タイトル:【巡】 じゃに☆じそ!〜実装世界あばれ旅〜 第12話08
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初投稿日時:2014/10/11-19:02:15修正日時:2014/10/11-19:02:15
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【 これまでの“ただの一般人としあき”は 】

 弐羽としあきは、ある夜偶然出会った“初期実装”に因縁をつけられ、彼女の子供を捜すため
強引に異世界を旅行させられる羽目になった。
 「実装石」と呼ばれる人型生命体がいる世界を巡るとしあきは、それぞれ5日間というタイム
リミットの中で、“頭巾に模様のある”初期実装の子供を見つけ出さなくてはならない。

 としあき達が訪れた「実装産業の世界」は、実装石を産業資源としている超未来都市だった。
 そこでは、なんと海藤ひろあきが指名手配されていた。
 彼の兄にして、実装管理委員会の次官を勤める海藤やおあきは、としあき達に、ひろあきと
彼の持つデスゥタンガンの捜索を依頼する。

 一方、ミドリは、中実装化したひろあきと共に、「アビス・ゲーム」に参加させられていた。
 そしてとしあきとぷちも、メイデン社の会長・志川蘭子と知り合った結果、実装化されて
「アビス・ゲーム」に刺客として参加させられてしまった。

 伐採石の登場、アカチームの暗躍、アオママの消滅、実装燈の発生など、様々な出来事が
渦巻き始めるアパート内だったが、同じ頃、DEJAとメイデン社を巡る攻防も発生し、事態は
思わぬ急展開に突入しようとしていた。

 


【 Character 】

・弐羽としあき:人間
「実装石のいない世界」出身の主人公。
 実装石と会話が出来る不思議な携帯を持っている。
 現在、実装化している。


・ミドリ:野良実装
「公園実装の世界」出身の同行者。
 成体実装で糞蟲的性格だが、としあきやぷちとトリオを組みよくも悪くも活躍。
 現在、ひろあきと共に「アビス・ゲーム」参加中。
 首下のリボンの色は、緑。


・ぷち:人化(仔)実装
「人化実装の世界」からの同行者。
 見た目は巨乳ネコミミメイドだが、実は人間の姿を得てしまった稀少な仔実装。
 現在、実装に戻ってしまっている。


・海藤ひろあき:人間
「実装愛護の世界」から登場した“もう一人の旅人”。
 としあき達とは別ルートで世界移動を行っている。
 現在、何故か中実装の姿になっており、「アビス・ゲーム」でミドリと共に行動中。
 首下のリボンの色は、緑。
 現在、重傷を負って行動不能の状態に。


・キイロチーム(成体実装×2、仔実装×2、蛆実装×1):
 「アビス・ゲーム」のプレイヤーで、103号室を陣取る黄色いリボンを着けた実装石達。
 キイロパパは、実はマラ実装であることが判明。
 実は、蛆実装がチームリーダー格。


・アカチーム(成体実装×2、中実装×2、仔実装×2):
 「アビス・ゲーム」のプレイヤーで、赤いリボンを着けた実装石達で構成されたチーム。
 アパートの地下に潜伏し、他の実装石との接触を断って行動していた者達で、好戦的かつ
非情。
 アカ中実装の姉が、死亡した模様。


・伐採石:
 「アビス・ゲーム」に無関係な乱入者や、ルール違反とみなされたプレイヤーを伐採(処刑)
するための実装石で、どこからともなくアパート内に現れる。
 顔や腕、脚を包帯で覆い、右腕には巨大な刃を埋め込まれている。
 殺傷方法は主に首の切断で、一切の容赦はないが、伐採対象外の者には一切干渉しない。


・志川蘭子:
 チャイナドレスをまとった色っぽい美女で、メイデン社の若き会長。
 デスゥタンガンの現在の所有者で、本体のシステムに施されたロック解除を、としあきに依頼
するが、紆余曲折を経て、初期実装と取引を行うことに。


・デスゥタンガン(アイテム):
 海藤ひろあきが持っていた、実装石を自由に操ることが出来る銃型の機器。
 グリップ内部にあるスイッチボックスを引き出し、任意のボタンを押してからトリガーを
引くと、特定範囲内の実装石がボタンに従った行動を(本人の意志とは無関係に)取り始める。
 また、電撃や火傷と同じ偽ダメージを与えたり、動きを強制的に止めることも可能。
 偽石の固有周波数を登録することで、特定の実装石を効果対象外に指定することも可。
 更に、本体側面部に内蔵されたモニターは偽石センサーのレーダー表示になり、広範囲に
散らばった実装石(偽石)をキャッチすることが出来る。
 ただし、元々は実装石ブリーダー用に開発されたものなので、殺傷能力はない。

 
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           じゃに☆じそ! 第12話〜実装世界あばれ旅〜  ACT-8 【 201の謎 】

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 ここは、市街地から外れたところにある、住宅街。
 厳密には、「昔そうだった」というところであり、現在ここには誰も住んではいない。

 二十年ほど前、ローゼン社が都市化推進計画を行った際、旧世代住宅を一掃し新しい居住設備を導入するための
テストエリアに指定された地区なのだが、先延ばしにされたため実質放置状態となり、現在に至っている。
 そのため、20年前から時間の止まったままのこの地区は、今となっては誰も近寄らないゴーストタウンであり、
無数の空き家や廃墟を抱える、この街にとって「癌細胞」的な存在であった。

 しかし、ここを統括管理している実装管理委員会こと「Domestic Extra Judicial Authority(通称DEJA)」の
次官・海藤やおあきは、ここで「アビス・ゲーム」と呼ばれる遊戯を行い、裏世界に進出して大金を稼ぐ事に成功
した。

 本来、ローゼン社だけが占有し、世界各地で使用される資材原料の大半を占める実装石を、それ以外の者が所有
管理することは禁じられている。
 許可証を持つ者も、直接的または間接的にローゼン社への協力関係に基づく業務にしか利用できず、ペットの
ように飼うことは完全に不可能だ。
 それなのに、その実装石を勝手に集め、勝手に殺し合いをさせる者達がいるとなれば、ローゼン社も黙っては
いられない。
 その為に、息のかかったDEJAを利用して処罰を遂行させるのだが、海藤やおあきはその立場を悪用し、自身の
加虐願望や金銭欲を満たすことを優先したのだ。

 DEJAの最高責任者が、実は実装石の虐待派であり、DEJAが血眼になって探しているアビス・ゲームの実行者
「ディーラー」と同一人物であるということは、それを知る者にとっては最高の後ろ盾となる。
 そしてそれが、アビス・ゲームの熱狂振りに更なる拍車をかけたとも云っても過言ではない。

 「閉鎖区域」と呼ばれているこの住宅街跡のほぼ中心部、かなり入り組んだところにある一軒の古い木造
アパートが、今回のアビス・ゲームのステージに選ばれた。
 外装・内装共に見た目は殆ど変化ないが、実際は膨大な費用をかけてリフォームを行い、また実装石用の仕掛け
をいくつも施した。
 押入れ内の隠し階段や、床下の隠し部屋、また床下からの侵入を阻む鉄板など、プレイヤーのみならず
ギャンブラー達をも楽しませるために、各所に施した仕掛けはいずれも手抜かりなく、またプレイヤーに直接の
危害を与えないように細かく計算され尽くしている。

 そんな仕掛けの中でも、プレイヤーが気付いていない大きな仕掛けが、もう一つ、このアパートに仕掛けられて
いた。

 アビス・ゲームのステージであるアパートの、風呂場の外。
 ここには、階段下にあるものとは違う、もう一つの「物置」がある。
 これはアパート内部からは隔離されており、一旦庭から回り込まない限り利用することが出来ず、中には古びた
清掃用具が仕舞われていた。
 大人の男性がせいぜい一人、かくれんぼ的な意味で入れるかどうかという大きさしかないその中に、全長約
1メートル程の、鋼鉄製の「ケージ」が設置されていた。
 ケージといっても籠状でななく「鉄の箱」であり、物置の奥の壁に隣接するように配置され、物置の壁に
開けられた「穴」と直結している。
 つまりケージの「蓋」が、そのまま「穴」の蓋を兼ねている構造だ。

 物置の前で倒れている、黒服の男が、何かのスイッチを押して倒れている。
 “女性”は、それを見て、軽く舌打ちをした。

「遅かったか」

 アパートの敷地内には、至るところに黒服の男達が倒れている。
 いずれも白目を剥いて気絶しており、手にした拳銃を撃った形跡はない。
 全身を覆う黒い戦闘服型のスーツを纏った女性は、腕時計型の端末をかざし、ボタンを押した。
 すると、文字盤の位置から空間投影ディスプレイが出現し、アパートの中……正しくは、押入れの中の様子が
表示された。
 画面の端には、「Infrared Camera Mode」と表示されている。

「ママは、その後どうされました?」

 女性は、腕時計に向かって話しかける。
 すると、ディスプレイに映っている実装石の一匹が、テステスと反応してきた。
  
『ああ、さっきミドリと海藤の奴を探しに、二階へ行ったぜ』

 その背後から、もう一匹の、少しおっとりした表情の実装石が話しかける。

『ねぇねぇ、それより、どうして“でしーぶ”のことを、オチビちゃんは知ってるんテチ?』

『そうだぜ、そろそろ、何が起きてるのかを説明してくれないか?』

 背後からやって来た、同じような装備の男達が、OKのハンドサインを示したのを確認すると、女性はサングラス
のようなゴーグルを上げた。
 切れ長の美しい目が、ディスプレイを凝視する。

「弐羽としあき様、ご無沙汰しております。
 私は、“偉大なる大ローゼン”特殊工作班・コードネームDeceiveの行動隊長、オルカ・ベリーヴァイオレット
と申します」

『やっぱり、あの時、俺を助けてくれた姉ちゃんなのか?』

『テェ? 貴女も、世界移動が出来るんテチ?』

 不思議そうに尋ねる二匹の実装石に対し、女性——オルカは、「Yes」と答えた。


          ※          ※          ※


■1階

 部屋番号は、左上→右下の順で、101、102、103、105(104はない)。

 (入り口)
   _
  ||
 □||□
 □||□
 ■||▲
  | → 二階へ
 ‾‾‾‾
 □は各部屋、▲はトイレ、■は風呂場。
 廊下の奥、トイレの脇には、二階へ昇る階段がある。
 階段の真下には、物置(隠し部屋)あり。


 ここは、102号室の押入れの中。
 としあきとぷちは、突然喋り出したアオ親指に向かって、話しかけていた。


「やっぱり、あの時、俺を助けてくれた姉ちゃんなのか?」

「テェ? 貴女も、世界移動が出来るんテチ?」

『もう隠し立てしても仕方ありませんね。
 結論から申し上げますと、答えはYesです』

「それで、あんたも俺達と同じように、実装石にされちゃったのかい?」

 としあきの質問に、オルカは——正しくは、オルカの意志を代返する親指実装が、首を振って否定する。

『この親指実装の頭部には、視覚・聴覚を通じて、アパート内部の情報が抽出出来る有機端末が埋め込まれて
 います。
 私はそれを通じて、逆に皆さんに話しかけています』

「ふええ、なんかすげぇな」

 Deceiveは、としあき達より早く、この世界に到着していたらしい。
 とある任務のため、アビス・ゲームが行われる場所を調査していたという。
 その場所が判明したのが、13日午前中になってからだった。
 オルカは、早急にこのアパートへの侵入を目指し、ようやく到着したのが正午前だったのだ。

「それでさっき、二階と外が騒がしくなったわけか」

『いえ、私共はアパート周囲に潜むエージェントの沈静化を行っていましたので、二階のことは何も』

「テェ? じゃあたまたまタイミングが合っただけテチ?」

『はい、恐らくは。
 ——アビス・ゲームは、検挙を懸念してか、ダミーの舞台をいくつも用意していました。
 そのため、現場の特定が遅れてしまったのです』

「でもさ、この実装石に機械を埋め込めたんだろ?
 その時から追跡してれば良かったのに」

 としあきの疑問に、オルカは首を横に振った。

『有機端末を埋め込んだこの実装石達も、Deceiveのメンバーなのです』

「こいつら自体も?!」

「テェ?! この仔達、実装石もテチ?」

『そうです。
 この仔達は、自ら有機端子を体内に埋め込んで、我々の行動をサポートしてくれました。
 そして、ようやく保護対象との接触に成功したところで、コントロールをこちらに譲ってくれたのです。
 ただ彼女達は、ゲーム開始までDEJAによって個々で管理されていたため、我々は遠隔コントロールが限界で、
完全な追跡は出来ませんでした』

「ちょっと待て、DEJA? それって——」

「ひろあきさんのお兄さんがいるところテチ?
 実装石の取り締まりをしてるんテチ。
 それがなんで、アビス・ゲームをしてるテチ?」

『確かに、少し分かりづらいですね。
 この世界のからくりを、ご説明します』

 オルカは冷静な声で、DEJAとローゼン社、メイデン社、アビス・ゲーム、そして海藤やおあきの裏の顔について、
簡潔かつ分かり易く説明した。

「なるほどなあ。あのおっさん、ろくでもねぇ事をしやがって……」

「でも、なんで私達やひろあきさんを巻き込む必要があったんテチ?」

 ぷちの質問に、オルカは「それです」と呟いた。

『総ては、海藤ひろあきの持っていたデスゥタンガンが要因です。
 DEJAとローゼン社は、メイデン社の奪ったデスゥタンガンを、なんとしても取り返したいのです。
 今やこの世界にとって、デスゥタンガンは、世界の覇権を握るほどの重要なアイテムになっているんです』

「何ぃ? あれが、そんな重要アイテムだったのか?!」

「でもでも、デスゥタンガンが欲しいなら、何でもう一個作らないんテチ?
 そうすれば一番簡単テチ」

 ぷちの言葉に、としあきも「そうだよなあ」と頷く。
 しかしオルカは「そこが肝要です」と呟いた。

『デスゥタンガンは、たった一丁しか作れません。
 偽石への命令信号書き換えに使われる、中枢部の“リライトロジックディバイダー”は、この世界では完成
 させられないのです』

「え? なんだそれ?」

 オルカは、少しだけ躊躇したが、補足説明を始める。
 「リライトロジックディバイダー」とは、複数の実装石の偽石に働きかけ、特定の情報を伝達する生体テレパシー
装置のようなものだという。
 とある目的のため、違う世界で作られた理論によるものだったのだが、この世界にある唯一の現物が、
海藤ひろあきによって盗まれたのだ。
 
「でも、なんでそんなものがこの世界に持ち込まれて、しかもローゼン社にあったんだ?
 デスゥタンガンて、ローゼン社から盗まれたんだろ?」

「大ローゼンと、ローゼン社って、お名前が似てるけど、関係あるんテチ?」

『それは、今はまだ申し上げられません。
 ただ、そのブラックボックスがあるため、構造を把握しているローゼン社でも複製の作成が適いません。
 それと、メイデン社から取り返さなければならない理由が、もう一つあるのです。
 それは——』

 そこまで言いかけた時、突然、会話が途切れた。
 アオ親指は再び沈黙し、アオ仔実装は無言のままあたふたし始める。

「な、なんだ? 何があった?」

「クソドレイサン、なんだかおんもが騒がしいテチ!」

「くっそ、今度は何なんだぁ?!」

 外からは、複数の人間による叫び声や悲鳴、打撃音、それに銃声のような音まで聞こえてきた。
 言い知れぬ危機感を覚えはしたが、としあきは、今何か行動を取らなければ取り返しの付かないことになりそう
だと実感した。

「ぷち、二階に行こう」

「テェ? アオママさんが呼びに行ったテチ、もうちょっと待ってるテチ」

「嫌な予感がするんだ。
 このままここに居たんじゃ、まずいことになる気がする」

「テェェ、でもぉ」


 その時、襖の向こうから、「誰かいないデスゥ?」という呼び声が聞こえた。
 隙間から覗いてみると、キイロチームの生体実装が二匹、102号室に入り込んでいた。
 二匹は襖を開けると、としあきとぷちの姿を見て、ぎょっとした。

キ成2「デッ! リボンなしの仔達デス!」

 警戒するキイロママに、としあきはジェスチュアで、敵意がないことを示す。

と「待て! 俺達には敵意はない!
 それより頼みがある、聞いてくれないか」

ぷ「お二階に、アオママさんがミドリオネーチャを呼びに行ったんテチ!
 心配だから、一緒に付いて来て欲しいんテチ!!」

キ成1「ミドリお姉ちゃんって、あなたは達は、ミドリさんの妹さんなんデス?」

と「いや、俺は——」

ぷ「そうテチ! お願いしますテチ!」

 キイロパパとママは、一瞬顔を見合わせ、軽く頷き合う。

キ成1「わかったデス、二人とも、ワタシの髪に掴まるデス」

 そういうと、キイロパパは、おんぶを促すような体勢で髪を掴ませた。
 キイロママは、アオ親指と仔実装を抱える。
 
と「悪いな、本当に助かるよ」

キ成1「あなたの仲間には、いい思いをさせてもらったから、そのお礼デス」

と「いい思い??」

キ成1「——デフンデフン、何でもないデス」

 計6匹は、移動の準備をするとすぐに廊下へ出た。
 だが、先へは進めなかった。


 コー、ホー……

 奇妙な呼吸音を立てる異形の巨体が、廊下に立ちはだかっている。
 キイロパパやママですら見上げるほどの大きさを誇る、顔面包帯巻きの、まさに化け物……
 その威圧感に、としあきとぷちは驚愕した。

と「げ……なんだぁ?! こいつ!!」

ぷ「テチャア!」

キ成2「これが、伐採石という奴デス。
 ミドリさんとひろあきさんが、教えてくれたデス。
 でも、最初からここにいるワタシ達は襲わないデス」

と「そ、そうなんか……って、え?」

 としあきが何か違和感を覚えたその瞬間、伐採石が、右腕の刃を力強く振り下ろした。
 刃は、咄嗟に身をかわしたキイロパパの横をかすめ、床板に突き刺さった。

 ドガァッ!!

ぷ「テ、テチャアッ?!」

と「思い切り殺す気マンマンじゃねぇか!!」

キ成2「ど、どういう事デス?!」

キ成1「とにかく、先へ急ぐデス!」

 幸い、伐採石はあまり機敏には動けないらしく、横をすり抜けるのは比較的簡単だった。
 だが、二階に上るためには、どうしてもまごついてしまう。
 その間に、後ろから追撃される危険が高すぎる。

キ成2「ど、どうするデス?! パパ?!」

キ成1「どうしようもないデス! こうなったら、ワタシが意地でも止めて——」

 そこまで言いかけた時、突如、伐採石の反応が変わった。
 風呂場の前まで逃げたキイロ達を追おうと、一旦は振り返ったものの、またすぐ玄関の方に向き直る。
 その方角には、103号室から出てきた、リボンなし実装二匹の姿があった。
 だが、何やら様子がおかしい……

「デ、デェェ……た、助け……」
「デヒィィ……」

 良く見ると、二匹とも、身体の至るところに切り傷を負っている。
 キイロママの視線がキイロパパに向けられるが、キイロパパはブンブンと首を横に振った。


 ダワ〜〜!!

 続いて103号室から現れたのは、赤い服をまとい、長い金髪のツインテールを振り乱した実装生物だった。
 それが、頭を振って髪を振り回すと、リボンなし実装の背中がざっくりと裂けた。
 噴水のように、血が飛び散る。

「デギュゥゥゥ……!」

 ダワワ、ナノダワー!

 返り血を浴びて興奮しているのか、その赤い実装生物は大声で下品に笑い、次に廊下に居る者達の存在に
気付いた。

 ダワワワァ〜、ナノダワワァ〜〜!!

 コーホー、コーホー……

 赤い実装生物と、伐採石の視線が絡みあった——ようだ。
 両者はゆっくりと前に進み、やがて間合いを詰め始めた。

キ成1「チャンスデス! 今のうちに!!」

と「よっしゃあ、二階だあ!」

ぷ「もう、何がなんだかわかんなくなってきたテチィ!!」

 廊下から、金属を激しくぶつけ合うような音が聞こえ始める。
 だが一行は、そちらには目も向けず、懸命に階段を登り出した。
 アオの仔達は、キイロママの後ろ髪を縛ったクレイドルに寝かされている。
 子供達を振り落とさないよう、キイロ達は、丁寧に段差を踏み締めていった。

          ※          ※          ※


・RT02 STATUS:DEAD
・B01  STATUS:?
・GT04 STATUS:POSONED
・P01 STATUS:DEAD
・PK02 STATUS:DEAD
・PK03 STATUS:DEAD
・PK04 STATUS:DEAD
・PO05 STATUS:DEAD

 アビス・ゲームのプレイヤー数は、11匹にまで減ってしまった。
 また、乱入実装も、特に活躍することもなくあっさりと敗退してしまい、盛り上がりを欠く結果となってしまった。
 そしてそれが、イベントを楽しみにしていたギャンブラー、そしてギャラリーの怒りを煽り立てた。
 ギャンブラーの大半は、たとえ自分が賭けたプレイヤーが敗退しても、最後までゲームを見送るという。
 それは、他の実装石がどのような無様で惨めな死に様を晒すのかを眺め、悦に入るという醍醐味があるからだ。
 そのため、賭けを一切しないギャラリーも、アビス・ゲームの中継映像を楽しみにしているのだ。
 だが、今回はその期待を尽く裏切る結果となっている。
 ギャンブラーからの、運営に対する不平不満、批判は既にピークに達しており、そこに加えてブリーダーからの
クレームも連発した。

「ちょっと! アテクシのぷりちーなムラサキっ娘ちゃん達が、なんであんな死に方をするんザマス?!
 ちゃんと管理が出来てないから、野良に入られるんザマしてよ!」

「おい、ステータスがハテナってなんだ? ふざけてるのか?!」

「今回乱入多すぎだろ! これじゃ賭けなんか成立するわけねーだろが!」

「中止にしろ! 金返せ! これ以上引っ張っても無駄だろ!!」

「つまらん、今回は本当につまらん!!」

「おい、俺の賭けたB01、これどうなったの?
 映像のどこにもいないんだけどさ、死んだの? どうなの?
 ちゃんと払い戻しになるの? これ?」


 このようなクレームが、にじあきの許に、山ほど集まってきた。
 そしてそれは、もはやにじあきのキャパを遥かに超えるレベルに達していた。

 しかし、にじあきは挫けなかった。
 否、そういった意見には目も向けず、耳も貸さなかった。


 黒浦にじあきは、DEJAの幹部でもなければ、関係者ですらない。
 ただ海藤やおあきの古い友人というだけの繋がりで、共に実装虐待が好きという共通点があるだけに過ぎない、
ただの一般人だ。
 そのため、彼がDEJAの次官専用の部屋で、専用の機器を使い、裏世界の大ギャンブルの中心に携わっていると
いうことは、とてつもない重罪を犯していることになる。
 しかし、海藤やおあきという後ろ盾があるため、この男にはその認識が全くなかった。

 そんな彼が、一時的にとはいえ、アビス・ゲームの全管理責任を委任された。
 彼はこれを「好きなようにやっていいのだ」と、好意的かつ自分勝手に解釈してしまっていた。
 黒浦にじあきとは、そういう性質の男だった。

「こうなった以上、どうせ今夜限りでゲームは終わりだ!
 だったら残りの時間で、メチャクチャど派手にやらかしてやんぜ!!」

 伐採石のアパート再投入も、にじあきの判断によるものだった。
 伐採石は、アパート周辺に待機しているスタッフが管理しているが、それがDeceiveに襲撃されたため、やおあき
の名を使って、近くに控えていた別働隊に代行させた。
 アビス・ゲームは、ローゼン社やDEJAをはじめとする、様々な組織から狙われているため、万が一の時に妨害
されないよう、幾重にもガードチームが組まれている。
 だが、それらをことごとくかわして現場への接近を果たしたDeceiveの存在には、にじあきはまだ気付いて
いなかった。

 103号室付近の廊下を映すモニターを見ると、また見た事もない実装生物が出現している。
 伐採石が、そちらにターゲットロックオンしているのは、確実だった。

「よぉし伐採石、邪魔者は一掃しろ! 出来るだけ残虐にぶっ殺せ!」

 にじあきの声は、伐採石に届くことはない。
 だが彼は、それでも懸命に伐採石——自分の代行者を応援した。


 カシラー?


 その様子を、ひまわり色のパンツを穿いた小人が、じっと見つめていた。


          ※          ※          ※


★2階  
 部屋番号は、左上→右下の順で、201、202、203、205(204はない)
____
□||□
□||□
■||▲
 | → 一階へ
‾‾‾‾
 □は各部屋、▲はトイレ、■は洗面所。


 ミドリは、ひろあきを203号室に避難させると、急いで階段に向かった。
 先ほど聞こえてきたアオママの声が、妙に気になって仕方なかったのだ。
 としあきがいるという内容もそうだが、何より、アオママの声に尋常ならざる危機感を覚えたのだ。

「くそぉ! 色んなことが立て続けに起きて、もう訳がわかんねぇデス!」

 半ばパニックになりかけてるミドリだったが、彼女なりに必死で自我を繋ぎとめ、混乱しないように務めていた。
 階段に辿り着くと、何匹かの実装石が二階に上がってくるのが見えた。
 それがキイロチームだとすぐにわかったミドリは、手を貸した。

キ成1「ミドリさん! ご無事で!」

と「えっ、ミドリ?」
ぷ「オネーチャ?」

 キイロパパの背後から顔を出した中実装を見て、ミドリは思い切り不快な顔をする。

ミ「何デス? このクソガキ共は?」

と「あのなぁ! 俺だ、としあきだ!!」
ぷ「私はぷちテチ! オネーチャに会いたかったテチ! テェェン!!」

キ成2「お知り合いだったんじゃないデス? ミドリさん」

ミ「クソドレイにぷちぃ? これがぁ?」

キ成1「えーっと……ひろあきさんは?」

ミ「そ、そうだったデス! あいつ今、えらいことになってるんデス!」

 ミドリは、手早くひろあきの状態を説明しながら、皆を203号室へと招いた。
 その途中、キイロ達の視線が、床に散らばるガラスの破片と、開かれた窓に向けられた。

キ成1「お外が見えるデス、窓まで上れれば、ここから脱出出来るデス」

キ成2「確かにデス……こんな所に……」

ミ「おい、何してるデス! 早く来いデス」

 203号室に入り込んだ全員は、寝かされている重傷の中実装に注目した。
 それがひろあきだと説明されたとしあきとぷちは、声を上げて驚いた。

と「おい! お前、本当に海藤なのか?! 俺だ、としあきだ!」
ぷ「テェェン、ひろあきさん、しっかりしてテチ! 死なないでテチィ!」
と「物騒なこと言うなよ!」

ひ「弐羽……クン? メイド……クン……」

 見れば、ひろあきの傷は既に表面に膜が張り始め、折られた手足も鬱血が収まり始めている。
 しかし、元通りに回復するには、まだまだ時間がかかりそうだった。
 
と「おいひろあき、お前も、メイデン社の奴らにやられたのか?」

ひ「君達も……」

ぷ「酷いテチ! どうしてあの人達は、こんな事するんテチ?!」

ミ「デデ、なんか本当にクソドレイっぽい話を始めたデス」

と「だから、マジで俺だって言ってんだろうが!」

 歯を剥き出して抗議する中実装に、ミドリはしばし考えて、話しかけた。

ミ「なら質問に答えろデス!
 偉大なるワタシちゃんが大好きなものを、すぐに答えろデス!」

と「牛丼! しかもつゆだくの大盛り!」
ぷ「そこに生卵おしんこ付き、七味唐辛子と紅しょうがちょっぴりテチ!」

ミ「間違いなくホンモノデス」

キ成1・2「「 そんなのでわかるんデス?! 」」


 ようやく相互理解が叶ったところで、としあきは、ひろあきとミドリにここまでの経緯を説明した。
 ミドリには、一部理解が難しいところがあったようだが、ひろあきはすぐに理解を示した。

ひ「そうか、セキュリティが——それは多分、初期実装が……何かやったんだと思う……
 僕は、そんなもの……設定した記憶がないもの」

と「じゃああいつ、いつの間にそんなものを?」

 ひろあきは、デスゥタンガンに多重のセキュリティ機能があることを説明した。
 彼が持っている時は、いちいちロックを外すのが面倒だったから設定しなかったが、ユーティリティから簡単に
設定出来るらしかった。
 ひろあきは、メイデン社の連中から追求された際には思いつかなかったが、よりによって実装化させられた後に
思いついたようだった。

ひ「そんなことを……わざわざ行うのは、初期実装くらいだ。
 あいつが、弐羽君にデスゥタンガンを渡す時、何かおかしなことは……なかったかい?」

と「え〜と……確かあの時は……」

 としあきは、「山実装の世界(第11話)」に行った時のことを、思い返した。

 >『あの男から引っぺがしてきたデスゥ。
 > ホレ、その光ってる部分を押してから、Cのボタンを使うデスゥ』
 >
 >「光ってる……? ああ、これか」
 >
 > デスゥタンガンを受け取ったとしあきは、側面の液晶モニタ画面内で点滅
 >しているポイントを確認し、指で押してみた。
 > ピーという小さな音が鳴り、「Done!」という文字が表示される。
 >
 >「なんだこれ? こんな機能使ったことないけど」


と「あの時かあぁぁぁぁぁ!! あの野郎!」

ひ「じゃあデスゥタンガンは、もう……弐羽君にしか、解除出来ないよ……
 だから彼らは……必ず、君をもう一度……戻そうとする筈だよ」

と「て事は、俺は助かるのかな?」

ミ「それまで、生き残ればいいがデス……」ボソッ

と「横から物騒な突っ込み入れんなよ!!」

 ひろあきとの情報交換が一応済んだところで、皆は今後の相談をし始めた。
 一番の課題は、伐採石と脱出についてだ。

キ成2「実はさっき、階段でこれを拾ったデス」

 キイロママが差し出したのは、千切れたエプロンだった。
 それには赤いリボンが付いており、リボンの中に、何やら機械のようなものが詰められている。

キ成1「これは何デス?」

ミ「そういや、さっき——」

 ミドリは、先ほど伐採石が二階で行った殺戮劇のことを説明した。
 その際、伐採石が、何故かプレイヤーである筈のアカ中実装を仕留めた事にも触れる。

キ成1「つまり、伐採石はリボンを失ったアカさんの仔を殺したということデス?」

と「もしかしたら、リボンの有無で殺す対象を選んでるんじゃないのか?」

ぷ「この機械が入ってるリボンじゃないとダメテチ?」

と「だとしたら嫌だなあ」

 としあきとぷちは、自分達にはリボンが付いていないことを確認し、青ざめた顔をする。
 キイロパパは、「それならそのリボンをどちらかが持っていればいいデス」と提案してくれた。
 だが——

ひ「それは……意味がないよ」

 皆の会話に、ひろあきが混じった。

と「おい海藤! 大丈夫なのか?!」

ひ「そのリボンの機械は……プレイヤーの身体情報を計測しているものだ……
 それを着けた者が死んだり、リボンを奪われた場合……その機械は自動的に機能を停止する。
 他人が持ってても、成り代わりは……出来ないよ」

ぷ「じゃあ、これはもう本当に役に立たないテチ?」

ミ「じゃあ、クソドレイとぷちは、今度伐採石に見つかったら、もう逃げられないデス!」

ひ「そういうことに……なる。
 だから、早く、安全地帯に入らないと……ならないんだ」

 そう言いながら、ひろあきは真鍮の鍵を取り出した。

ひ「アビス・ゲームには、最終生存者用に絶対安全圏が……必ず、設けられている。
 多分、それはこの部屋の向かい……鍵のかかった201号室だ。
 伐採石が来る前に、中に……入る必要がある」

と「安全圏? そんなのがあるのか?」

キ成1「あの部屋の鍵デス? 見つけていたのデス?」

ミ「だったら、ボヤボヤしてられないデス、急いで隣に行くデス!」


 デギャアァァァァァ


 ミドリがそう宣言した瞬間、ドアの向こうから、悲鳴が聞こえてきた。


          ※          ※          ※


 時間を少し遡る。

 ミドリ達が203号室に向かった時、アカ親は、子供達と共に廊下に出ていた。
 当初は、二階に集まり始めた連中の様子を確認するだけのつもりだったが、廊下北端の窓が割れていることに
気付くと、彼女はいきなりハッスルし始めた。

アカ親「なんと、こんな所に脱出口が出現したデス〜!」

アカ中2「これは大チャンステス! ママ、今こそここを逃げ出すテス」

アカ仔1「そうテチ、そうテチ!」
アカ仔2「誰もいないうちに、こっそり逃げるテチュ!!」

アカ親「よし。思い立ったが吉日、嬉し恥ずかし乙女も、三人寄れば無敵デス〜」

アカ中「ワタシ達は四人テス!」

 アカ親は、首に下げていたフック付き縄梯子を器用に振り回し、窓に向かって投げつけた。
 それは途中で二つに分かれ、それぞれの先端についているL字型の金具が、窓の枠をガッチリと掴んだ。

アカ親「ツいてるデス〜! まさか一発でイケるとは〜!」

アカ中「さあ、急ぐテス! あいつらに気づかれないうちに」

 アカ中実装は、二匹の仔実装を、アカ親の後ろ髪に掴まらせる。
 アカ親は、まず身体が軽いアカ中実装から先に上らせ、後から自分が登ることにした。
 割れたガラスの破片を器用に避けながら、アカチームは縄梯子に手をかける。 焦っているせいなのか、意外に
早く縄梯子を上り切ることが出来た。

アカ親「我が子よ、登ったなら早く出るデス〜、後がつかえてるデス〜!」

アカ中2「ま、ママ! 待ってテス!」

アカ親「ここまで来て何をいうデス〜! さぁ、思い切ってGoデス〜!!」

アカ中2「あ、イヤ! ち、ちょっと待ってテ……あ゛ーッ!!」

アカ親「よーし、我が子に続くデス〜!!」ヒョイッ

 アカチームは、全員窓を乗り越えることに成功した。

 しかし、ここは二階である。

 この窓は、元々は廊下の明り取りと換気用の窓で、本来のアパートの住人ですらしょっちゅう開閉するような
ものではない。
 そのため、普通の窓より高い位置にあり、しかも縦幅も少し狭いのだ。
 だから——

アカ中2「テ——テェ? テジャアァァァァァ?!」


 ひゅうぅぅぅぅ〜〜〜んん ———ベチャッ!!
 チベッ

 推定約6メートル以上の位置から、そのまま地上に落下することになる。
 しかも、真下は門から玄関へと続く、石畳が敷かれている。
 アカ中実装は、そこに頭から落下し、半壊した。
 そして、アカ親も続く。

アカ親「デェ?! あ、あ、あ、あ!! ち、ちょ!
 こ、こんなの聞いてない、聞いてないデス〜!!
 って、あっ、手が滑っt……あ゛———ッ!!」

 窓を乗り越えたアカ親は、窓の下の様子とアカ中実装の顛末を見てようやく過酷な現実に気付いたが、一気に
身を乗り出したせいか、頭の重さに引っ張られて——落下した。


アカ仔「「 テ、テチャアァァァァ?! 」」


アカ親「デギャアァァァァァ——……」

 
 ひゅうぅぅぅぅ〜〜〜んん ———ゴチャッ!!
 デベッ
 チベッ
 ヂ


 アカ親は脳天を石畳に激突させ、頚椎を損傷、その上背中を下に倒れたため、後ろ髪にくっ付いていた仔実装達
を、まとめて押し潰してしまった。


          ※          ※          ※


 謎の悲鳴に反応して駆けつけたミドリ達は、アカチームの残した縄梯子を発見した。 

ミ「デェ? いつの間にか、窓になばばしごが付いてるデス!
 こりゃあ世紀のミステリーデス!」

と「なわばしご、な」

キ成1「誰かがここから脱出しようとしたデス?」

キイロパパが、試しに縄梯子に登ってみたが、窓の外を見て、慌てて戻って来た。

キ成1「ここはダメデス! 窓から出たら真っ逆さまデス!
 実際に、誰かが落ちて死んでるデス!!」

キ成2「ということは、どのチームが落ちたデス?」

ミ「もしかしたら……」

 ミドリは、恐る恐る202号室を覗き込んでみたが、中には誰も居なかった。

ミ「やっぱり、落ちたのはアカの連中っぽいデス」

キ成1「では、もうミドリ、アオ、キイロチームしか、残ってないデス?」

ぷ「テェェ、アビス・ゲームもあと僅かってことなんテチ?」

と「そうなるな。
 だとすると、無事に生き延びるには——海藤の言った安全圏に入るのが最良だな」

 としあきは、ひろあきから真鍮の鍵を受け取ると、早速201号室へ行ってみた。
 その様子を、キイロパパとママが、じっと見つめている。
 としあきは、鍵穴を見上げたが、とてもじゃないが自分では届きそうにない。
 代わりにキイロパパが行ったが、当然無理だった。
 ミドリが、先ほど廊下に放置していた段ボール製の土台を使って、ようやく鍵穴に手が届いた。

 しかし——

キ成1「デ? か、鍵が開かないデス?!」

ミ「デェ?!」

と「なんだって? 鍵が合わないのか?」

 驚く面々に、キイロパパは振り返らずに応える。

キ成1「それが、鍵はちゃんと入るし回るデス。
 でも、空回りするだけで、鍵が開いた手応えがないんデス」

 キイロパパに代わり、キイロママ、ミドリも試してみたが、いずれも同じ結果に終わった。

ミ「デェェ、全然ダメデス! つうか、これただの穴デス!
 ニセの鍵穴デス!」

ぷ「じゃあ、この中には入れないテチ?」

と「つうか、この部屋自体がダミーだったりしてな」

ひ「そんな筈は……!」
 
 ミドリから真鍮の鍵を手渡され、としあきは呆然とドアを見上げる。
 201号室の前で途方に暮れる面々は、南側から微かに響いてくる音に反応した。

ミ「あいつがこっちに向かってるデス?!」

と「やばいぞ、今度は確実に俺達狙われるぞ」

ぷ「テェェ、じゃあ、どこに逃げればいいテチ?」

 ミドリ、としあき、ぷちの目線が、自然とキイロパパとママに向く。
 現状、この中で一番頼りになりそうなのは、この二匹だけだ。
 キイロパパとママは、互いに頷き合うと、目線を下げてとしあきに話しかけた。

キ成1「実は、この床下に、ワタシ達の子供が避難してるデス」

キ成2「ワタシ達は、あの仔達と合流しなければならないデス。
 なので、申し訳ないデスが、ここからは別行動を取りたいデス」

と「え、マジかよ!」

 キイロパパは、実は103号室の押入れには隠し階段があり、天井裏に登れる仕組みになっている事と、床下や天井
裏にもアイテムがあり、最初から移動前提の仕掛けが施されている事などを、としあき達に教えた。

 キイロチームは、恐らく自分達は伐採石に襲われないだろうという強みを活かし、このまま103号室に戻り、
キイロの子供達と合流することを告げる。

ミ「あんた達は、子供と合流した後、どうするデス?」

キ成2「ワタシ達は、なんとか別な避難か脱出方法を考えるデス。
 それでは——皆さんのご武運を祈りますデス」

ぷ「テェェ、行っちゃうんテチ? 寂しいテチ……」

キ成1「それでは」

 キイロパパとママは、そう言うと物音の近づく階段へと小走りに進んでいった。

と「どうする? 俺達もうかうかしてらんねぇぞ」

ミ「ワタシ達も床下に入るデス?」

ぷ「それって、どこから入ればいいんテチ?」

と「え、えーと……そんな事言われても」

 ミドリは、これまでの経過を脳内で辿ってみたが、床下に潜れるポイントは、階段下の物置に設置された、床下
収納しか心当たりがない。
 まして、そこからどう動くべきなのか、全く見込みがなかった。

と「ひ、ひとまず隠れよう! 音がもう近いぞ!!」

ミ「お、おいクソドレイ2号! なんかアイデアないんデス?」

ひ「そ、そう言われても……」

 ひろあきは、潰された右目を手で隠すようにしながら、しばし考える。
 だがその時、ついに伐採石が二階廊下に姿を現した。

 コー、ホー……

 ミシ……ミシ……

ミ「ヒッ! き、来たデス!」

と「やばい、とりあえず部屋に入れ!」

ぷ「テチャアッ?!」

 四人は、再び203号室の中に入ろうとした。
 しかし、ミドリだけは何故か廊下に残る。

と「おいミドリ! 何やってんだ!?」

ミ「こ、これ、何かの役に立つかと思って……デ、デ、デッコラショぉっと!!」
 ズデン!

 窓にかけられた縄梯子を取ったミドリは、そのままでんぐり返った。

ミ「あいででで! ガラスの破片、ちょっぴり刺さったデス!!」

と「何やってるんだもう! 早くこっち来い!」

ミ「大丈夫デス、ワタシも伐採石には殺されないデス」

と「何をいう!
 お前には俺達の盾になってもらわなきゃならんだろ! 早くしろ!!」

ミ「何だとぉ!! このどクソドレイがぁ!!」

ぷ「もおっ! こんな時までケンカしちゃダメテチ!!」


 ミシ……ミシ……ミシッ……

 ガリガリ、ガリ、ガリガリ……

 右手の刃の切っ先が、廊下を削る。
 202号室と205号室を通り抜け、伐採石の足は、確実に203号室に向かっていた。
 としあきは、なんであんな顔なのに、的確に場所を判別出来るのか不思議だった。
 ひとまず、皆は203号室の押入れに入り込んだが、襖以外に伐採石の攻撃を防ぐ物が存在していない。
 誰もが、このままここに居続けたら危険だと察してはいた。
 しかし、他に動きようがなかった。

ひ「ふ、弐羽君……押入れの、床板を、動かせないか?」

と「ゆ、床板? どうだ、ミドリ?」

ミ「そ、そんな事言われても……どうやって動かしゃあいいデス?!」

ぷ「お、オネーチャの持ってるそのカッターは使えないテチ?」

ミ「こ、これデス?」チキチキチキ

 ミドリがカッターを取り出し、伸ばした切っ先を床板に突き立てた瞬間、襖の向こうからドアが開かれる音が
した。

と「やばい、来た!!」

 バリッ!!

 としあきが声を上げた途端、巨大な刃の切っ先が、襖を突き破ってきた。


          ※          ※          ※


 再び、アパート内二階。

 襖を突き破った刃は、そのままスライドし押入れを強引に開けてしまう。

 コーホー……

 伐採石の顔が、押入れの下段を覗き込む。
 としあき達の逃げ場は、完全に失われた。

と「く、くそぉっ!! 万事休すかよ!」

ぷ「く、クソドレイサン! こういう時こそ、いつものパリンで切り抜けてテチ!」

と「む、無茶を言うなぁ!!」

 コーホー、コーホー

 まるで出会えたことを嬉しがっているかのように、伐採石が肩を震わせる。
 包帯で覆われているとはいえ、その視線は、明らかにとしあきとぷちに向いている。
 それを見た瞬間、電球が浮かび上がり、パリンと割れた。
 だがそれは、としあきの頭上ではない——

ミ「クソドレイ、これは貸しデス!」

 そう言うが早いか、ミドリは伐採石の脇をすり抜け、一人だけ押入れを出た。
 としあきとぷちが驚きの声を上げるより早く、ミドリは、伐採石の後ろ髪を掴んで、全力で引っ張り出した。


 コーホー、コーホー、コーホー、コーホー
 

ミ「い、今のうちに逃げろデス! クソドレイ!」

と「ま、マジかよ、ミドリ?!」

ぷ「オネーチャ?!」

ミ「お前がいないと、このトンデモな世界から脱出出来ねーデス!
 だからしょうがなくデス! 早くしろデスー!!」 

 コーホー、コーホー、コーホー、コーホー

 ミドリの邪魔と、襖に深く刺さった刃のせいで、伐採石は動きが封じられる形となった。
 としあきは、ぷちを連れて203号室を抜け出した。
 アオチームの子供達や、ひろあきを連れて行くことは、体格の問題で出来ない。
 だが理屈の上では、彼女達が伐採石に狙われることはない筈だった。

ぷ「ど、どうするテチ? どうやったら床下に逃げられるんテチ?」

と「多分だけど、この二階にも、床下に逃げられる仕掛けがある筈だ!
 それを探そう!」

ぷ「テェェン! いつもの身体に戻りたいテチィ!」

 としあきとぷちは、懸命に廊下を走り、まずは205号室へと向かった。
 だがドアを開けた途端——

と「う、うぐえぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」

ぷ「げほ、げほ! ひ、酷い臭いテチィ!!」

 室内から、とてつもない汚臭が襲い掛かってきた。
 それは、中実装である彼らが思わずでんぐり返るほどの凄まじさだ。
 中では、複数の実装石の死体、そして実装燈の死体まで転がっていた。
 密閉された部屋の中で、それらが悪臭を充満させている。

と「! あれ? ちょっと待てよ」

 エプロンで口と鼻を押さえながら、としあきは室内をよく観察する。
 すると、押入れが開いており、しかも床板が跳ね上げられている。
 それは、先ほどアカチームが二階に入り込んだ際に使ったルートだった。

と「しめた! あれだ! ぷち、入るぞ」

ぷ「テェェン! こんなお部屋入りたくないテチィ!!」

と「わがまま言うな! 殺されちまうぞ俺達!」

ぷ「もう散々過ぎテチィ〜!!」

 としあきは、ぷちの手を無理矢理引っ張り、押入れに入り込んだ。

 ゴトッ

 途中、201号室のものと思われた真鍮の鍵が、後ろ髪から落下した。

と「……これはこれで、何かの武器に使えるかもな」

 鍵を再び拾い、としあきは床下へ潜りこもうとした。
 押入れ下段の床下の穴には、微妙なスロープが付いていて、中実装でも問題なく降り立つことが出来る。
 その穴も、予め用意されている仕掛けなのだなと考え、としあきは更に奥へ潜りこんだ。

ぷ「クソドレイサン! アッチに明かりが見えるテチ!」

 ぷちが、暗い床下で指差す。

と「こんなに暗いと、どっちなのか見えねぇよ!
 って……あ、ホントだ。しかも、何かいるぞ?」

 ぷちの言う通り、確かに、離れた所に強い光が見える。
 その範囲はさほど広くなさそうだが、明らかに何かの光源を持ってる者がそこに居るようだ。

ぷ「行ってみるテチ?」

 ぷちの言葉に、としあきは無言で頷いた。

ぷ「ちゃんと返事してくんなきゃ、わかんないテチ!」

と「はいはい、了解しましたデス!」

 幸い、足元はさほどでこぼこはしておらず、ところどころにある柱にさえ注意すれば、特に移動には支障が
なさそうだった。


と「おーい、誰かいるかぁ?」

 としあきは、声をかけながら前に進んでいく。
 明かりに照らされた小さな影が、びくりと反応しているのがわかった。

「誰か来たレフ、聞き覚えのない声レフ」

「どなたテチ?」

「テチィ、知らない人テチュ〜」

 LEDライトで照らされたエリアには、仔実装が二匹、蛆実装が一匹いた。
 特に何かをするでなく、ただじっとしていたようだ。
 だがそれより目を惹いたのは、天井一杯に広がる鉄板のようなものだった。

と「な、なんだいこれは?!」

キ仔1「わからないんテチ、この上の部屋に行きたかったけど、こんなになってるテチ」

キ仔2「なんだか、上が騒がしかったけど、何があったんテチュ?」

キ蛆「……」

 最初からそこにいた三匹は、全員黄色いリボンを身に付けていた。
 されがキイロチームの子供だと理解したとしあきは、まず自分達の事情を簡単に説明し、201号室には廊下側
からの入れなかったことを報告した。

キ仔1「じゃあ、この上のお部屋には、もう絶対入れないテチ?」

と「ここまで厳重にガードされてるとなると、そう考えるしかないんじゃないかなあ?」

ぷ「テェェ、じゃあここが行き止まりみたいなものテチ?」

キ仔2「テェェ……ママぁ」

キ蛆「いや、諦めるのはまだ早いかも知れないレフ!」

 失意にまみれる四匹に対して、キイロ蛆が声を上げる。
 その、妙にハキハキとした蛆実装の態度に、としあきはちょっと驚いた。

キ蛆「上を見るレフ、あんな所に、不自然な穴があるレフ」

キ仔1「そうだったテチ!」

キ仔2「ここに、何か仕掛けがありそうな気がするテチュ!」

 としあきとぷちは、天井を見上げる。
 確かに、鉄板で覆われた部分の中央に、小さな穴が開いている。
 そしてそれは、持っている鍵が丁度入りそうな大きさに思えた。

ぷ「クソドレイサン、これってまさか……」

と「うん、よくわかんねぇけど、なんかコレでビンゴっぽいな」

 天井の穴に鍵を差し込むのは、中実装だけでは少々厳しいものがあった。
 としあきの体格なら、鍵を片手で持つことは可能だが、頭より高いところに掲げることは出来そうもない。
 何か土台になるような物が必要か、ないしは成体実装が必要となる。

 試しに、としあきの上にぷちが乗ってみたが、惜しい所で鍵穴に届かなかった。

ぷ「テェェ、あともうちょっとなのにテチィ!」

と「そ、そうか……わ、わかったから、駄目だったなら早く降りてくれ……」

キ蛆「もしかしたら、この天井裏のどこかに、土台があるかもしれないレフ。
 でも、今から探すのは難しいレフ……」

と「だなぁ……って、いや、ちょっと待てよ」

 としあきは、さっき別れたキイロパパとママが、子供達と合流したがっていた事を思い出した。
 それを子供達に報告すると、三匹はなるほどと頷いた。

キ蛆「じゃあ、ママに助けてもらうレフ! 呼びにいくレフ」

ぷ「テ? あそこが開いたテチ」

 ぷちが指差すと、少し離れたところの床が開き、何か大きなものがのっそりと入り込んできた。


          ※          ※          ※


 一方、伐採石を抑えていたミドリは、物凄い力で振り回され、部屋の窓際近くまで転がされた。

ミ「デギャッ! で、でも、なんとかなったデス?」

 伐採石は、しばらく押入れの中を覗きこんでいたが、それ以上特に何をするでもなく、203号室を出て行こうと
した。
 ガラスの破片を踏みながら、遠ざかっていく足音が聞こえる。

ミ「おいクソドレイ2号、大丈夫デス?」

ひ「ああ、ぼ、僕はなんとか……
 それより、ふ、弐羽君は?」

ミ「わからんデス、あいつを追っかけてみるデス?」

ひ「そ、それより……」

 ひろあきは、ミドリを招き寄せた。
 ひろあきの身体は、先ほどよりかなり治癒が進んでいたが、何故か刺された右目の腫れだけが、炎症を起こして
膨らんでいた。

ミ「なんか、お岩さんみたいな顔になってるデス」

ひ「顔の中で、何かがゴロゴロするんだ……
 もしかしたら……実装燈の幼生が、もう孵化しているのかもしれない」

ミ「デェ?! そ、それは、いくらなんでも早すぎないデス?」

 確かに、良く見るとひろあきの顔の中で、小さな塊のようなものが蠢いているのが分かる。
 それを手で押し潰そうとすると、するっと逃げる上に、ひろあき自身が強い傷みを唱えるため、手の施しようが
ない。

ひ「よくわからないんだけど……この世界に来ている実装燈は、他実装の世界に居た奴らより……成長が早いの
 かもしれない……
 もしかしたら、僕はここで、実装燈を孵化させて、死んでしまうかもしれない……」

ミ「な、何を言うデス! 気をしっかり持てデス!!」

 ミドリは、ひろあきを抱き上げ、必死で励まそうとする。
 だが、ひろあきの顔色は真っ青で、生気が感じられない。

ひ「ありがとう、ミドリ君——
 やっぱり君は、本当は優しい実装石なんだね……」

ミ「まるで今すぐ死んでしまうようなことを、言うなデス!
 必ず元の身体に戻してやるデス、だから諦めるなデス!!」

ひ「い、いや……それより、聞いて欲しいことがあるんだ。
 弐羽君達に、伝えてくれ」

ミ「な、何デス? 必死で覚えて、必ず伝えるデス!」

 ひろあきは、弱々しい声で、必死にミドリに話す。
 耳を傾け、全神経を集中させてそれに聞き入るミドリ。

ひ「もし、安全圏に入っても、それで終わりじゃないんだ……」

ミ「デェ?!」
 
ひ「考えてみたまえ……もし、複数の実装石が……同時に安全圏に入り込んだら、どうなる?
 アビス・ゲームは……最後の一匹が残るまで、終わらないんだ……」

ミ「そ、そうデス! なんか変な気がしてたデスけど、そういうことデス?」

 ミドリの疑問に、ひろあきは、掠れるような声で告げた。

ひ「安全圏の中でも、まだ殺し合いは続くんだよ……
 だからもし、脱出願望が強い個体が一緒に居たら……そいつが強敵になる」

ミ「デ……」

 ひろあきの警告の言葉は、ミドリの心に、深く刻み込まれた。


『—どなたか、どなたかいらっしゃいますか?』

 その時、押入れの奥から、親指実装……オルカの声が響いた。


          ※          ※          ※


 ここは、湾岸部工業地帯の地下にある、メイデン社のアジト。
 実蒼石を投入したDEJAの工作部隊は、アジト内部に潜入し、デスゥタンガンの回収行動を開始していた。
 至るところに、研究員の惨殺死体が散乱している。
 中には腕や首を切断されたものもあり、凄惨な殺戮行為が行われたことを物語っている。

 充満する鉄の臭いを潜り抜け、工作部隊は、アジトの最深部に入り込んでいく。
 複数の隔壁が、中途半端に開かれたエリアに侵入したところで、一行は、実蒼石の死体が点在し始めていること
に気付いた。

「これは?」

「首が引き千切られています、何か強い力で、強引に」

「この先のマップはわかるか?」

「解析しましたが、コントロールルームと、技術実験室、それと通路と控え室があるだけです」

「よし、三隊に分かれて、それぞれのエリアを探索する」

 工作部隊は、手早く散開し、アジト最深部エリアの探索を開始した。
 アジトの各所の出入り口が、徐々に閉じられていく事にも気付かずに。




「よし、注水開始」

 志川蘭子は、黒服に命じ、スイッチを入れさせた。
 
 ここは、地上にあるアジトの脱出口。
 海坊主が用意した大型ワゴン車には、棺のようなものが二つ乗せられている。
 そしてその傍らには、デスゥタンガンを納めたケースがあった。

「これで、アジトの中は綺麗に掃除される」

『それはいいけど、こいつらをちゃんと元に戻せるデスゥ?』

「心配ない。DLC(Desu-life&mind-convertor)は、本社にもある。
 そこを使えば、問題なく復活するよ。
 ——彼を除いてな」
 
 志川蘭子は、ワゴン車の中を覗きこむ。
 二つの棺の蓋に着けられた窓からは、としあきと、ぷちの顔が見える。
 海藤ひろあきの分は、ない——

 初期実装は、嬉しそうにステップを踏み、ぴょんと車内に飛び込んだ。

『じゃあ、早速その本社とやらに行くデスゥ♪』

「わかった。——よし、行くぞ」

 蘭子は黒服達と海坊主に指示し、ワゴンを発車させる。
 真っ黒なボディのワゴンは、滑るように街の中へ消えていった。


「これより、追跡を開始します」

 そのワゴン車の後を追い、静かに発進する、もう一台のワゴン車があった。


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