タイトル:【虐】 ニンゲンの幼稚園に実装ちゃんが入園するスク、第一話
ファイル:体験入園01.txt
作者:賞金首 総投稿数:41 総ダウンロード数:2309 レス数:2
初投稿日時:2013/09/15-21:59:39修正日時:2013/09/15-21:59:39
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「は、はあ?実装石を、ですか!?」
「実装石を、とはなんですか!うちの子はミドリ、ですよ!」
困惑した若い女性保育士に、派手な中年女性が激昂して吼えた

ここは双葉幼稚園

おおらかな風土と、実装生物を愛でることで豊かな心を育むことを是とし
一般には飼育には向かない各種実装生物を飼育し
園児と触れ合わせるというかつてない試みを実践した経歴を持っている
しかも園児服さえも実装服に近い緑色という念の入れようである

しかし今回ばかりはいまだかつてない、完全に新しい試みである
なぜなら…

「つまり、こちらのご家族である成体実装石のミドリちゃんを
君の受け持っているクラスに体験入園させたい、ということなのだよ」
園長が諭すように女性保育士に説明した

保育士の黒裏アキコは大いに悩んでいた
彼女は自身は別に実装石は愛護派でも虐待派でもなんでもない
それどころか、雪国出身のためこの幼稚園に勤めるために上京するまで
肉眼で生きた実装石そのものを見たことすらなかったのだ

それもあって、愛護派の運営する幼稚園に就職してしまったわけではあるが…
上京してはや2年、家宅侵入や託児を経てようやく実装石には慣れてきたものの
いまだに好きになることはできないナマモノである

「実装石といったって、人間の子供と変わらない
逆に言うと飼い実装というのは厳しい訓練を受けているんだ
むしろ君の仕事が楽になると考えてもらいたいものだ」
園長先生が口を開くたびに目がくらくらする

その発言内容はおよそ正気の沙汰とは思えないが
隣に座る中年女性はもっともらしい顔でウンウンと頷いている
最後に園長はこう結んだ
「きっと君にとっても、子供たちにとってもおおいにプラスになるだろう」

この時点で黒裏アキコは察した、ああ、これはきっと押し付けられたんだ
だが、自分のような新人にお鉢が回ってきたということはどうにもならないことも察していた
なぜなら、それは自分以外が既に断ったか、逃げたことを意味するからだ…

「…わかりました、ただし、実装石といえど特別扱いはしません」


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翌日、黒裏アキコは重い足取りでなんとか出社した
何度も逃げようか仮病を使おうかと考え
駅では逆方向行きの列車に足が伸びてしまったが
悲しいかな、勤め人の性か、結局定時前に幼稚園に着いてしまった

早速、上機嫌の園長に実装石のすばらしさについて色々と話かけられるが
既に心ここにないアキコの耳には届かず、右から入って左から抜けてしまった

時間と言うのは嫌でも経つもので、とうとうその時間がやって来てしまった
いよいよ朝の授業開始時間だ

アキコは意を決して教室に入る
受け持ったクラスは明るくていい子たちばかり
まだまだ始業に時間はあるが、既に全員ちゃんと揃っている

黒裏アキコは手を叩くと、園児たちの注目を集めた
「は〜い、きょうはみなさんに新しいお友達を紹介します〜、仲良くしてあげてね!」

「「「「「「「はーい!!」」」」」」」
今日も元気のいい返事にほっとするアキコ
だが同時に、この子たちに嫌な思いをさせるかもしれない事に思い至り
少し胸が痛くなる

「では紹介しますね、こちらは双葉さんちのミドリちゃんです〜」
アキコがドアを開けると、そこには園長先生と共に60センチはあろうかという肥えた成体の実装石がいた
実装石はデスデスッ!と短く鳴くと、のっしのっしと教室に入って来た

案の定、教室がざわめく
さしもの園児たちも、お友達、が実装石とあっては驚いたらしい
「ミドリちゃんは実装石ですが、みなさん仲良くしてあげてくださいね…」

と、言いかけて黒裏アキコも固まる
”ミドリちゃん”一匹だけじゃない、開いたドアからテッス、テッチとぞろぞろと
中実装や仔実装が入ってくる

黒裏アキコの顔からさーっと血の気が引く
そんなバカな、一匹だけだって聞いていたのに!
実装石なんか一匹だけだって大変なんてものじゃないのに!

だが、現に目の前にはミドリはじめ7匹の実装石がいる
黒裏アキコはひきつった笑みを浮かべると、それでも優しく成体の実装石に話しかけた
「新しいお友達はあなた一人だけって聞いていたわ
お見送りの仔たちには、バイバイして帰ってもらおうね?」

ところが、成体の実装石のリンガルから流れた合成音声の内容はそれはもう残酷なものだった
「この仔たちも幼稚園に来たいっていうから連れて来たデス
ニンゲンママから聞いてないデスか?まったく、使えないドレイニンゲンデスゥ」

慌ててドアの外を見ると、すでに園長先生はいなくなっていた
軽くめまいを覚えるが今更どうにかなるものでもないし、職務放棄も出来ない
そもそも、置き去りにされたということは園長にかけあっても無駄でしかないということだ

諦めたアキコはなかばやけくそで言うしかなかった
「はーい、それでは新しいお友達に自己紹介してもらいましょうね!」

親実装はどん、と自分の胸を腕で叩いてから言った
「ワタシはミドリ、デスゥ」
次に40センチほどの2匹の中実装を腕指す
「長女のドドリ、デス。隣が次女のドドリア、デス」
それからその隣の20、15、10、5センチ程の4匹の仔実装と親指実装を腕指す
「三女のドリアン、四女のリアン、五女のリアンカ、末娘のアンカー、デスゥ」

7匹の実装石を横に並べたアキコは引きつった顔で言った
「それじゃあ、みんな仲良くしてくださいね」


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アキコにとって不幸中の幸いだったのは
大人しい子の多いクラスだったので、最初の接触は何の問題もなかったことだ
恐らく、そこも織り込み済みでこのクラスが選ばれたのであろう

アキコは思う、ああ、なんでよりによって私なんだろうか?
私じゃなくて隣のクラスだったら…いや、ダメね、あそこの子達は落ち着きが無さ過ぎる
5分ともたず授業どころじゃなくなるわ…
そこまで考えて不毛なことに気づき、作り笑顔で授業に戻る

今日の最初は自由時間
それはクラスのみんなに実装石に慣れてもらうためのワンクッションを置く意味もあった
みんなは自由にお絵かきをしたり、実装石たちを眺めたり
園児同士で楽しく遊んだりしていた

そんなにぎやかなクラスだったが
物珍しさも手伝って、クラスの輪の中心には実装石一家がいた

中実装の長女ドドリと次女ドドリアは親実装のミドリと同じ合成音声で会話できるリンガルを首に下げていた
しかしそれ以下の仔実装や親指たちはサイズに合うリンガルがないためだろう
リンガルの類の物は持っていなかった

デスデステステステチュレチュテチュレチュ…
一見すると幼稚園児と和みつつもほのぼの親子で固まっているように見えるが
アキコの持ってきた文字表示式リンガルの内容は愕然とするものだった

「ママ、ニンゲンがいっぱいいるレチ、こいつらがドレイニンゲンになるレチ?」
「コイツらママのドレイニンゲンとは違うテチ、こいつらをドレイにして役に立つテチ?」
親指実装のアンカーと仔実装のリアンカはこのナリでもう糞蟲思考を披露している

それに対して長女の中実装のドドリはバカにしたように笑ってから言った
「テププ、オマエたちはバカテスゥ、カイショウナシなんかドレイニンゲンにしても意味がないテス
役に立ちそうなヤツを見つけてドレイニンゲンにするテス」

そんな娘たちのやりとりを見て親実装のミドリは身体をゆすって笑いながら言う
「そうデスゥ、オマエたちもいつかママみたいに便利のいいドレイニンゲンを見つけて
面白おかしく楽しく暮らすデスゥ、デェップププププ…」

不幸中の幸いは実装石同士での会話は人間
リンガルを通さないで会話していることである

園児の中には物怖じせずに仔や親指実装を撫でてくれている子もいるのに
撫でてもらっているその口からドレイニンゲンなんて言葉が出ているなんて
子供たちにはとてもじゃないが知って欲しくない

アキコの口は先ほどからため息が止まらない
もしここが検問所の吸気検査なら、もういいですから、と警官に止められているところだろう

「やめて!」
突然、にぎやかな教室ににつかわしくない叫び声が上がる
見ると、園児の一人と中実装のドドリアが何か揉み合っている
園児の持っている色鉛筆をドドリアが奪い取ろうとしているようだ

「ちょっと借りるだけテスゥ!ケチケチすんなテス!」
「いやだよぉ!そういってさっきも一本折ったじゃない!」
改めて足元を見やると、折れた色鉛筆が転がっており
仔実装のリアンカや親指実装のアンカーが踏んだり蹴って転がして遊んでいる

「何しているの!」
慌ててアキコは駆け寄って止める
しかし、ドドリアは突然泣き出すとアキコに猛抗議をした
「オロローン、このニンゲンがイジワルして貸してくれないテスゥ!」

同調するように親のミドリも割って入る
「デシャア!ワタシのカワイイドドリアにイジワルするなんて、このニンゲンは糞蟲デスゥ!」
「オロローン、オロローン、オロローン」

いきなり囲まれて恫喝され、お下げ髪の女の子は両目に涙を貯めて今にも泣きそうになっている
さすがにアキコもキレかかるが、冷静になって説得を試みた
「ドドリアちゃん、借りた物を壊しちゃったんだからごめんなさいしなさい」

「テ、テェ?」
きょとんとした顔で泣き止むドドリア

ドドリアの援護とばかりに騒いでいた実装一家もきょとんとした顔でこちらを見ている
ニンゲンは自分の味方をするものばかりと思い込んでいたのだろうか?
自分に矛先が向くとは微塵も考えてもみなかったのだろうか?

すかさずアキコはドドリアに詰め寄る
「ごめんなさいは?」
「ご、ごめんなさいテスゥ」
勢いに圧倒されたドドリアはお下げ髪の女の子に謝る

ひとまず、事件は片付いた
しかし…折れた分の色鉛筆は元には戻らない
これは後で園長先生に報告しなければいけないな、とアキコはため息をついた

ふと、視界の端に実装一家が教室の隅に固まっていることに気づいた

「デェ…デデェス…デェェス、デスデスッ!」「テスゥン!テステスゥ」「テェ、テェ、テチュ!」
実装一家がなにやらリンガルを通さずに会話している

だが、そこはこっそりリンガルを持ち込んだアキコ、会話内容を確認する
「あとちょっとだったのに、とんだ邪魔者デェェス!ドレイニンゲンに言いつけてやるデス!」
「あのニンゲンからならとれるテス!もう一押しだったテスゥ」
「あのエンピツを全部巻き上げるテチュ!」

あんまりな内容にアキコは愕然としてしまう
最初はただのトラブルだと思っていた、見るからに実装一家が甘やかされていそうだったから
しかし、気弱な子を狙って集っている、なんて悪知恵なんだろう…
どうにか仲良くさせる、という方向性では解決できないことを実感していた
そして、どうにか今日一日、園児たちとこいつらを遠ざけなければ、と決断せざるを得なかった

このリンガルの記録を見せれば、園長も納得してくれるはず、アキコはそう思って
どうにか努力しなければならない、と決意を新たにした
そして、アキコはすばやく次の行動に移る

「それじゃあ、みんなでゲームをしましょう!
まずはハンカチ落としから、さあ、参加したい人は集まってー!」
アキコの誘いに園児たちはわーっと集まってくる
平和な幼稚園の光景そのものだ

ミドリ達、実装一家も集まってくるが、ここで素早くアキコは作戦に出る
「あなた達は身体が小さくて、みんなとは遊べないから見学ね」

昨夜一晩考えた、これが精一杯の結論だった
確かに、成体のミドリや中実装のドドリやドドリアはともかく
それ以下の小さな姉妹達はゲームとなれば参加どころではない
間違って踏み潰されないかどうか、という話である

そして、幼稚園に参加して初日のミドリもルールを知らねばゲームに参加出来るはずがない
単純に見えて文句の付け所のほとんどない、合法的に仲間はずれにできる完璧な作戦だった
本当はこんな方法は取りたくなかったのだが、実装一家側があれでは仕方ない

一応、優秀なお手伝い実装や、高級飼い実装などは事前に調べ
賢い固体だった場合には園児達と一緒に仲良く遊ばせる方向性でも計画は練っていたのだが
それも夢物語に終わってしまった

アキコはミドリを教室の隅まで手を引き、笑顔で言った
「それじゃあ、ここで大人しく見学していてね」

さすがのミドリも反論の余地がないためか渋々従い
自然とその仔たちもミドリに従って教室の端に集まって行った

ルールに則ってゲームをしている以上は誰に文句をつけられる謂れもない
園長先生や、あの中年女性にだって口を挟む余地はない、そういう読みがあった

このまま、つつがなく一日を終えるか、と思われたのだが…


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事件はイス取りゲームの終わり際に起こった

「じゃあ、次の一回でおしまいよー!」

曲が鳴り終わるとともに、園児たちが一斉にイスに向かって駆け出す
この時、中実装のドドリアは親指実装のアンカーを手に持ち、イスの近くに立っていた

中実装は40センチほどはあり、園児にとってもそこまで小さな相手ではないが
親指実装は5センチ程度の小さな大きさであるため
中実装の手を離れてしまっては目に付くか、付かないか、という程度の大きさ
ましてや勝負のために視界の狭くなった園児たちにとって
そんな小さなものが目に入るはずもない

なので、子供たちの視線に立って考えれば勝負に参加していないドドリアが
イスのそばにつっ立っている、というくらいの認識しかない

さて、大人しそうなお下げ髪の女の子がイスに座ろうとした瞬間
間髪いれずにドドリアはアンカーをイスの上にそっと載せた

「テェ…ヂ」
親指実装のアンカーが最後に見たものは、園児の激しく左右に動くお下げ髪と
園児服のスカートのすそだった

「あ…」
親指実装を潰したお下げの髪の女の子は違和感に気づくが
それが何であったのかまではわからない、とにかく、服を汚したことは間違いなさそうだった

ちょうどたまたま、この時にチャイムが鳴った。休憩時間である
お下げ髪の女の子は違和感の残るスカートの裾を両手で隠して
トイレに向かうふりをして裏庭へ走った

そして、赤緑の一対の目がその様子を目で追っていた

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裏庭にたどり着いたお下げ髪の女の子は
スカートの裾にへばりついた物を手に取り、愕然とした

幸い、園児服は実装風のデザインであったため、色も実装石に似せてあったため
体液の色がそう目立つ様子もなかった
それよりも問題は…お下げ髪の女の子は意を決して服にへばりついていた物を見た

体はひしゃげて頭と左肩以外はぺしゃんこになった親指実装、アンカーの残骸である
舌を出して目が飛び出していた、普通の生き物なら確実に即死だろう、しかし…
「レ…レェェ…」

「ひっ!?」
「レビィッ!!」
アンカーが声を漏らしたことにおびえた女の子は手を離してしまう
地面に叩きつけられたアンカーは短く悲鳴を上げる
実装石特有のしぶとさで、まだ辛うじて生きていたようだった

「きゃぁっ!?」
ふいに、お下げ髪を後ろから引っ張られて女の子がのけぞる
驚いて振り向くと、中実装のドドリアが髪を引っ張っていた

「テププププ、みーちゃった、みーちゃったテスゥ」
ドドリアが満面に嫌らしい笑みを浮かべる

お下げ髪の女の子は目に涙を溜めると
口をぱくぱくさせながら声にならない声をあげた

「先生に言っちゃうテスゥ〜?きっと大変なことになるテス
お友達もみんないなくなって、幼稚園にもいられなくなるテッスゥ〜ン♪」
ドドリアはお下げ髪の女の子の顔に顔がつくほどの距離でもう一度繰り返す
実装臭の漂う吐息が顔に当たり、女の子がえづく

「そ、それだけは…」
お下げ髪の女の子が半泣きで言うと、ドドリアは嫌らしい笑みで答えた
「じゃあ、黙っていてやるから、高貴なワタシのドレイになるテス」

そう、ドドリアはこのお下げ髪の女の子をドレイにしようとしていたのだ
親実装がニンゲンドレイを持ち、自由気ままに生きている
生まれた時からそんな光景を目の当たりにしていれば、当然の選択である
そのためには実の姉妹さえも平気で捨て駒に使う

だが、この計画にはひとつ決定的な違いがあった
それは、親実装のニンゲンドレイは自分から進んでドレイに成ったが
こちらは脅迫してニンゲンドレイにしようとしているということである
それは、ほんの小さなきっかけで計画どころか自分の足場の崩壊を招くことを意味する

「何やってんの?」
そんなやりとりをどこから見ていたのか、髪の長い女の子が裏庭に入って来た

「逓茅嘉(てちか)ちゃん!?」
お下げ髪の女の子は驚いた顔で髪の長い女の子、逓茅嘉(てちか)を見、絶望的な気分になった
クラスのお友達に知られてしまった、これでもうおしまいだ、と…

「テププププ、見ていたなら話が早いテスゥ、オマエが証人テス
このニンゲンがイストリゲームでイスを取ったイモウトチャを尻で潰して
それを許してやるかわりに高貴なワタチのドレイになるんテス」
ドドリアは胸を張って逓茅嘉(てちか)を腕指し、お下げ髪の女の子は俯いた

しかし、逓茅嘉(てちか)はあっけらかんとして答えた
「イモウトってあのちっこいのだよね?
あんな大きさで自分でイスに登れるわけないじゃん」

「テテェッ!?」
思わぬ突っ込みに後ずさるドドリア
あれ?と言う顔でお下げ髪の女の子は顔を上げた

「そそそ、そんなの…ワタチはこの目でコイツがカワイイイモウトチャを潰したとこを見たテスゥ!
そこに潰れたカワイソウなイモウトチャが何よりの証拠テス!オロローン!!」
ドドリアは両目から透明な涙を流すと潰れたアンカンの死体を両手に抱いて泣き声を上げた
しかし、逓茅嘉(てちか)は冷静に答えた

「潰れるとこ見てて、止めなかったの?カワイイ妹なのに?」
「テッ…」
鋭いところを突かれてうろたえるドドリア、ここへきてお下げ髪の女の子も何かおかしいことに気づいた

ドドリアは顔を真っ赤にして腕を振り回すと透明な涙を流して絶叫した
「ウルサイテスゥ!そいつがイモウトチャを潰したのは間違いないテス!
カワイイカワイイ、イモウトチャを潰されたワタシをカワイソウだと思わないテスゥ?オロローン」

そして、半分潰れたアンカーを両腕で抱き、二人に見せ付けるように顔の前に差し出した

「…オネチャ…ワタチを…ニンゲンの尻の下に置くなんて…酷いレチィ…」
それだけ言うと、アンカーは力尽きてだらんと垂れ下がり、両目がみるみる白く濁っていく

両腕を頭の後ろで組んで不器用に口笛を吹こうとするドドリア
しかし、ミツクチの口は口笛が吹きにくいらしく、時折フュー、シューと言った音が漏れているだけだった
お下げ髪の女の子がぽつりと漏らした
「気持悪い」

その言葉を聞いてドドリアがキレた
「テッヂャャアァァァァァア!ヒョヂヂヂィィィィィイイイ!!」
ドドリアはめちゃくちゃに威嚇をしながら両腕をくるくる回してお下げ髪の女の子めがけて突進する

「テヒョァァア!?」
するりと逓茅嘉(てちか)に足をかけられてドドリアは派手にすっ転ぶ
顔をザリザリと地面にこすりつけ、頭巾が剥け、前掛けが破れ、首輪がちぎれてリンガルが転がる
そのままドドリアはブリブリとパンコンすると気絶してしまった

転がったドドリアを見下ろしながら逓茅嘉(てちか)が言う
「乱暴なことをする悪いジッソーセキはオシオキしないといけないんだよ
そうしないと、どんどん乱暴になって手がつけられなくなるんだって」


「オシオキって、どうするの?」
お下げ髪の女の子の問いに、逓茅嘉(てちか)が答える
「パパは、うちの仔がイタズラをするとライターで後ろの髪の毛をちょっと燃やすよ」

「でも、火のつくものなんて…あ、あった!」
お下げ髪の女の子の目線の先には柵で囲まれた焼却炉があった
焼却炉にはごみを燃やし終わり、蓋が開き、既に水がかけられた状態だったが
赤赤とした燃えカスがわずかに残っていた

「じゃあ、右手と右足を持ってね」
気絶したドドリアを逓茅嘉(てちか)が左半身、お下げ髪の女の子が右半身を持ち
後ろ髪を少しだけ焼却炉に垂らす
火は残っていなくとも、脂分の多いドドリアの髪の毛に燃えカスの熱が移り
チリチリと焦げた臭い匂いを出して後ろ髪が少しづつ焦げていく

その時、運悪く中で何かの燃え残りがあったのだろうが?
パチンと音がして中の焦げたゴミが崩れ、派手に火花が散った
その瞬間、ドドリアの頭巾に一気に火が回った

「あちちっ」
たまらず二人はのけぞったが、たまらなかったのは二人だけではない
頭に火がついたドドリア自身もだった

「テッヂャアアアアアアアア!!」
「あっ!?」
突然奇声を発して手足をイゴイゴばたつかせるドドリア
中実装は大きさの割りに軽いとはいえ身長約40センチ
二人にとっても決して小さいサイズではない
そんなものに腕の中で暴れられてはとても支えることなど出来ない

逓茅嘉(てちか)とお下げ髪の女の子たちの手を振りほどいたドドリアは、前に飛ぶ
すなわち焼却炉の中に軽快に飛び込んでいった
ドドリアが焼却炉に飛び込んだ衝撃で鋼鉄製の蓋が閉じてしまった

中で何が起きたろうか?
鋼鉄の焼却炉の中で起きたことはわからない、蓋が閉じては音が漏れないからだ
中で実装石程度が暴れてもビクともしないし外に音は伝わらない

そんな様子を目の当たりにして、お下げ髪の女の子が言った
「ねえ、どうしよう…」

二人とも、どうしたらいいかわからない
ただ、ひとつ、はっきりしていることは…

「どうもしないよ、自分から飛び込んだんじゃん」
逓茅嘉(てちか)が言った
それを見届けるかのようなタイミングで休憩終了のチャイムが鳴った
二人は後も振り返らずにと教室へ戻って行った








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今回から諸般の事情で作者名が『汚部屋の人』→『賞金首』へ変更します
ハンドルネームがあまりにもアレすぎて誤解を招きますので、その対応です

なぜか汚部屋託児と改造実装だけ、パスワードでエラーが出て変更できない
(パスザード入力時の入力ミス?)
なのでそのままになっちゃってますが、これもおいおい対応したいと思います


今回のスクは過去絵の実装石が幼稚園に入園したら〜というネタ絵をヒントにしています
果たしてニンゲンの幼稚園に実装石が入園して無事で済むのでしょうか?
生き残った実装一家の運命は!?

ご意見、ご感想などなど、保管庫にぜひ!


全体の長さから行って、全3話の予定ですが
まだまだ長引く可能性もあります、ご了承ください


なお逓茅嘉(てちか)ちゃんはバーステーソングからの再登場です

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1 Re: Name:匿名石 2016/10/26-00:00:59 No:00002637[申告]
やっぱり何度読んでも糞ファミリーだな
そろそろ最後のやつの死に様も見たいものだ
2 Re: Name:匿名石 2023/07/20-13:46:40 No:00007585[申告]
糞蟲焼却処分ざまあ
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