タイトル:甚振り風味の飼育
ファイル:実装石.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2646 レス数:3
初投稿日時:2015/03/21-03:27:00修正日時:2015/03/21-03:27:00
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「クマムシ」

——雨の昼下がり。
特にやることもなく自室の窓から外を見ていると向かいのビルの麓に二匹の仔実装がいた。
寒いのだろうか、お互いの体を寄り添わせ縮こまる。
俺は仔実装のいるところへ足を運ぶ。ほんの気まぐれだった・・・・・・。
仔実装に傘を差し出す俺をみて二匹はひどく怯えてすくみあがる。
一向に警戒を解いてくれる様子はない。
埒が開かないので俺は雑草でも引き抜くかのような乱暴さで二匹を掴む。片手で収まるような小ささで簡単に握りつぶせそうなか弱さ。
そのまま俺は自室へ連れ帰った。

二匹はひどく汚れていた。
衣類は汚物まみれで、顔は煤や埃だらけだった。
ユニットバスの洗面台にお湯を張り、ボディーソープで泡立たせると二匹を洗面台に転がした。ひどく濁った緑色が洗面台の染める。
「テチュテチュ!」
慌てた感じでバタバタする二匹を御構い無しに衣類を剥いでいく。
「テチャアアアアア!!」
激しく抵抗の声あげたが煩いだけ。
こ汚い服を脱ぎ、石鹸水で汚れを落としたお陰で多少は身綺麗になった。
身体をすすいでタオルで拭いてやる。
どうだ?清潔になってうれしいだろう?
ふと俺と目が合い、二匹の仔実装は恥ずかしそうに身体を隠す。
その仕草に無性にイラっとした俺は爪楊枝で二匹の額を軽く刺してやった。
「デギャアアアア!!!」
煩く鳴くのでつまみ上げてリビングの空の水槽に二匹を投げ込んだ。
水槽の中で暴れたが俺は相手にせずしばし仮眠を取る。

次に仔実装の相手をしたのはすっかり日が落ちた夕暮れ。
物音がするかと思えば水槽から一匹でてきてた。

「テチュテチュテチュテチュ」
俺の目の前に立ちパタパタと身振り手振りで俺に意思を伝えようとする仔実装。
たぶん「腹が減った。何か食べさせるテチュ」ってところか。
しかしうちには実装石が喜びそうな食べ物はない。
ニッコリ笑顔を作ると俺はキッチンの生ゴミから朝食で食べようとしてうっかり焦がしてしまった食パンの黒焦げの部分をちぎって仔実装に食わせた。こいつらは甘いものが好きな生き物。ひどく歪んだ顔でパンを頬張るがといっても悪食なので残さず食べた。
お代わりを催促する仔実装。俺はそいつを無視水槽に目をやった。
もう一匹の仔実装がよだれを垂らして水槽に張り付いてこっちを凝視していた。
お前も飯が欲しいのか。ふと朝食に食べるシリアルまだ残っていたことを思い出し水槽の中に少しばらまいた。
仔実装は半狂乱になってシリアルを貪り食う。それを見た焦げパンを食べた方は駆け出して水槽に戻ろうとするが跳ねても届かず、登ろうとしれも滑り落ち、ヨダレと涙を垂れ流した。
そうだ、こいつらの名前は焦げパンとシリアルにしよう。当の仔実装が気にいるかどうかはどうでもよかった。
こいつらの名前は焦げパンとシリアルになった。


先ほど水槽から焦げパンが出てきたのはおそらくシリアルが台になるなりしてできたのだろう。
逃げ出したら煩わしいのでちょっと細工を考えた。
焦げパンの左耳にタコ糸を添え、ホチキスで打ち付ける、打ち付けたらタコ糸をホチキスの芯固く結ぶ。
今度はシリアルの右耳に同じように
タコ糸とホチキスを結ぶ。
耳の痛みで泣き叫ぶ二匹だがこのタコ糸は繋がっていてお互いに動くと耳を引き合う形になる。
それさらなる激痛を呼んで泣き喚く。
こいつは小一時間泣き叫んだがようやく事態を理解して糸が張らないように一定の距離を保つようになった。
水槽はすっかり汚物まみれになっていた。
あどうせなら一度に洗ってしまおうと水槽を流し台にに運びホースを使って水を汲みこむ。大洪水になり、中で慌てふためく仔実装。お互いにしがみついて水面から顔を出そうとするがタコ糸が張って激痛で離れる。離れすぎても耳が痛むのでまた寄り合ってはお互いにしがみつき合う。溺れる様も滑稽だった。
このまま中性洗剤を流し込もうかなんて考えも頭をよぎったがさすがに死ぬかもしれないと自重した。

水槽は汚物の混濁でいっぱいになった。大したもの食わせてないのにどこからこんなにクソが出るのか不思議なものだ。

水槽の掃除とついでの入浴が終わった時の二匹は泣き疲れたのか寝息を立て始めた。
大量に水を飲んだから今日は飯いらないな。
水槽を窓際の定位置に戻す。二匹に
布団代わりにタオルをかけてやる。寝ている所は可愛いらしく思えた。
よしよし、風邪引くんじゃないぞ。
スヤスヤ寝息を立てている二匹を余所に俺は自分の食事を摂ることにする。
今日は買い物に出かけるのも面倒くさいのである物で済まそう。
——ああ、そういえばたしか・・・・・・。
戸棚から遊び半分で買って常備していた非常食のセット、コンバットレーションを取り出す。そろそろ消費期限が近い。
中身は薄いパン、ジャム、チョコレート、レトルトパックの豆スープ、レトルトパックのハンバーグなどなど。他にもたくさんはいっていた。
「テチュンッ!!」
焦げパンがくしゃみをする。タオル掛けてかけてやったのにまだ寒いのか。 
レーションの中身を出して、ふといい考えを思いつく。
おかずを温める用に加熱用ヒートパックを開き、レトルトの豆スープと仔実装をいっしょに入れて水を注いだ。
この加熱用ヒートパックはレトルト食品などを温める物で、水を注ぎ込むと化学反応を起こし、水がじんわりと熱を帯び音を立てて沸騰する。
よかったな。焦げパンとシリアル。

特別なスープをあなたにあげる。あったかいんだから。

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1 Re: Name:匿名石 2015/03/22-21:18:18 No:00001684[申告]
私のおじいさんがくれた初めてのキャンディ
それはヴェルタースオリジナルで私は四歳でした
その味は甘くてクリーミィで
こんな素晴らしいキャンディをもらえる私は
きっと特別な存在なのだと感じました
今では私がおじいさん
仔実装にあげるのはもちろんヴェルタースオリジナル
なぜなら彼女たちもまた特別な存在だからです
2 Re: Name:匿名石 2015/03/27-22:06:20 No:00001687[申告]
ヌルいじめかと思いきや、最後は熱殺ですか。
3 Re: Name:匿名石 2015/04/03-19:27:18 No:00001699[申告]
変な文章や誤字なんかありましたら指摘をよろしくお願いいたします。
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