ふたばちゃんにて、ある絵師様の絵に感化されて書いた初めてのスクです。 拙い文ですがご容赦を… ///////////////////////////////// 少し大きな虫籠。 その中に二匹の仔実装がいた。 だが、どれだけ餌が与えられていないのか、二匹は痩せほそり、 チィチィと息遣いの音だけが聞こえてくる。 もう、おなかの音も出ないテチ… オウチにいた頃が懐かチィテチャァ… 次女ちゃんが目を開けなくなってからお日様がもう2回あがったテチュ… 少しだけ、体が震えてるから…まだ生きてるみたいテチ… アタチも似たようなモノテチケド… まだ半分テチ。 あと半分もあるテチ。 アタチ達が我慢すれば、みんな幸せになれるんテチュ… みんな幸せ、おもしろおかしく飼い実装になれるテチ。 ガマンガマンテチィ…………… 『君たちが一番、家族愛、絆の深い個体のようだね』 この後からツライツライ日がはじまったテチ。 思いだすと、アタチはアマアマのチョロチャンだったテチ… あんな言葉にウソチかれて、今のアタチが横にいたらテチテチ叩いてやるテチャ… ある朝、ニンゲンサンがワタチ達のダンボールに来たテチュ。 ママがテチャァァァァァッッって怒ったけど、ニンゲンサンは笑って見てるだけテチタ。 みんなニンゲンサンはコワイコワイだって教わってたから、ママの後ろでビクビクテチ。 「大丈夫だよ、私は愛護派さ。 今日は君たちを見込んで相談しに来たんだ。 私の家で一緒に暮らさないか、とね」 そういうとニンゲンサンは、アマアマをママの口に投げ入れまチタ。 とたんにデッスーン♪ってママが媚びたんテチュ… あんなにアタチ達に人間に媚びちゃダメっていってたのに。 「ただ、私はペットが欲しいわけじゃないんだ。 家族、一緒に笑って悲しんで、ときには怒って。 そんな家族に君たちがなれるかテストさせてほしい」 ニンゲンサンはいいまチュ。 アタチ達が透明な箱に入って、お日様が30回?のぼるまで何も食べず、何も飲まなければ、 一緒に楽しく暮らせるケンリがもらえるそうテチタ。 そしてニンゲンサンがアタチと次女ちゃんを指差していったテチュ。 『君たちが一番、家族愛、絆の深い個体のようだね』 もう20回くらい、お空にお日様があがったテチ。 もう体がほとんどうごかないテチァ… ドアのあく音がしたから、そっちを半目で見ると、ニンゲンサンがニッコリと笑いながら部屋に入ってきたテチ。 もうどうでもイイテチ、ゴハン、ミズ、それにゴハンとミズがほしぃテチィィィ… ふと、懐かしい声がしまチタ。 ママと妹チャ達の声テチ。 「デププププ! ナンデスかあれは、汚くてガリガリで見窄らしいデース♪ お前たちはああなっちゃダメデスよ」 「チプププッ、汚い奴らテチィ♪ あいつらのせいでこの部屋クチャイクチャイテチ! ドレイニンゲン! 早くアテチ達を豪邸に戻すテッチャ!」 「レフ? プニプニはまだレフ? ウジチャお腹いっぱいレフ! デザートのプニプニを要求するレフ!」 信じられないこうけいレチタ。 ママと三女ちゃん、蛆チャンがアタチ達を見てチププってわらってるテチ。 いつの間に起きあがったのか、次女ちゃんが透明な壁をペチャペチャって力なく叩いてマチタ… それを見て、またママ達はチププと笑います。 「君たちは本当によくがんばっているね、もう少しだよ? そんな君たちに優しい私がご褒美をあげよう」 ゴハン…ミズ…どっちでもいいテチ…、できればリョウホウがいいテチィ… カラカラに渇いた喉から、もうワタチの声は出てきませんレチタ… 「レフ?」 ヒョイと、ニンゲンサンは蛆チャンをつまんで、 ワタチ達の箱にゆっくりおろチたんテチュ。 「久々の姉妹の再開だね♪ これから残りの日数蛆ちゃんと仲良くするんだよ。 もちろん蛆ちゃんは試練と無関係だから、毎日金平糖と実装ドリンク付きだから安心してね」 「レフーン、ここはクサクサレッフン! ウジチャ帰りたいレフ…」 アタチ達に近寄りたくないのか、蛆チャンは箱のアタチ達より離れた場所にヨチヨチいどうしていきまチュ。 「ああそうそう、蛆ちゃんの糞は食べちゃダメだからね。 それと、ここだけの話………」 ニンゲンサンが小さくつぶやきまチタ。 「蛆ちゃんにプニプニしてあげなさい、とってもいい匂いがするよ。とってもね」 それからまた少しだけお日様がのぼりまチタ。 アタチはヨコにゴロンってなって、なるべく蛆チャンを見ないようにしていまチュ…。 ************** アレ…カラ、チョッ…ダケ、お日様、のぼっ…まだ…まだまだマダマダマ……ケッフ… ウジチャ…イル……チィ…ウマ、ウマウマウマウマウマウマウマウマウマウマウマウマウマウマウマ! チギャァァァxsァxzァッァァァァッxtゥッ…………………ゥゥゥ ************** 次女ちゃんが突然体を起こすとあばれはじめたチィ…… でも、ポキッて音が聞こえるとすぐに倒れてしまいマチタ… 足が変なほうにまがってるテチュ… 蛆チャンがプルプルをレフレフって食べてるテチュ… 食べてる…テチュァァァァァ………… もうダメ…テチィ………蛆…、蛆チャ……、チファウレチ…フィ…フィフィフィ… ニクレチ、アレはアマウマニクレチ……… チィィィチアウレチ、ウジチャレチ、ニク……ウジィ…… ………………………… …………… ……… いやぁ長く持ったものだ。 これだから実装石は愛おしい。 これはラブだよ、そうとも私は彼女達を愛している。 目の前で、汚く肉を貪り食う糞蟲でさえ殺さないのだから、 私ほどの愛護派もなかなかいまい。 あの蛆ちゃんには特別な餌を用意していた。 いっけんただの実装ゼリーだが、アレには100倍に希薄させた実装香を混ぜてある。 普通は鼻をよほど近づけても気づかないだろう。 だが、食を絶たれ、水を絶った極限状態の実装石は気づいてしまう。 気づけてしまう。 実の妹から香る狂おしいほどの『食』が。 ジワジワと蝕んでいく。 本能から求めてしまいそうになるのだ、妹の肉を。 そうして私は試練の部屋に訪れた。 鼻を突くすえた臭いに、不快な糞の臭いが混じっている。 食べるものがなければ糞は出ない、つまりはそういうことだ。 ヂィ………… 私はそっと、机の上に置かれた虫籠を覗きこんだ。 「………ニンゲンサン、アタチがんばったチィ… 次女ちゃんもとってもとってもがんばったチィ… ほら、蛆チャンも喜んでるテチヨ…?」 そこには長女が緑色のナニカを膝の上に乗せ、 レッチェロチェー…レッチェロチェーと揺すっていた。 それは蛆ちゃんであったもの。 目は灰色に濁り、ほぼ骨だけになった顔。 体は……糞でできていた。 自分がしたことが信じられなかったのだろう、 極限状態に置かれ、実装香に心を壊され、食べたのだ。 妹2匹を。 そして現実を否定した。 水槽の端には外に助けを求めるかのように、壮絶な表情のまま手を伸ばした、 骨になった次女がいた。 「ほら、ニンゲンサン、あ、もうゴシュジンサマテチね。 蛆チャンプニプニしてあげてくださいテチィ♪」 私はそのまま虫籠を持ち上げ、外に出た。 庭には最後の日が昇り、秋の涼やかな風が腐臭を流す。 「お外レチー♪ ゴシュジンサマとお散歩レチ♪ 蛆チャンも嬉しいレッフー♪」 外には紐で縛られデギャァァァ、デチャァァァと家族だったはずの2匹が転がされていた。 試練に耐えられなかったのだ、ケンリはもうない。 「残念だよ、サヨウナラ、だ」 「テチ?」 ゆっくりと少し離れた公園、その中の雑木林まで私は歩く。 散歩だと本気で思っているのか、蛆ちゃんであった物に… 「あれは蝶々っていうテチ、あそこにいるのはニャーニャーテチ、コワイコワイだから近寄っちゃダメレチ」 などと、とてもいい笑顔で教えていた。 そっと私は虫籠を地面に置く。 地面から見える木々の隙間から、一歩離れた私を見て、また蛆ちゃんであった物を優しげにさすると。 よく分かってないのか、長女は蛆ちゃんだったものに歌いはじめた。 チェッチェロチェーチェッチェロチェー♪ みんな幸せになれるテチュ〜♪ みんな幸せ♪おもしろおかしくゴシュジンサマと家族レチィ〜♪ その歌は私が去ってもずっとずっと響いていた。 おまけ 「今回もダメだったよ。ただ最後まであと一歩だっただけ惜しい。 あと3日食欲を耐え抜けば理想の個体になれたのにね」 「いやぁ、虹野さん、常々無茶だって言ってるじゃないっスか! 一月も飲まず食わずで、しかも近くに食べられるものがあったら。 最高級の血統書付きだって耐えられないっスって」 男は携帯電話を手に部屋を掃除していた。 次の子達を迎え入れるために、前の痕跡は綺麗に取り除かねばならない。 男が話している相手は、懇意にしているペットショップのオーナーだ。 「いやいや、無理を通してこその理想だよ。次は里実装でためしてみようかと思っていてね」 「まぁ虹野さんのライフワークっスから…自分はなにも言わないっスけどね? にしても残念っスわ。そんなに耐えた仔が死んでしまったなんて。 十万匹に一匹っスよそんな仔」 「いや? 死んではいなかったが?」 「え、死んだんじゃないっスか?」 「ああ、生きていたね。少しおかしくなってしまったようだけれど」 ドタバタと電話の向こうで音がする。 そんなことより里実装を捕まえる伝手を教えてもらいたいんだが。 「虹野さん!悪いっすけどその仔何処に捨てたっス? いつ、どの辺りに捨てたか教えてください!今すぐ!なう!」 「な、なんだね。まあいいが。捨てたのは朝方だよ。 ほら、双葉緑地の雑木林「わかたっス!里実装の件まかせてください、それじゃ」」 切れてしまった…。 まあいい、そろそろ三桁になるこの試練。 私は不思議とニヤケる頬を抑える。 さあ、次の家族は耐えてくれるだろうか。
