タイトル:【観察】 スクに投下したモロモロの駄文をこちらにも
ファイル:夏〜秋もの.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:1861 レス数:0
初投稿日時:2013/09/16-18:23:15修正日時:2013/09/16-18:23:15
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アイスな夏

暑い。また鬱陶しい季節がやってきた。
何が鬱陶しいかって? 決まってる。野良実装の存在だ。
公園脇の我が家は、常時奴等の汚らしい姿や臭いに悩まされ続けている。

なかでも夏は特に鬱陶しく、クーラーで部屋をキンキンに冷やそうものなら、
汚らしい野良実装親子が涼を求めて窓ガラスにへばりつくのだ。
そうでなくても暑くてイラつくのに、庭先を汚物の塊がウロチョロされては尚更だろう。
子供の頃は面白がって玩具代りに、毎夏両親の野良実装駆除を手伝っていたが、
さすがにいい年になってくると、ただただ鬱陶しいだけの存在に成り代わる。

で、長い経験から両親が編み出した、手を汚さす簡単に出来る実装駆除方法がコレだ。

小さめの発泡スチロールケースの側面を四角くくり抜いた後、
冷凍庫の製氷ケースから氷ブロックを取り出し、発泡スチロールの中へ敷き詰める。
側面も氷で埋め尽くしてやると、さながらスチロール製のアイスハウスという趣だ。

後は、正午辺りに仕掛けを庭先へ放置するだけ。
涼を求めて家へフラフラ侵入してくる野良実装が迷い込むという寸法だ。
大抵の実装はその居心地の良さ故、己が凍りつつあるのに気付かずハウス内に居続ける。
で、夕方頃にケースの蓋を開ければ、中には氷付いた仮死状態の実装達が転がっている訳だ。

今年の夏は童心にかえって、急速冷凍とかいう殺虫剤で凍り付かせる遊びをしてもいいかもな。


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夏の昼下がり

今年の異様な猛暑は、人間でさえ健康維持が難しい。
大方、実装は暑さで干涸らびて死に絶えた事だろうと公園を覗くと、
予想に反して野良実装達は逞しく公園で生き抜いているようだ。
一体、あの劣悪な環境でどうやって実装がこの猛暑を耐えているのか、
興味が湧いて少し観察してみる事にした。

色々考察してみたが、面倒になったので結論を急ぐ。
結論から言って、実装が忌み嫌われる理由の筆頭である食糞をしている事が、
塩分が失われがちなこの猛暑の中での野良生活を可能にしているようで驚かされた。

元々雑食で、草や木の実を好む実装は現代人と違って欠乏しやすいミネラルを摂取し易く、
その上、本能的になのか劣悪な食環境がそう導いたのか定かではないが、
野生動物も行う泥まみれの糞尿を舐める行為が、この猛暑を耐え抜かせているようなのだ。

で、一計を講じて公園に木陰に岩塩のブロックを置いてみた。
最初は不審がって近寄らなかった実装も、一舐めしてその旨味に小躍りしだす。
本能的にか、ソレが生きる上で体に必要不可欠な良いものだと気付いたようだ。
嬉々として岩塩ブロックに群がる実装達を眺めつつ、
どのタイミングで塩ブロックを、この手元の工業用塩ブロックと取り変えるかを見計らう。
果たして実装は、味の違い等、その差異に気が付くだろうか?

因みに工業用塩は、人体に対して強い毒性があり、10gを超えると死に至る危険があるという。
実装にも効果があるのだろうか?
体重比率的に、どれくらいの分量で効果が現れるのか?
息苦しいくらい暑苦しい昼下がりに何をしてるんだと自問しつつ、
おもしろ生物実装は、実に興味が尽きない存在だ。


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夏の終わりに


今日から新学期。夏の終わりの風物詩が、近所のゴミ集積所に転がっていた。

「テ…テェ…」

ゴミに埋もれて薄汚れた安物の昆虫飼育ケースから、か細い鳴声が聞こえる。
やはり今時の子供もオレがそうだったように、
夏休みの課題に手近な仔実装を捕まえ観察日記をつけようとしていたのだろう。
小学生の男の子が大抵そうであるように、観察日記など真面目に毎日書き留める訳もなく、
大抵が途中で飽き、その存在さえ忘れて夏休みの最終日を迎えたに違いない。
結局、課題の方は適当にでっち上げのカブトムシ観察日記を書き上げでもしたのだろう。

「マ…マ…お…ねちゃ…たす……て……」

飼いの誘惑に負けたのか、それとも無理矢理に親姉妹から引き離されたのか━━

「挙げ句、一夏中ベランダで蒸し風呂同然なケースで生き地獄を味あわされるとは、ね」

クソまみれでロクな餌も与えられず、よく今まで生きていたものだ。
食糞で生き延びたにしても、デタラメにして恐るべき実装の生命力と言えよう。

「さぁて、首尾良くしぶとい仔実装も手に入った事だし、さっさと退散するか」

このまま一層に乾燥を進めて生きたままミイラにするのも良し、
毒水を延々と与えて餓えと苦しさにのたうち回るのを楽しむのも良し。

「母を求めて三千里、ってな感じで、生まれ故郷の公園を目指させるのもいいなぁ〜」

楽しみ方はそれこそ無限大だ。


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秋

日中まだまだ残暑厳しいものの夜になるとどこからともなく蟲の音が聞こえてくる。
ゆっくりと、しかし確実に秋の気配が満ちつつある町外れにある公園の一角。

親姉妹を亡くしたけれど、運良く今年の猛暑をなんとか乗り切った仔実装にとって、
容易く木の実や食べ物が入手出来るようになった最近は、嬉しいことばかりであった。
普段なら襲い来る外界の動物達も小汚い仔実装には目もくれず、
秋の実りに舌鼓を打っているようで、身の危険を感じる事がめっきり減っていたのだ。

気の赴くままに食べ散らかし、湿度も減って過ごし易い暖かさの中、
木漏れ日に当たりながら落ち葉のベッドでウツラウツラとうたた寝する仔実装。
これから来る過酷極まりない季節の到来も知らず、今は只惰眠を貪ればいい。

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光

「テェェ…」

想像を絶する大雨で家族共々この下水口へ流れ込んで、もうどれだけの日数が過ぎたのか。
先日までなんとか身動きしていた仲間達も、もう誰も返事を返してくれはしない。
たまたま運良く下水へ流れ込んだ時、天井近くの配管に体が挟まって仲間とはぐれたのが幸運
だったのか、その仔実装は壮絶に繰り広げられた同族喰いの地獄を生き延びられた。
ただし、もう何日も壁にへばりついていたコケ以外何も口にしていない。
じき自分も配管に体が挟まったまま薄暗いこの下水で干涸らびて死ぬのだろう。
爽やかな風の流れ込んでくる側溝口の向こう、温かな陽の光を最後にもう一度だけ…

「み…見たかった…テチ…」

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秋到来
公園でBBQ
焼け焦げた肉片を得ようとカラスと死闘を繰り広げる親実装
無防備な仔実装達が他のカラス達の餌食になるのも気付かずに


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BBQの後

BBQの後。
優しいニンゲンさんにとっても美味しいスープを貰って大喜びの実装親子。
飽きる事なくナメナメ、溜め込んでいた残飯にもスープを漬けてナメナメ。

「すンごいテチュぅ! とっても美味しいテチィ〜〜〜!!」

焼き肉のタレまみれで食欲のままに全てを食べ尽くす実装親子。

「もうこのさい、なんでもいいデスゥ! 手当たり次第に喰ってやるデスゥ!」

黒茶色と緑の斑模様の実装親子が隠れ家から飛び出し、食べ物を探し彷徨います。
おっと、そこへ空から黒い疾風が!
瞬く間に親子は数匹のカラスに捕まり、空高くへ連れ去られてしまいました。
美味しそうな臭いを撒き散らして公園をウロつけばどうなるか、当然の結果ですね。


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ワタリの時

秋。台風シーズンがやってくる。
実装の間でまことしやかに語り継がれる言い伝えが幾つかある。
その一つに台風にまぎれてワタリをすれば成功する率が上がると言うものがあった。
確かに天敵の野良猫やカラスと遭遇する率が下がるだろう。
だがそれ以上の自然の猛威が襲い来るのを、実装達は理解していなかったのだ。

「テチャアアアアアアァアァーーーーーッ!」
「オネチャーーー!」

また一匹、言い伝えを信じてワタリを敢行した実装が暴雨にさらわれ、暗雲の彼方へ。
既に一家で残っているのは親実装と親の足に必死でしがみつく末の仔実装のみだ。
一番上の姉は流れてきたお菓子に欲をかき、濁流と化した雨水に呑込まれ側溝へ消えた。
二番目の姉は下手にビニール袋で防水していたのがアダになり、暴風に飛ばされていった。
三番目の姉は抱いていた蛆ちゃんごと、自動車の上げた水しぶきに弾き飛ばされて消えた。

「デズァアアア! い、い、言い伝えは嘘だったんデスぅ!?」
「ママァー! ママァー! 怖いテチィ! 寒いテチィ〜!」

全身ズブ濡れのまま、鉛色の渦巻く雨雲を見上げる親子にこたえはない。
もう持ってきたモノも、子供達も何もかも雨に流され失ってしまった。
元来た道を引きかえそうにも、道路は冠水しつつあり戻れない。
慌てて流れてきた空き缶にしがみついたはいいが、どこへ流されゆくのか分からない。
気が付けばさっきまで足にしがみついていた末の娘の姿がなかった。
狂ったように泣き叫ぶ親実装の耳に、ゴウゴウと唸りを上げる側溝の音は届いていない。
渦巻き流れ込む濁流に緑の物体が呑込まれ消えゆくのを、道行く人は誰も気が付かなかった。

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