『実装石観察日記』 〜〜ある少年の軌跡〜〜 ●八月一日 おとうさんが、自由研究用の実装石を買ってきてくれた。 ぼくが頼んだのは、ヘラクレスオオカブトなのに。 こんな汚い蟲よりも、ヘラクレスオオカブトのほうが(ry おとうさんが、『わがままを言うと妖怪ウォッチグッズを買ってあげないぞ』と言うので、飼ってあげることにした。 大人はきたない。 とりあえず名前をつけた。「ゴミムシ」と「クズムシ」と「クソムシ」。 ●八月二日 名前をつけてあげたけど、見分けがつかない。わかりやすく彫刻刀で額を彫ってあげた。 名前を彫ってもらえるのがうれしいみたいだ。みんな、「テヂィ!」「テジャー!」って涙を流してよろこんでくれている。 赤と緑の涙は本物らしい。よかったよろこんでもらえて。 「ゴミムシ」はなんとか彫れたけど、面倒くさいから残りは「2」と「3」にした。 最初からこうすればよかった……。そうすれば妖怪ウォッチの再放送を見逃さないですんだに。 ●八月三日 飼育ケースのなかが面白くないので、草やマッチ棒でつくった小屋を入れてあげる。 「テチテチ」となにか言ってるけど、理解できなかった。日本語をしゃべってほしい。 セミみたいにうるさいから、お仕置きに紙やすりで顔面をこすってあげた。 そうしたらみんな静かになった。どうやらぼくの気持ちをわかってくれたみたいだ。 ●八月五日 ぼくの部屋が臭くなるので、実装石をベランダにだした。 昨日、ためしてガッ●ンでやっていた、太陽とエアコンの風で消毒してみようと思う。 これで臭いのもとがシメツするらしい。 久しぶりの太陽がうれしいのか、みんな大はしゃぎでケースをたたいている。 ぼくもプールに行ってこよう。 ●八月七日 かあさんに怒られた。「実装石だからといって、外に放置しちゃいけません」って、頭を殴られた。 コイツらが日本語をしゃべらないから悪いんだ! かあさんに言ってやると、「リンガル」っていうゴミをプレゼントしてくれた。 なんでも、実装石の声が日本語になるらしい。 こんなゴミより妖怪ウォッチメダルがほしかった。 ●八月八日 ベランダから飼育ケースを部屋に入れるのを忘れていた。 おかさんに怒られる前に、部屋にいれる。 ゴミムシとクソムシがガリガリに痩せていた。 クズムシの姿がない。それなのに服と髪だけがケースのなかに落ちていた。 あと、臭い。 ●八月九日 昨日、ぼくが実装石の飼育がつまらないと言ったから。おとうさんが「強制成長剤」の入った餌を買ってきた。 これを食べさせてあげるとモリモリ成長するらしい。 そんなものより、妖怪ウォッチメダルがほしい。 ●八月十日 「強制成長剤」だけじゃ、成長するかどうかわからないので、おとうさんの「ぷろていん」をクソムシに食べさせてあげた。 うん、実験ぽい。 ●八月十一日 ゴミムシとクソムシが大きくなったような気がする。 ●八月十二日 おかあさんが、飼育ケースをきれいにしなさいとうるさいので、掃除した。 さわるとバッチイからケルヒャーの高圧洗浄機で洗ってあげることにした。 ゴミムシとクソムシがたのしそうに「テチャァ—」と走り回っている。 ためしに、ゴミムシへノズルをむけると、腕がちぎれ跳んだ。 うわっ、痛そう! 「ぎゃくたいは」とか言われたくないから、ノリで腕をくっつけた。 ●八月十三日 田舎に帰るから、観察はおやすみ。 防犯用のカメラの間に飼育ケースをおいていくことにした。 餌も水も一週間分用意しているし、風通しのいい場所だからだいじょうぶ! ぼく、かしこい! ●八月十七日 祖父のいる田舎から帰る。 久々の我が家に、どこか懐かしさを感じた。 蟲どものいる飼育ケースに視線を転じる。 あれほど大量の水と餌を与えておいたのに器のなかは空っぽだ。 それどころか乾物みたいにガリガリになってやがる! 事件の香りがする! 詳細が気になるので防犯カメラの録画内容を再生した。 ☆八月十四日 信じられないことだ! 僕が田舎に帰省した日に、すでに水と食料を喰らい尽くしている! なんというあさましい生き物だ! ☆八月十五日 食糞をはじめる。それでも足りないようで、草と土を食いはじめる。 ☆八月十六日 ついに恐れていたことが発生。共食いをはじめた。 互いの足に食らいつく光景は、さながらウロボロス。 堕ちるところまで堕ちたか実装よ! 手をこまねいていても仕方ない。このままでは自由研究失敗だ。 僕は、偽石をとりだした。輝きは鈍いが、ヒビはない。小癪なことに、蟲どもはまだ生きているらしい。 僕はためらった。これから行おうとすることは、神の定めた生命のルールに反するからだ。 「ふっ、これも探求者の業? 抗ってみせよう神に!」 あえて、生命の禁忌の門をひらいた。偽石を調理酒と砂糖を混ぜた液体に漬け込む。 「これでよし」 次に机の引き出しをひらいた。 なかから、去年買ってもらった解剖セットをとりだす。 この日、僕は悪魔に魂を売った。 ●八月拾八日 夕食のとき。父が僕にこう聞いた。 「最近どうだ? 飼育は順調にいってるのか?」 父よ、僕を誰だと思っているのだ。 不意に、笑みがこみ上げてきた。 「大丈夫だよ。ニ石とももうピンピン!」 そう、ニ石はピンピンだ。以前からプロテインを与えているクソムシには、にんにく卵黄、鉄工所から出る削りカス、 貝殻をすりつぶしたもの、などをふんだんに与えている。体内には筋力養成用のバネを移植し、プラスチック製の外骨格も移植した。 マッソー石なんて目じゃない。 ゴミムシもそうだ。 両腕の再生の過程で、あらゆる草花の毒を少しずつ埋め込んでいる。二日もすれば毒手実装のできあがりってわけだ。 ドドンパやゲロリで耐性をつけてるのも忘れちゃいない。 毒実装になっても、すぐに死ぬようなことはないだろう。 僕はこの成果物たちに新たな名前をくれてやることにした。 毒手のほうが「テチ人一号」、プロテイン、骨格強化したのが「テチ人ニ号」 とりあえず二十八号あたりを目指そうかと思っている。 おっといけない、資源回収、資源回収。 ●八月拾玖日 父が普通の餌を買ってきてくれた。どうやら「強制成長剤」入りの餌を食べさせ続けると寿命が縮むらしい。 そんなくだらないものよりも、艦これの入渠拡張パックがほしかった。 祖父からもらった小遣いじゃ、港しか拡張できなかった! ガッテム! ●八月弐拾日 金剛もいいが、霧島もいい。最近、眼鏡のよさがわかってきた。 どうやら僕はおおきいおっぱいが大好物らしい。 遠征の間、暇だから蟲どもを連れて公園に行くことにした。 僕の成果物たちの戦果は素晴らしく、たったニ石で公園の虫けらどもを駆逐した。 が、嬉しい知らせばかりではない。 テチ人一号が、まら実装により妊娠させられてしまった。 これはきっと、僕に対する神からの挑戦なのだろう! いいだろう、その勝負受けて立とう! 提督として負けことは許されない! ●八月弐拾参日 あれから三日、テチ人一号に「強制成長剤」入の餌と砂糖水を与え続けている。 部屋の片隅に埋もれていた「リンガル」で胎教をほどこすことも忘れちゃいない。 毒耐性をどこまで引き継げるかわからないが、第二世代はより強い実装がうまれるだろう! ●八月弐拾七日 胎内での仔の成長は充分だ。 母体であるテチ人一号の腹が、破裂しそうなまでに膨らんでいる。 ここまでくれば、早すぎることはないだろう。 満を持しての言葉を、「リンガル」にぶつけた。 「ママの腹を突き破れ!」 パン! 膨張は限界にまで達していたのだろう。テチ人一号は音とともに四散した。 腐汁の海のなか、汚泥に似た小実装が産声を上げる。 六石ほどが、ドロドロの身体で生まれてきた。 「腐ってやがる! 早すぎたのか?」 杞憂は無駄に終わった。 腐汁のなかから、中実装ほどの仔がむくりと立ち上がる。 「テスススス」 テッテレーという、声はない。テチ人九号、不気味な石の誕生だった。 ●八月弐拾八日 以前とは別の公園に行って、テチ人二号とテチ人九号で蹂躙を楽しんでいると、トシアキと名乗る男に声をかけられた。 「なんですか?」 「その実装石、譲ってくれないか?」 二号は強化のし過ぎで、偽石にヒビがはいっている。これならいいだろう。 「いくらくれますか? ネット通貨でもいいですよ」 「お金はちょっと。でもいいものをあげよう」 トシアキから一流ブリーダー用の実装育成セットをもらった。 ローゼン社のお墨付きなのだから良い品物なのだろう。けれど本音をいうと、艦これのケッコンカッコカリの資金がほしかった。 金剛級四姉妹をケッコンカッコカリにしたまではいいが、愛宕や摩耶、赤城に加賀の手続き書類一式と…………。 ●八月参拾壱日 ブリーダーセットの効力はすばらしいものだった。 第三世代の出産が成功。今度は三石! ニ石を強化しつつ、残った一石を以前会ったトシアキに引き取ってもらう。 お礼に、新たなブリーダーセットをもらう。 トシアキも艦これをしているらしく「長門萌え〜、榛名萌え〜」とか抜かしている。 僕より課金していることに腹が立った! 次回からはネット通貨をもらおう。 にしても、わかってないなぁ。時代は伊8とオイゲン、浜風なのに……。 ●九月八日 夏休み終了。学校に登校する。 ここから先は自由研究ではない。 試行錯誤の上、テチ人二十八号を育てることにほぼ成功していた。 よりすぐった一石を母体が破裂する寸前まで胎内で育てる。 力が一点に集中しても破裂しないように、サランラップで補強をする。 そうして育てた胎内の仔へ。最後の一声を「リンガル」にぶつけた! 「逝け! テチ人」 母胎を突き破り、赤と緑の汚物から、悪魔が誕生した。 実装香の匂いを放つ石から採取した細胞を埋め込んだテチ人二十八号に、楽園は存在しない。 道はふたつにひとつ。コイツが死ぬか、実装が死に絶えるか。 ◇ 学校で居残り宿題をさせられながら、僕はテチ人二十八号を放った公園を見やる。 「テジィィィ——」 「テジャア————————」 今日も蟲どもは騒がしい。 〈了〉

| 1 Re: Name:匿名石 2015/08/21-02:18:27 No:00001821[申告] |
| 艦これの感染力が怖い |
| 2 Re: Name:匿名石 2015/08/21-10:03:47 No:00001822[申告] |
| 思春期をむかえてイロイロに目覚め、成長してゆく姿が良いです。
まだ少年だった、最後の夏。実装石の夏。 |
| 3 Re: Name:匿名石 2015/08/21-20:18:28 No:00001823[申告] |
| 日記だからバイオネタかと思ったらもっとひどい何かだった
これはひどい |
| 4 Re: Name:匿名石 2015/08/21-22:44:11 No:00001824[申告] |
| なんか夏休みの間に急激に成長したね
みたいな感じ |
| 5 Re: Name:匿名石 2015/08/22-16:58:27 No:00001825[申告] |
| 田舎にいる間にこの少年に何があったんだ… |
| 6 Re: Name:匿名石 2015/08/23-14:57:11 No:00001826[申告] |
| 帰省しているときに間違いなくあまり教育によくなさそうなアニメを見ているな |
| 7 Re: Name:匿名石 2015/08/26-18:45:55 No:00001830[申告] |
| なんか口調が途中で入れ替わってるがそれも含めてなんかワロタw |