「テチテッチィ!」 「あ…?」 ようやく仕事を終えて帰宅した俺が玄関を開けると、そこには仔実装がいた 当然、俺は実装石なんか飼っちゃいないし、ここはマンションの8階だ 俺はひとまずテーブルの上に仔実装を載せると、部屋の被害を確認した 幸いなことに部屋の中に糞はされておらず、冷蔵庫なども開けられていない 出かける前にわずかに開けておいたベランダの窓の隙間からほんのり実装臭が漂ってくる ここからは公園が真下に見下ろせ、そこに生活する実装石が見える ここはマンションの8階…とても実装石が迷い込む余地はないのだが そういえば過去にドアポストから侵入したという話を聞いたことがある とすれば、こいつを早くなんとかしないと… 親実装が自分や家族を飼えと押しかけてくる可能性がある、ということ 俺は頭痛に頭を押さえながら仔実装に目を向ける 当の仔実装はというと大人しいもんだ、先ほどテーブルに載せてからそのまま大人しく座っている 俺は玄関に置いてあるキラキラと光るトゲトゲの塊をひとつ手に取り 仔実装に見せ付けた 「コンペイトウ、わかる?食べるか?」 「テッチィ♪」 仔実装は涎を垂らしながら両手を伸ばし、こちらに向かって一直線に歩いてくる 俺は仔実装に飴を与えると、注意深く仔実装を持ち上げそっとベランダに向かった 両手に仔実装を持っているので少し隙間の空いたベランダに足をかけ あまり音を立てないようにゆっくり戸を開ける ここで仔実装を驚かせたりして、盛大に糞でも漏らされたら 進入されたにも関わらず幸運にも無傷だった部屋が台無しになってしまう 幸い、仔実装は飴にしゃぶりつくのに夢中で糞を漏らしていない 「テヒッ、テチュウン♪」 仔実装は俺の手の上でだらだらと口の周りを涎で汚している いい加減気持ち悪くなってきたので早くどこかにうっちゃりたい気分 そのまま黙って仔実装のいいようにやらせておく コロコロコロ… 「テ?」 仔実装の腹から小さな腹音が聞こえてきた そろそろ頃合だろう 俺は大きく振りかぶると、そのままベランダから仔実装を投げ捨てた! 仔実装は驚きの表情のまま悲鳴を上げる間も無く宙に飛び… マンションから離れた空中で盛大に糞をジェット噴射しながら更に飛んだ 実は先ほどからタイミングを計っていたのは最初に仔実装に与えた強力ドドンパが 空中で効果を発揮するように待っていたのだ ようやくパニック状態になった仔実装は「テァァア…」と甲高い悲鳴をかすかに上げながら 緑の糞の尾を引いて飛んでいき、そのうちに遠くへ見えなくなっていった うちのマンションの隣は野良実装のいる公園、運がよければオウチに帰れるだろう 俺はそんなことを考えながら煙草に火をつけようとすると、突然インターホンが鳴った ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン 焦っているのか慌てているのか… こんな時間に連打とは迷惑な まあ、仔実装ときて迷惑行為ときたらドアの向こうにいるのは一人しかいまい 糞蟲の親だ 親の顔が見て見たいとは言うが、こうも早く機会が訪れるとは 俺は後ろ手にバールを持つと、玄関に向かいドアを開ける そこに立っていたのは、年の頃は20代半ばくらいの若い女性だった 予想外のことに俺は言葉に詰まる ああ、バールは後ろ手でよかった、本当によかった 俺は慌てながらもどうにか話しかけた 「あ、その…何か御用ですか?」 女性は、言いにくそうに言った 「すみません、隣に住んでいる者なのですが、 うちのミド…仔実装が今朝から見当たらなくて… どこかで見ませんでしたか?」 どうやらアイツはオウチに帰ることはできなさそうだ ---------------------------------------------- コメント、感想ありがとうございます お問い合わせの多い幼稚園スクですが、パート2が不評だったためやり直すことになりました。 なかなか製作時間が取れないのでお待たせするのは恐縮ですが、 出来るときにやりたいと考えていますので、どうかご理解ください。
