仔実装のグリーはフワフワなベッドの中で目を覚ました。 小さなお家の小さなベッド。でもそれは人間から見たらの話し。 元々成体実装用の実装ハウスだ、 仔実装、それも産まれて一月ばかりのグリーにはまだまだ大きく、ちょっとだけ孤独感で寂しくなる。 でも、いつもご主人様が可愛がってくれるからグリーはとても満足だった。 ちょっぴり寒いお部屋の中で、大きなアクビを一つ、うーんと伸びをしてから起きあがる。 枕元の蛆ちゃん型時計には6:30の文字。 ブリーダーの元で辛く厳しいお勉強を乗り越えたグリーは、 その時間がもうそろそろご主人様の出かけてしまう時間だと知っていた。 「ご主人様お出かけしちゃうテッチー!」 すぐにお着替え。 可愛らしいキグルミ寝間着から、いつもの実装服にお着替えして、いつものリボンをパッチリ付ける。 そしてお家を飛び出すが、ご主人様は何故かいなかった。 いつもはゲージの外で朝食を食べてる時間、なのにご主人様はどこにもいない。 「テチー?」 グリーは不思議そうに見回すがやっぱりいない、今日はもうお仕事に行ってしまったかな?と、首を傾げる。 グリー用のお皿にはいつものように仔実装用実装フードが6個。 朝に3つ、お昼に3つとちゃんと用意されていた。 やっぱり早く出かけてしまったんだと、少し寂しくなるグリー。 朝のウンチをトイレでして、オテテを洗っていただきます。一人で食べる朝食はやっぱり味気なかった。 しばらくすると、どこからかキュイーンと聞きなれない音。 「なんテチ?」 ゲージから覗いてみると、まるくてひらべったいヤツがどこからともなくやってきた。 「侵入者テチ!?」 ご主人様とアテチのお家に侵入者、これはアテチが追い出さないと!と、鼻をピスピスさせながら息巻くグリー。 やめておけばいいのに、ゲージの出入口から武器(猫じゃらし型オモチャ)を持って飛び出した。 ちょっと高い位置にあるゲージから、机とティッシュ箱とにダイブして、侵入者の前へ躍り出る。 「出てくテチ! ここはアテチとご主人様の愛のシュテチィ!」 そういいながら威嚇する。でも、まるくてひらべったいヤツは動じない。それどころか、グリーに向かって一直線。 「テチァ!? なんテチ!? こっちくるなテッチャァー!」 慌てて逃げはじめたグリーは気がつかない。 このまるくてひらべったいヤツが掃除機で、 グリーの持っている猫じゃらしをゴミだと認識したことに。 だからそれを持ったグリーに向かって走ってくる。 10cmほどの小さなグリーには、掃除機のスピードすら自分の足より早かった。 そう逃げまわるまでもなく、掃除機に追いつかれてしまう。 「ジャァー!?」 威嚇の声をあげようとした瞬間、猫じゃらしの先端が掃除機に引きこまれた。 でも、流石にそこそこの長さがある、途中で引っかかって抜けなくなった。 だけど問題が起きた、グリーが追いかけてきた掃除機に驚いて、 ペット用仔実装にもかかわらずパンコンしてしまったのだ。 そして不幸は重なる、猫じゃらしの柄が実装服に引っかかった。 「テチャチャチャチャチャチャ!!!?」 パンコンした先から、漏れ出るウンチ。 さっきしたはずなのに、驚いて思った以上に出てしまった。 掃除機の先端でゴミが検出されれば…、もちろん掃除機はゴミを追う。 緑色のウンチはゴミと認識され、掃除機はそれを追いだした。 「痛いテチィ! はなすテッチァァァ!」 フローリングと柄に挟まれて、お靴が脱げて足が木目に削れていく。 もちろん実装石の血だって高性能な自動掃除機は『ゴミ』と認識する。 液体だってへっちゃらの最新式なのだ。 そしてもろに不幸を被った仔実装のグリー。 足が削れてパンツが脱げて、泣き叫びながらも削れていく。 「テヂャァァァァァ! ご主人ヂャマダジゲゲゲゲゲゲゲゲゴガゲッッ!!!」 それは、グリーという形が殆どなくなって、掃除機に全部回収されるまで止まることはなく…。 「ただいまー、ごめんねグリー。シリアル用の牛乳切れて買いに行ってたんだ、さっさと朝食を食べよう」 青年が帰ってきたのは、グリーが『消えて』すぐだった。 「グリー? あれおかしいな、グリー! どこいったー?」 どこを探しても見つからないグリー。懸命にいるはずの部屋の中を探すが見つからない、一体何が起きたんだ。 途方に暮れるその横を、掃除し終えて充電スポットへ戻っていく掃除機は、 買ってもらったばかりの家をしっかり綺麗にして、プスンプスンと満足気な様子に見えた。 ////////////////////////////// あとがき: 現在書いているものが予想以上に長くなりそうなので、息抜きに軽めのものを。 仔実装はペット用でも野良でもちょっとお馬鹿なくらいがカワイイと思うんです。 感想掲示板は見させてもらっています。 色々と意見も見れて感想も書いてもらえると、とても嬉しいです。 もっと面白いものが書けるようになるといいのですが…。
