それは捨てられた飼い実装からもたらされた もたらされた、と言っても物品ではなく知識のことである 野良実装の生活にとっては知識は重要な資産でもある よって着の身着のままに捨てられた元飼い実装と言えども 役に立つ知識を備えていれば それは重要な資産を持っているということになる それが証拠に、この知識をもたらした元飼い実装は捨てられてから 少なくとも30分は生きられた そう、その30分とは知識をしゃべっている間の時間である 「ニッチャクッチャ…で、どうするデスウ?こいつが言ってたこと、本当だと思うデスウ?」 「クッチャクッチャ…ウソっぽくはなかったデス、信じてもいいと思うデス」 「クッチャニッチャ…ウソでも手間じゃないデス、本当なら公園が楽園になるデス」 「ニッチャニッチャ…それにしてもこいつ、ウマイデスゥン♪」 数匹の野良実装がそのかつて元飼い実装だったものの塊を宴の肴に、これからどうするかについて盛り上がっていた 結論としては、物は試しということで元飼い実装に聞いた通りにしてみることにしたらしい --------------------------------------------------------- 翌日、5匹の野良実装が双葉川の支流の川原に来ていた 手にはそれぞれコンビニ袋を持ち、水面に浮かぶ黒い点のついた透明なくだを集めていた そう、これはご存知、蛙の卵である それをコンビニ袋に集めて、公園に持ち帰ろうというのだ そんなものをかき集めて、何をするつもりなのだろうか? それはこれから先のお楽しみである… さて、話は戻ってこちらは双葉臨川公園 このお話しの冒頭で捨てられた元飼い実装が食べられていた公園でもある ここは人間のご近所では実装石公園、またはダイレクトに汚い公園 と呼んだほうが通じやすいと言えばわかりやすいだろうか?そんな公園だ 公園に多数あるダンボールハウスの裏側を覗いてみよう 先ほど川原にいた野良実装が、仔や親指や蛆実装に囲まれて なにやら作業をしているようだぞ 「ママ、これ何テチ?食べ物テチ?」 「それは食べ物の元になるものデスゥ、まだ食べちゃダメデスゥン それより、早く水を貯めないと乾いちゃうデス」 親と仔実装は浅い穴を堀り、その上にビニール袋を敷き そこに水を張って作った簡易プールに蛙の卵を浮かべていた そこに、簡易プールの完成した頃合を見計らって ダンボールハウスから蛆をかかえた親指実装が出てくる 「レェェ、プールレチ!泳ぐレチィ!」 「楽しそうレフー!」 生まれて初めてプールを見てはしゃぐ親指と蛆 だが、親実装はそれを制して親指に話しかける 「親指チャは、このプールの世話をするデスゥ 常に水を足してプールを枯らさないようにするデス」 「テァアア!?」 遊びを取り上げられた上に仕事を申し付けられ、親指実装は不満顔だ 「ママ、ワタチは蛆チャの世話で忙しいレチ そういうのはオネチャにやってもらうレチ」 不満を漏らす親指だが、親実装はそれを無視して言葉をつなげる 「それと…」 親実装は蛆実装を手に取ると、するりと蛆からおくるみを剥く 「ママ、どうするレフ?はだかんぼは恥ずかしレヒャ!?」 親実装はそのまま蛆を口に運んで頭から丸かじりにしてしまった これには仔も親指も顔から血の気が引く 「ニッチャクッチャ...蛆チャのお世話はもう必要ないデス だから親指チャはプールのお世話だけでいいデス、わかったデスゥ?」 親実装の言葉に首を千切れんばかりに縦に振る親指実装であった -------------------------------------------------------- それから数日、ところかわってここはまた別の汚宅 こちらも元飼い実装の言う通り、蛙の卵を回収したご家庭だ こちらも無事に卵は孵り、ビニールの上にはおたまじゃくしがすいすいと泳いでいた 「こうすると…つかみ取りデスゥン♪」 そう広くないプールに密集したおたまじゃくしは、実装の鈍い動作でも簡単に捕まってしまう それをそのままママ実装はニチャクチャと咀嚼した 「デップゥ〜ン♪デリーシャスデスゥー ウマウマなオニクがいつでも好きな時に食べ放題デスゥ」 ここに来てようやくママ実装の目論見が分かった仔や親指たちは大喜び 「テェァァア…ママはすごいレチ!天才テチ!オニク食べるレチ!」 「レフー!ウジチャもオニク食べるレフー!」 だがしかし、ここでママ実装、蛆実装を抱えた親指実装にリストラ宣言 「これでもうウンチを漏らすウジチャンはイランコデスゥ」 「レピャー!」 「ウジチャーン!!」 「ウジチャンがいなくなったから、世話役の親指チャンもイランコデスゥ」 「レヂャアァァー!」 「親指チャーン!!」 こうして、この公園では各家庭でのおたまじゃくし牧場の設置が功を奏し 食糧確保の難しくなる梅雨時を乗り越える見通しが立ち 気の早い家では非常食の蛆実装や蛆の世話役の親指実装を潰して肉にして 全ては明るい未来に向かって進み、ばんばんざい!! …かに思われたのだが……… -------------------------------------------------------- 「うちの蛆チャがいなくなったデス」「うちもデス」「うちもいなくなったデスゥン」 「この公園に同属食いがいるデッシャアアア!! ふざけるんじゃねーデスゥ!うちの非常食に何してくれるデスゥ!」 それから時が経ち梅雨が過ぎたころ… 公園内の各ご家庭で蛆実装や、場合によっては親指実装まで 消える事件が頻発 ここで早速やりだまに挙げられるは上記2家庭 「同属食いはオマエデスゥ!真っ先に蛆チャン食ってたデスゥ!」 「ウチの仔はもうすぐ食べ頃だったデス!何て事してくれるデス!」 「いやしんぼは制裁デスゥ!オマエらも潰して肉にするデスゥ!」 「ふざけるんじゃねーデス!オニクならうちにたんまりあるデス!」 「よその仔をつまみ喰いするほど落ちぶれちゃいねーデスゥ!」 それはまあ、見苦しいの何のその 一触即発どころか互いにパンコンして糞投の準備にかかる さすがに見かねたこの公園を束ねるボス実装が重い口を開く 「それぞれの家族の中での同属食いは家族の勝手デス だが、よその家族を食ったら、それは群れの意に反するデス」 結局、その日の会議は混沌のうちにお流れになった -------------------------------------------------------- その晩、とあるダンボールハウスにて ポフポフポフポフ 「勝手に食べたデスゥ!間引くデッスン!」 「ウソじゃないテチ、ウソじゃないテチ! 本当にオテテとアンヨが生えてきてプールから出て行ったテチ!」 ポフポフポフポフ 「やっ、やめテヂィ!ワタチのオカオなくなっちゃうテチィ!」 「うるさいデッス!オマエじゃなければ、どうしてオタマジャクシが減るんデスゥ!」 親実装がマウントポジションで仔実装を激しく殴打する この一家は既におたまじゃくし養殖に先立って仔実装以下の親指、蛆などは間引き済だ したがっておたまじゃくしの数が合わないとすれば 養殖の世話をしている仔実装のつまみ喰いしか考えられない しかし、親実装はひとつ考え違いをしていた おたまじゃくしが成長することだ おたまじゃくしは仔実装に世話をさせておけばいつまでもそのままだと考えたため 世話を丸投げして様子を見もしなかったのだ そのため、おたまじゃくしの外見上の大きな変化を見落としていたのだ 「ホントテチ!オテテとアンヨが生えてきてプールから出て行ったテチ!」 「またオマエは、そんなウソを言うなら間引くデッス…」 ズシンと音がしてダンボールハウスが揺れる ピタリととまる親実装 仔実装を引きずり、外に出て見たものは… なんと、ダンボールハウスの上に30センチはあろうかという大きなヒキガエルが乗っていた 「デデッ!?」 カエルはわかる、しかし、何故こんなところに!? ヒキガエルはするすると舌を伸ばすと、仔実装の体が宙に浮く 悲鳴を上げる間もなく、仔実装はヒキガエルの口の中に消えた -------------------------------------------------------- ゲコゲコ、ゲェ〜 ゲコゲコ… 「最近、蛙増えたなあ」 としあきはかつて、実装石公園とあだ名された公園のベンチでつぶやく かつて、というのは、既にこの公園には一匹の実装石の姿もないことに関係している なんだかよくわからないのだが、ある時から急に蛙が増え 同時に実装石が姿を消したのだ 実装石が姿を消したことでダンボールハウスは朽ち 噴水から水を引いた上下水道や 穴を掘った上にビニールシートを敷いた簡易プール 発泡スチロールのケースを利用した食糧貯蔵庫といった 野良実装が構築した実装石用のインフラも公園の樹木の落ち葉に埋まり もしくは公園の管理人に撤去されて姿を消していった それに伴って、この公園を実装石公園と呼ぶ人も減り 今では蛙公園と呼べばこの公園の事と通じる 果たして、この公園がかつて実装石公園呼ばれていた事が忘れ去られたとき その時は… その時こそ… 実装石の夢が叶ったということなのだろう 「〜本当なら公園が楽園になるデス〜」 公園は楽園になったのだ…蛙の楽園へと… あるいは死に瀕した元飼い実装のやぶれかぶれの最後っ屁だったのかも -------------------------------------------- 感想ありがとうございます お礼です あと私は本物です、一応…

| 1 Re: Name:匿名石 2016/03/05-01:22:24 No:00001918[申告] |
| これは素晴らしい復讐
実装だって成長するんだからカエルも成長するよなあ |
| 2 Re: Name:匿名石 2016/03/05-01:24:55 No:00001919[申告] |
| 因果応報と言うべきか
むしろ蛙にやられるまでよく群れを保てていたなと言うべきか… |
| 3 Re: Name:匿名石 2016/03/05-02:08:32 No:00001920[申告] |
| これはいいスク
挿絵が欲しいわあ |