「…じゃあ、俺は一ヶ月後に帰ってくるが 本当に、本当に、頑張ってくれよ?」 「大丈夫デス、いい子にして待っているデッスー♪」 俺は実装を飼っている、が、出張でどうしても一ヶ月空けることになってしまったのだ うちでは親実装のデスゥタークとその子が4匹 4匹はかわいい盛りの仔実装、親指実装、蛆実装なので 知り合いが預かってくれることになったのではあるが やはり成体の実装石となると大きいし五月蝿いし、傍目にはかわいくない よってこいつだけは自宅に留守をさせることにしたのだ 幸い、こいつはそれなりに頭がいいので まあ、いない間に家を荒すということも無いだろう 「じゃあ、食事は小分けにしたビニール袋に入っているから 一日一袋づつ食べる、足りなければ一袋余分に空けておかわりもできる 大丈夫とは思うが、あんまりおかわりしすぎると最後は食べるものがなくなるぞ、わかっているな?」 「わかってるデスゥ♪」 食事は一日分づつ小分けにしたビニールに入った実装フードと金平糖 ドライフードというやつは湿気に弱いので、ちゃんとチャックのついた袋に入れてやったのだ 実装の不自由な手では袋は閉められないが、開けることはできる 万一にために必要量の倍ほども袋を用意してやったので、全部食っても量が足りないということはあるまい 「じゃあな、デスゥターク、留守番頑張れよ!」 「はいデスゥ♪」 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 「ご主人様、行っちゃったデスゥ」 デスゥタークは部屋に一人で座り込んだ 仔もすべて、信頼の置ける人に預けられているという だだっぴろい部屋に一匹 自由、は確かに自由だ 部屋には退屈しないようにと色々なオモチャもある 今回のために飼い主が新たに用意してくれた新品もいくつかあるくらいだ しかし、広い部屋にただ一匹というのは寂しい 寂しさを紛らわすため、食事にかかる 一人寂しい食卓だが、食欲を満たすのは寂しさを紛らわす良い方法だった 「ゴハン、ゴハン、おいしいデッスゥ〜ン♪」 心にも思っていないことを口に出しながら食べる 確かに、普段食べている物よりも1ランク上の餌だが この孤独な食卓ではそれまでご主人、四匹の仔を囲んで食べていたものと比べて おいしく感じるわけがない しかし、そんな陰鬱な気分も、次の瞬間に袋からこぼれた物で即座に変わった コロコロと転がるピンク色の半透明の粒 「デ?」 それはコンペイトウだった それを目で確認するや、ごくりとのどが鳴る まじまじとそのコンペイトウを見る、やはりコンペイトウ、見まごうことなき、コンペイトウ! デスゥタークは生まれ落ちてから飼い実装となるため、ブリーダーからの激しい訓練を受けてきた そして模範的な飼い実装としてブリーダーの元を卒業し、この家に迎えられ、見事に飼いの地位を得た 優しい主人によってなんと仔を産み、育てることまで許された この家の主人はデスゥターク一家に対して非常に優しかった 愛護グッズ、コンペイトウ、人間用の食事のケーキやスシやステーキを分けてくれることさえあった しかしデスゥタークはブリーダーの激しい訓練からいまひとつご主人の好意に応えることが出来ず 結果として仔を甘やかす事態になり、その分のしわ寄せとしてデスゥタークは我慢する事が増えた 詰まるところ実装石の好物である甘物を主人が用意してもデスゥタークの口に入る機会は非常に少なかった それでも飼い実装の身分で子供まで許されたことでデスゥタークは幸せだった しかし、今回は周りには四匹の仔はいない、そして目前にはコンペイトウ 思わずきょろきょろと周囲を見回す そして思う、独り占めが許されるのだ! ピスピスと鼻息を荒げつつ、兎口からだらしなく涎が落ちる 周りにはご主人も仔もいない、家には自分一匹 そして目の前にはコンペイトウ! この瞬間、デスゥタークの頭から理性が全て吹き飛んでしまった コンペイトウ!コンペイトウ!コンペイトウ!頭の中にはコンペイトウしかない がばとコンペイトウに飛びつくと、衆目もはばからずよだれを撒き散らしながら舐めまくる 「コンペイトウアマアマデスゥ!」 思わず叫んでしまう、やめられないし、止まらない 一粒目を舐めきると、袋を逆さにひっくり返してぶちまける ドライフードが飛び散り、中に混ざっていたコンペイトウが転がる 赤、青、黄色、色とりどりのコンペイトウがころころと音を立てて転がる その様子にデスゥタークはブリブリと激しくパンコンし、糞を垂らしながら次のコンペイトウめがけ飛び掛った 瞬く間にフードの小山からコンペイトウだけを食べつくして、デップゥ、っとゲップを吐いた デスゥタークはおぞましい醜態を晒していた もしこれがブリーダーの元であったら懲罰房か処分箱送りは確実だろう アマアマの魅力には到底抗えるものではなかったとはいえ デスゥタークは自分のしたことを見渡して震え上がった しかし、同時にフードの小袋の山を見ると悪い考えが浮かんでくる 「そういえば…他の袋にもコンペイトウが入っているデスゥ?」 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 一ヵ月後 部屋に戻った俺が目にしたものは腐敗した実装フードの山と ミイラ化したデスゥタークの亡骸であった コンペイトウ欲しさに初日に全ての小分けした袋を開けてしまい 3〜4日目に全ての実装フードが腐敗 餓えに耐えかねて腐敗した実装フードを食べ続けた結果 そのまま体を壊して死んでしまったらしい (完) -------------------------------------------- 2013/11/1 みなさんこんばんは、実装石が好きで好きで堪らない、賞金首と申します。 ギャラリーは感想、絵師は絵、スク師はスク、ということで それぞれができる範囲でできることをすることが実装界隈のためになり、 安定した投下こそ実装石がにぎわう元となるだろうという判断から この度、週間実装スクを始めました。 毎週1スクを保管庫にアップしていきます。 ストックがいつ尽きるかはやってみないとわかりませんが、続く限りは続けたいと思っております。 それでは、また次回!
