タイトル:【多数】 仕置き実装第二夜 灰色少女 前編
ファイル:仕置き実装第ニ夜 灰色少女 前編.txt
作者:Kf 総投稿数:7 総ダウンロード数:1195 レス数:0
初投稿日時:2013/12/27-17:19:46修正日時:2013/12/27-17:19:46
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    仕置き実装第ニ夜 灰色少女










人気の無い街外れの深夜の公園、そこで誰かが片手に小さな袋を持って駆け込んできた
息を切らしながらも公園内を見回してから駆け込んだ青年は大声で叫んだ

「おい!!来てるんだろ!!出て来い!!約束の品は持って来た!!」

その声が聞こえたのか遊具の影から一人の男が現れた

「時間通りだな・・・・それで、『人化の種』は持って来たのか?」

「朱音(あかね)はドコだ!!朱音を返すって約束だろ!!朱音を連れて来い!!」

「種が先だ、まず種を見せろ」

息を切らしている青年とは対照的に見下すような目をした男がそう言うと青年はイラついた表情で人化の種を渡そうとしたその瞬間

ドスッ

突然下腹部に焼けるような痛みを感じ、青年が自分の腹に目をやるといつの間に用意したのか男が握っているナイフが深々と刺さっていたのだ

「う・・・・ぐあ・・ああ・・・」

腹を刺されてよろめく青年から人化の種を毟り取った男は中身を確認しながら独り言のように呟いた

「ああそうそう、お前が朱音とかって呼んでた人化紅ならとっくの昔に売り飛ばしたぞ、あの糞実装買い手が中々付かなくってたったの610万でしか売れなかったがな」

「な・・・・は・・・話が・・違う・・・・人化の種を・・・持って・・・くれば・・・朱音を・・・返すって・・・」

「はあ?お前馬鹿じゃねぇの?約束ってのは破る為にあるモンだろ、ガキじゃあるまいし」

「ぐ・・・ち・・・・・・チクショウ・・・・・・・・・・あ・・・・・あか・・・ね・・・   ・・   ・   」

青年は一筋の涙を流しながら無念の言葉を残して息絶えた

男は青年が死んだのを確認すると青年から服やアクセサリーを全て剥ぎ取って裸にしてしまい
遊具の隅に隠しておいた霧吹きを持ってきて青年の死体に満遍なく吹き付け、そのまま公園から出て行ってしまった

男が公園から出て行って程なく、公園に住んでいる野良実装石の群れがフラフラと青年の死体に集まり始めた

『デエエ〜・・・とてもいい匂いデス〜』

『おいしそうなお肉デス〜・・・この匂いが堪らなくワタシのお腹を刺激するデス〜・・・』

『もう我慢できないデッス〜ン!!頂きますデッス〜ン!!』

一匹の野良実装石が青年の死体に齧りついたのを皮切りにその場にいた野良実装石達がまるで肉に群がるピラニアのように一斉に飛び掛っては青年の死体を食べ始め
ものの2時間で青年の死体は骨だけとなり、その骨も野良実装石達が全て持ち帰ってしまい青年の痕跡は跡形も無く消え去った

















そして次の日の朝方・・・明け方に獲物を求めて現れた虐待派の通報で普段は虐待派しか近寄らない公園は警察官でごった返していた

「んで、通報したのは誰だったっけ?」

パトカー付属の灰皿を外して手に持って煙草をふかしながら刑事の鬼柄は面倒臭そうに呟いた

「コチラの男性です、なんでも公園の野良実装石を虐待しようと巣に近付いたら血まみれの実装石が人骨をしゃぶっていたとか」

あまりに現実離れした光景に恐怖を感じてガタガタ震えている男からやっとの事で聞き出した若い警察官は鬼柄にそう報告した

「んで、その骸骨の身元は?」

「今の所は性別すらも分かってません、科捜研に骨は送りましたので向こうからの連絡待ちになります」

「遺留品はなにか見つかったのか?」

「野良実装石の巣を全てひっくり返してみたのですが身元に関係するようなモノは発見されていません」

「そうか・・・」

鬼原は煙草の火を消しながら呟いた

「遺留品が無いって事は犯人が持ち去ったかあるいは別の場所で殺してここに捨てたか・・・・どちらにせよスグに被害者の特定は無理か・・・・」

「鬼柄警部!!科捜研から連絡が入りました!!」

パトカーに待機していた警察官からスマホを受取った鬼柄は早速質問に入った

「おう俺だ、被害者が誰なのか分かったか笹原?」

「残念だけど骨格から被害者が男性だって事しか分かってないわ、それと重要な報告があるんだけど」

「重要な?そりゃ一体なんだ?」

「人骨と一緒に回収した実装石の血液や体液を念の為に調べたら実装麻薬の成分が検出されたわ」

「実装麻薬?そりゃ一体なんだ?」

「特定業者のみが使用している実装石専用の食欲増進剤、これには実装石の食欲中枢を理性が吹き飛ぶ位過剰に暴走させる『特定危険薬品』に指定されているモノなの
一般的には『フォアグラ実装石』や『非可燃物処理実装石』のみの使用しか認可されてないはずだけど以前虐待派のサイトで作り方が公開されたモノと同一みたい
恐らく犯人は被害者を殺した後に実装麻薬をこの死体に振り掛けて野良実装石に死体を食べるように仕向けたんだと思う」

「つまり、コイツは殺人の可能性が高いって事か」

「断定は出来ないけどその可能性が高いわ、それと実装麻薬なんだけどこれは過去半年以内に何軒かあった白骨死体から検出されたモノと同一ってのも解ったの
今回の被害者も今葉芝君達に歯の治療跡から身元を確認出来ないかやって貰っているから身元の方はなんとかなると思う」

「分かった、コッチでも聞き込みしてこの近辺で行方不明になっている奴がいないか調べてみる」

そこまで喋ってから電話を切って警察官に返した鬼柄は

「手の空いている奴はとにかく周辺の聞き込みに回れ、必ず目撃情報なり被害者の身元に関わる情報が手に入るはずだ、全員気合入れていってこい!!」

鬼柄は部下達に檄を飛ばすと自分もパトカーに乗り込んで聞き込みに向かった




















そして、そんな事件があったその日の夕方のとある住宅地、高校生の姉と中学生の妹が仲良く家路に着いている姿を物陰に隠れて偽石サーチャーを見ている男がいた

「思った通り・・・・姉は人化蒼で妹は人化金か・・・・」

男は口元に笑みを浮かべてからポケットから奇妙な筒を取り出し、周囲に人の目が無いのを確認してから筒から伸びている導火線に火を着けると二人の足元近くに投げた

カン・・カラン・・・・

「ん?」

「どうしたのお姉ちゃん?」

シューーー!!

後ろから不意に聞こえてきた金属音に姉が後ろを振り向いた瞬間足元に転がってきた金属の筒からいきなり大量の煙が噴出した

「な!!なにコレ!!ゲホッゲホッ!!」

「ゲホッゲホッ!!く・・なんなのよこの煙・・・・は・・・・あ・・う・・・・」

正体の分からない煙に咳き込んでいた二人の少女は急に糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちてしまった
物陰に隠れていた男は少女達が倒れたのを確認すると早速どこかに電話を掛けた

「獲物を捕まえた、スグに回収してくれ」

その連絡の後、ものの1〜2分でワゴン車が到着して二人の少女と煙の出尽くした筒を回収すると先程の男を乗せてスグさま走りだした

「よう、お疲れ〜・・・今回は蒼JKと金JCか〜・・・・こいつはイイ値がつきそうだぜ」

「まっこの煙幕実装ネムリさえあれば捕まえるのなんてチョロイチョロイ・・・・早速オークション登録しとくぜ〜」

そう言って眠っている二人の顔写真を撮影した男達は早速二人を人化実装の闇オークションサイトに登録した
















それから数時間後の警察署、二人の中年の夫婦がいつまで経っても帰らない二人の娘を心配して捜索願いを出しに行ったのだが・・・

「なんなんですかコレは!!私達の娘は誘拐されたかもしれないんですよ!!・・・・・・なのに・・・・なのに・・・誘拐じゃなくって盗難届けってどう言う事ですか!!」

「申し訳ないのですが二人共人化実装なんでしょ・・・・あまり知られてないんですけど人化実装には人権ってのが無いんで実質『ペット』と同じ扱いになるんですよ」

「そんな・・・・そんなのあんまりじゃないですか!!夏樹と秋奈は10年以上も私達の娘として一緒に暮らしてるんですよ!!戸籍だってちゃんと私達の娘として・・・」

この夫婦は過去に妻が患った病気のせいで子供を産めない身体となったがその時に夫がオークションサイトで偶然見かけた『人化の種』をなけなしの貯金を切り崩して購入し
我が子のように可愛がっていた実装金と実蒼石に飲ませて人化させて自分達の娘として大切に育てていた・・・・・・しかし・・・・

「これは私達警察に言ってもしょうがないんです、この国の法律上『実装種はいかなる理由も関係無く財産・物品と同一の位置』って決まってるんです
たとえ人と姿が変わらなくっても戸籍があろうとも人化実装は『ペット』であり『器物』である事には変わりないんです」

「そんな・・・・・」

「こんなの・・・・・・・こんなの酷過ぎる・・・」

あまりの現実に泣き崩れる夫婦の姿に対応した警察官は心がギスギスと痛んだのだが彼は間違った事を何も言っては無かった












『人化実装に人権を認めるべきか否か?』

この問題はかなり長く議論されているが未だにその決着は付いてはいない・・・近年増えてきた人化実装に対し愛護派や一部の無関心派の議員は

「条件付きで認めるべきではないだろうか」

との意見も出ているのだがそれに真っ向から反対しているのが虐待派議員達なのだ
彼らにとって実装はどこまで行っても実装・・・それに人権を与えるなど人間の尊厳を踏み躙る愚行だと声高かに叫び如何なる例外をも認めようとはせず
そのような対立が続いている結果、この答えがいつまで経っても結論が出ないままとなっているのだ

そして、人化実装に人権が無い事が思わぬ犯罪を引き起こす原因となっていた

事の起こりは2年前にある男が10人近くもの年端も行かぬ少女を誘拐しては強姦して殺す事件が連続して発生したのだが
逮捕された犯人に下された判決は『それなりの罰金とたった数ヶ月の禁固刑』だけだった

その理由は被害者が全て人化実装であったが故に『強姦・殺人罪』が認められず『窃盗・器物損壊』でしか立件できなかったからだ

そしてこの事件をニュースなどで知った心無い者達は人化実装を面白半分で強姦したり誘拐して闇のオークションサイトで売り飛ばしたり
最悪のケースになると殺したりと悪行を重ね始めたのだ

そうやって悪事を重ねて人化実装を殺しても彼等は全く罪悪感など無かった
なぜなら今自分達が殺したりレイプしているのは『人間』じゃなくて『モノ』なのだからたとえ警察に捕まったとしてもたいした罪にはならない

良くって説教程度、悪くても禁固程度の安い裁きで済むのだから恐れる事は無い
人化実装に人権が無いってのは偉い政治家が決めた事なんだから俺達は大手を振って楽しめばいい

そう自分勝手な意味に解釈した連中の起こす人化実装絡みの犯罪は最初の事件以後、確実に増え始めていた

そして、人化実装が被害に遭う犯罪が増える事によってそれに伴い治安そのものに悪影響が出始める事になっても
『国民の安全と治安改善』よりも『自分達の虐待派としてのプライド』をなにより優先させる虐待派議員達は決して人化実装の人権を頑として認めようとはせず
それ故に法改正どころか対策すらも遅々として進んでいなかった











それからしばらくして・・・あの中年の夫婦は娘達を見つける事となった
だがそれは娘達に再会出来たと言う訳ではない

親戚の甥がたまたま立ち寄ったアダルトDVDショップで二人が数多くの男達に輪姦されている内容のDVDを発見し
その知らせを聞いた夫婦が販売元を警察に通報したのだが娘達の姿は無く
販売業者を取り調べた結果

「あの娘達のDVDは素人の持ち込みの品だからウチではただ編集しただけでどこで撮影されたかは全く知らない」

とシラをきり、その際持ち込んだ人物の住所を調べたのだが全くの出鱈目な住所で結局その足取りを掴む事も出来なかった
だが、それから数ヵ月後に、今度は素人投稿の変態調教雑誌に彼女達が男達の慰みの道具として投稿されているのを亭主の勤めている会社の同僚が偶然見つけ
この時点でやっと二人を保護して一緒にいた男を事情聴取したのだが

「俺はオークションで前の飼い主が飽きて投げ売りしてたのを1ヶ月前に5万円で買ったばかりだから盗品だったなんて知らなかった」

の一点張りを続け
二人の娘に至っては長期間に渡って男達に弄ばれ続け、大量の薬物投与をされていた結果、既に精神が崩壊していて、とても事情聴取どころか日常復帰など不可能となっていた
そこで警察は彼女達を販売していたオークションサイトを調べたのだがそもそも彼女達はココ数ヶ月で分かっているだけでも4回以上も複数のサイトで転売され
しかも古いサイトに至っては既に閉鎖されて足取りを辿る事すらできなくなっていた













そんな事件からしばらく過ぎたとある夕方、中年夫婦の亭主が右手に手紙を持ち、左手には金の入った封筒を持って街外れの古ぼけた神社を訪れていた
絶望と悲しみの織り交ざった表情の男は会社で小耳に挟んだ都市伝説のこの神社の賽銭箱に金と手紙を入れて何度か手を叩いてから願掛けをするとトボトボと帰っていった

男が帰って再び静かになった神社・・・すると神社の社の中央の空間が一瞬歪んだ直後に雪華実装が突然現れた
現れた雪華実装は白棘の触手を伸ばして賽銭箱から先程の金と手紙を引っ張り出すと早速手紙に目を通してからため息をついた

『また、人化実装の密猟密売ね・・・・・・・にしても・・・・・これって・・・・』

雪華実装の元締めはココ最近賽銭箱に入れられた手紙を何通か読み直した

『・・・・・・・・・・・・・・・やっぱり・・・やり方や被害から同じ匂いを感じるわ・・・・だとすると・・・的は同じ連中みたいね・・・』

なにがしらの確信を得た元締めはスグにどこかに電話を掛けた

「あ、担当さん!!もうちょっと!!あと半日待って下さい!!2時までには絶対原稿を仕上げ・・」
『誰と勘違いしてるのよ、あたしよあたし』

元締めが電話を掛けたのは表の顔は某月刊誌で描いている新人漫画家、しかし裏の顔は元締めと親交の深いブン屋の一人である

「へ?・・・ああなんだ○○○市の元締めさんッスか・・何か用事ッス?」

『あんたまた原稿遅れてるの?・・・・全く・・・あんた月刊誌だからって余裕全開だからいつもそうなるのよ』

「いや〜面目ない・・・あっそうだ元締めさん、またこの間の実装石貸して下さいよ、あのみど吉っての・・・あの実装トーン貼りとかホワイト滅茶苦茶上手くって・・・」

あんないい加減な感じなのに一応有名な月刊誌で人気の漫画家なのだから世の中分かったモノじゃない
元締めは再び聞こえがよしなため息をついてから口を開いた

『あんたねぇ・・・あの娘飼い実装なのよ・・・・それはそうと、あんたに仕事頼みたかったんだけど』

「仕事?・・・・・・もしかして・・・人化実装の密猟関係ッスか?」

『あら、相変わらずの早耳ね・・・それで、なにか情報はある?』

「今の所は犯人に関しては情報が少ないッス・・・・ああそうそう、他所の雪華実装さんと『人化の種』を取引していたブローカーが何人か殺されてるって話は知ってます?」

『初耳ね、それ今回のと関係あるの?』

「どのブローカーも同棲していた人化実装を誘拐されて誘拐犯に返す交換条件に出された『人化の種』を持って行ったその日に殺されたり行方不明になってるんです
当然誘拐された人化実装もそのまま行方不明になってますし」

『ふむ』

「まあ何人かの人化実装はアダルト投稿サイトとかオークションサイトで発見されるんですけどどの娘も完全に精神崩壊していてどうにもならないみたいなんです
しかも、場合によっては買い取られた後にまた誘拐されるって事もあったって話ッスけど」

『無茶苦茶にもほどがあるわね・・・・警察の動きは?』

「全く捜査の進展ゼロみたいッス・・・ただこれは未確定情報なんスけどどうも裏にオークションを支援しているヤバイ奴が絡んでるみたいッス」

『ヤバイ奴?・・・・まさか前の乱交クラブみたいに警察幹部とか?』

「いえ、警察の関係者じゃないみたいッス、それだったら俺達ブン屋はスグに分かるッスから」

『って事は暴力団や政治家、企業幹部とかそんなトコ?』

「はっきりとは言えないッス・・・・・・そっちに関してはまだ調べなきゃ分かんないんで・・」

『分かったわ、なにか進展があったら連絡をちょうだい・・それと、原稿落とさないようにね』

「あっそれで元締めさん、みど吉貸して・・」

元締めは漫画家のブン屋から聞きたい情報を聞き出すとブン屋の言い分を聞かずにさっさと携帯を切った

『さて参ったわね・・・・・・このままじゃ動きようがない・・・・か・・・・こちらでもどうにかして探ってみるしかないかな・・・』

元締めは現状では雲を掴むような状況に腕を組んで考え込んだ












一方、場所は変わって深夜に近い居酒屋通り・・・・・・
小さな焼き鳥屋から二人の酔っ払いが転げるように飛び出すとその後からその店の女店主が現れた

「こんのクソボケ共がぁ!!ウチの料理にケチ付けて代金踏み倒そうなんてふざけた事しやがって!!」

女店主はそう怒鳴りながら二人から毟った財布から代金分だけ抜き取ってから投げつけた

「オラッ!!勘定分は確かに貰ったからな!!だからとっとと消えちまいな!!」

財布を投げつけられた酔っ払い二人はフラフラしながらも財布を拾ってやっとのことで起き上がると

「こ・・・この・・・ブス女将がぁ!!た・・・・ただでさえマズいのにお前の顔との相乗効果でなおさらマズっくて敵わねぇんだよ!!こんなの詐欺もいいとこだ!!」

「そ・・・そーだゴリラ女!!お前を通報してやって詐欺罪で訴えてやる!!・・・・お・・・・覚えてろよ!!」

酔っ払った頭で思いついた子供並の悪態を付きながらおぼつかない足取りでフラフラしながら逃げ帰っていった

「ケッ!!何が詐欺罪だよ・・・その前に食い逃げ未遂でコッチから訴えてやる」

女店主はブチブチ呟きながら店に戻ると

『て・・・店長さん・・・大丈夫ると?』

セミロングの銀色の髪の毛を三角巾で纏めて歪な形の小さな黒い翼を小さく動かしている人化実装燈の少女が店の奥から出てきて心配そうに声を掛けてきた

「大丈夫に決まってんでしょ瑠璃(るり)あたしがあんな酔っ払いに遅れを取る訳が無いっつーの」

店の玄関から帰ってきた女店主の無傷の姿を確認した瑠璃はホッと胸を撫で下ろした

『良かったると・・・もし店長さんに何かあったらと思ったら・・・』
「こ〜ら、あたしゃアンタに心配される程ヤワな作りしてないっての、それより客が待ってるからお勘定してきな」

『は・はい、店長さん!!』

女店主に頭をワシャワシャ撫でられてからお尻を軽く叩かれた瑠璃はスグにレジに向かった

(にしても・・・・最初はどうなるかと思ったけど・・・・あの娘もすっかり明るくなったわね)

レジ打ちをしながら笑顔で接客する瑠璃の姿・・・・それは彼女がこの店に来た4ヶ月前からは想像もつかないものだった



















それは今から4ヶ月程前の事、一人で立ち上げた焼き鳥居酒屋を切り盛りしていた星野八重(ほしのやえ)は店じまいした後で何気なくネットを流しながら見ていた時だった

「ん?何これ?・・・・・人化実装の・・・オークション?」

何気なく入ったアダルトサイトから偶然そのサイトを見つけた八重はちょっと興味が湧いてそのサイトに入ってみた・・・・・そこには・・・

『従順から粗暴、調教済みから未開発、ペドから巨乳までなんでも揃います!!あなたの望む性奴隷を見つけるならココしかない!!』

と言う大々的な広告の下には全裸の人化実装とそのプロフィール、そして現在の入札額がズラリと表示されていた

「性奴隷って・・・・・・・・・いくら人化実装だからってこんな赤飯前の子供まで売るなんて頭おかしいんじゃないの」

オークションの中身を見ながら呆れた表情を浮かべていた八重はふと隅に『ジャンク』と書かれた入り口を見つけた

「ジャンク?・・・・・・何かしら?」

なんとなく気になった八重がソコに入ると一体の人化実装燈だけが売られていた

『人化実装燈・再生力低下・両翼破損(処置により再生封印、再処置で修復可)・性調教済み・対人恐怖症・性行為可・教養有り(最終学歴は中学)リンガル不要』

その人化実装は先程の人化実装とは違いかなり痩せこけた状態で両手に手錠を掛けて吊り上げられて無理矢理立たされていた
彼女の表情も既に死人のように生気のない顔をしており
更に紹介のデータには彼女が今まで受けてきた陵辱の一部が動画で登録されていた

「なによこれ・・・・よくもまあこんな残酷な事を・・・」

八重は動画を見るのをさっさと止めて別の画面に切り替えるとその人化実装の表情のアップに変わり、その表情を見た瞬間八重の動きが止まった
なぜだか分からなかった・・・・・・だが、彼女の表情を見た八重の心のなにかが反応し、八重はスグに誰も入札していなかった彼女に入札(1万円)した





それから数日後、八重の元に差出人不明の大きなダンボール箱が届き、その中には1万円で落札した全裸の人化実装燈が眠った状態で入っていた
無論サイトの紹介にあったように対人恐怖症の彼女は目を覚まして八重の存在に気付いた直後にパニックになって部屋の隅で頭を両手で抱えてガタガタ震えながらうずくまり

『ごめんなさいると!!ごめんなさいると!!絶対に逆らいませんると!!なんでも言う事聞きますると!!だからぶたないで下さいると!!』

必死になって泣きながら謝り続けた

恐らく今まで暴力や陵辱で骨の髄まで恐ろしい記憶が染み付いているのだろう
八重はそんな彼女の頭を優しく撫でてあげてから怖がらせないように優しく抱きしめてあげた

それから八重と瑠璃の奇妙な暮らしが始まった

瑠璃は最初こそ小さな物音や八重の行動にビクビクしていたが八重の心の暖かさに触れていくうちに段々と落ち着くようになり
時が経つにつれて厨房での皿洗いや材料の仕込みを少しづつ手伝うようになり始め
今ではすっかり歳相応の明るさを取り戻して接客やレジ打ちも出来るようになった

これはひとえに八重の心の暖かさだけではなく店に来る常連さんや食品・酒類の販売員の人達との瑠璃の事を気遣った触れ合いもあったからだ
こうして本来そうであっただろう明るい性格に戻った瑠璃は小さな焼き鳥居酒屋の看板娘として人気が出始め
今ではそんな頑張り屋で可愛い瑠璃目当ての客も増えて八重は忙しいながらも充実した毎日を瑠璃と共に過ごしていた

だがそんな八重にも心配事があった・・・・・・それは瑠璃の過去の事だ

オークションの情報では瑠璃は以前人間としてとある家の一人娘として育てられていたのを部活帰りを狙って誘拐して調教を行ったのらしい
だが彼女の過去の情報に関してはオークションに尋ねても『情報が無い』との事で調べる事も出来ず
何度か瑠璃に昔の事を聞いてはみたが覚えているのは拷問と変わらない陵辱の事ばかりで彼女を育ててくれたであろう人間の両親の記憶が抜け落ちているのだ

八重としてはもし瑠璃の両親が彼女を探しているのなら帰すべきだとは思っていた
だがその反面、このまま瑠璃の両親が見つからなければと言う思いもあった
今まで一人暮らしだった八重にとって新しい同居人の瑠璃はもうなくてはならない大切な存在となっていたからである

それ故に八重は瑠璃の元気な姿を見るのが嬉しい反面いつか来るかもしれない別れの予感に心がチクリと痛むのだった



























だが、そんなささやかで幸せな日常を崩壊に導く悪魔は突然二人の下に現れた















ある日の夜の事だった
いつものように八重がカウンターで焼き鳥を焼き、瑠璃がテーブルにビールやツマミを運びながら接客をしていた時だった
いつものように店の玄関が開き、空いたテーブルを拭いていた瑠璃が顔を上げていつものように入ってきたお客に挨拶をしようとしたその時だった

『いらっしゃいま・・・』

「よお」

なんとも言えない気味の悪い笑みを浮かべている男の顔を見た瑠璃の顔から一瞬で血の気が引いて真っ青になり、その口元からはカチカチと歯の震える音が聞こえていた

『あ・・・・・・・・な・・・・・・・・・なんで・・・・・・・・・・』

「へへっ・・・・・居酒屋関係のネットでお前を見た時には信じられなかったが予想以上に元に戻ってるじゃねえか」

『い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや・・・・・・・いやぁ・・・・・・・』

恐怖に震え、足が竦んで動けない瑠璃を男はジロジロ品定めでもするかのように見てから瑠璃に近付くと

「正直もう金にならねぇと思って投げ売りしたがこれならまた仕込んでから売れば高値でまた売れそうだな・・・おら、さっさと来い穴犬・・・」

そう言って男は周囲の事などどこ吹く風と言わんばかりに瑠璃の腕を掴んで無理矢理外に引き摺り出そうとした

『いや!!・・いやあああああああ!!もうあそこには戻りたくないいいいい!!店長さん助けてええええ!!』
「だあありゃああ!!!!」

ドガッシャ!!

電光石火とはまさにこの事、瑠璃の悲鳴に刹那の速度で反応した八重は一瞬でカウンターを飛び越えると瑠璃の腕を掴んでいる男の顔面にそのまま飛び蹴りを喰らわせ
八重の飛び蹴りを喰らった男は開いたままの玄関から2メートル以上も吹き飛んで地面を転がり、向かいの店の看板に激突してやっと止まった

「こんのクソ野郎がぁ!!ウチの瑠璃になにしようってんだい!!瑠璃を泣かせる奴はあたしが許さないよ!!」

「な・・・なんだなんだ?」

「ねえ、今アイツ瑠璃ちゃんを外に無理矢理連れ出そうとしてなかった?」

「なにぃ!!みんなの瑠璃ちゃんを誘拐しようだなんてとんでもない奴だ!!」

店長の飛び蹴りで一気にざわついた店内の客の視線は呻きながら起き上がった男に一気に注がれた
男も店内からの刺すような視線に怖気づくと

「チッ!!」

舌打ちだけを残して逃げ出そうとしたが、男が逃げるよりも早く店内の常連客の何人かが男に襲いかかって男はそのまま取り押さえられてしまった

「ぐ・・ぐがああ!!離せ!!離しやがれ!!」

「なにが離しやがれだ!!俺達の瑠璃ちゃんを泣かせやがって!!このまま警察に突き出してやる!!」

「け・警察だと・・・お・・俺がなにしたって言うんだ!!むしろあの女に蹴られた傷害罪で・・」

そう喚こうとした男の前にリクルートスーツ姿の常連の女性客がポケットから取り出した黒い手帳を突き出した

「あたしこれでも警察官なの・・・・瑠璃ちゃんの誘拐の現行犯って事でいいわね?ここにいる全員が証人よ」

まさかこんな所に警察官がいるとは思ってなかった男はさすがに顔色が悪くなった

「ちょ・・・ちょっと待て!!だから俺はあの女に顔を蹴られて・・」
「正当防衛です」

男の言い分などどこ吹く風と言わんばかりにバッサリと警察官は斬り捨てた

「ったりまえだろーが、俺達全員が証人だぜ!!」

そうこうしているうちに客の誰かが通報したらしくパトカーが到着し、女性警察官が現状を説明を済ませると男はパトカーに押し込められた・・・・・
が、しかし往生際の悪い男はパトカーに押し込められる直前まで延々と喚き続けていた

「クソッ!!チクショウ!!チクショウ!!覚えてろよお前等!!それと穴犬!!俺は諦めねぇからな!!絶対お前を連れ戻すからな!!待ってろよ俺の金ヅル!!」
「いいから黙って乗れ!!」

バタン

ギャーギャー喚き散らす男をやっとの事で乗せたパトカーはスグに走り出していった

「ったく・・・なんなんだいアイツは・・・」

他の客と一緒にパトカーであの男が連行されて行くのを確認した八重が店内に戻ると何人かの女性客に付き添われている瑠璃が真っ青な顔でガタガタ震えていた

「星野先輩・・・・」

「だいぶ落ち着いたみたいだけど・・・・・アイツ一体何者なの?」

「瑠璃ちゃん、八重さんが来てくれたからもう大丈夫だよ」

『て・・・・・・て・・・店長さん・・・・・』

やっとの事で顔をあげた瑠璃はそのまま八重に抱きついて大声で泣きだした

『うわああああああん!!店長さああああん!!怖かったるとおおお!!またあそこに戻るのはやだあああああ!!うえええええええええん!!』

「ああもう・・・泣かなくったっていいでしょ瑠璃、ホラ・・みんなもいるしもう大丈夫だから泣き止みなさいって瑠璃」

そう言ってもよほどあの男が怖かったのか瑠璃は八重にしがみ付いたまま全く泣き止まなかった
さすがにこの状態では店が続けられず困った八重は仕方なく

「ああ〜もう・・・・・しょうがないから今日はあたしの奢りって事でいいからみんな帰っていいわよ、瑠璃がこれじゃあどうにもなんないし・・・」

とは言ったのだが・・・・

「そりゃないッスよ先輩、俺代わりに焼くッスから瑠璃ちゃんに付いていてあげて欲しいッス」

「あら気が利くじゃん、じゃああたしが片付けやっとくわ・・・・ってあんたらも見てないで星野先輩を助けなさいよ」

「あ〜・・・・・しゃあねっか、瑠璃ちゃんの為にいっちょ一肌脱ぐか」

「なんでソコはあたしじゃなくって瑠璃なのよ」

まだ飲み足りない常連客の何人かが泣いている瑠璃にしがみ付かれて動けない八重の代わりに調理や片付け・掃除を勝手にやり始めた

本来なら客がそこまでするなんて考えられないモノだが常連客のほとんどが八重と学生時代からの同級生や付き合いのある人達なのもあるし
なによりそんな常連客にとって八重の店は『学生時代に戻れる』とか『毎日プチ同窓会が出来る』大事な場所なので
八重も客も結構気兼ねなくやっているしなんだかんだで時々助け合ってるのもあったからだ

そんな中、ショートカットの金髪の女性が一騒ぎが終わったのを確認してから自分の財布から勘定より多めの額を取り出すと

『店主さん、お代はここに置いておくわ・・・つりはいらないなの』

そう言ってさっさと店から女性は出て行ってしまった











しばらくして店じまいまで手伝ってくれた常連客が帰る頃になって泣き疲れて眠ってしまった瑠璃を部屋まで運んで布団に寝かせてから店に戻ると先程の女性警察官がいた

「あれ?帰ったんじゃないの遼子(りょうこ)?」

「そうしたかったんだけど向こう(男が連行された警察署)から連絡があってちょっと八重の耳に入れておきたい情報が入ったのよ」

遼子と呼んだ女性警察官の言葉に八重の表情が少し険しくなった

「もしかして・・・・あの男の事なの?」

「ええ、どうもアイツ最近この辺りを騒がせてる人化実装の違法闇ブローカーの関係者らしいのよ」

「やっぱり・・・」

八重は瑠璃の尋常じゃない怯え方を見てそうじゃないかと思っていた

「まあウチの上司も『闇ブローカーの尻尾を掴んだ』って大喜びしてたみたいだけどね、あの男は当分の間は拘留されるみたいよ」

「それを聞いて安心したわ・・・あんなのがまた来たらたまったモンじゃないわよ」

「まあココ最近は人化実装の誘拐とか強姦被害ってのが増えてるからね〜・・・瑠璃ちゃんも気を付けないと」

「しばらくはネットの広告も取り下げとかないといけないわね・・・ちょっと配慮が足りなかったわ・・・・・・でもアンタ、用事はそれだけじゃないでしょ?」

八重がジト目で遼子を睨むと頭を掻きながらすまなそうに口を開いた

「てへへ〜・・・実は終電がもう行っちゃってて帰れなくって〜・・・・・・泊めてくんない八重ちゃん?」

「だろうと思った・・・・まあいいわ、あんたとは高校からの縁もあるしあいつを追い払ってくれたお礼って事で泊めたげる」

「やった〜!!さっすが神様仏様八重様!!愛してる〜!!」

「全くあんたって奴は・・・・にしてもさ、あたし等はともかくとしてなんで人化実装には人権ってのが無いんだろうね?」

「そんなのあたし等が論議したってどうにもなんないでしょ・・・こう言うのはああ言う国会議員に頑張って貰うしかないっしょ」

そう言って遼子が指差したTVには『実装に関する法律改正』を討論している女性議員の姿が映っていた














だが、それから2日後の夜・・・・瑠璃を誘拐しようとした男はある権力サイドからの圧力によって拘留を解かれ、釈放された男がある廃墟ビルで誰かと話をしていた

「以前投げ売りした人化燈の精神状態が完全に回復していると・・・」

「ああ、正直俺も驚いているが二度上げされた奴なんだからけっこう高値で売れるだろ、だからチョット回収するのを手伝ってくれよ・・・儲けはモチロン山分けって事で」

話を聞いている『誰か』はしばらく考えてから口を開いた

「ならコッチで買い取る・・・・・金額は・・・・10万」

あまりにも安すぎる値段を提示された男はさすがに『誰か』にブチ切れた

「おいコラ!!なにが10万だ!!ふざけるにも程ってモンがあるだろ!!あれだったら1000万でも余裕で買い手が付くだろうが!!」

「誰のおかげで警察から出られた・・・・・それを忘れたと?」

「ケッ!!よく言うぜ、そもそも俺を釈放したのも俺が全部ゲロッちまえばあんたが破滅するからだろ!!なにせアンタは」
プシュッ!!プシュッ!!プシュッ!!

男が悪態を付いて『言ってはならない事』を口走ろうとするより早く『誰か』は消音機を付けた拳銃で男の胸を何度も撃ち抜き、
男は信じられないと言う表情を浮かべたままその場に倒れた

「屑の分際で出過ぎた真似を・・・・・」

『誰か』はそう吐き捨てると男の死体を置いてどこかに行ってしまった










仕置き実装第2夜 灰色少女 中篇に続く



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