タイトル:【多数】 仕置き実装一・五夜 無残技・人面獣心狂乱蟲毒殺し
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初投稿日時:2014/06/09-23:47:01修正日時:2014/06/11-01:20:52
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.『それにしても・・・』

鈴村家の隅にあるおままごとハウスの中で自分で淹れた紅茶をすすりながらみど吉は思い出したように呟いた

『どうかしたの?みど吉?』

『いちごさんの事デス・・・この前(第二夜)来た時に元締めさんは随分とイヤそうな顔をしていたのデスが・・・』

『ああ、その事・・・』

みど吉の疑問に向かいに座っていた元締めは紅茶を一口飲んでから口を開いた

『あの娘はね・・・・やり過ぎるのよ・・・』

『やり過ぎる?どう言う事ボク?』

『元締めが言う位だから結構えげつないのダワ?』

『細切れ実装やチャンバラ実装以上って・・・・どんな奴なのルト・・・』

『チョイ待ち・・細切れ実装って誰の事なのダワ?』

『チャンバラはさすがにムカっと来たわね・・・・中村●水様に謝りなさい』

ギャイギャイ騒ぐ虎鉄・ティアラ・オリオン・鶺鴒を呆れた目で見つめながら元締めはため息をついた

『まあ・・・殺し方もそうだけど・・・・あの娘は的の命を弄ぶ癖があるのよ・・・・・それもかなりエグい方法でね・・・』

『命を弄ぶ・・・・デスか・・・』

過去に軍兵実装石として数え切れない程人殺しに関わっているみど吉もこれにはあまり良い表情を浮かべなかった

『いくら悪人とは言えど弄ぶってのはどうかと思うのデスが・・』

『みど吉の言いたい事は分かるんだけどさぁ・・・でも、彼女のやり方が一番恨みを晴らす方法として正しいのも分からない訳じゃないのよ・・・だから複雑なのよねぇ〜』

遠くを見つめながら再びため息をつく元締めにみど吉はそれ以上は口を出せなかった

『なんかさぁ・・・あの娘見てると改めて自分達が悪なんだって再認識させられちゃうからあんまり会いたくないのよ、根っから嫌いじゃないんだけどさぁ・・・』






























仕置き実装一・五夜 無惨技・人面獣心狂乱蟲毒殺し






















この話はみど吉達のお茶会より4ヶ月程遡った頃の一通の手紙からだった・・・・・










・・・・・始まりは一通のメールに添え付けられていた自分の盗撮写真でした・・・・
送信者不明のそのメールに入っていた部室で着替えている所やシャワーを浴びている時の私の裸の写真・・・・
そしてその写真と一緒に

『明日○○時に『ターコイズ』ってカフェに一人で来い、誰かに喋ったり警察にチクッたらコイツをネットでばら撒く』

そんな脅し文句が書かれていました
私は仕方なくそのカフェに指定されていた時間に行き、そこで私は待っていた男の人達に変な薬(外国の媚薬って言ってました)を無理矢理飲まされてからレイプされました

痛くってつらい思いを何時間も味合わされ、やっと開放されたのはもう真夜中になった頃でした

それから私はほとんど毎日のようにあいつ等に呼び出されるようになりました
望まぬ相手との性行為・・・・・モノのように扱われるだけの毎日・・・・そのうえ・・・

「確かお前男がいるんだよな?ソイツとのSEXは禁止だからな・・・・破ればどうなるか分かってるよな?」

絶望以外の何者でもありません・・・・・・
あんな奴等・・・・好きじゃないのに・・・・なのに無理矢理飲まされる薬のせいで少しづつ気持ちいい事に溺れそうになっている自分が怖いんです・・・
大好きな彼氏にこんな事がバレて捨てられるんじゃないかと思うと怖くて気が狂いそうになるんです・・・・

お願いします、助けて下さい・・・親にも警察にも・・・誰にも相談出来ない私が頼れるのはもうこれしか無いんです・・・・
中学生の時、知らない後輩が喋っていた都市伝説の『呪いの意見箱』・・・
聞いていた話の通りにあいつ等の顔写真と用意出来る限りのお金を一緒に同封しておきました

お願いします、私をこの地獄から救って下さい・・・・お願いします・・・
















『なるほどね、これが今回入っていた手紙なの?・・駅舎』

『そうデスいちご様、依頼人の着ている服装から多分いちご様の通っていらっしゃる学校の近くの高校だと思われますデス』

旧華族の道明寺家の裏庭にある倉庫
その倉庫の中で家主(表向きは道明寺家の長女)の『道明寺いちご』は
近くの駅に住んでいる野良実装石の『駅舎(えきしゃ)』から受取った手紙と同封されていた的の写真を見比べていた

それはある時期を境にいちごが流行らせたどこにでもあるようなインチキ臭い呪いの都市伝説・・・・

『○○駅の使われていない路線に向かう通路にある御意見箱に誰にも見つからないように憎い相手とその写真、それに見合うお金を入れて次の日にもう一度来て
赤い苺が御意見箱に乗せてあればその呪いは果たされる』

と言うものでいちごはこの方法で仕置きの依頼相手を探して単体で仕置き稼業を行っていた
そしてこの駅舎は何代も前から駅の隅に住み着き、仕置き依頼の手紙をいちごに運ぶ伝達実装として代々名前を受け継いで道明寺家に仕えている

『手っ取り早く言えば寝取られる前に助けてくれって事なの・・・・は〜・・・相変わらず男って生物は腐った性根の奴が多いモノなの』

いちごはそう言いながらやる気なさげなため息を吐いた

『デスがいちご様、この連中がご親友の琴音様の失踪に関わっている可能性は否定できないデス・・・万が一の可能性も・・』

『ん〜・・・それを言われるとツライなの・・・・・・しゃあないっか・・・んで・・・調査の方は?』

『ブン屋様の方に頼んであるデス、遅くとも明日の昼前にはいちご様に連絡が入るはずデス』

『分かったなの・・・んじゃこれ』

いちごはそう言うと赤い苺と財布から5千円札を取り出してから駅舎に渡した

『『家賃』と『デスゥホン』の代金の方はもう駅長に渡してあるなの、それじゃ気を付けてなの』

『ありがとうございますデスいちご様』

駅舎はいちごに頭を下げてから倉庫の隅にある隠し扉から帰っていった

『今度こそ・・・・今度こそ琴音につながれば・・・・・・そうじゃないにしても・・・・』











鱗片的にカオス化しているいちごは戦前の頃から道明寺家の守り神実装としてこの家に住んでいて
元々薬師だった道明寺家は彼女が産み出す毒物を調整改良する事によって作り出す薬品を『道明寺薬品』として販売して多大な利益を得ていた

当初、守り神として奉られて世間の事に大した興味を抱く事のなかった彼女はただ惰性でニートのようにだらだらと変わらない毎日を過ごすだけだった
そんなある時に彼女のダラけた生活を見かねた3代目当主は『少しでも彼女の為になれば』と考え当主の娘として小学校から通う事となりそこで『天ヶ崎琴音』と出会った

あまり他人と関わらない生き方をしていたいちごに『同じ人化実装の娘だね』と向こうから声を掛けてきてなにかと構ってくる琴音
最初こそウザいと思っていたが純粋な気持ちで接してくる琴音に少しづつ打ち解けるようになり
いつしか無二の親友と呼び合うようになるとその事がきっかけとなっていちごは少しづつ学校生活を馴染むようになり
この頃にはそれまでのダラけきった生活では得られなかった驚きや琴音に振り回される日常を楽しむようになった

しかし、そんな琴音は中学二年に進級する直前のある日、いつも通りブラスバンドの部活動を終えて帰る途中で忽然と姿を消した
琴音の両親はスグに警察に通報し、いちごも独自の方法で琴音を探したのだが結局見つける事は出来なかった

しかもこの頃の警察は人化実装に対しての対応はあまりにも酷く

「人化実装の誘拐ですか?じゃあこの『盗難届け』に必要事項を書いてあっちの課に届けておいて下さい」

と琴音の両親に面倒臭そうに書類棚から引っ張り出してきた盗難届けの書類を渡しただけでなぜだか捜査らしい捜査を行おうとしなかった

(この当時は人化実装に対する理解力が少な過ぎたのと法律上人化実装は『ペット・物品』扱いだった事、更に対応した警察官が度を超えた不真面目だったのが原因)

この事に怒りを感じたいちごは半ば諦め掛けていた琴音の両親を励ましつつ仕置き稼業の傍ら引き続き琴音を探していくうちに悪夢のような今の現実を思い知る事になった

近年の機械技術の発展はいちごが長年屋敷に篭っていた間に目覚しい発展を遂げ、彼女が幼い頃は持ち運ぶのも大変だったカメラは今ではポケットに収まるモノとなり
更に昔は何日も掛かっていた現像も今ならばその必要すらなく簡単に写した写真や動画を確認できる・・・

それは言うまでもなく悪人にとって簡単かつ手軽に脅迫道具を作れる事をも意味していた
ましてや今はネットを使えば水に絵の具を溶かすようにあっという間に情報をばら撒ける

そうやって弱みを握られた人間に待っているのは破滅か終わりの無い脅迫地獄しかない・・・・・・

昨今のそんな被害者が増えている現実にいちごは怒りを感じるようになった

一応人間の醜さや強欲をいちごは長く生きている事もありそれなりに理解しているつもりだった
だがこれはあまりにも理解の範疇を逸脱している

生活の逼迫からではない・・・・・
なにがしらの野望があるでもない・・・・
ただなんとなくやってみたら面白かったんで続けている・・・・
他人のの痛みも苦しみも不幸すらもどこ吹く風・・・・
自分達さえ楽しければ他など知った事ではない・・・・
むしろブッ壊れたり死んだりした方が面白い・・・・

周囲に悪害と不幸を撒き散らすその姿はまるで糞蟲実装石そのもの・・・・いや、いちごにしてみればそんな実装石の悪害ですら可愛いと思える程の悪意の塊だった

『生きる価値どころか早めに間引かなきゃ問題起こす糞蟲って結構いるものなの』
『それにもしかしたら琴音の一件に絡んでいる奴にいつか当たる可能性もあるなの』

その自論にたどり着いたいちごはそれ以降小遣い稼ぎ程度の惰性でやっていた仕置き稼業を本腰を入れて行うようになった























そんな次の日の朝だった
いつものように学校に向かう途中、駅舎の住んでいる駅の入り口でパトカーや救急車がごった返しているのがいちごの目に入った

(まさか・・・・)

なにか確証があった訳ではない・・・・だがなにがしらの悪い予感を感じたいちごは急いで駅に駆けつけた
そしていちごが到着するより早く救急車は走り出していき、たどり着いたいちごは周辺の人ごみにいた同級生を捕まえた

『ねえ渡(わたり)さん、一体何があったなの?』

「あ、道明寺さん・・・あのね・・・・四葉先輩が・・・・・・・四葉先輩が電車に飛び込み自殺したの・・・・」

『飛び込み自殺!!』

その名前にいちごは聞き覚えがあった
四葉のどか・・・・いちごの2コ上の先輩にあたる高校二年生
常に明るく少しだけ天然ボケ気味の女の子で陸上部では『国体どころかオリンピックも狙える』と期待され
それでいて後輩の面倒見も良く優しい性格からいちごの覚えている通りならとても誰かから恨みを買うような人物では無いはずだった

「うん・・でもね、たまたま居合わせた雪華実装さんが飛び込んだ先輩を水晶で包んで守ってくれたらしくってなんとか助かったみたいなんだけど・・」

『そう・・・なんだ・・』

最悪の事態を予想していたいちごは不幸中の幸いに胸を撫で下ろした

「あたし分かんない・・・・・・なんで・・・・・なんであんな幸せそうな人が自殺なんかしようとしたのか分かんないよ・・・」

『幸せそうな?どういう事なの?』

「だって先輩最近になって同い年の彼氏も出来たばっかだし・・・それに今度の陸上部の大会だってレギュラーが決定してたのに・・・あれ?メールだ・・・誰からだろ?」

スマホの着信音に気付いた渡が差出人不明のメールを何の考えもなく開いて中身を確認した瞬間

「ひっ!!」

短い悲鳴をあげて彼女はスマホを地面に落としてしまった、いちごが何気に拾い上げてその内容を見た瞬間あまりの酷さに寒気を覚えた
なぜならそこに写っていたのはさっき飛び込み自殺を図った四葉がレイプされてあられの無い姿を晒している写真が添付されていたからだ

『なにこれ・・・・・酷い・・酷過ぎる・・・』

「なんで・・・誰がこんなモノを・・・こんなのあんまりだよ!!」

(まさか・・・あの仕置き依頼って・・・四葉先輩だったなの・・・)

思わぬ展開で例の依頼主の正体を知ったいちごがふと自分のスマホのメール着信音に気付いて中身を確認すると

『BOOKトレジャーよりお知らせ・お求めの本を入荷致しましたので返信をお待ちしております』

とある本屋からのお知らせメールだった
無論これは表向きの偽装メール、本来の意味は

『依頼されていた調査が完了したので連絡を求む』

と言う意味である
いちごはメールを確認してからあのメールの内容にショックを受けている渡を引っ張って急いで学校に向かった







そして学校では・・・・・・・

「ねえ見た、あのメール」
「見た見た、あれは酷いわよね」
「まあ誰が送ってきたのか分かんないけどさぁ・・・あんなのバラ撒かれちゃ四葉先輩も人生終わっちゃったわよね〜」
「あんなモンバラ撒かれたらそりゃ自殺したくなるわよ、下手に助かったってもうこの辺りには住めないって」

どうやらあのメールが相当数バラ撒かれていたらしく朝からその話題でもちきりになっていた

彼女が卒業した中学校でこの騒ぎ・・・おそらく今いる高校ではこの比ではない大騒ぎになっているに違いない
いちごはその話題の輪に加わろうとはせずに一時間目の授業をサボッて屋上の貯水タンクの上に腰を落ち着けると朝メールを送ってくれたブン屋に連絡を取った

『もしもし・・』

「待ってたぜ姉さん、早速何から知りたい?」

電話口の出たのは若い感じの男だった
彼はとある事情から過去にいちごに妹の命を救われた経験があり、それ以降いちごを『姉さん』と呼び、ほぼ彼女専属のブン屋として働いている
(表の顔は若者向けのアンティーク雑貨の店主)

『的は?』

「かなり前から開店休業している喫茶店『ターコイズ』を根城にしている大学生の杵島・砂州伊・堵腹、それと被害者と同じ高校の井馬事・鎖霧の5人が実行犯です」

『実行犯?まだ他にもいるなの?』

「モチロン、そいつ等に脅しのネタを提供した黒幕がいるんですよ姉さん
それがなんと同じ陸上部の3年生、薪螺魅月(ましらみづき)って奴なんです」

『動機は?』

「ちょっと調べただけでスグに分かったんですけど・・・・酷いモンですよ、『後輩の分際で自分を差し置いてレギュラーになったのが生意気だから潰す』って奴ですよ
それも自分のLINEに自慢げに書き込んでましたし」

『は?・・・なんなのよそれ』

予想を遥かに下回る幼稚な動機にいちごは思わず呆れてしまった

「それと・・・そいつ等の過去を洗ってる最中に分かった事なんですけどこの薪螺って女、3年前と去年に同じ方法で二人の女の子を自殺に追い込んでいるんですって」

『なんですって』

「3年前が絵画コンクールで自分を二位にした同級生、去年が自転車でたまたま泥を撥ねた他校の先輩だったそうです」

『呆れてモノが言えなくなりそうなの、そんな子供じみた理由で人を自殺に追い込むなんて気が狂ってるとしか言えないなの』

「姉さんと違って無駄にプライドだけが高い正真正銘の『ゆとり世代の負の遺産』ですって、それとその二件も同じ連中が実行犯で
薪螺が脅迫のネタを作って杵島達に輪姦させて頃合を見計らって無差別メールでレイプ現場の写真をバラ撒いてトドメを刺すってやり方です」

『・・・・・・・・・そう・・』

「他にも同じ手段で退学に追い込まれたり遠くの地方に追い立てられた娘が結構いるみたいなんです。どの娘も襲わせた理由が呆れるような低レベルなんですって
んで杵島達はあいつ等で『タダで女を輪姦(まわ)せる』とか言って匿名アダルトサイトで自慢してるんでそれが手を組んでる理由だと思います」

そこまで無言で聞いていたいちごの表情は既に先程の呆れ顔とはうって変わり険しい表情になっていた

『罪と命の重さの分からない連中に生きる価値は無い・・・・これ以上害を撒き散らす前に『間引く』しかないなの』

怒り故にまるで別人かと思える程感情の無いいちごの声にブン屋の男はいつもながら寒気を感じていた

「それと姉さんの友達の方なんですけど・・・・・実はちょっと前に手掛かりらしいのがあったんですよ」

『え・・・ホント?・・・ホントなの!!それで・・それで琴音はどこにいたの!!』

「闇サイトの人化実装のオークションでよく似た娘がジャンクとして売られていたんです・・・・最もスグに売れたんですけど」

『買った奴は?』

「もうちょっと時間貰えますか姉さん、その娘が本当に琴音さんなのか誰が買ったのかを今急いで調べてるんで」

『お願いなの・・・それと『クリエイター』さんに今すぐ連絡を取って欲しいなの、朝の一件で』

「そっちで騒ぎになってる無差別メールの火消しですね・・了解しました姉さん、昼過ぎまでにはなんとかしてもらいます」

『ありがとうなの、それじゃあ今回の分のお金と報酬は後で送っておくなの』

そこまで言ってから電話を切ったいちごは貯水タンクから飛び降りると教室に戻っていった











その日の夕方・・・・・

「にしてもあのメール、酷いコラージュだったわね」
「ホントだよね〜・・・あれ四葉先輩かと思ったらいきなり顔が変わっちゃったもんね」
「アレってなんかのAVのシーンに四葉先輩の顔貼り付けた奴なんでしょ、ホント酷いイタズラだよね〜」
「イタズラなんてレベルじゃないって!!あれじゃあ四葉先輩が可哀想過ぎるよ!!あんなの絶対犯罪だよ!!」

あの後いちごの依頼を受けた『クリエイター』によってメールの中身はどこぞのアダルト写真(ワザとらしい下手糞コラージュ付き)に瞬時に書き換えられて
更にワザとらしい悪口や低俗なこじつけ理由の書き込みが功を奏して上手く誤魔化しが効いてどうにか火消しが上手くいった

だが・・・・無論この事に怒りを感じている人物がいた、メールのバラ撒きを頼んだ魅月自身だ

気に入らない四葉を男達を使って苦しめ、朝一で頼んでバラ撒いたメールでトドメを刺したはずだった・・・今まで通りのはずだった
なのに昼過ぎに気付いたらバラ撒いたメールの内容は無関係なモノに書き換えられてムカつく四葉には嘲笑ではなく同情が集まっている
その事がとてつもなく魅月の心をイライラさせた

「なんなのよ・・・・・・なんなのよこれは!!キイイイイイ!!ムカつく!!ムカつく!!ムカつくううう!!」

自分の思い通りに行かない事にハラワタの煮えくり返る魅月は誰もいない部室で大声で喚きながら周囲の物に当たり散らし
そして散々暴れまわって少し落ち着いた魅月は自分のスマホを取り出すとスグにメールのばら撒きを頼んだ杵島に電話を掛けた

「もしもしあたしよ!!あんた・・・・アレは一体どう言う事なのよ杵島!!」

「は?なんだよ魅月?アレって何の事だよ?」

面倒臭そうに対応した杵島の声に魅月は益々怒りが湧いた

「とぼけんな!!朝のメールを勝手に書き換えやがって!!おかげであの糞四葉にトドメ刺すどころか同情されてるじゃない!!
これで私がレギュラー取れなかったらどう責任取るつもりなのよ!!」

「落ち着けって魅月、一体何があった?メールがどうしたってんだよ?」

「まさかあんたあの糞女に情でも移ったっての?レイプ写真を勝手に変なモノに入れ替えやがって!!何のつもりなのよ!!」

「はあ?入れ替えただって?んな訳ねぇよ、メールで送ったのは今まで撮り貯めた・・・・・・・って・・なんじゃコリャ!!」

杵島は自分のPCから送った無差別メールの中身をスマホで確認して驚きの声を上げた

「は?・・・・・・もしかして・・・・アンタじゃないの?」

「な訳ねぇだろ!!誰がこんなふざけ・・・・・・・・え?・・・・おい・・・・嘘だろ・・・・・・おい・・・・おい・・・」

「ちょっと・・どうしたのよ杵島?・・なにかあった・・」
「ぎゃあああああああああ!!俺の!!俺のパソコンが!!中身を全部喰われてるううううう!!」

杵島の目に映ったモノ・・・・・
それは自分のPCモニターのど真ん中でパンパンに膨らんだ腹をボリボリ掻きながら高いびきをあげて眠っている実装石のドット絵
そしてその下には

『まずいデータだったデス、高貴な私の舌には合わなかったデスが仕方なく食べてやったデス、お前も私の奴隷ならもっと気の利いたデータを献上するデス』

と書かれていた

無論杵島はこの実装石の正体を知っていた・・・・・凶悪なデータ破壊ウイルス、通称『家宅侵入糞蟲』
感染したが最後、数分以内に『大分県』と入力しなければPC・HDD内のフォルダを全て喰い尽し修復すら出来なくしてしまう悪魔のウイルス
1〜2年前に犯罪レベルで猛威を振るったものの製作者自身の逮捕によって完全に消滅したはずだった・・・・・それなのに今目の前のPCにそのウイルスが存在している

杵島は慌てて『大分県』と入力してウイルスを除去したが既に手遅れ
今まで撮り貯めていた数多くのレイプ動画や写真、更にパソコンを動かす為の基礎データまで完全に破壊され
40万もした杵島のパソコンは既にガラクタと化していた

「あああああ!!クソッ!!クソッ!!なんだよ!!なんなんだよこれはああああああ!!ふざけんなああああ!!チキショウ!!チキショウ!!うがああああ!!」

「・・・・・・・・・・・・・」

電話の向こうで発狂したかのように喚く杵島に呆れた魅月は黙って電話を切ると別の人間に掛けた

「もしもし井馬事、あんたってさぁ四葉の男の早河ってのと同じクラスだったよね?」

「あ?なんだよ急に?確かにそうだけどそれがどうした?」

「あの男を今日にでもいつもの溜まり場に呼んでほしいんだけど?」

「おいおい男なんて呼んでどーすんだよ、んな事よりあの女の代わりの都合はどうなってんだよ?四葉の奴は今病院だから使えねえじゃん」

「そんなのよりコッチが優先だ!!いい、あの男を呼び出してボコッてあの女の事を全部バラせ!!そうすりゃあの男も愛想尽かして糞四葉を捨てるだろ!!」

「お〜怖い怖い、お前ってマジ鬼畜だよな〜」

「うるさい!!あたしはねぇ・・・調子の乗ってる奴が許せないのよ!!あの糞女・・・ちょっと足が速いってだけであたしからレギュラーの座を盗みやがって!!」

「ああはいはいわ〜ったよ、言う通りにすっからその代わりに新しい女の方を早めに頼むぜ」

魅月のヒステリーに付き合いきれなくなった井馬事は面倒臭そうにそう言うと電話を切った

「あ〜面倒くせ〜・・・でもまああいつがいねーと女の調達も難しくなるし・・・・はあ〜あ、面倒くせ〜」



















そして・・・・その日の夕方・・・・

今朝、自殺未遂を起こした四葉の彼氏の早河は午後の授業が終わると大急ぎで身支度を整えて教室を飛び出した

小学校の頃からの幼馴染を経て高校進学を機に勇気を出して告白して晴れて自分は四葉と恋人同士となれた
誰もが羨むとは言い過ぎだけどそれなりにささやかな幸せのはずだった

でも・・・・最近良からぬなにかが起こっているのは彼自身も薄々だが感じていた
それは四葉が今度の大会でレギュラーに選ばれた直後からだった
いつも一緒に帰っていたのに

「練習が忙しいから先に帰っててくれないかな」

そう言って四葉は段々と自分と距離を置くようになり休日にデートに誘っても『忙しい』の一点張りで取り合おうともしない
なにか隠し事をしている感じなのだが何度聞いても答えてくれず終いには怒り出す始末
結局それが原因でココの所顔を合わせれば喧嘩ばかりしている・・・・

本当は心配でしょうがないのについついムキになって口論となり熱が冷めれば自己嫌悪に陥る
そこに来て今朝の自殺未遂とあのメールだ・・・・
突然違うモノに変わりはしたが最初に写っていたのは紛れもない四葉自身と僅かに写っていた見覚えのある男の顔・・・そいつは自分の同級生の男だった

正直ソイツを締め上げて知っている事を白状させたかったがそれよりも四葉の事が心配で仕方が無い
早退して見舞いに行こうかと考えたが彼女の両親に連絡してみた所命に別状もなく電話した時点では精神安定剤の投与で眠っているらしかったので
彼ははやる気持ちを抑えて夕方まで授業を受けてから見舞いに行く事にしたのだ

バタバタと靴を履き、校舎から出ようとした早河に突然待ち構えていた井馬事が声を掛けた

「よう早河、そんなに急いでドコ行くんだよ?」

「なんだよ・・・コッチは急いでるからお前に関わって・・」
「四葉の事だろ?へへっ・・・お前さぁ・・・アイツ抱いた事無いんだろ?」

井馬事の予想だにしない言葉に早河の動きが思わず止まった

「お・・・・お前・・・・一体何を・・・」

「あ〜あ可哀想にな〜、幼馴染が裏で何やってたか知らないとはねぇ〜・・・あいつの抱き心地を知らないって事はお前って未だに童貞って奴か?」

「やめろ・・・・それ以上喋るな・・・」

井馬事が何を言おうとしているのかはなんとなくだが理解は出来る・・・だが早河はそれを認めたくなかった

「あの女は結構受けが良くってさぁ・・・また遊びたいってリピーターが結構いるんだよ、それも学校の先生やらどこぞの会社の上役とかさぁ」

「黙れ・・・黙れ・・・・・喋るなって言っているだろうが・・・・」

怒りに震え、握っている拳から血を流している早河を挑発するように井場事は続けた

「ってかお前等ってまだ付き合ってたっけ?俺はてっきりあの女がお前を捨ててどっかの中年オヤジにでも乗り換えたモンだと」
「黙れって言ってんだろうがああああああああああああああああああ!!」

遂にブチ切れた早河が鞄を投げ捨て怒りに任せて井馬事に殴りかかろうとしたのだが井馬事の見せたスマホの画面を見た早河はすんでの所で止まった
なぜならそのスマホに写っていたのは朝のメール写真とは違う四葉のレイプされている写真が写っていたからだ

「おっとっと、ネットにもうつながってるんだぜ・・・タッチするだけであっちこっちにこの写真が配信されるんだぜ・・・うひひひ」

早河はにやけ笑いを続けている井馬事の襟首を掴んだ

「き・・・貴様ぁ!!何が目的だ!!」

「おいおい放せよ、これじゃあ話も出来やしねぇ・・・まあそうカッカすんなよ、ヘヘッ」

井馬事の言葉に早河は歯軋りしながらも井馬事から手を放した

「なあ・・・お前はあいつが裏で何をやってたのか知りたくないか?」

「なんだと・・」

「ちょっとツラ貸せよ・・・・な〜にそんなに時間はとらせねぇってよ」

















一方、以前店のオーナーの娘を強姦して以降その証拠をネタに店主を脅して好き勝手に使っている喫茶店『ターコイズ』の店内
今日は厄介な事になるが故に店主を店から追い出して井馬事以外の連中が集まっていた

「ったく・・・・いつになったら四葉の男ってのは来るのよ・・・」

一足先に学校からここに来ていた魅月はイライラしながらウロウロと店内を歩いていた

「お前も落ち着けって魅月・・・そんなにウロチョロされると目障りだろうが」

「座れって魅月・・・んで、次の女はいつになるんだよ」

「それなら今用意してるからガッつかないでよ・・・それよりも・・」

「早河は井馬事が連れてきてるって連絡があったからもうじきココに来るっての」













一方・・・・


「おい・・・・どこまで行くんだよ・・」

「まあ焦るなって・・・もうすぐだって」

イラつく早河の前を歩きながら井馬事はスマホを見ながら歩いていた

そして、もう少しで店に到着する所まで来たその時だった

ガブッ
「うっ・・・・・  ・・    ・」

突然なにかに噛み付かれた早河は急にその場に崩れ落ち、
完全に倒れきるその直前で物陰から出てきたいちごに早河は抱えられてそのまま彼女が隠れていた物陰に引き摺られていった

そんな事に気付かない井馬事はスマホを見ながら喫茶店に入ると

「おい、連れてきてやったぜ・・おまちかねの彼氏様のご登場だ」

井馬事の言葉に全員の視線が集まると皆が皆、怪訝な表情になった

「おい・・・そいつ誰だよ?」

「誰って早河じゃん、四葉の男だよ」

「って・・・どうみても女じゃねぇか・・・」

「はあ?お前等何言って・・」

そう言いながら振り返った井馬事はそこにいたいちごを見て自分の目を疑った

「な・・・なんだ?お前は一体・・」

そこまで言い終わるよりも早くいちごの手首の付け根から飛び出した蛇苺(いちごのカオス能力によって蛇のような形態に変わった苺とその蔦)が井馬事の喉笛に噛み付いた

ガブッ!!
「ぐえっ!!」

喉笛を噛まれた痛みでその場に尻餅をついた井馬事に全員があっけに取られている僅かな瞬間にいちごは更に左手首から2本、右手首から3本新しい蛇苺を出現させると
刹那の速度でその場にいた5人に噛み付かせた

ガブッ!!
「いでっ!!」
ガブッ!!
「ギャッ!!」
ガブッ!!
「痛い!!」
ガブッ!!
「ぐわっ!!」
ガブッ!!
「ぎぎゃっ!!」

6人が6人とも噛まれた場所を押さえながら痛がっている隙にいちごは蛇苺を手首内に戻すとポケットから桃色の小瓶を取り出した

『んふふふふ・・・・あ〜らら大変なの〜、あなた達に今猛毒を持った毒蛇ちゃん達が噛み付いたなの〜、このままじゃみんな死んじゃうなの〜』

「な!!なんだお前は!!」

「ど・・毒蛇って一体何の事よ!!」

見た目相応の無邪気な笑みを浮かべながら楽しそうに喋るいちごに魅月が近寄ろうとしたのだが

『大変なの〜、早く解毒剤を飲まなきゃ死んじゃうなの〜・・・・あいつみたいに・・・』

そんな魅月を無視していちごは井馬事を指差したその時、そこにいたいちご以外の全員が恐ろしい事態に恐怖した
なんと井馬事の両目がありえない程に真っ赤に充血して倍以上に膨れ、耳・鼻・口からダラダラと血が流れ、更には顔や身体が真っ赤になって血管が皮膚表面に浮かんでいた

「ぐ・・ば・あ・・・い・・痛い・・頭が・・頭が痛い・・た・・・・助けて・・助けてく」
バーン!!
「レバギャアア!!」

ありえない光景だった・・・・フラフラと井馬事が二三歩程歩いた直後に身体中の穴という穴から血を爆発したかのように噴き出して倒れ
しばらく人間とは思えない動きで痙攣を続けてから死んでしまった

「う・・うわああああああ!!」
「きゃあああああああああ!!」

井馬事のおぞましい死に方に5人はたちまちパニックに陥った
そんな連中を冷ややかな目で見ていたいちごは先程の小瓶をテーブルの上に置いた

『死にたくなかったら2時間以内に解毒剤を飲むしかないなの〜、でも小瓶は1個しかないなの〜』

「ひ・・一人分しかないだと!!」

「ふざけんな!!ここに何人いると思ってんだよ!!」

小瓶を見てから食って掛かる杵島達にいちごはケラケラ笑いながらこう言った

『じゃあ・・・誰が助かって誰が犠牲になるなの?』

悪魔じみたいちごの言葉に思わず全員が凍りついた

『時間はないなの〜、誰かが犠牲にならなきゃ助からないなの〜・・・・・で、誰が犠牲になるなの?』

その言葉に全員は井馬事の死体と他の連中の顔を見ながらどうするか思案していたが・・

「な・・なあ・・・他にも解毒剤あるんだろ・・・ケチケチすんなよ・・・それを出せよ」

「なんだったら買ってやるよ・・・いくらだ?・・・なあ・・・黙ってないでなんか言えよ・・」

「お前・・・痛い目に遭わないと分からないのか?ああ?」

『あれ?助かるのはあの女の人なの?』

ドスを効かせて詰め寄る男達に全く臆する事なくいちごは男達の後ろを指差した
その方向に男達が目を向けるといちごに気をとられている隙を狙って魅月が固く締まった小瓶を必死になって開けようとしていた

「お・・お前なにやってんだあああ!!」

「テメエなに勝手な事してんだ魅月!!」

「うるさい!!お前等の事なんか知ったことか!!なんであんた達の所為で死ななきゃなんないのよ!!」

「おい!!あのガキがいなくなってる!!」

仲間の言葉に全員が辺りを見回すと魅月と小瓶に気を取られた隙にいちごの姿は消え更に玄関や窓になにかの植物の蔦がびっしりとへばり付いて窓やドアを完全に塞いでいた
この事態に全員が慌てて近くの出入り口や窓を調べたがどこもビクとも動かなくなっていた

「クソッ!!どうなってんだよ!!こんな植物さっきまでなかったのに!!」
「あのガキがいねえ!!どこに逃げやがったんだよ!!」

「ヤベえよ・・・こうなったら警察とかレスキューでも・・」

「なにが警察だよボケ!!あんなの呼んでもし俺等のスマホとか調べられたらどうなるのか分かってんだろ!!良くも悪くも全員ムショ行き確定だぞ!!」

「グ・・・」

「とにかくどこかから出れないか調べるしかねぇ・・それとあのガキもどっかに隠れてるはずだ・・・手分けして探し出すぞ」

そう言って各自バラバラになっていちごの行方と出入り口を探し始めた

しかし・・・奇妙な植物はこの喫茶店全ての出入り口を完全に塞ぎ、更にさっきまでいたはずのいちごも煙のように消えていた












やがて・・・・・・あちこち調べてから帰ってきた魅月達・・・・そして各々の手には包丁や割れたガラス瓶、更には店主の防犯の為に用意していた木刀が握られていた

元々仲間意識の低い連中、ツルんでいたのも『利害が一致』していたからこその話

自分が生き残る為に邪魔ならば殺すしかない・・・・『自己犠牲』なんて言葉なぞハナから頭には無い連中だ
武器を手にした5人は最初こそ睨みあっていたがほんの小さな物音を合図に生き残る為の殺し合いを始めた

なり振りなんてモノは無い・・・・身体中から血を撒き散らして死んだ井馬事みたいにはなりたくない

自分が助かる為に5人は狂ったように手持ちの武器を振り回して戦い続けた
それはあたかも一つの壷に押し込められた毒蛇達が生き残る為に殺しあうように・・・・・・・













やがて・・・・屍の転がる喫茶店の中で一人だけ動く者がいた

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・ざ・・・・ざまぁ見ろカス共・・・こ・・これであたしは助かる・・・」

壮絶な殺し合いを制したのは予想外にも魅月だった
魅月は最初で死んだフリを装い男達に殺し合いをさせて隙を伺い、最後に残った杵島が小瓶の蓋を開けた瞬間を狙って後頭部をガラスの灰皿で殴り殺して小瓶を奪ったのだ

「これで・・・これさえ飲めばあたしは助かる・・・ひひ・・・ひひひひ・・」

気チガイじみた笑みを浮かべた魅月は小瓶の中身を一気に飲み干した

「うえっなんなのよこの変な味・・・」

『へ〜・・予想外の人が生き残ってるなの〜、それにしても今回も面白い見世物だったなの〜』

思わぬ声に魅月が振り向くといつのまにかいちごが自分の背後に立っていた

「こ・・・今回も?・・・あんた何言ってんのよ・・・」

先程の無邪気な少女のような表情とは違いまるで悪魔を思わせる笑みを浮かべるいちごに魅月は言い知れぬなにかを感じて思わず後ずさった

『そ〜なの〜、金と欲望で汚れきった人間って普通の人より命に執着するからちょっとしたきっかけで殺し合いを始めるなの〜
ほ〜んと・・・・・・悪人共の惨めったらしい殺し合いって何度見ても飽きないなの〜』

その時、突然の吐き気に襲われた魅月が思わずむせたその直後、口から大量の血を吐き出した

「ガハッ!!ゲホッ!!・・・な・・なによこれ・・・なんでぇ・・・・解毒剤は今飲んだのに・・・なんでなのよぉ?・・・」

魅月の疑問に面倒臭そうに頭をボリボリ掻きながらいちごが答えた

『解毒剤?あなたいつそんなの飲んだなの?』
「何言ってんのよ?この小瓶に入った解毒剤をあたしは・・」
『だから・・・誰がいつその小瓶に解毒剤が入ってるなんて言ったなの?』
「え・・・」

いちごの言葉に魅月の顔から血の気が引いて真っ青になった

『あたしは解毒剤を飲まなきゃ死ぬとは言ったなの、でも・・・その小瓶の中身が解毒剤だなんて一言も言ってないなの、早とちりもいいとこなの』

悪魔のような笑みを浮かべるいちごの表情に魅月は今まで味わった事の無い絶望のドン底に突き落とされた

「そ・・・・そんな・・・そんな・・・」

足元のおぼつか無い魅月は大慌てでいちごの足に縋りついた

「いやああああ!!あたし死にたくない!!死にたくないの!!お金でもなんでも好きなのあげるから助けてよおおお!!御願いだから解毒剤を・・」
ドガッ!!

そこまで言い終わるより早くいちごは縋りついている魅月の腹をゴミのように蹴り飛ばし
蹴飛ばされた魅月はそのまま男達の骸の所まで転がっていった

『他人の幸せを踏み躙って・・・他人の心と身体を弄んで・・・挙句の果てに命まで奪って・・・そんな糞蟲が何一丁前に助かろうとしてるなの?・・・』

「あがぁ!!・・がっ!!・・・・ぎひぃ!!・・・ゲホッ!!ゲホッ!!」

腹を容赦無く蹴られ、まともに呼吸が出来ずに苦しみもがく魅月を凍りつくような視線で一睨みしたいちごはそのまま魅月に背を向けて店の入り口に向かって歩き出した

「ま・・・・・・待ってぇ・・・お願い・・・・助け・・・・て・・・」

腹を蹴られて満足な呼吸が出来ないのと体内に回った毒のせいで満足に動けない魅月は帰ろうとするいちごに向かって必死になって這いずって追いかけたのだが

『あんたの残り時間はせいぜい2〜3分・・・その残り短い時間で三途の川を渡る前に会うあんたが自殺に追い込んだ娘達への謝罪の言葉でも考えておけなの』

そう吐き捨てたいちごはそのまま喫茶店から出て行ってしまった

「いや・・いやああああああああ!!待って!!行かないで!!死にたくない!!あたしまだ死にたくない!!助けて!!助けてええええええ!!」

喫茶店の中から魅月の惨めったらしい悲鳴が聞こえたその直後

バシュッ!!

なにかの爆ぜる音が響きわたり、いちごが喫茶店の方を振り向くと入り口のガラス戸が真っ赤に染まっていた

『あ〜らら・・・ちょっと見立てが甘かったなの・・・まだ2〜3分位猶予あると思ったのにチョット悪い事しちゃったなの・・・』

いちごは人事のようにそう呟くともう振り向く事無くそのまま家路に付いた
























その後・・・・・・

帰ってきた喫茶店の店長の通報で捜査を始めた警察は男女二名の血まみれの変死体とお互いで殺し合いを行って死んだ4人の男の不可解過ぎる死に方に頭を抱える事になり
怨恨では片付けきれない惨状といかなる証拠も発見出来ない事態に半ば諦めムードが漂い始めていた

更には死んだ6人の悪事が明るみに出ると

「金で雇われた海外マフィア、暴力団などの組織的な犯行」

「不可解な死に方は呪術的な方法によるもの」

などの憶測が周囲で飛び交ったがそんな噂も時間が経つにつれて消え去ってしまった

この際、喫茶店の近くに倒れていた早河や通報した喫茶店の店長にも一時疑いが掛かったが一切の証拠も無いが故に二人共拘留にすら至らなかった














更にしばらく過ぎたある日・・・・・

「ねえ聞いた?例の喫茶店の殺人事件?」

「聞いた聞いた、あの薪螺先輩でしょ・・・私あの女は絶対ロクな死に方しないとは思ってたけど予想の上を行く死に方だったってね」

「そんでさ、保健所に勤めてるウチのおじさんから聞いたんだけど最初は『エボラ出血熱』とかってヤバい病気じゃないかって大騒ぎだったんだって」

「まあ自業自得って言えばそうだよね〜・・私はあんな死に方だけは絶対にイヤ」

「それもだけどさ、四葉先輩・・・今度の陸上大会で県内新記録出したってね」

「そ〜そ〜、自殺未遂なんて大騒ぎの後から猛練習して頑張ったんだって、ある意味超人だよね〜」

「愛しの彼氏の応援があれば勇気百倍ってヤツ?・・・あ〜あ、あたしもそんな素敵な彼氏が欲しいな〜」

どこにでもあるガールズトーク・・・教室の自分の席で小説を読みながらいちごは聞き耳を立ててホッとしていた

(ふむ・・・・どうやら学校の根回しだけしかしてなかったけどそれで良かったみたいなの)

実はいちごはあの6人を殺した後、四葉の通っている高校まで出向き手っ取り早く陸上の顧問(37歳・男)を捕まえて

『四葉さんをレギュラーから降ろしたらあんたがほぼ毎日男子部員の脱ぎたて靴下を盗んでオ●ニーに使ってる事を周囲にバラしてやるなの』

と、手早く脅迫しておいたのだ
(このネタはブン屋からのタレコミ)

一方・・・今回の被害者である四葉は当初自分がされていた事がバレて早河に嫌われると覚悟していたが・・・

「なんでその程度の事で俺がお前を嫌いにならなきゃなんねぇんだよ!!俺はガキの頃から嫁にするならのどかだって決めてたんだぞ!!」

とまあ見舞いに来た早河の恥ずかしげも無いリア充発言であっさりと解決したのらしい

その後、四葉ちゃんと早河君は大学卒業と同時に結婚して『四葉のどか』は『早河のどか』となり
クリスマス前には第一子誕生の予定なったのだとか

























そして・・・・・・・そんな事件から数ヶ月程過ぎたとある日の夜、いちごはある焼き鳥居酒屋の前にいた・・・それは数日前の事・・・・



『琴音が見つかったなの!!じゃあ・・』

「ええ、この間見つけたジャンク扱いの娘は間違いなく琴音さんでした」

改めてブン屋から連絡を受けたいちごは琴音の発見に涙を流した

『良かった・・・・やっと・・・・やっと見つけられた・・・』

「あ〜・・・・ですが姉さん・・・ちょっと問題があるんですけど・・」

『問題?・・・それってなんなの?』

ブン屋のすまなそうな喋り方にいちごは首を傾げた

「その・・・琴音さんなんですけど・・・どうも記憶喪失みたいなんです・・・俺も確認の為に彼女に会って調べてみたんですが過去の事を全く覚えてないみたいで・・・」

『そんな・・・』

ブン屋の思わぬ言葉にいちごは言い知れぬショックを受けた

「多分面識のない俺だったからなのかもしれません・・・だから親友だった姉さんと会えばもしかすると記憶が戻る可能性も・・・」

『そう・・・ね・・そうだよね、琴音は死んだ訳じゃなくって生きてるなの・・なら記憶が戻る可能性だってきっとあるなの』

「俺もその可能性は十分にあると思います、それで彼女の居る場所なんですけど・・・そこがまたちょっと厄介なモンでして・・」

電話の向こうでまたブン屋の口調がすまなそうな喋り方に変わった

『え?まさかヤクザの経営している風俗店なの?』

「いえ・・・焼き鳥居酒屋『八重』ってトコなんです・・・・あの星野八重って人が経営している・・・」

その名前にはいちごも聞き覚えがあった

『星野八重・・・・まさかレジェンド四天王の?』

レジェンド四天王・・・かつて彼女達が学生だった頃、数多くの不良やチンピラをぶちのめして恐怖のドン底に突き落としてその頂点に君臨した4勢力
彼女達の現役時代、周辺での恐喝・レイプ等の犯罪はゼロに等しかったと言う逸話もあり
暴力団ですら彼女達を敵に回す事を恐れたのだと言う

「ええ、『白銀の白夜』『赤髪の八重』『闇夜の梟(ふくろう)』『ケルベロス』・・・この辺りで知らない者などいないあの最凶四天王の一人なんです」

『ちょっと待ってよ、確か星野八重って女の人でしょ・・なんで琴音を買ったなの?あの人って百合の人だったっけ?』

「それが俺にも分からないんですよ、どういう経緯で琴音さんを買ったのかは・・・でもとにかくその居酒屋で働いているのは事実なんです・・・それも結構楽しそうに」

『え?』

「見てる感じは妹と接するような感じなんです・・・とてもコキ使ってる感じには見えませんでしたし・・・どういう事なんでしょう?」

聞いてるだけではとても理解出来なくなったいちごはブン屋から場所を聞いてやっとこの居酒屋にたどり着いたのだった







いちごははやる気持ちを抑えて店のドアを開けると

『いらっしゃいませると〜、お一人様ると?』

居なくなる前と多少髪型や背中の痛々しい千切れた翼の違いがあったもののそこにいたのは紛れもない親友の琴音がそこにいた

『琴・・』

『お客さんどうしたのると?私の顔に何か付いてますると?』

なんともいえないショックだった・・・やっと会えた彼女は本当に親友であるはずの自分の事を覚えていなかった
もしブン屋からこの事を聞いていなければこの比ではないショックだっただろうに・・・・・

『ああ・・・ええっと・・・一人・・なの・・』

『それではこちらの席にどうぞると、お冷を持ってきますると』

そう言って自分の事を気に留めずにさっさと離れていく琴音の後姿にいちごは寂しさと悲しみがこみ上げてきた

(なんだろ・・・・なんか・・・楽しくやってるみたいだけど・・・でも・・・覚えていないのって寂しいなの・・・・・)

悲しくなったいちごがため息をついた時、瑠璃は厨房の手前で一度だけいちごの方を振り向いて考えていた

(なんだろ・・・私・・・あの人とどこかで会った気がするると・・・でも・・・どこなのると?)

その30分後だった・・・瑠璃の誘拐未遂で店内が大騒ぎとなり、誘拐しようとした男が警察に連行されたのは

気になったいちごは代金をテーブルに置いて男の連行された警察署に向かうと男がどこかに電話を掛けながら警察署から出てくるのを見つけコッソリ後を付けると
随分前に中途半端に解体された廃墟ビルに入っていき、いちごも別の出入り口から入って男を捜していると誰かの口論が聞こえてきた
いちごはその声の元に行ってみるとそこには先程の男が腹から血を流して倒れていた

(これは一体?)

既に事切れている男に触らず近い出入り口に駆けつけると何者かが車で走り去っていくのを目撃した

(どうなってるなの?琴音を攫うのを失敗したから殺されたなの?・・・・・だとすれば、暫く琴音を見張っておいた方がいいみたいなの)

そう考えたいちごはひとまず自分の家に戻り次の日に改めて居酒屋に向かった

しかし、彼女はこの後とんでもない大規模な事件に首を突っ込む事になるとはこの時点では予想だにしなかった











仕置き実装第二夜・灰色少女に続く




































あとがき




今回は道明寺いちごの単体での仕置きと第二夜の裏話という形で書きました
キャラ設定に関しては今回特にないですが『レジェンド四天王』に関しては後々の話で登場してもらう予定です



四天王の異名に関して


白夜と八重はそれぞれの髪の毛の色が元となっています
(過去に二人は何度も拳を交えてお互いの実力を認め合い、今では良い親友としてちょくちょく白夜が八重の店に飲みに来ています)

後の四天王は・・・・ここでは内緒にしておきます
いずれ仕置きとは無関係な所で無双(大暴れ)させる予定です




反省の多い駄スクではありますがここまで読んで頂いて本当にありがとうございますm(_ _)m










あと兄貴分から一言『寝取りで喜ぶのは加害者だけ、地獄に落ちるのは被害者とその周りの人達、手遅れになる前にリクス覚悟で通報すべし・気付いてあげるべし』

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