タイトル:【観察】 スクに投下した駄文を手直してこちらに
ファイル:白い実装.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:1216 レス数:2
初投稿日時:2014/11/19-18:41:13修正日時:2014/11/19-18:41:13
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白い実装

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ヒタヒタと本格的な冷え込みが迫りつつある初冬だが、まだまだ陽向は暖かい。
そんな昼下がりに昼食も終え、公園ベンチで煙草をくゆらせ一服していると、
なにやら弱々しく耳障りな泣き声が近くの植え込みから聞こえて来た。

「テヒ!? テ、テェエエ…」
「やっぱりな」

どうせ飢えた野良実装石かなにかだろうと思って植え込みを覗いたが、案の定だ。
それだけなら無視して仕事に戻る所だが、ソイツ等は少々予想外の見た目をしていた。

どんなに酷く汚れていようとも、基本的に野良実装って奴は緑色をしている。
だがその植え込みでメソメソ泣きながら身を震わせていた仔実装数匹は、真っ白だったのだ。
野良にあるまじき純白の姿に興味をそそられ、少しその白実装達と言葉を交わしてみた。

テチャテチャ、半分も何を言ってるか理解出来なかったが、とりあえず分かったのは、
何度かその優しいオバサンとやらは公園へやって来て餌を恵んでくれたらしい。
が、昨日は仔実装達が余りに汚い恰好をしているのをいつも不憫に思っていたとかで、
泥と汚物まみれの仔実装達の腐れ実装服を徹底的に消毒洗浄してくれたのだそうだ。

最初は雪のように真っ白で綺麗になった服に仔実装達は大喜びしたらしい。
まぁ、汚泥と糞と生ゴミにまみれて生きてきた実装達にとって初めての歓びだろう。
感謝の言葉を代わる代わる述べる仔実装達に、その愛護派のBBAも満足して帰ったらしい。

だが、しばらくしてどうも今までと勝手が違う事に仔実装達は気がついたらしい。
真っ白な色に気を奪われて、服が縮んで袖や裾から手足や腹が出てしまっていたのだ。
大方、BBAが漂白剤か何か入りの強力洗剤を使ったのだろうが、
所々ほつれ、穴が開いているのも寒さを一段と厳しく感じさせている原因に違いない。

「テェエエ…」
「よっぽど頑固な汚れで、いくら洗っても綺麗にならないからBBAの奴ブチ切れて、
 とんでもなく強力な洗剤を使っちまったんだな」
「まぁ、油汚れに慣れてる仕事をしてるならまだしも、素人ならそうなるわな。
 ウール100%(笑)の実装服でなくても縮んじまうさ」

この寒空の下で、その服の縮みだけでも酷い事態だと言うのに悲劇は続く。
真っ白なお陰で、冬の弱い陽の光が当たっても身体が温まらないに始まり、
カラスや野良猫に直ぐ目を付けられ、思うように身動き出来なくなってしまったのだそうだ。

「なるほど、普段は薄汚れた実装の恰好がカモフラージュしてたわけか」
「確かに真っ白な何かが植え込みや側溝辺りをウロついてちゃ悪目立ちするものな」
「BBAの親切が、随分とデカイお節介になったって訳だ」
「テェエエ…」

で、生き残った数匹の仔実装達は手に手を取って、飢えと寒さと怖さにガタガタ震えながら、
植え込みでもう一度その愛護BBAがやって来るのを待っていたのだそうだ。
確かに破れかけの白い服の所々にドス黒い染みが出来ている。
同族の血か恐怖で流した血涙なんだろう。
そんなに怖いなら全裸になればいいのに、と思ったが実装が自ら服を手放す事が出来るわけもないか。

「なるほど話は分かった。だが、そのBBAが来る前にお前等凍え死んじまうぞ?」
「テッ!?」
「確か、明日は今までより強い寒気がなんとかって、さっき天気予報で言ってたしな」
「そんなに寒けりゃ、その優しいオバサンとやらも公園になんて来やしないだろ」
「テェエェエェーーーーッ!」

まるで死刑宣告を受けたかのように青ざめ、再び血涙を流して頭を抱え泣き出す仔実装達。
どれだけの間、ここで寒さに震えながら植え込みで息を潜めて待ち続けていたのだろうか?
まぁ、ここでこうして出会ったのも何かの縁だ。
ちょっとだけ手を貸してやろう。

「手っ取り早く寒さを凌ぐ方法があるからちょっと待ってろ」
「テェ…!?」
「飼ってやる事も餌を与えてやる事もしないが、少しは寒さを凌げるようにしてやる」

生き残りに一縷の望みが出てきた事に仔実装達の顔がほころぶ。
実際、そう大した考えがあった訳じゃない。真っ白で小綺麗な実装に違和感があったのだ。
小うるさい仔実装の声を背に仕事場に戻り、廃油を空き缶にいくらか注ぐと公園に戻る。

「そら、これでもう目立たない。陽の光が当たってすぐ温かくなるぞ?」
「テッ、テェエェ…!?」

真っ白から真っ黒に、油でベトつく服に怪訝そうに顔を見合わせる仔実装達。
だが元より薄汚れた恰好だった実装達だ、小綺麗な恰好よりこの方が馴染むのだろう。
すぐ廃油まみれの恰好で日向ぼっこを開始し、久しぶりに訪れた暖かさに喜んでいる。

薄汚れた姿に戻った事も知らず、感謝を述べる仔実装達の声を背に仕事へ戻る。
実装って奴にはあの姿がお似合いなのだ。
小綺麗な恰好の実装なんて不自然過ぎるじゃないか?

    ◆◆◆

二三日してあの公園を再び訪れると、あのベンチ近くの植え込みに立て看板が設置されていた。
煙草のポイ捨て注意を促す文言と、野良実装を燃やさないようにとのお達しだ。

「あー…そういや…」

帰り際に煙草、捨てて帰ったような捨てなかったような……

「まぁ、いいか。どうせ野良だし」
「それより近頃、酷く乾燥してるし火の元には気をつけないとな」

この前より少しだけ寒くなった昼下がり、ベンチで日向ぼっこしつつ煙草をくゆらせ、
空高く浮かぶ白い雲が流れゆく様を眺めるのだった。

                         了
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スレに投稿した駄文に手を加えてみました。






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1 Re: Name:匿名石 2014/11/19-22:20:19 No:00001560[申告]
焼殺!
2 Re: Name:匿名石 2014/11/20-17:21:29 No:00001561[申告]
今日も平常運転ですね(*`・ω・)ゞ
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