タイトル:【観察哀】 高級飼い実装の愚賢姉妹
ファイル:二十三夜さま.txt
作者:レマン湖 総投稿数:17 総ダウンロード数:1993 レス数:8
初投稿日時:2015/05/06-19:58:00修正日時:2015/05/06-20:04:37
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 オネチャの口癖はこうだった。
「テー!ダメテチ!ワタチタチはそんなことしちゃダメなんテチ!」

 イモウトチャの口癖はこうだった。
「ワタチの名前は二十三夜テチ。オネチャの名前は十六夜テチ。
 お名前の数はお値段の数テチ。ワタチの方が高値テチ。
 だからオネチャはワタチの命令をきくテチ。」



 実装石とは思えない白磁のような輝く肌。絹のような髪。輝く瞳。


十六夜の月のような上品でふくよかなオネチャ。


二十三夜の月のように実装石にしては華奢なイモウトチャ。


 姉妹は、庶民には手が出しにくい価格の高級実装石だった。
そんな姉妹の飼い主は、安定した大企業の世襲若社長だった。




 金曜日の夜。

イモウトチャの二十三夜は、なんと寝そべる飼い主をおもいきり踏みつけていた。

「月曜日からずっと、よくも高貴なワタシをほっておいたテチ。
 これはオシオキテチ。オシオキテチ。タップリと踏まれるがいいテチ。」

 簡単な家事を終えたオネチャの十六夜は、もう三十分は踏まれ続けているであろう
ゴシュジンサマをみつけ、あわててイモウトチャを引き離して平謝りをした。

「イモウトチャがとんでもないことをテチ!!
 ゴメンナサイテチ!ゴメンナサイテチ!」

 ゴシュジンサマは寛大だった。
無言で姉妹をやさしくなで、そのままベットルームへ行ってしまった。

 だがイモウトチャはふてくされてこう言うのだった。
「オネチャは馬鹿テチ」


 翌日、飼い主の豪邸。広く豪華な応接間にクスクスと笑う声が響いた。
 ゴージャスなドレスを着た、スリムなモデル体型の美女たち。
美女達が身につけているブランド品からは金の匂いがプンプンとする。

 その中心に姉妹はいた。

目を疑うような豪華な料理。それらは一口だけ齧られ捨て置かれていた。

「このクソドレイ、もっとウマイものをよこすテチ。
 こんなウンチみたいな料理、ウジちゃんだって食べないテチ。」

 イモウトチャの二十三夜は、そう言って飼い主の顔に
高級A5三◯牛のアツアツステーキを投げつけた。

「テッチャアアー、イモウトチャ!ナニを言うテチ!ナニをするテチ!」
 オネチャの十六夜は、あわてて主人をかばった。
実装石ごときにかばわれるミジメでアワレな飼い主。
 それは余計に美女たちの失笑をかう事となった。

 飼い主の顔色はさっと青くなった。彼はそのまま自室にこもり、
ホームパーティーはおひらきとなった。

 十六夜オネチャは血涙を流して呆然と座り込んだ。
「いったい、いったいイモトチャはどうしちゃったテチ?
 ゴシュジンサマからいただいたゴハンは、キレイに食べないとダメなんテチ。
 なのに最近のイモウトチャは、カジるだけで残してしまうテチ。
 今日はキレイでゴージャスなニンゲンさんがいっぱい来てたテチ。
 きっとゴシュジンサマのおヨメさん候補テチ。
 なのになんでイモトチャはあんな、あんなことをテチ?
 メチャメチャテチ。もうなにもかもメチャメチャテチ。」

 だがイモウトチャ二十三夜は視線を逸らして、
「オネチャはバカテチ。」
 と言うだけだった。



 翌日、ニンゲンのハウスキーパーの手により掃除された応接間には、
上品な老婦人と、キリッとしたキャリアウーマン風の熟女がいた。

「あらあら、ここには実装石ちゃんがいるのかしら?
 うふふ、嘘をついても無駄ですわ。
 わたくし、こうみえても鼻がいいんですのよ。」

 老婦人は優しげにコロコロと笑いながらそう言った。

「ゴシュジンサマからの紹介がないうちは出しゃばらないようにしていたテチ。
 でもこうなっては仕方がナイテチ。粗相のないようにご挨拶しなければテチ。」
 聞き耳を立てていた十六夜オネチャは、扉をノックして応接間に入っていった。

 首輪につけられている発声式高級リンガルは、十六夜オネチャの言葉を老婦人に届けた。
 「はじめましてテチ。ワタチ、こちらでお世話になっているテチ。お名前は十六夜テチ。」
 実装石とは思えない、礼儀正しい挨拶。おもわず老婦人も微笑み返した。

 だが突如そこに、イモウトチャ二十三夜が乱入してきた。
「ふざけるなテチ!ワタチタチはここで飼われた覚えはないテチ!ここは仮の宿テチ!
 ワタシタチの本当のゴシュジンサマはとしあきサマテチ!」
 そう言い放ち、十六夜オネチャを強引につれて実装部屋へ戻っていった。

「あらあら、残念だこと。ワタクシ、久々に実装石ちゃんと遊びたかったのよ。
 でもあの子達、あなたのご親友だったかしら?としあきさんのモノだったのね。」
 老婦人は残念そうにため息をついた。



 十六夜オネチャはびっくりしながらイモウトチャに問いただした。
「テチャァァア?!ど、どんなつもりテチ?
 ワタチタチのゴシュジンサマはゴシュジンサマだけテチ?」

「オネチャは馬鹿テチ。」
 だがイモウトチャはそう言うだけだった。

 十六夜オネチャは、ゴシュジンサマの親友、としあきサマの事を思い浮かべた。
 くたびれて、だらしない格好をする事が多いゴシュジンサマよりも、
としあきサマのほうがいつもピシっとしたスーツを着ていてカッコ良い。
 ヘタレで何も決められないゴシュジンサマよりも
としあきサマのほうが男らしく有能で、てきぱきと事を運んでいる。
 きっと社会的地位もとしあきサマの方が上なのだろう。

 震えながらオネチャは聞いた。
「イモウトチャは今のゴシュジンサマをうらぎって、
 としあきサマに乗り換えるつもりテチ?」

「オネチャは馬鹿テチ。」
 だがイモウトチャはそう言うだけだった。



 その夜、ゴシュジンサマはとしあきに相談をしていた。
「まいったよ。値段の差ってアレだよねぇ、本当。
 おれの手には余るよ。姉妹のアレなほう、引き取って欲しいんだ。
 としあきだったら余裕だろう?な、頼むよ!」
 
「ああ、イモウトチャはこれが狙いだったテチ?。でもこれでいいテチ。
 こうしたほうがお互い幸せになれるテチ。」
 立ち聞きしていたオネチャは涙を浮かべ、イモウトチャを抱きしめた。

「オネチャは馬鹿テチ。馬鹿テチ。大馬鹿テチ!」

 だがイモウトチャは何を思ったか、いきなり殴りかかってきた。
不意をつかれたオネチャはなすすべもなく、服をやぶかれ、髪の毛をむしられてしまった。
 
 なんてことを、なんてことをするのだろう。イモトチャが全く理解できない。
「ヒドイテチ、ヒドイテチ!醜いハゲ裸はイヤテチ!捨てられるテチ!
 こんな事をしでかしたイモトチャも一緒に捨てられるテチ!」
禿裸になったオネチャは、ただ、ただ、泣いて震えるのだった。

「見るテチ!醜いハゲ裸テチ!コイツはワタチのドレイテチ!
 ワタチの、ワタチのモノなんテチ!ワタシが言うことをきかせるテチ!」

イモウトチャ二十三夜は引っこ抜いた髪の毛で器用に十六夜オネチャを縛り、
ゴシュジンサマととしあきの前に登場した。
 驚愕する二人。だがとしあきはすぐに平静を取り戻して、ニヤリと笑った。

「ねぇ、二十三夜ちゃん。君は実装石にしては頭がまわるようだね。
 だけどね、残念だね、くやしいね。君の計算違いだね。
 僕はね、ハゲハダカでもOKなニンゲンなんだ。」
そして最後にそっと耳打ちをした。
「ハゲハダカでもOK。賢い君ならこの意味が分かるよね。」

 イモウトチャ二十三夜は真っ青になって崩れ落ちた。

 十六夜オネチャは、禿裸になってしまった絶望から一転。歓びに打ち震えていた。
クソムシのイモウトチャと連座して破滅せずにすむ、
そのうえ古いゴシュジンサマよりもっと素敵な
としあきサマが新しいゴシュジンサマになるのだ。



 イモウトチャ二十三夜は絶望に偽石を黒く濁らせ、ぶつぶつとつぶやいていた。
「オネチャは馬鹿テチ。大馬鹿テチ。
 フミフミはゴシュジンサマの性癖テチ。
 ゴシュジンサマはああいうのが好きなんテチ。

 ゴシュジンサマはお仕事で、人に命令してばかりして疲れていたテチ。
 いつも偉い人をやらなくちゃダメで疲れていたテチ。
 だから週末にはプロのオネェサンの前であんな『プレイ』をしていたテチ。

 オネチャは馬鹿テチ。大馬鹿テチ。
 ゴシュジンサマは『笑わせる』のは大好きテチ。
 でも『笑われる』のは大嫌いなんテチ。」

 賢い二十三夜は、愚かな十六夜にはわからない事を、他にも色々と理解していた。 

 ご主人様はスリム系が好みだという事。だから食事は我慢して少し齧るだけにした。

 あの老婦人とキャリアウーマンはご主人様の母と姉である事。
いつもニコニコ笑っているニンゲンは本当は怖い事。
独身の男性が実装石を飼っていると身内に知られるのは、
ニンゲンサンの社会では色々と恥ずかしい事。

 としあきがいつもパリっとしたスーツ姿なのは使われる側だからという事。
ご主人様がダラでヘタレなのはお仕事モードの時の反動だという事。

 賢い二十三夜はご主人様が財産争いのせいで、「肉親の愛情」というモノに対して
生理的な嫌悪感を持っている事も理解していた。

 だから「禿裸にしてドレイ」ということにすればとしあきも飼うのを嫌がり、
ご主人様の理解も得られ、愚かな姉もコントロールしやすくなると思ったのに。



「オネチャは馬鹿テチ。大馬鹿テチ。
 ワタチはこんなにも、こんなにもオネチャを愛していたテチ。
 なのに、なのに、オネチャは馬鹿テチ。大馬鹿テチ。」

 オネチャの過酷な運命、理解されない愛情、賢いゆえに見える様々な事。
実装石には稀な賢さは、圧倒的な孤独となって彼女に覆いかぶさってくる。
それはイモウトチャ、二十三夜をパキンさせるのに十分であった。


 二千三百万円の実装石は、己の価値が下がるのも顧みず
十六万円の姉実装石と抱き合わせを望んだ。
二十三夜はそれを選択できるほどに優秀な実装石だったのに。
 だがその愛情は全部無駄になったのだ。

 多くの実装石の不幸はTPOをわきまえられないところにある。
実装石の常識はニンゲンさんの非常識。
それが彼女たちの不幸の元凶なのだ。
それができる「空気が読める」レアな実装石であったのに。





 としあきは帰路、嬉しそうに禿裸の十六夜オネチャを振り回していた。
「あの妙にかしこぶった実装石、大嫌いだったんだよね。
 上司の実装石だし、手を出せないと諦めていたのにラッキーだったよ。
 今ごろ二十三夜ちゃん泣いてるだろうなぁ、苦しんでいるだろうなぁ
 もしかしたらパキンしちゃっているかもしれないなぁ」

 としあきはふと、振り回されてもどしそうになっている
十六夜を手のひらにのせ、やさしく撫でながら言った。

「あ、そうだ、十六夜チャンも馬鹿だけど
 あの二十三夜ちゃんの血縁なんだよね。
 もしかしたら賢い仔ができるかもね?
 よし、いっぱいっぱい産ませてあげるね。」
 

 目が回っている十六夜は、ニンゲンさんが何を言っているのか、
正確には把握できなかった。ただ飼い実装でありながらカワイイ仔を
いっぱいいっぱい産ませてくれるという事は理解できた。

「としあきサマ、ううん。ゴシュジンサマはワタチにメロメロなんテチ!」
 ああ、なんて幸せなのだろう。

 あとはただ欠けゆくだけの十六夜の月。
その名の通りの過酷な生活がまっているとも知らず、
十六夜は頬を赤らめて嬉しそうに「テッチュン」と鳴くのだった。 

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1 Re: Name:匿名石 2015/05/08-17:37:24 No:00001727[申告]
イモウトチャとオネチャの間に次女がいるかと思ったが
そんなことはなかったぜ

>>ご主人様はスリム系が好みだという事。だから食事は我慢して少し齧るだけにした。
十六夜オネーチャのごはんも投げ捨てて食べれないようにすれば・・・
いや、そうしてもご主人様が別のご飯持ってきてしまうだけか
その経験を活かして
「もっとウマイものをよこすテチ。こんなウンチみたいな料理、ウジちゃんだって食べないテチ。」


いや、そこまで頭が働くならご主人様に直に相談すればよかったのか
2 Re: Name:匿名石 2015/05/09-02:29:42 No:00001731[申告]
こういう逆転系はいいもんだなあ
しかし、いくら超賢いとはいえ実装石に2300万はバカだわ
3 Re: Name:匿名医師 2015/05/09-22:51:37 No:00001733[申告]
この展開、気に入った。

【管理人】※実装石および本スクに無関係な画像でしたので申し訳ありませんが削除しました
4 Re: Name:匿名石 2015/05/10-19:01:31 No:00001735[申告]
何の画像だ?
5 Re: Name:匿名医師 2015/05/10-19:10:36 No:00001737[申告]
私のテーマ画像。
虐待紳士の紋章、眼が昴のように輝く狼。
今後ともよろしく!
6 Re: Name:匿名石 2015/05/11-17:42:15 No:00001741[申告]
なんかマジモンの空気を感じる奴が現れたな。


それはさて置きスクは面白かったよ。
7 Re: Name:匿名石 2015/05/18-21:50:33 No:00001750[申告]
W
8 Re: Name:匿名石 2016/12/02-22:08:23 No:00003021[申告]
ひゃっはあ…
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