知ってる。『あめ』ってやつだよ。
いつもはお家で窓の中から見てるだけだったけど、こんななんだ……
「テチャァ……」
なんだか少し楽しくなる。それに、これならぱんつも洗える。
わたしはぱんつを脱いであめの水に当てて、ごしごしと擦った。
あめはウンチを洗い流してくれて、わたしは嬉しい気分になった。
けど……
「テチィィ……」
身体が、お服があめで濡れて、すごく寒い。
もういいよ、あめ、とまって!
お願いしてもあめは止まってくれない。
このままじゃ寒くて死んじゃう!
はやく、あめを避けられるところに移動しないと……!
【マイ】
「雨……か……
空よ、私のために泣いてくれているのか……?」
まあそんな冗談はともかく、雨です。
冷たいです。春先とは言えこの土砂降りはキツいです。
ですがコミドリががんばってるのに私だけ避難するわけにはいきません。
このまま濡れながらコミドリの観察を続けます。
さて、初めて打たれる雨にコミドリはどんな対処をするのでしょうか?
【コミドリ】
木の下に隠れても雨は少し落ちてくる。
これじゃダメ。もっと安全なお部屋を探さないと。
「テッチ、テッチ、テッチ、テッチ、テッチ」
いっぱい走った。
足が疲れてもう動きたくないけど、このあめの中で止まったらきっとさむくて死んじゃう。
一生懸命がんばって、ようやくお屋根があるところを見つけた。
コウエンの入り口の近く。
そこはニンゲンサンのお家の小さいみたいなのがあって、あめが当たらないようになってた。
「テチィ〜ッ……」
濡れたお服が冷たい。
このままじゃあめに当たらなくても寒くてたまらない。
お外ではだかになるのは嫌だったけど、思いきってお服を脱いで、両手でぎゅーって絞る。
水がいっぱい出たからもう一度着てみるけど、まだ全然乾いてない。
どうしよう……やっぱり脱いでおいた方がいいかな?
うん、そうしておこう。
お服を脱いで、地面にぺたりと置いておく。
「テチテチテチテチ……!」
さむいよお。
ご主人様に温めてほしい……。
「テチャッ!?」
ふと、わたしはあることに気付いた。
コウエンの入り口。そこに停まっている『ばいく』が見える。
ご主人様とわたしが乗ってきた、ばいく!
やっぱりご主人様はまだコウエンにいるんだ!
わたしを置いて帰っちゃったりしてない!
「テェェェ……!」
身体はさむいけど、胸の奥があったかくなる。
でも同時にすごく不安になるの。
ご主人様、もしかして今もあめの中でわたしを探してるんじゃ……?
ばいくの所にいればいつかご主人様が戻ってくるかもしれない。
でも、あめの中でがんばってわたしを探してるご主人様を放っておけない!
「テチテチ……テチッ!」
わたしは自分の頬をぺちっと叩いて気合いを入れた。
それからまだ濡れた服を着て、お屋根の下から出た。
このコウエンのどこかにいるご主人様を探してあげるため。
一緒にお屋根の下に隠れて、一緒にあったかくなるために!
「テチーッ!」
待っててね、ご主人様!
【マイ】
「はふっ、はひっ……ふひっ、ほっ、ほああーっ! ほあーっ!」
ダメです。思わずへんな奇声を上げてしまいました。
ゴロゴロと転がって悶えたので全身びしょ濡れですが、気にしてる場合じゃありません。
だって、だってですよ!?
コミドリってば、せっかく濡れない場所を見つけたのに、あんなに疲れてるのに……
どこかで濡れてるかもしれない私を心配して、また雨の中に飛び込んでいったんですよ!?
飼い主冥利に尽きるというか、実装ちゃんのかわいさはとどまることを知りませんよ!
はうう……コミドリ、いい仔だよぅ……♪
いまあなたの命は輝いてる、とっても輝いてるよ……♪
だからコミドリ。
せめて朝までがんばってね。
【コミドリ】
「テヒッ、テヒッ……」
ちゅんちゅん……とどこかで鳥さんの声がする。
地面に倒れたまま見上げるお空は、気付けばほんのりと明るくなっていた。
もうあめは止んでいる、けど……
「テヒン! ……テヒャァ……」
走りすぎた足は痛くてもう動かない。
あめをたっぷり吸ったお服は冷たくて身体がぶるぶる震える。
さっきから何か身体の調子がおかしい。テヒンテヒンって『せき』が止まらない。
必死に探したけど、ご主人様は見つからなかった。
ご主人様がわたしと同じふうに苦しんでると思うと、とても悲しくて涙が止まらない。
でも、これ以上うごけないよ。
ごめんなさい、ご主人様……
「テェェェン……テェェェン……」
わたしがご主人様から離れたから。
友だちと一緒だからって安心して、眠っちゃったから。
ちゃんと教わったジッソウフォンの使い方をおぼえていなかったから。
ご主人様、大好きなご主人様……
こんなダメな飼いジッソウでごめんなさい……
「……リー、……ドリー」
……え?
いま、ご主人様の声が聞こえたような……
夢……? それか、もうわたしが死んじゃいそうだから、うその声が聞こえたの……?
「コミドリーっ! どこーっ!?」
「テ……テチャ」
ううん、夢じゃない! うその声でもない!
どこかでご主人様がわたしを呼んでる!
「テェテ、テェテ……テヒン、テヒン……」
わたしはここにいるよ!
そう叫びたいけど、なぜか声がほとんど出ない。
代わりに口から漏れるのはテヒンテヒンっていう力の無い『せき』だけ。
ご主人様が近くにいる、それなのに……
……だめ、諦めちゃダメ!
「テェェェェッ……」
声が出ないならせめて、力を振り絞って起き上がる。
お顔を起こして前を見る。
……いた!
まだずっと遠くだけど、ご主人様がそこにいる!
あめでお服も髪もびちょびちょに濡れて、それでも声を出してわたしの名前を呼んでいる!
やっぱり、ご主人様もずっとわたしを探していてくれたんだ!
「テェ、テ……テェ……」
身体の力を振り絞る。
つらくて苦しいけど、ここで倒れちゃうわけにはいかない。
お腹の奥が潰れちゃいそうな苦しみに耐えて、わたしはなんとか立ち上がった。
そして一歩、前に進む。
顔が熱い。足が痛い。目がくらくらする。
でも、ご主人様がそこにいるんだから、がんばらなきゃ……!
「テチ……テチ……!」
ご主人様に会えたら、まずはごめんなさいって言おう。
怒られてもいい。罰として痛いことされてもいい。
許してもらえるまで何回でも謝ろう。
そして、そして……ご主人様と一緒にお家に帰ろう。
またあのお家でご主人様と一緒に楽しく暮らすんだ。
アマアマもなくていい。お外に出れなくてもいい。
大好きなご主人様さえいれば、それだけで——
「あー、実装石がいるぞー」
「ほんとうだー、害虫だー」
「……テ、チ?」
ふと聞こえた声に右の方を見ると、そこには小さなニンゲンサンたちがいる。
ニンゲンサンたちはニヤニヤしながらわたしに近寄ると、ふっと身体を持ち上げた。
「害虫はころさなきゃいけないんだよなー」
「うん、うちのお母さんもそう言ってた。実装石は人間に迷惑だからころさなきゃって」
……え? え?
「そういうわけで……えっと」
小さなニンゲンサンはわたしの顔を覗き込みながら、とってもこわい笑い顔で言った。
「くそむしちゃん、死のうねえ」
「テジャアアアアッ! テヂィィィィッ!」
もう声なんて出ないと思ったのに。
喉が張り裂けそうに痛いのに、わたしは自分でも信じられないほどの大声で鳴いた。
だって、だって……
「ほら、ちょっきんちょっきん。ははっ、こいつ泣いてるぜー」
「くそむしのくせに服を着るとかなまいきなんだよなー」
わたしのお服が! 会ったことないけど、ママとの『きずな』のお服が!
小さなニンゲンサンが持ってる『はさみ』で切られちゃう!
下の方から少しずつ、じゃきんじゃきんて!
お服が小さくなっちゃう、着れなくなっちゃう!
やめて! やめてえ!
「テヒャアアアアアン! テッヒィィィン!」
「へんななき声、きもちわりい」
小さなニンゲンサンの中で、お服が完全にバラバラにされて地面に落ちていく。。
ご主人様が食べる「せんぎりきゃべつ」みたいになっちゃった。
ママとのきずなが……ひどいよ……
「これで終わりじゃねえからな?」
「テヒ!」
髪の毛を掴まれる。
いたい、いたい! やめて引っ張らないで!
「おらっ!」
「テジィィィィィッ!」
「後ろもだぞー。それーっ」
「テジャァァァァァァァッ!?」
髪が、わたしの髪が……!
ご主人様がきれいだねって褒めてくれた、大事な髪の毛が……!
「お客様、カットはこれでよろしいですか?」
「ぎゃはははー」
小さなニンゲンサンが『かがみ』を持ってそれを向けてくる。
そこに映ったわたしの姿は、とても信じられないひどいものだった。
お服もない。髪もない。はげはだか。
「テ……テ……」
うそ、うそだよ、こんなの……
こんな姿じゃご主人様に会えない。
もしかしたら、わたしだってわかってもらえないかもしれない。
「テヒェェェン……テヒェェェェェン……」
「しつれいしました、お客様。ハゲじゃかわいそうなのでサービスをして差し上げます」
きゅっきゅっ。
頭になにか書かれてる。
「ぎゃははっ。『バカ』だって! 後頭部にマジックででっかく『バカ』!」
「お客様にお似合いの髪型でございます……ぷぷっ。
よし野良くそむし、お前の名前は『バカ』で決定な!」
野良じゃないもん……
わたしの名前はコミドリだもん……
言い返したいけど、どうせ言葉は通じないし、そんな気力も残ってない。
「ん、なんだこれ?」
小さなニンゲンサンがお服を脱がしたときに落っこちたものを拾い上げる。
それはご主人様がつけてくれたリボン。
「テヒャッ」
それは、それだけは!
お服がなくなって、髪もなくなっちゃっても、それだけは守らないと!
大好きなご主人様がくれた大切なモノ!
「なんだこいつ、いきなりじたばたし始めたぞ。このリボンがそんな大切なのか?」
「なあバカ、これを返してほしいか?」
こくこく。
わたしは何度も首を縦に振った。
小さなニンゲンサンがにやりと笑う。
「おれらも鬼じゃないし、そんなに言うなら返してやるよ」
本当に!? ありがとう!
「ただし」
「……テビッ!?」
「大事なものは、大事なところに入れておかなきゃな!」
いたい、いたいいたいいたいたい!
やめて、大事なリボンをそんなところに……おまたの穴に入れないでえ!
「よっしょっ……ああ、穴が小さくて上手く入らねーな」
「ハサミで裂いて拡げたら?」
「そうすっか」
じゃぎん、ぶちっ。
「ヂィィィィィィィィッ!?」
「よっしゃ、入った入った」
「よかったなバカ。大事なリボンを返してもらえて」
気が遠くなるほど痛い。
大切なモノを奪われ、メチャクチャにされて悲しい。
やっとご主人様を見つけられたのに。
わたし、このまま死んじゃうの……?
そう思ったら途端にこわくなって、わたしは最後の力を振り絞って必死にもがいた。
「ヂイッ! ジイイイッ!」
「うわ、なんだこいつ。暴れ出したぞ」
「面倒くせえなあ。もう思い切ってやっちゃったら?」
死ねない! 死にたくない!
わたしはご主人様と一緒にお家に帰って幸せに暮らすんだから!
「ああ、うぜえ!」
じゃきん。
「ジィィィッ!?」
じゃきん。じゃきん。じゃきん。
小さなニンゲンサンがはさみを開いたり閉じたりするたび、おまた以上の痛みが走る。
「テヒッ、テヒッ……」
気がつけばわたしは暴れるための手も足もなくなってしまった。
傷口からはどろどろと血が流れ、目からは涙が止まらない。
もうそれしかわたしにできることはないというみたいに。
「……なあ。いくら実装石だからって、流石に可哀想すぎないか」
「しっ、仕事なんだから文句言うなよ。前金も受け取ってんだしさ」
小さなニンゲンサンが何かを言ってるけど、もうわたしにはほとんど聞こえない。
きっともうわたしは死んじゃうんだ。
ああ、ご主人様……
せめて最期に一言、謝りたかったな……
「……リー! コミドリーっ!」
遠くで声が聞こえる。
それはとても懐かしく、やさしい声。
「やべー。こいつのかいぬしじゃねーかー」
「にげろ、おこられるぞー」
小さなニンゲンサンはわたしをそっと地面に下ろすと、そのままどこかへ走って行った。
「コミドリ! コミドリッ!」
代わりにわたしを抱き上げたのは、さっきより少しだけおおきな手。
あめに濡れて冷たいけど、それ以上にあったかい温もり。
「テェ……テ……?」
「コミドリっ!」
……ご主人様だ。
夢じゃない、本物のご主人様だ……!
【マイ】
私の手の中でコミドリが震えている。
服は脱がされてはだかんぼ。
両手は斬り落とされてダルマ状態。
私があげたリボンは無理やり総排泄孔に突っ込まれて。
しかも髪の毛はぜんぶむしり取られ、代わりに後ろ頭にマジックで『バカ』と書かれている。
「ひどい、なんでこんな……」
「ゴシュジン……サマ……」
雨に打たれ続けたせいで風邪も引いているみたい。
叫びすぎたため喉も潰れて声も満足に出せていない。
それでも必死で私を呼び、切断された右手の根元の断面をこちらに向ける。
「ゴメ……ケホッ、テホッ! ゴシュ、ケホッ、ゴメンナサ……」
「無理しないで! 大丈夫だからね、きっと助かるからね!」
「ゴメンナサイ、テチ……カッテニハナレテ、ゴメンナサイテチ……」
……っ!
コミドリは、こんなふうになってもまだ……私に謝ろうとしてる。
止めどなく涙を流しながら、何度も何度もごめんなさいって……。
「ゴメンナサイテチ……ゴメンナサイテチ……」
「もう喋らないで、私は大丈夫だからっ!」
「ゴシュジンサマ、オテテ、アッタカイテチ……」
私の目からも涙がこぼれる。
お腹の奥が気持ち悪くなって、吐き気がこみ上げてくる。
なんで、なんで……
コミドリはこんなにいい仔なのに、こんな酷い目に……!
ああ、ああ……!
コミドリ、コミドリぃ……!
「もう大丈夫だからね、コミドリ、もうつらいことは何もないんだからね!」
「……チ」
「帰ったら一緒にごはん食べよう! コンペイトウもあるよ、チョコレートもあげる!
だから、だから……」
涙で見えなくなる視界の向こうで、コミドリは確かに微笑んだ。
とても穏やかな笑顔で、最期の言葉を私に送る。
「アリガトウテチ……ワタシ、ゴシュジンサマのカイジッソウで、シアワセダッタテチ……」
そしてコミドリは安らかな表情のまま、その瞳を灰色に濁らせました。
「うっ、うっ……」
私は何度もしゃくり上げながら、生を全うしたコミドリの亡骸を優しく抱きかかえていました。
コミドリ。私の愛した37匹目のコミドリ。
あなたの命、とっても輝いてたよ。かわいかったよ。
「なあ、姉ちゃん」
気がつけば隣には小さな男の子がふたり立っています。
コミドリをこんなふうに痛めつけた子たちです。
私は感動の涙を拭って彼らの方を向くと、くしゃくしゃの顔でお礼を言いました。
「うくっ……ひくっ……あ、ありがとうね、二人とも……
辛いことさせちゃってゴメン、残りのお礼はちゃんと払うから……」
「いや……」
子どもたちは困惑気味の表情で私を見上げています。
そんな彼らに一言だけ言っておきたいことがあります。
「でもね、できれば右手だけは斬らずにそのまま残しておいてほしかったなあ。
そしたら最期、もっとかわいい仕草が見られたかもしれないのに……」
少年たちは顔を歪ませます。
「……金はいらねえよ。そんな気分じゃねえ」
「なあ姉ちゃん。おれたちも自分で引き受けたからあんまりこんなこと言いたくないけど。
あんた自分のペットをこんなふうにされて、可哀想とか罪悪感とかないのかよ」
何を言ってるんでしょう、この子たちは。
そんなの聞くまでもないじゃないですか。
「あるに決まってるでしょ。二ヶ月くらいとはいえ、丹精に育てた愛実装だよ。
胸が張り裂けそうなほど悲しいし、吐きそうなくらい後悔してるよ」
「じゃあ、なんでこんなこと」
「決まってるじゃない、死ぬ間際のコミドリが、メチャクチャかわいいからだよ!
くふふっ♪ ああ、さっきの瞬間を思い出しただけで、もう……♪」
二人の男の子は信じられないものを見るような目で私を見ます。
その表情は嫌悪や侮蔑、そして恐怖の色も混じっているようです。失礼ですね。
「……いくらなんでも、そいつが可哀想だぜ」
「なんで? だってコミドリは、最期に愛するご主人様と会えたんだよ?
ありがとうって言って笑って逝けたんだから、幸せじゃない」
そうです。間違いなくコミドリは最期の瞬間、幸せだったのです。
飼い主として自信を持ってそう言えます。
ちなみに、これと同じようなパターンで、最後に自分が黒幕だってバラすのは『アゲ落とし』という虐待派の手法です。
とんでもなく残酷ですよね。許せません。想像しただけで怒りがこみ上げてきます。
「実装石相手とはいえ、あんた、こんな事ばっかりやってたらいつか地獄に落ちるぜ」
あらら、酷い言われよう。
子どもは無邪気で残酷だっていうけど、意外とそんなこともないんですよね。
むしろおとなと違って割り切ってない分、動物相手でも情を感じやすいみたいです。
それが普段は糞蟲って呼んで虐めてる相手でも、ね。
「私が地獄に落ちるとしたら、実装ちゃんの手で落とされたいなあ」
まあ、コミドリをこうした実行犯はおまえらだから何も言う資格ないんですけど。
なに今さらいい子ぶってるんでしょうね。地獄に落ちるとしたらおまえらも一緒ですよ。
こんな弱い心じゃこの子たちは愛護派にも虐待派にもなれませんね。子どものいじめレベルのぎゃくたい(笑)が精一杯です。
「あんた……っ」
「もうよせよ。キチガイとこれ以上関わるとおれらも殺されるぞ」
「人間はころさないよ。おまえんちの飼い犬はころすけどね。
それじゃ、いちおうお金は置いておくからね。もう会わないと思うけど、ばいばーい」
さあ、いつまでも子どもに構っていられません。
帰ってコミドリ37世のお墓を作らなきゃいけないんですから。
※
翌日、私は駅前の実装ショップにやってきました。
「こにちゃー!」
「おうマイちゃん、久しぶり。今日はどうしたんだい?」
高級躾済み実装ちゃんの髪をブラシがけしているのは顔なじみの店長さん。
元虐待派だけど、趣味が高じて今では一流の調教師としてショップまで開いちゃってる実装ちゃん大好き人間さんです。
「うんとね、前のコミドリが死んじゃったから新しい仔を買いに来たんだけど、セール品とかあります?」
「たまにはもうちょっと高価な個体を買ってくれると店としてはありがたいんだけど」
「いやですー。実装ちゃんは一から自分で躾けるから愛着が湧くんですー」
「まあ、マイちゃんの調教の腕前ならわざわざ躾済み品を買う必要はないか……
セール品ならあるぜ。ちょうど、昼には廃棄しようと思ってたやつがたっぷりな」
「わあ♪」
店長さんが指さしたのはショップの端っこのワゴンの中。
数十匹の親指実装ちゃんたちがテチテチテチャテチャと泣きわめいています。
まあ、かわいい!
お値段も500円と良心的です。
まあ、未調教体は飼い慣らすのが難しいので、普通は生き餌に使うくらいしかできない仔たちなんですけど。
ショップの実装ちゃんは出産石に大量に産ませ、その中から選別したうえで調教します。
そのくらいしないと一般の愛護派の人たちが飼えるような質のいい仔はできないんですね。
だから、選別に漏れた仔が大量に余ってこんなふうに安売りされます。
もちろん維持するだけでえさ代も掛かるので、一定期間が過ぎたらぜんぶ廃棄されます。
大型は虫類の生き餌としてまとめて買われるか、あるいは廃棄されるか。
どっちにせよ産まれた時点で可哀想なことが確定してる仔たちですね。
本当ならぜんぶまとめて買ってあげたいけど、あいにく家にもそんな余裕はありません。
しばらくテチテチテチャテチャわめいている仔たちをワゴンの上から見下ろした後、私は一匹の仔を指さして店長に言いました。
「この仔にします」
「あいよ。なんか気に入るところあったか?」
「別に。なんとなくです」
さすがに見ただけで善し悪しを判別するほどの目利きは持ってません。
どんな仔だろうと精一杯に躾けるまでです。
「レチッ!?」
トングですくい上げられた一匹の親指ちゃんが持参したケースに入れられます。
初めまして、この仔が今日からコミドリ38世ちゃんです!
明日から飼い実装としての教育がんばろうね!
「さて、他に買う物はあるかい?」
「うーん。フードはまだ大量にあるし……あ、そうだ」
「何だ?」
私はふと思いついたことを提案してみます。
「この仔たち、今日の昼過ぎに処分するんですよね?
どっかで時間潰してきますから、その様子を見に来てもいいですか?」
「レチャァッ! やめてレチ、ニンゲンサン! ワタチまだ死にたくないレチィッ!」
「いやレチ、許してレチ! ミヂミヂはいやレチーッ!」
「高貴なワタチを助けろレチクソニンゲン! はやくここを開けろレチャアーッ!」
店長さんがケースをひっくり返すと、三〇匹以上の親指ちゃんたちが廃棄ケースの中に落とされていきます。
ベルトコンベアの中で他の仔をかき分けながら必死に走る親指ちゃんたち。
もちろん彼女たちに逃げ場などなく、やがて力尽きた仔からローラーの餌食となっていきます。
「レッヂャアアアアアアアアアッ!」
「レヂュィィィィィィィィィイィッ!」
ああ、かわいい、かわいいなあ……♪
か弱い親指ちゃんたちが、なんの慈悲もなくただ無意味に産まれ死んでいきます。
私が買い取ったコミドリ38世とこの仔たちの違いは、たまたま私の目に止まったかそうじゃないかだけ。
人間の都合で産み出され、人間の気まぐれで死んでいくのです。
そんな儚さこそが、実装ちゃんのかわいさの源なのです♪
「マイちゃんさあ。いい加減に愛護派を名乗るのやめたら?」
「は!? 何言ってるんですか店長さん、私はこんなに実装ちゃんを愛してますよ!?」
「……まあ、そういうことにしておくけど」
変な店長さんです。
まあ、まともな人が実装ちゃんショップなんて経営できるわけないですけど。
一つだけ言えるのは、愛護派にしろ虐待派にしろ、実装ちゃんと進んで関わるような人は
みんな多かれ少なかれ実装ちゃんが大好きで、適度に頭のネジが飛んでるって事です。
例外はないですよ。私も、あなたも。
親指ちゃんたちの廃棄ショーを見終わった後、私はうきうき気分でお店から出ました。
もちろん嬉しさの理由は籠の中の生き残り親指ちゃんです。
「レチ……レチ……」
さっきまで一緒にいた仲間たちがひどい死に方をしたなんて、夢にも思わない親指ちゃん。
きっと初めて触れるだろう温かい毛布にくるまれて幸せそうに寝息を立てています。
この仔は死ぬまで人間社会のしくみや人の心を理解できずに過ごすのでしょう。
「さあコミドリ、がんばって生きようねえ」
また二ヶ月ちょっとの付き合いでしょうが、
今日からはこの仔をたっぷり愛してあげましょうね。
おわり
【今日の格言】
一匹の飼い実装の死は悲劇だが、
数百万のショップ実装の死は在庫管理上の数字に過ぎない
——byデスターリン

| 1 Re: Name:匿名石 2016/04/07-03:41:22 No:00002138[申告] |
| 小学生ですらドン引きするレベルの残虐さwwwww
最初からオチの格言まで、最高に笑わせていただきましたわ つーか実装石も風邪引くのか… |
| 2 Re: Name:匿名石 2016/04/07-15:33:31 No:00002140[申告] |
| 俺が今まで読んだ実装スク史上トップの怪人物だわ桐乃妹
手段を選ばないテクニカルな虐待、いや「愛護」かw 他の登場キャラとの温度差がまた読んでて楽しい、冷めた会話がノリツッコミのようだ |
| 3 Re: Name:匿名石 2023/12/19-18:05:41 No:00008544[申告] |
| ミュンヒハウゼン症候群の変形だな
母親に多く発生する児童に対する虐待の特殊なタイプ |