タイトル:甚振り風味の飼育9
ファイル:実装石9.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:1175 レス数:0
初投稿日時:2015/05/11-18:32:35修正日時:2015/05/11-18:32:35
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「こりゃあいい質のいい蛆ちゃんですな。色艶も良く大人しくお漏らしていない。お客さん、腕利きの実装ブリーダーですね」

ペットショップ「にじうら」の店長は焦げパンの産んだ蛆をトングで摘みながら感心していた。
お世辞かもしれないし、褒められたところでむず痒い。俺は手を横に振って愛想笑いした。
「蛆ちゃんが結構な数なので査定に時間かかると思います。よろしければその間店内をご覧になってお待ちをください」
店長さんに促されて俺は店内を見て回る事にした。
店内は出入り口付近のショーウインドに積み上がられたアクリルケース。中には成体の実装石があざとく媚びる。
重ね貼りされた痕跡のある躾済み1万の値札。躾済みとはいえ成体の実装石にあまり需要はない。
不良在庫はいつ処分されるかわからぬ状況ゆえに媚びにも焦燥感があった。
でもこいつを飼ってやろうという慈悲を俺は持ち合わせていないのですぐ成体から別の物に興味を移す。
三段式のメタルラックが等間隔に並び、その上にはケージや虫カゴがたくさん並べられている。熱帯魚や爬虫類など扱っている平凡なペットショップとよく似た配置。
違う所は扱ってる商品全てが実装石と実装石にまつわるものである事だろう。
ケージは上質な仔実装と糞蟲と分けて入れられているらしく、品種と値段が書いたポップが貼られている。
宝石と駄菓子ぐらい値段の開きがあった。
良仔実装20万〜と貼られたケージには綺麗な洋服を着た仔実装が一匹入っていて俺にお辞儀する。
ケージの正面左上部分に備え付けられた液晶パネルには「こんにちは!ニンゲンさん。今日はいい天気テチュネ」と表示されている。

「ワタシ、お日様大好きテチュ♪」
「青いお空も大好きテチュ♪」

チャット形式で流れていく文字列。
無線実装リンガルか。これは実装石に付けられた首輪から音声を認識し、自動翻訳して表示するアイテムで、付けた首輪の数だけ個体別に動作する。
なかなか高価な品物であまりお目にかかることがなかった。いい実装石だとこういう物も付けたりできるのか。
まあ糞虫だと粗相して簡単に壊してしまいそうだし、だいたい汚ねえ言葉しか喋らなそうだ。付けるだけ無駄、豚に真珠。
別のケージに入っている実装石を見てそれを実感した。
——糞虫30円。
赤文字で書かれたポップ。中にはうじゃうじゃと俺に熱視線を送る仔実装の群れ。まるでゾンビ映画のワンシーン。
他には殴り合ったりしてるやつもいれば、共食いしてるやつ、クソ漏らして悦んでるやつもいる。こんな奴ら一向に買いたくならない
このケージのとなりには拳が通る入り口のガラス瓶に目一杯入った蛆実装。
一回100円。
蛆つかみ取り。
駄菓子の飴玉つかみ取りを連想した。
中で蛆がウネウネと蠢く様子が非常に気持ち悪い。互いの尻尾を喰らいあっているやつもいる。ウロボロのようだ。おぞましい。
さすがにうちのは共食いしたりしない。焦げパンやシリアルが相当マシなんじゃないかと見直した。
メタルラックの整列群を抜けるとたった蛆の査定を受けているレジカウンター、右隅には実装石の関連グッズらしき商品コーナー、左隅には赤い暖簾がみえる。
白抜きで「虐」の文字を丸で囲んである。なるほど、虐待コーナーか。レンタルビデオのアダルトコーナーみたいな佇まいだ。少しだけ覗いてみようか。
フラリと暖簾をくぐると袋小路のような4畳半ぐらいのスペース。
行き止まりには大きなケージ、塀を形成するスチール製の棚には虐待の文字が躍ったDVDソフトや虐待グッズが無数に陳列されている。
壁には液晶モニターがかけてあり、実装石虐待ビデオのプロモーションビデオが延々映し出されていた。
よくあるビデオ屋の光景なのだが違うところは大きなケージか。
俺は大きなケージを覗き込んでみる。そこには大小様々の禿裸の実装石がいた。

「レフー!レフー!」
「テチィ!テティ!」
「デスゥ!デスゥ!」

涙を流し、必死に助けを求めている禿裸達。溺れる者は藁をも掴むか。
ケージの右側面に添えられたカラーボックス。
「ご自由お使いください。」と書かれたポップが添えられている。
ハサミ、カッターナイフ、千枚通し、金ヤスリ。実装石虐待用の道具がカゴの中に入って置いてあった。
道具のお試しコーナーといったところか。
ハサミの刃先に実装石の血と肉片がこびり付いている。
カゴの中には他にお椀に盛られた緑の豆粒、実装フードだろうか?
2、3粒つまんでケージ投げ込んでみた。
俺が投げ込んだ豆粒を訝しげに見つめる禿裸の群れは疑いながらも衝動に逆らえずといった感じで豆粒にしゃぶりついた。
美味しい餌、すごく美味しい餌。何個でも食べたい甘い味。もう一個食べたい痺れるこの味。
そう、これは・・・実装石には猛毒。
豆粒に群がった禿裸は一斉に口から血の泡を吹き出して倒れた。
棚に陳列された箱を手に取る。媚びた仕草の実装石のイラスト。見た目は箱入りのチョコ菓子。
これが実装コロリか・・・躾に使えるかもしれないな、一応、買おう。
買い物かごを拾い上げ、中にコロリを入れた。
なんだか虐待コーナーは気が乗らないな。
もがき苦しむ禿裸達を尻目に先ほど行かなかった実装グッズコーナーへ向行くことにする。
実装石用の衣類や玩具、食料などがズラリと並ぶ。
せっかくだし、お土産でも買ってやるか。
いつになく帰宅が楽しみになっていた。

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