タイトル:【多数】 仕置き実装第二夜 灰色少女 中篇
ファイル:仕置き実装第二夜 灰色少女 中篇.txt
作者:Kf 総投稿数:7 総ダウンロード数:660 レス数:0
初投稿日時:2013/12/28-20:08:30修正日時:2014/01/04-09:49:31
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「ああチクショウ・・・・・・予想通りの口封じかよ・・・・」

瑠璃を攫おうとして警察に捕まったものの、ある権力サイドからの圧力で釈放された闇ブローカーの男の射殺死体を見た鬼柄刑事は忌々しげに愚痴った
男の死体を見つけたのは寒さを凌ぐ為にこの廃墟ビルに入り込んだホームレスである

「まさか釈放直後にこんな所で・・・・しかも凶器が拳銃って事は犯人はヤクザとか・・・・もしかして俺達の同業・・」
「馬鹿言ってんじゃねえ!!お前まさか犯人が身内だなんて言うんじゃねぇだろうな!!」

「あの・・・お話の途中で悪いんですけど今ざっと調べて分かった事があるんです」

部下の軽はずみな言葉に切れて殴りかからんとしていた鬼柄刑事の言葉を遮るように現場検証をしていた科捜研の『塚本』が話しかけてきた

「被害者に付着していた火薬と飛び散った血痕からして犯人は少なくとも1m以内の位置から被害者を射殺した可能性が高いみたいです」

「なに?・・・1m以内って事は今の俺とお前位の距離か・・」

「あくまでも仮説なんですけど犯人は最初から殺すつもりじゃなく口論かなにかになって咄嗟に射殺したんだと思います・・・
もし最初から犯人が彼を殺すつもりならここまで近付く理由もないし」

「確かに・・・被害者は正面から撃たれているしな・・・・俺なら反撃される危険性を考えてもっと離れた位置から狙うな」

「その辺はまだくわしく調べないと分からない・・・・・でも、被害者がなぜ殺されたかが気になります・・・・・一体なにを口論したのか?それとも違う理由なのか?」

「確かコイツは一昨日の夜に以前人化実装のオークションで売った人化燈を見つけて誘拐しようとした所を買った店長と客に取り押さえられてウチに連行されたんだったな」

「・・・・・鬼柄刑事、もしかするとその人化燈が事件のなにかを知っているのかもしれないです」

「その件に関しては・・・・・・確か住田が現場にいたって言ってたな・・・」

思い出したように呟いた鬼柄は自分の携帯電話を取り出して早速部下の住田に連絡した
















仕置き実装第二夜 灰色少女  中篇





















「あの男が殺されただって!!」

その日の昼前、いつものように昼の開店準備に取り掛かっていた八重に遼子からそう連絡が入った

「あたしも今さっき上司からあれこれ質問されて驚いたのなんのって・・・それでね、悪いんだけど明日でいいから瑠璃ちゃんに警察まで来て欲しいんだけど駄目かな?」

八重はしばらく考えてから口を開いた

「遼子・・・あんた今スグに迎え寄越してくんない?」

「は?・・・迎えって?別にコッチは急いでなんか・・・」

「イヤな予感がするんだ・・・・とにかく瑠璃の安全を考えるとココじゃあちょっとあの娘を守りきれないかもしれないから・・」

「守りきれないって・・・まさか・・・」

「とにかくパトカーをスグに寄越してちょうだい、それと今日は店開けないから」

「分かった、10分以内に私が向かえに行くから八重も準備しといて」

遼子からの電話を切った八重は店の暖簾をしまい直してから鍵を掛けて住居にしている店の奥に戻った

「瑠璃〜・・悪いけど今日は店開けないで出掛けるから準備してくんな〜い?」

一昨日のショックがあったとは言え、もう起きているはずの瑠璃を呼んだにも関わらず部屋はシンと静まり返っていた

「瑠璃?・・・・・ねえ瑠璃・・・いるなら返事・・・」

そこまで言いながら部屋に入った八重はいつもは閉めきってあるはずの台所の勝手口が開いているのを見た瞬間猛ダッシュで勝手口から飛び出すと
三人組の男達がグッタリとした瑠璃を抱えて路地の表に止めてあるワゴン車に向かって運ぼうとしているのを見つけた

「テメエ等!!あたしの瑠璃を返しやがれええええ!!」

本能的反応と言っても過言ではない勢いで裸足なのも構う事なく男達に突進する八重、しかし距離が開き過ぎていたが故に
八重が追い付くよりも早く男達は瑠璃を担いだままワゴン車に乗り込んでそのまま走り出してしまった

八重はワゴン車が走り出したのを見てスグさま自宅に戻るとガレージに置いている愛用のバイクに跨り、凄まじい爆音を上げながらワゴン車を追いかけつつ遼子に電話を掛けた

「遼子!!瑠璃が攫われた!!今国道○○号を○○方面に向かって走ってる!!車は黒の大型ワゴンでナンバーは●●○○○、○○ー○○!!」

「誘拐だって!!・・分かった!!スグ追いかけるから絶対無茶だけはしないで!!」

八重は遼子の返事を聞くとそのままスマホをポケットに押し込んでバイクのハンドルを握り直した





















時間は少し遡ったとある雑居ビルの地下

外見はどこにでもある空き事務所の目立つビルだがその地下にはAV撮影用の部屋・数多くの牢屋・そして西洋の拷問道具がずらりと並んだ拷問部屋が大規模に作られており
そしてその中の牢屋にはとある闇オークションサイトに『商品』として出品されている人化実装が多数囚われていた

登下校・お使い・買い物・行楽・・・・場所と時間に関係無く攫われ、肉体的・精神的暴力を受け続けた彼女達にもう反抗する気力もなく
ただ己の身に起こった不幸とこの先永遠に最愛の両親や友達・または恋人に会う事も出来ない悲しみと絶望にすすり泣く者や
過剰なレベルの薬物の強制投与によって精神の崩壊した人化実装が力無くケラケラ笑い続けており、そこはまさに人化実装にとって地獄そのものだった

そんな地下施設の一角にある設備の管理室兼休憩所に5人の男達が集まっていた
この男達はかなり前からこの雑居ビルの地下をある人物から借りて人化実装の売買やレイプDVD・挙句の果てにはスナッフ(殺人・屠殺)ビデオをココで作り
海外経由のネットで販売して悪銭を稼いでいる人の皮を被った悪魔共である

「へ〜・・・・精神までイカれてたはずなのにそれがすっかり戻ってる人化燈ね〜」

「二度上げって奴か?そいつは結構なレアモンじゃん」

「でさぁ、ソイツはドコにいるんだよ」

「お前等慌てるなって・・・・それとな、ソイツは『大家』がココの家賃3ヶ月分免除の代わりに貰うってよ」

リーダーとおぼしき男の口から『大家』の言葉が出た途端男達のブーイングが始まった

「なんだよそれ!!ってか足元見過ぎじゃん!!たった3ヶ月?そんなレアもんだったら1年分位余裕だろーが」

「うわ〜もったいね〜・・・アイツにやったら3〜4日でブッ殺しちゃうじゃん」

「そうだぜ、前だって人化蒼を誘拐した飼い主の目の前で嬲り殺しにしてゲラゲラ笑ってたしな・・・・アイツちょっとイカれてんじゃね?」

「しかもその飼い主もついでとか言って殺して後始末を俺達に押し付けるし・・・・ホンットにムカつくんだよ、アイツには」

「文句を言うな・・・俺達がここまで派手にヤれるのもアイツの権力ってのがあるからだろ、その人化燈は勿体無いが仕方が無い・・・・さっさと回収に行くぞ」

「回収はいいけどドコにいるのか知ってるのかよ」

「穴犬は○○○○屋って焼き鳥屋に住んでるんだとさ」

「穴犬?・・・・それって確か後台(ごだい)の野郎が調教の加減間違えてうっかり壊した奴じゃん・・・・ってか後台の奴それ知ってんのかよ?」

仲間の問い掛けに対してリーダーは無言で今朝の朝刊をテーブルに放り投げた

「あいつは死んだ、事もあろうに大家を脅そうとしてズドンだったってよ」

その事件が書かれている朝刊を目にした男達はみんな黙ってしまった

「俺だってアイツの事は気に食わん・・・・だがアイツは善悪の区別ってのがユル過ぎる奴だから些細な事でも平気でブッ放す奴だ
利用価値のある内は適当に機嫌取りするしかねーだろ」

「わーったよ・・・・んじゃ、さっさと車を回すとしますかね」

「あ〜やる気でね〜・・・・アイツに渡すって事は俺達遊ぶ事もできねーんだろ・・・マジやりたくね〜」

「んでさ、飼い主も誘拐すんのか敏伸(としのぶ)?」

「そっちの指定は無い・・・・大方前のように攫った実装を餌に誘き寄せるんだろ・・・・それよりさっさと回収してアイツに渡したら在庫使ってレイプビデオでも作ろうぜ」

「にしても・・・・・あいつは又来てねーのかよ、贄木(にえき)の奴は・・・」

「あいつには実装麻薬と実装媚薬の調合を頼んでいるから今日は来ねーぞ、麻薬はこの間のアホ男の処理で使い切っちまったからな・・・媚薬だってあと2〜3回分しかねえし」

「マジかよ・・・・・っていいか、あの実験派の豚男は見てると吐き気がするしな」

「俺アイツ気に入らねー、薬作れるってだけでデカイ顔しやがってよぉ・・・・この前も新薬の実験とかで仕入れたばかりの姉妹の頭ん中壊しやがったし」

「蒼JKと金JCだろ、ったく・・・あいつのせいで2500万で売れるはずだったのが900万まで叩かれたし・・・・マジで最悪だったぜ」




















その後、八重の住居兼焼き鳥屋のリビング

この間の恐ろしい出来事で過去の心の傷を再び抉られる恐怖を味わったもののなんとか回復した瑠璃が台所に立って食器洗いをしていると

「おい」

突然誰かに声を掛けられ、反射的に瑠璃が顔を上げて窓の方を向いた瞬間

プシュー!!

突然なにかのスプレーを顔面に吹き付けられ、驚いた瑠璃が逃げようとした瞬間瑠璃の意識は急激に闇の中に落ち
彼女は糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちてしまった

瑠璃が倒れて程なく、ガチャガチャと台所にある勝手口をいじる音の後に勝手口が開き、三人の男が土足で無遠慮に上がり込むとぐったりとしている瑠璃を担ぎ上げた

「よっこらせっと・・・ああチクショウ、なんで眠ってる奴ってのはこんなに重いんだよ」

「おい声出すなって、ここの住人が来ると面倒だろうが」

ブチブチ文句を言いながら瑠璃を担いで表に待たせてあるワゴン車に向かおうとすると

「テメエ等!!あたしの瑠璃を返しやがれええええ!!」

壊して侵入した勝手口のドアが勢い良く開いて同居人の女がまるで猪のようにコッチに向かって走ってきたのだ

「うわ!!あの女追いかけてきやがった!!」

「おいさっさと積み込め!!あんなのに構ってる暇なんかねえって!!」

男達は大急ぎで瑠璃をワゴン車の後部に押し込むと急いで乗り込んで車を走らせた





そして八重のバイクが爆音をあげて裏路地から飛び出したその時、
一昨日八重の焼き鳥屋で飲んでいた金髪の女性が八重の後姿を見てすぐにタクシーを止めて乗り込むと八重のバイクを指差しながら叫んだ

『あの赤いバイクと前の黒いワゴン車を追って!!友達が誘拐されたなの!!』








































「クソッ!!逃がすかよ!!」

信号や横断車に何度も阻まれながらもなんとか追跡を続ける八重、そしてワゴン車も土地勘があるのか狭い路地や裏道を抜けてなんとしても八重を振り切ろうとしていた

「逃がすもんか!!今度こそ・・・今度こそ絶対守るんだ!!・・・・・・・・・・・・・ん?今度こそ?・・・前にこんな事あったっけ?」

自分で言った意味不明な言葉に?マークこそ浮かんだもののそれでも八重はなんとかしてワゴン車に追いつこうとした・・・・・しかし・・・・
不運な事に踏み切りに差し掛かった時、ワゴン車は降りてくるバーを破壊しながら踏み切りを強行突破し
八重もそのまま行こうとしたのだがワゴン車が抜けた直後に走ってきた電車に阻まれてしまった
電車が通過するまで1分近く・・・・だがそれは八重にとって何十分も遅く感じられた

やっとの事で電車が通り過ぎた直後にバイクを走らせた時には既にワゴン車は見当たらなかったが
それでも八重はバイクを走らせて駐車場や民家のガレージを注意深く調べ始めた

「この辺りってあの踏み切り以外ワゴンが通れるデカイ道が無いわね・・・・・って事は絶対この辺りに隠れてるに違いないわ」

広い道などほとんど無い新旧の家屋の入り混じった住宅地を縫うように巡っていた八重はとある雑居ビルにたどり着いた

「なにこのビル・・・・そんなにデカくないのに地下駐車場?・・・・・周りの土地はメッチャ余ってんのに・・・・もしかして・・」

八重は近くの自動販売機から住所を調べるとスグに遼子に電話をかけた

「もしもし遼子」

「ちょっと!!あんた今ドコにいるのよ八重!!」

「○○○区○○町4−5−2の○○ビルの前、多分瑠璃はこの中だと思う・・・あんたもスグ来て!!」

「ちょい待ち!!あんたまさか一人で突っ込もうなんて考えてんの・・・それは待って!!あたしも5分位で着くからそこで・・」

「ゴメン遼子・・・・・でももうあたしが瑠璃を助けなきゃいけないの・・・もう・・・間違えたくないから・・」

「間違えたくないって・・・八重・・もしかしてアンタ記憶が・・(ブツッ)もしもし?もしもし八重!!あの馬鹿はもう!!」

突然切れたスマホを助手席に投げてから無線を持った遼子はスグさま緊急連絡を始めた

「緊急事態!!緊急事態!!人化実装の誘拐事件発生!!犯人は○○区○○町4−5−2付近に潜伏との通報あり、付近を巡回中のパトカーは速やかに急行をお願いします!!
犯人の車は黒の大型ワゴンでナンバーは●●○○○、○○ー○○!!繰り返す・・・・」















雑居ビルの目立つ所に自分のバイクを止めた八重は野良実装石撃退用のバールを手に持って警戒しながら駐車場の中に入っていった
ところが、予想より広くない駐車場の中には数台の軽自動車しか止まっておらずあのワゴン車は影も形もなかった

(おかしい・・・・・あんなデカ物が隠れるとしたらココしかないはずなのに・・・・・ん?これは・・・)

暗がりの中、コンクリートの床を注意深く見てみると明らかに車が通った新しいタイヤ痕が残っていた・・・しかもそれは今止まっているどの車よりも車幅が広い

(やっぱり・・・・・・・だとするとあの車は・・・・・・)

八重がそのタイヤ痕を目で追うとそれは『ボイラー室』と書かれたドアに向かってまっすぐに伸びていた

(ボイラー室・・・・にしてはドアの大きさが異常すぎる・・・・・って事は・・・・)

八重はボイラー室のドアに耳を付けて気配が無いのを確認してから物音を立てないようにドアを開けて中に入るとそこにはボイラーの機材などどこにもなく
新たな駐車場と別室に続くドアが見えていた

(なるほどね・・・・・ココがあいつ等の本拠地って訳だ・・・・・・瑠璃・・・・スグに助け出してあげるからね)

八重はバールを握り直してから静かにドアに近付いた


























「ようおつかれ〜、んでアレは回収出来たか〜」

「ああ・・ったく、あれの飼い主のしつこいのなんのって・・・ず〜っとバイクで追いかけてきやがってさ〜」

「ほんっとにしぶとかったってあの女・・・踏み切りで撒けたから良かったけどさ〜・・・・あ〜しんどかった〜」

「ほらよ、回収した例の人化燈だ・・・・檻に入れとくか?」

既に薬の効果も切れ、暴れないように両手に手錠を掛けられた瑠璃を掴んでいる男が恐怖でガタガタ震えている彼女を連れて行こうとしたその時

「その必要は無い・・・・瑠璃は今スグ返してもらう・・・」

聞き慣れない女性の声に男達が振り向くと仲間の一人が八重の持っているバールの切っ先を喉笛に押し付けられていた

『店長さん!!』

「と・・・・敏伸・・・この女マジで目がヤバい・・・助けて・・・」

「さっさと瑠璃を返しな・・・じゃないとこの男の喉から真っ赤な血が噴き出すよ・・・・・ほら、あんたからもお願いしな」

そう言いながら八重は更に男の喉笛にバールを押し付けた

「助けて敏伸!!俺・・まだ死にたくない!!た・・・頼むよ・・コイツの言う通りにしてくれ」

「クッ・・・・・・・・・」

敏伸は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべたが八重の尋常じゃない気迫に敏伸は観念した

「チッ・・・おい、放してやれ」

敏伸の言葉に仲間の男は瑠璃の手錠を外してから八重に向かって突き飛ばしてやった

『て・・・・・店長さん・・・』

「瑠璃・・・・絶対あたしから離れちゃ駄目だからね・・・・あんたは私が守ってあげる・・・・今度こそ・・」

八重は男にバールを突き付けたまま後ずさりしつつ駐車場に下がり、隠し駐車場に入った次の瞬間

プシュッ!!

「ぎゃっ!!」

奇妙な音が聞こえたと思ったら八重が捕まえていた男の胸から血が噴き出し、男はそのまま倒れてしまった

「全く・・・・ほんっとうに使えない屑ね・・・・こんな屑女の盾にされるなんて・・・屑はどこまでいっても屑ね」

その声の方を見た八重は驚きを隠せなかった

「な・・・・・・なんであんたが・・・・・・・まさか、あんたがこいつ等の黒幕・・」

目の前で消音機付きの銃を持っている高級なスーツを着ている女性、それは八重がTVでよく見る顔だった

「ふん・・・どいつもこいつも屑ばっかりね、この私の手を煩わせるなんてどんだけ屑なのよ」

「目の前にいるのに未だに信じられないわね・・・・・実装愛護派の政治家『刻磯城美耶子(こくしきみやこ)』が人化実装狩りの親分だなんて・・・」

刻磯城美耶子、彼女はココ最近TVのワイドショーや討論番組などに多数出演して『実装愛護の第一人者』として
愛護派から絶大な人気を獲得している現役の女性政治家である

そんな人間がこんな犯罪の黒幕だった事に八重は驚きを隠せなかった

「あら、実装を可愛がるからって人化実装も可愛がると思ったら大間違いよ・・・・・その人間モドキ・・・見ているだけで反吐が出るわ」

美耶子は汚物でも見るかのような忌々しげな目で八重の後ろにいる瑠璃を睨んだ

「実装は実装だから可愛いのよ・・・・なのにそいつみたいに人間に化けるなんて見分不相応にも程がある・・・そいつ等は屑以下の屑よ!!」

「あんたが人化実装をどう思おうと勝手だけどそれにあたしや瑠璃を巻き込んでんじゃねえ!!大体何の恨みがあって・・」
「うるさいわね!!屑の分際で私に口答えなんて虫酸が走るわ!!あたしを誰だと思ってるのよ!!民論No2の刻磯城源三の娘なのよ!!屑のクセに何対等に口答えしてんのよ!!」

コメカミに青スジの浮いた美耶子は消音機付きの銃を八重に向けた

「ムカつくのよぉ!!私を裏切って糞蟲になびいたあの糞男も!!あたしの男を寝取ったあの糞蟲共も!!屑の分際で・・・屑の分際であたしのモノを奪いやがってえええ!!」

美耶子は過去に結婚したばかりの男を人化実装に寝取られた経験がある・・・・・だがそれは全て美耶子自身の自業自得であった

大物政治家夫婦の一人娘として産まれた美耶子は初めての子供と言う事もあって両親から甘やかされて育てられた

その上両親の威光もあって学校内で生徒はおろか教師まで誰一人彼女に逆らえる者がおらず
どんな我侭も通じる生活が彼女の脳内に実装石にしかないはずの『幸せ回路』を搭載させた人間糞蟲に彼女を育て上げてしまった
しかし美耶子は両親の前ではいい子を演じて両親を欺き、その裏で愉悦目的で数知れない他人の幸せを踏み躙っていた

そんな彼女も結婚適齢期となり、彼女は両親の勧めでお見合いしたとあるIT企業の若手社長と結婚する事となった

しかしそれは、結婚した男が思い描いていた甘い新婚生活とはかけ離れた地獄の奴隷生活の始まりでもあった

形ばかりの議員を務めるだけの美耶子の留まる事を知らない我侭と気まぐれは仕事を終えて帰ってくる男に休む時間を与えず仕事・家事の奴隷のような二重労働を強いる事となった
無論幾度か家政婦を雇ったが美耶子の我侭に誰一人として2週間も続かず、結果として遊び呆ける美耶子の代わりに男は荷馬車以上に働く羽目になり
僅かな事で癇癪を起こし、スグに暴力を振るう美耶子に対して男の愛情など僅か3ヶ月で冷め切ってしまった

もし男が極普通のサラリーマンだったなら即座に離婚届を叩きつけていたかもしれない
だが彼はまがりなりにも会社を経営している社長である、もしそんな事をすればあの美耶子がおとなしく応じる訳がない
それどころか美耶子の性格からして政治家である両親の後ろ盾を悪用して会社を潰しに掛かるのは火を見るより明らかな事
大事な社員を路頭に迷わせたくなかった男に出来る最良の選択は『会社を守る為に耐える』道しかなかった

そんな時、男は擦り切れていく心の癒しとして自分の会社内に美耶子には内緒で実装紅を飼うようになり更に偶然オークションサイトでその存在を知った『人化の種』を見つけ
飼っていた人化紅に飲ませて彼女を人化実装に変えた








それが悲劇の始まりだった





美耶子と違いあれこれと我侭を言わず、ただただ無邪気に甘えるだけの人化紅・・・・・それは男が本来求めていた『愛情』そのものであり
その人化紅と深い関係になるのに時間は掛からず、男は人化紅と味わうあるべき新婚生活に夢中になった

しかし、その蜜月は僅か半年で終局を迎えた・・・・・・・・・・・・美耶子に人化紅の存在がバレてしまったのだ
自分の所有物である男を奪った糞蟲・・・・・・・そして何よりその人化紅が自分より若く美しい事が美耶子の心の中に怒りと憎しみの火を付けた

美耶子は二人を邪魔の入らない場所に金で雇った連中に運ばせ、そこで男の目の前で人化紅に思いつく限りの拷問を行った
強姦・焼き鏝・歯抜き・四肢切断・・・・数え上げればキリのない数々の虐待行為を自分を裏切った報いと言わんがかりに男に見せつけ続けて人化紅を死に追いやった・・・・
男が絶望と悲しみで発狂死するまで・・・

だが、それで美耶子の怒りが収まるどころかますます燃え盛り、その怒りの矛先がこの世の全ての人化実装に変わってしまったのだ

誰よりも偉く・・・誰よりも美しく・・・誰よりも頂点・・・自分絶対主義の美耶子にとって自分より若くて美しい人化実装は憎悪の対象となり
それを可愛がる飼い主の目の前で惨殺して飼い主を絶望のドン底に突き落としてから殺す事に美耶子はいつしか無上の喜びを感じるようになった










「どいつもこいつも屑、屑、屑ばっかり・・・・そんな糞蟲を愛護する屑はみんな死ねばいいのよ、そんなゴミ・・・いるだけで公害でしかないわ」

「・・・・・・ふざけるな・・・」

美耶子の自分勝手な言葉に八重は小さく呟いた

「ああ?何?なんなのよアンタ?」

「なにがゴミだ・・・・なにが公害だ!!黙って聞いてりゃあ好き勝手な事言いやがって!!瑠璃はゴミじゃねえ!!瑠璃はあたしにとって大事な妹だ!!」

そう叫ぶや否や八重はポケットに入れていた小銭を握ると美耶子に向かって投げつけた

「きゃっ!!」

突然飛んできた小銭の飛礫に怯んだ隙に八重は瑠璃の手を引っ張って隠し駐車場の扉を開けると瑠璃を外に放り出して自分は中に残った

『て・・店長さん!!なにしてるると!!一緒に逃げるると!!このままじゃ殺されちゃうると!!』

一緒に来ると思っていた八重が隠し駐車場内に残ってしまい、瑠璃は慌ててドアを開けようとしたが既に八重が鍵を掛けており、ドアはビクともしなかった

「逃げるんだよ瑠璃!!遼子達が近くまで来てるはずだ!!こいつ等はあたしが食い止めるからあんたは早く逃げるんだよ!!」

『そ・・・そんなのできないると!!・・・・店長さんを・・・・・・・・お姉ちゃんを置いていくなんていやると!!』

「瑠璃・・・・・・(お姉ちゃん・・・・か・・・)」

初めて瑠璃から呼ばれた懐かしい呼ばれ方・・・・八重は一呼吸してから手に持っていたバールを握り直すと

「うおらあああ!!」

ドガン!!

隠し駐車場の唯一の出入り口であるドアノブを叩き壊してしまったのだ

「げえ!!あの女ドアを壊しやがった!!」

「な!!・・・・なんて事してくれるのよあなたは!!自分が何したのか分かってんの!!」

「ああ分かってるさ・・・・・・・これでここから誰も出られない・・・・・もうあんた達に瑠璃を追いかける事は出来ないって訳さ」

「こ・・・この屑女があああああ!!」

自分の思い通りに行かないどころかあんな格下の人間に出し抜かれた怒りで顔を真っ赤にして怒る美耶子は銃を八重に向けて構えた

「へっ・・・・ふざけんじゃないよ・・・このあたしをそう簡単に殺せると思ったら大間違いだぞゴラァ!!」
(これで良い・・・・・今度こそ・・・・・今度こそ守れた・・・・・ちはや・・・・・・・あたし・・・今度は間違えなかったよ・・・)

改めてバールを構え直し、己の死を覚悟した八重は猛然と美耶子達に向かって駆け出そうとした次の瞬間

ジリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!

突然耳をつんざくような大音量のベルが鳴り響いたと思ったら

ブシャアアアアアア

火も煙も無いにも関わらず突然スプリンクラーが作動を始め、その場にいた者達はたちまち水びたしとなった

「きゃああああああああ!!なんなのよコレ!!」

「うわああ!!どうなってんだよ!!」

いきなりの放水に美耶子達は大慌てでスプリンクラーの無い奥の部屋に逃げていってしまった
あまりの事態に八重が動きを止めた次の瞬間八重の胴体になにかが巻きつき、そのまま八重をドアノブを壊したドアを突き破って外に引き摺り出してしまった

「うわ!!うわわわわわわわわわわ!!」

そのまま表の地下駐車場まで引っ張られた八重はこの時になって自分の胴体に苺の蔦が絡み付いて自分を引っ張っているのに気付いた

「い・・苺?なんで?」

突然の急展開に混乱していると急に苺の蔦が身体から離れていき、振り返るといつのまにか止まっていたタクシーの開いたドアに蔦がスルスルを戻っていくのが見えた

『乗って!!早く!!』

『お姉ちゃん急いでると!!』

見知らぬ金髪の女性と瑠璃の声で我に返った八重が急いでタクシーに飛び乗るとタクシーは大急ぎで地下駐車場から飛び出した

「逃がすかああああああああああ!!」

プシュッ!!プシュッ!!プシュッ!!プシュッ!!

車のエンジン音に美耶子は反射的に標準も定めずに銃の弾を使い切るまで乱射した

































例の踏み切りを越え、後部ガラスにいくつかの穴の開いたタクシーが檄走を続けていた

『ここまでくれば大丈夫なの・・・・・・ごめんなさいなの運転手さん、こんな事に巻き込んで・・』

「な〜に言ってんだい!!俺こんなアクション映画みたいな展開マジ大歓迎だって!!んで次は壮絶なカーチェイスが始まるのかい!!」

自分の車を撃たれたにも関わらず非日常体験に興奮している運転手(50代・アクション映画オタク)に金髪の女性はあきれ顔でため息をついてから

『ないから、絶対にないから・・・・それよりもまずは・・』

『店長さん!!店長さんしっかりしてると!!死んじゃイヤると!!私を一人にしないでると!!』

瑠璃の慌てように金髪の女性が助手席から後ろの座席を見ると背中から血を流してぐったりしている八重を瑠璃が必死になって揺すっていた

『どうしたのよ琴音(ことね)!!・・・・・って今は瑠璃だったっけ・・じゃない!!何があったなの!!』

『店長さん・・・あのビルから出る時に私を庇って撃たれたると・・・・このままじゃ店長さん死んじゃうると!!助けてると!!』

既に意識もあるかどうかも怪しい八重を見た金髪の女性はスグに運転手の方に向き直ると

『運転手さん!!この先の通りを右に曲がって○○区まで行ってなの!!ソコに私の知り合いのモグリ医者がいるから!!』

「モグリって・・・それだったら別の総合病院を探した方が・・」

『あいつ等に居場所がバレると困るなの!!だからお願いなの!!』

「よっしゃ!!任せとけってんだい!!」

既にアクション映画の主役気取りの運転手はとんでもない運転で病院に急いだ(この時、警察に捕まらなかったのは不幸中の幸い)































それから、僅か数分でかなり寂れた病院に到着したタクシーから金髪の女性が腕から伸ばした苺の蔦で彼女を担いで病院に入ると前もっての連絡で準備していた女医がスグに手術を始めた
金髪の女性はタクシーの修理代込みの料金を払って病院内に戻ると手術室の待合所で顔色の悪い瑠璃が座っていた
金髪の女性は瑠璃と対面するように座って一息ついてから口を開いた

『私の事・・・・・覚えているなの?』

その問い掛けに瑠璃は俯いたまま首を横に振った

『天ヶ崎琴音(あまがさきことね)・・・・この名前に聞き覚えは?』

その問い掛けにも瑠璃は首を振った

『あなたの本当の名前なの・・・・・・じゃあ私の名前・・道明寺いちご(どうみょうじいちご)に覚えは?』

『覚えてない・・・・・私・・・・売られる前に酷い事されたのと店長さんとの思い出しか無いると・・・・・』

泣きそうになっている瑠璃にいちごが声を掛けようとした時、手術室のドアが開いて手術を行った女医が現れた

『先生・・・・店長さんは・・・・お姉ちゃんは・・・』

瑠璃はスグにマスクと帽子を脱ぎ始めた女医に駆け寄って八重の安否を聞いた

「大丈夫よ〜、幸い急所は外れてたからちょっち入院しとけばスグに退院できるわ〜」

あっさりと言い切った女医の言葉に安心したのか瑠璃はそのまま椅子にへたり込んだ

「にしても・・・・いきなり急患連れてくるなんて電話には驚いたわよ〜・・・しかも銃弾って・・・・あんたどんなヘマやらかしたの〜?」

『ヘマもクソもまだ仕事にもなってないなの・・・半年前にいなくなった親友を探してたら人化実装の密猟グループに出くわしてね』

「あ〜・・・・確かそれってあの娘が探してる奴等じゃない?あんたも厄介な奴に絡んじゃったわね〜」

傍目から見ても医者と言うより貧乏学者っぽく見える女医は伸ばし放題の髪に手を入れてボリボリと掻きながら呟いた

「ってか琴里(ことり)先生・・・一応病院なんだからフケ撒き散らすの止めて欲しいなの』

「いや〜十日も風呂入んないとさすがにフケ止まんなくってさ〜・・・頭痒いのなんのって」

『そんな雑菌まみれの身体で手術したんかいあんたは!!』

「いや手と機材はちゃんと消毒してるって・・・あたしさ〜お風呂ってのが嫌いなんだよね〜」

『寄るな!!触るな!!あんたの身体から野良実装石と同じ臭いがしてるなの!!』

さすがにこれには冷静になった瑠璃も思わずドン引きして琴里から逃げた







仕置き実装第二夜 灰色少女 後編に続く



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