タイトル:甚振り風味の飼育10
ファイル:実装石10.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:1295 レス数:1
初投稿日時:2015/05/11-18:33:10修正日時:2015/05/11-18:33:10
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——店から出ると大雨。
ゲリラ豪雨というやつか、叩きつけるような強い雨だ。
天気予報ぐらいチェックしてから出るべきだった。
もちろん傘など持ってきていない。
あんなにいい天気だったのに。
濡れ鼠は必至か。帰宅を急ぐ。
焦げパンの蛆は全部で3万円で買い取られた。
しかしながら高額で買い取られるより何より安全に里子に出せたことがよい。焦げパンも安心するだろう。
すっかりご機嫌な俺は祝儀とばかりに実装石達へのお土産を買ってパーっとお金を使った。
せっかく買ったお土産だ、出来るだけ濡らしたくない。
帰る足のペースさらに速くなる。
道中、雨を使って水浴びしている野良実装石が進行の邪魔で大変難儀した。
まあ、それを何匹蹴り飛ばしたかなどまったく覚えちゃいない。
それにしてもこの地域は野良実装石が多い。厄介な事だ。

どうにか住まいのエレベーターホールまで着く。
お土産の状態が気になってチラりとたしかめてみた。
店長さんが気を利かせてレジ袋を二重にしてくれていたので中身は濡れていなかった。
あいつら喜ぶかな?
荷物は無事でも自分はずぶ濡れ。
けれども帰宅に胸弾む。最高にハイだ。
俺は勢いよく、自宅のドアを開いた。
何かおかしい。
開けた瞬間、瘴気のようなものが肌に触る。
雨の湿気のせいだろうと思い過ごしだろうと構わず水槽に向かう。
今帰ったぞ。おまえらにほら!土産があるぞ〜。
雨のせいではなかった。
瘴気は水槽から発せられていた。

「おい、もっと蛆出すレチィ」
「まだまだ足りないレチィ!お腹押せば出るレチィ?」

仰向けに倒れ、衰弱仕切った焦げパンとその腹の上に乗って跳ね回るシリアルの子供が2匹。


「蛆が出てきたレチィ!いただきま〜すレチィ」

焦げパンの股座から放り出された蛆を2匹は美味そうに頬張る。
俺が出かけている間、腹が減った2匹は焦げパンを襲って無理やり子供を産ませて食らっていたようだ。

ブチッ
ブチッ

俺はこの二匹の頭を指ですり潰した。
焦げパンはうわ言をいうように口をパクパクさせる。
急いで実装リンガルのアプリを起動させた。

「もう産みたくないテス・・・もうやめてテス、助けてテス、ご主人様・・・・・・」

力の無い目、傷だらけでやつれ切った体。
俺は焦げパンを空の丼に入れ、栄養ドリンクを注ぎ込んだ。
今まで怪我したり死にかけた時はこれで治っていた。

「ご主人様、ご主人様」

か細くなった腕。手を伸ばして呻く焦げパン。
俺はここだよ、しっかりしろ。
お前にお土産があるんだ、ちょっと待ってろ。
俺はお土産が入ったレジ袋の中身を取り出そうと乱雑に切り裂く。
特上コンペイ糖と黒いドレスとティアラ。
ほら、焦げパン。可愛いだろ?
この服はまだお前にはデカイ。
成体になったら着られるぞ。
な?だから頑張れって!

「もう・・・テス」

焦げパンが薄く笑った。

「ありがとうテス、ご主人様・・・」

ガラスか何かが弾ける音。
焦げパンはそれから動かなくなった。

焦げパン、死んじまったのか?
今まで栄養ドリンクにつければ治ってたのに。
おい?おーい?おーーーい?

「なにごとテス?うるさいテス。起きてしまったテス」
「ママー」

アプリが音声に反応し、翻訳表示した。
水槽の隅で寄り添って寝入っていたシリアルと親指実装石が目を擦り目を覚ました。

「ママー、お腹すいたレチィ」
「オマエもお姉ちゃん達見習って蛆取って食べてきたらいいテス」

「ママ、蛆ちゃんはゴハンじゃないレチィ。

「ニンゲンが帰ってくるまでそれしか食べ物はないテス」

「でも蛆ちゃんは食べたらダメレチィ!かわいそうレチィ!」

「オマエうるさいテス!じゃあ食べなければいいテス!お姉ちゃん達はえらいテス。好き嫌いもしないテス。自分で食べ物見つけられるテス。あの子達はママのようなステキなレディになるテス。オマエはダメテス!!」

シリアルは我が子を力いっぱい殴り飛ばした。
親指は後方に転げ回ってピーピー泣き喚いた。
そこでようやくシリアルは俺の存在に気づいた。

「あ、ああニンゲンさんおかえりテス。これはなんでもないテス。メシはまだテス?」

俺はシリアルに返答せず、丼に入った焦げパンを見せた。

「メシテスゥ?なんか不味そうテス。たまにはステーキ食べたいテス」

お前の仲間だよ。わからないのか?さっき死んじまったんだ。

「ナカマ?そういえばムスメ達が足りないテス。ここにヒトツしかいなテス。どこいったテス?」

俺はさっき潰した親指実装石の屍を摘み、シリアルの前に寄こした。

「テエエエ!?あああ!?あの子達が潰れてしまってるテス!!ひどいテス!!どうしてこんなことになってしまったんテス!?」

俺が潰した。
こいつらは仲間甚振って蛆を産ませて食べた、丼の中の子はそのせいで死んでしまったんだ。お前のこどmのしたことどう思う?

「ひどいテス!!」

シリアルはボタボタ涙を流す。

「あの子達には楽園でステキな暮らしをする未来があったんテス!それなのにテス!!あの子達が死ななきゃならないんテス!!」

シリアル、お前の言い分はそれか。

「ココは地獄テス!!ワタシはシアワセな生活がしたいテス!!」

ほう、幸せな暮らしか。

「可愛い服着て、美味しいもの食べて、のんびり暮らしてもいいはずテス!!」

俺はレジ袋からガサガサとさっき取り出した黒とは別の白いドレス取り出す。

「あ、可愛いドレステス。ワタシよく似合いそうテス」

ああ、お前のため買ったものだ。少しデカイだろうけどこのドレスお前にやるよ、着ろ。
そう言われると泣き顔が一転して満面の笑顔になり、シリアルは白いドレスを受け取りさっそく着こむ。
サイズが大きいのと禿裸であるがゆえにまるで僧衣か、ローブのようだった。

「ふふふふ、やっぱりワタシは何を着ても美しいテス」

モデル立ちのポーズをとって見せつけ、自分にうっとりしている。
こいつに美意識にとやかくいう気もなかった、もうこいつに興味はない。
さあ、おいでシリアル。お出かけしよう。

「テス?お出かけテス?美味しいゴハン食べに行くんテス?ワタシはステーキがいいテス」

俺は微笑みを答えにしてシリアルを抱き寄せそのまま外へと連れ出した。

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1 Re: Name:匿名石 2015/05/13-23:07:40 No:00001747[申告]
大事な大事なペットちゃんというより気軽に飼ってる実装蟲だからなんだろうけど
雑に放置したせいで酷い最期に
さて、残った方はどうなるやら
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