タイトル:実装石3つのおとぎ話
ファイル:聖パトリックの煉獄.txt
作者:レマン湖 総投稿数:17 総ダウンロード数:1461 レス数:3
初投稿日時:2015/08/30-02:07:01修正日時:2015/08/30-11:58:18
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・聖パトリックの煉獄

 昔のアイルランドのお話です。
とある仔実装が教会に通うようになりました。

「テチテチテチ テーチン」

 これは感心。熱心に祈っています。

「どうだ司祭様、この実装石にも七つの秘跡をお与えになり
 キリスト教徒にしてあげてはどうだね?」
 金持ちの三男坊が余計な事を言いやがりました。

 司祭様はしばらく考えると。 
「聖アウグスティヌス様がお書きになられた本には
 遠い異国の地にいると言われる犬頭人も無頭人も一本足人も
 ひとしくアダムの子孫、人間であるとされています。」
 そうおっしゃって、その仔実装をキリスト教徒にしてあげました。


 「デスデスデッスーン」
 「テチャアアア?」
 「レヒッ レプププププ」

 教会にくる実装石は日に日にみるみる増えていきました。

 そう、実装石は教会で配られる、ホスチア(聖体のパン)がめあてだったのです。

 こまったのは農民です。
彼らにとっては実装石は田畑を荒らす害獣にしかすぎないからです。
それが同じキリスト教徒となれば、容易には殺せません。
 
 つめよる農民に司祭様は涼しい顔でこう答えました。
 「大丈夫、聖パトリック様のご加護があります。
  あなた方は安心して刈り入れの季節が迎えられますよ。」


 とうとう近隣の実装石という実装石が教会にあつまりました。
司祭様は実装石達に こう言いました。

「さぁ、祈り働きなさい。あなた方は立派なキリスト教徒として
 長い時間をかけて、数々の贖罪をしなければいけません。」

「デェ?」
「デスデスデップーン!」

 実装石たちは たいそう不満気です。
 

「さいわいこの地には聖パトリック様が出現させた、煉獄への入り口があります。
 そこに入って罪を清めたものは、ほかのどんな贖罪も必要としません。
 出てくる事ができる者は、朝から朝の一日で出てきます。
 出てきた暁には、あなた方は選ばれ、はるかに高みにのぼる事でしょう。」

 「デッスーン!」
 「レヒッ!」
 「チプププププ」

 なにか勝手な解釈をしたのでしょうか?
幸せ回路が全開になった実装石たちはゾロゾロと司祭様について行きました。

 そして次々と、いわゆる「聖パトリックの煉獄」に飲み込まれていきました。

 「あのー、司祭様、あいつらどうなるんです?」
 農民が訪ねました。

「さぁ、それは神様の御心のままでございます。
 そうそう、かつてこの国が異教徒の地でヒベルニアと呼ばれていた頃の話です。
 聖パトリック様はわずかな人しか改宗させることが出来なかったそうです。
 困った聖パトリック様は、異教徒たちに神のご威光をしめすために
 杖で小さな丸を描き、この煉獄の入り口を出現させたのです。
 多くの人がこの煉獄の穴に降りていき、いまだ地上に戻らぬと聞きます。」

 ああおそろしや、聖パトリックの煉獄の入り口からは
硫黄の匂いがたちこめ、チロチロと煉獄の業火がのぞいていました。
 

 その後このあたりでは実装石はきれいさっぱり、いなくなってしまったそうです。
 



 このお話が嘘だと思う方は、アイルランドのダーグ湖にいってごらんなさい。
その湖に浮かぶ小さな島に聖パトリックの煉獄に通じる洞窟があります。
立派な石造りの教会が建って、今はもう洞窟の入り口はふさがれていますが
さぁ耳を澄ませてごらんなさい。
今のこの時刻までも 煉獄で罪を清めている実装石たちの叫び声が聞こえますよ。

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・3つのねがい


 まだ神様が地上をお歩きになっていた頃のお話です。

 神様は貧者に身をやつし、世界を行脚しておりました。

 神様はとある金持ちの家に宿を求めました。

「いちいち施していたら、こっちまで貧乏人になっちまう。
 おまえに何かを食わせるんなら、実装石に食わせたほうがマシってもんだ。」

 金持ちは足元にいた実装石を投げつけ、神様を追い返してしまいました。
 
 神様はとある貧乏人の家に宿を求めました。
そこには老いさらばえた老夫婦がおりました。

「みればお困りのよう。
 うちはみての通りのあばら屋です。
 おもてなしも満足にできますまい。
 それでもよければどうぞ。どうぞ。」

 貧しい老夫婦は、今宵自分たちがたべる分を我慢して、
神様にあたたかい ふすま粥をごちそうしました。
それどころか老夫婦は冬の非常食である
とっておきの塩漬け実装肉までを差し出したのです。

(ああ、常新舌たる使徒ピリポ様に誓って言います。
 いまでこそ忌み嫌われる実装石ですが、
 その頃の実装石は無害なただの家畜で、貧者のごちそうだったのです。)
 
 神様はその貧乏人が御心にかなう者たちである事をみると
そのお姿をあらわし、こう言いました。


 「そなたたちの願いをみっつかなえよう。」


「ありがたやありがたや。
 生きながらえているうちは、健やかにすごせますよう。
 死してのちは、天国の片隅に私達のいる場所がありますよう。
 3つ目はいかにしましょう?それでもう満足でございます。
 ああ、これ以上になんの望みがありましょうか?」

 神様は老夫婦が清く無欲なのを歓び

「ならばこうしよう。」

 そう言って雨風をしのげる立派な家をおあたえになりました。

 家の食料庫はごちそうであふれ。衣装棚には立派な服がならびました。
金庫には金貨がいくらでもあり、それらはいくら持ちだしても
いつのまにかまたいっぱいになったのでした。

 それをみたごうつくばりの金持ちはこう言いました。

「あの貧乏人の敷地は俺のものだ。
 おれが貸していたんだ。
 だが神様に免じてあの家は老夫婦に譲り渡してやろう。
 だがな、俺にも3つの願いをかなえてくれなくちゃぁ。」

 神様はすこし困った顔をしましたが、願いを叶えてやることにしました。
ですが神様はこのようなものと、口をきくのもおいやでした。

「わたしは旅路を急ぐ。かわりにこの者に願いを叶えさせることにしよう。」

 その者とは、少し前に神様が煉獄から助けだしたばかりのソロモン王でした。
 ソロモン王は不思議な指輪で悪魔を言いなりにすることができました。
 
 ソロモン王は言いました。

「ああ、めんどうくさい。私はいそがしいのだ。
 悪魔のベリアルにこの役割を命じよう。」

 こうして金持ちの前には悪魔のベリアルだけがのこりました。

 不信心な金持ちは、すこし恐ろしい気持ちになりましたが、
「大もうけできるんだ。悪魔なんぞ、なんのその。」
 そう思って気を強くしました。

「ああどうしよう。後悔せぬよう、慎重に願わなければ。」

 金持ちがウンウンうなり、顔を真っ赤にして考えておりますと、
うしろから「ああしろこうしろ」と妻や娘がガナリ声をあげます。
物言わぬ乳飲み子ですらぎゃぁぎゃぁと泣き叫びます。

 金持ちは激昂して叫びました。
「ああうるさい、消えてなくなれバカ家族め!」


 ベリアルはニコリとわらいました。
「はいよ、旦那。ねがいはすっかり叶えられましたぜ。」


 金持ちは慌てふためきました。

「ああ、ああ、おれの大切な家族が!家族が!
 だがよーく考えろ。そんなにご大層な家族だったか?
 母親はでっぷりしていて、よくばりで、ああしろこうしろとうるさくて、
 食い物と髪と服ばかりに執着してさ
 娘は母親そっくりで、母親がそのまま小さくなったみたいでさ。
 乳飲み子は首もすわらず、ぐにゃぐにゃで。泣いてはブリブリクソたれて。
 ちょっとでも目をはなしたら、すぐにでも死んじまうほど弱っちくてさ。
 ああ、でも唯一の救いといえば、それでも笑うと家が明るくなったものさ。」


 ベリアルはすこし残念そうに言いました。

「旦那、旦那、そいつはひえでぇ。
 てっきりあっしは『家族をかえしてくれ』
 そう言われるかと思いましたぜ?
 最近じゃあニンゲンは、悪魔よりも薄情なものですな。」


 金持ちはしばらく悩むと、はっと気がついたように言いました。

「そう言われると、気まずいな。
 しかたねぇ。そいつをたのむか。
 だがな、今までとは少しは違っていてくれなくちゃ。
 頑丈で、ちょっとやそっとじゃ死ななくて
 マズイもんでも、なんでも食って
 たくさん増えて繁栄してくれないとな。
 なぁに惜しくない願いだ。
 最後の願いはきまっているからな。
 願いをもっとかなえてもらうのさ。」


 ベリアルはニヤニヤと言いました。

「そいつはちょっとできねぇな。
 ですが大事な最後の願い。
 これならかなえてやれますぜ。
 どうだ親方。その家族が復活したら
 みっつ言葉をいいなさい。
 その言葉の通りになるようにしてさしあげますよ。
 さわったものを、すべて黄金にする娘だって。
 美しく賢く、商売上手な奥方だって。
 旦那が望むままですぜ?」

 金持ちは少々不満でしたが、その提案を飲むことにしました。
金持ちは一刻も早く、この恐ろしい交渉を終わらせたかったのです。
 だってベリアルの吐く息はひどく臭くて、その姿は恐ろしく、
ベリアルをとりかこむ炎は地獄のように熱くて冷たかったんですもの。

 ああみなさま、もうおわかりですね。
ベリアルが復活させた家族は少しだけ違っておりました。

「デスデス!デシャアア!」
「テチャ?テチテチ?テヒャア!」
「レフレフン♪レッフーン♪」

 復活したはずの金持ち家族。
それはただの親実装に仔実装、そして蛆実装でした。

 いえいえ、少々奥方様達の悪い所がうわのせされていたようですね。
そのうえなんと、クソなまいきにも、髪と服もそなえていました。
そして金持ちの願ったとおりの性質もそなえていたのです。


 金持ちはおもわず叫びました。

「くそったれ!
 おまえらぶっ殺す!
 ぜったいにゆるさねぇ!」
  
 もちろんその言葉通りになりました。


 実装石が今のように人に嫌われるムカつくナマモノになったのは
その時からなんですって。


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・すべての実装石が望む事

 ほんの少し昔の話である。
黒海に面し、大国に挟まれた古い古い小さな王国があった。
王国は分裂し、経済は破綻し、治安は悪化し、国は完全に傾いていた。
王は後継者に、その血筋の中で、最も国を統治する能力がある者を望んだ。

 王には三人の王子がいた。

 王は謎掛けをして王子達の力量を試すことにした。

 「この至聖三者大聖堂に、ここをうめつくす数の実装石を集めた。
  ここにいる実装石すべてが納得する答えを導き出せ。
  問おう『すべての実装石が望む事はなにか?』」
 

 1番目の王子は答えた。
「実装石が何かを望むなどおこがましい。
 『ニンゲン様の望むままになる事』
 それがせめてものふさわしい願いだ。」
 
 1番目の王子は盛大なブーイングと共に実装石の投糞をうけ、
ほうほうのていで聖堂を逃げ出した。
 
 2番目の王子は答えた
「ああ、それは簡単な答えです。本を読んでいればわかる事です。
 私が常日頃、本を読むべしと言っていた意味が皆様にもわかるでしょう。
 その答えは、いにしえの騎士物語にある謎かけの問答と同じなのです。
 騎士物語ではこう問われます。『すべてのご婦人が望む事はなにか?』と。
 その答えはこうです。『自らの意思をもち、それをなす事』であると!」

 この答えには会場も納得しかけた。

 だがこの国で一番太り、一番贅沢に育てられた実装石、
公爵夫人の飼い実装、ムツヴァネちゃんにより意義が申し立てられた。

「意思をもてぇデス?おまえナニサマデス?
 ニンゲンのメスごときと同じにするなデス!
 なんでワタシがメンドウな事、いちいち考えたりしなくちゃデス?
 高貴なワタシが、わざわざアレコレを所望する前に
 ニンゲンが察してアレコレすべきデス! 察しろデス!」

 2番目の王子はうちのめされた。

「インテリが考える底辺は中流の下にすぎない。
 その底はインテリの想定よりもはるかに深い。
 そうは聞いていたが、まさかここまでとは。」

 自分の知識は所詮、机上の空論であると思い知らされた。
2番目の王子は自らの無力さにうちのめされ、ふらふらと聖堂をあとにした。

 だがさらなる悲劇が彼を待ち受けていた。

「このヒョロヒョロボンボンが!私達と実装石を一緒にしやがって!!」
 
 度重なる戦乱ですぐにボロボロと戦死してしまう男性にかわり、
国を守り続けてきた屈強な女性たち。太い二の腕、たくましい足。

 2番目の王子はそんな女性たちにぐるりと囲まれ、
あっという間にボコボコにされた。



 3番めの王子は寡黙な男であった。手短に答えをのべた。
 


「その答えは『ニンゲン様の望むままになる事』だ。」



 会場はシーンと静まりかえった。

 公爵夫人の飼い実装、ムツヴァネちゃんが真っ先に沈黙を破った。

「デプッ、デププププ!デヒャァアデププププププププ!
 バッカデス!バッカバカニンゲンデスッ!
 最初のバカとおんなじ答えしやがってデス。
 さぁ、こいつにも糞を投げつけてや…デヒッ!」

 だがその言葉が終わる前にバールのようなガチの戦槌が
ムツヴァネちゃんの頭上半分を吹き飛ばし、さらに残りをミジミジにした。

 グッチャグチャである。オーバーキルである。

 素朴な好青年である3番目の王子はニコニコと微笑みを浮かべ、
ぶっとい腕でバールのようなガチの戦槌を振り回しながら
血まみれでボソリと呟いた。

「ほかに異議のある実装石はいるか?」

 ほとんどの実装石が戦意を喪失し、へたり込んだ。

「デヒィ!オーボーデスゥ!これはフェアじゃないデ…デシャア!」

 3番目の王子は、それでも異を唱えようとするバカ実装をやはり粉砕した。
お喋りが苦手な分をおぎなうように、王子はせっせと手を動かした。

 グシャグシャグシャグシャ。
ゴキュッ!ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!
ブシャ!グチュ!ガリガリガリガリガリガリガリガリ!
ドシャ!ベリベリべり!ミチミチミチミチミチミチ!
 
 シャイで質実剛健、無口な彼を代弁するかのように、荘厳な聖堂に
実装石が潰されていく音が、まるで聖歌のように美しく響いた。


 王子の手は豆だらけでゴツゴツしていた。働き者の良い手をしていた。
その皮膚は固く、筋肉は疲れを知らず、その意思は強かった。

 王子はただ黙々と、畑を耕す農夫のように、
デスデスとうるさく異議を唱える実装石たちをすりつぶしていった。


 「ほかに異議のある実装石はいるか?」


 生き残った実装石は「おあいそを」しながら
怯え脱糞しつつ、異口同音に答えた。

 「そ、そのとおりデスゥ!」


 3番目の王子は、じつに良い笑顔で父王に語りかけた。


 「この聖堂にいる実装石すべてが納得する答えになりましたね。」



 こうして王子は立派な王となった。
王国は北の大国をも吸収し、世界を二分する大国になった。

 そして国民の誰もが
「はい。私達は完璧に幸せです!幸福は私達の義務です!」
 と答えるような、幸福度ナンバーワンの素晴らしい国となった。

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1 Re: Name:匿名石 2015/08/30-05:37:57 No:00001835[申告]
ちくしょう、実装石ごときに崇高なソ連ネタを用いるとは卑怯だぞ
2 Re: Name:匿名石 2015/09/02-23:29:24 No:00001836[申告]
不覚にもワロタwww
3 Re: Name:匿名石 2016/01/22-19:09:51 No:00001887[申告]
いいなあ、こういうの大好き  お見事でした
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