木枯らしが強く吹き荒れ、一層に寒さが増していく冬の初め頃。 この時期になると、どこの公園でも毎年ながらに、実装石のとある風物詩が嫌でも目に入ってしまう。 例を上げれば、冬眠食を家族総出でせっせと造る秋仔干しや、 冬眠にちゃんと備えた一家を無慈悲かつ無遠慮に襲撃する糞蟲一家などと、嫌でも毎年ながら冬になれば、 そんな光景がちらほらと公園を歩けば見えだしてしまう。 現にとある公園には、もう野たれ死んでしまった実装石や、 冬越えの準備をしたが運悪く虐待派か糞蟲の群れに巣が見つかり、全てを奪われ野たれ死んでしまった禿裸や、 全て失った絶望と寒さに苦しみ抜いて凍え死んだ実装石(仔共々)などと、様々な末後が散乱していた。 そしてまたそれ以上に多いのが── 「ディエエエエエエエン! ディエエエエエエエン!!」 一匹の禿裸が大声で公園の真ん中で泣き喚き、 「ディエエエエエエン!」 同じように禿裸に剥かれた実装石が、 最初のその泣き声に同調するように泣きわめきながら、 トボトボとどこ行くあてもなく寒風吹く公園を無情に彷徨っていた。 その小うるさい悲鳴に視線を向ければ、 禿裸が余すことなく公園の広場のいたるところで各々に嘆き叫んでいた。 「ディエエエエエエエン! なんで、なんで、ワタシがこんな目に逢わなければいけないデスゥ!」 「不幸デェェェスゥゥゥ! ワタシは不幸デェスゥ!」 「ディエエエエエエン!」 身に降りかかった、あんまりな不幸に憤怒に荒んだ怒声をがなり上げ、 冬の澄んだ蒼くそして冷え込んだ空を見てはとめどいなくダバダバと滂沱する禿裸の群れ。 そのうちの一匹が、息絶えるまでに散々に惨たらしく痛めつけられ、 最後のトドメと言わんばかりに禿裸に剥かれた、苦悶の表情で絶命した我が仔を抱いた、 仔以上の凄惨な虐待を受けさせられた一匹の禿裸の親が、 「デェエエエエエン! なんでデェスゥ! いったいワタシが何をしたデェス! ワタシや仔は何も悪い事をしていないデェス! こんなのあんまりデェス!」 皮が捲れ、泥と血にまみれた裸足で地団太を幾度なく踏み、 「なんでデェスゥ! お唄がうまく踊りの上手い、あの良い仔を託児したのに、 なんで、こんな目にあうデェス!」 しこたま殴られたのか歯並びがぼろぼろに崩れさっていた、 血まみれの口をそのまま裂くかのような怨嗟の怒声が、冷え切った大気の中に響く。 「ディエエエエエエエン! 何でデェス! お唄や踊りがうまい自慢の仔だったのに、なんで殺されるデェスゥ! この仔はニンゲンサンの迷惑になるようなことは何もやっていないデェス! ニンゲンサンのゴハンだってこの仔は食べてないデェスゥ! なのに、なんで、ニンゲンサンはあんなに怒るデェスゥ! デェエエエエエン!」 と、当然なる己の所業の制裁にあんまりだと嘆きながら、 事切れた仔を抱きしめ、力なくさめざめと泣く親。 それに続くように、 「デェエエエエエン! あんな糞仔を託児に出したのが失敗デェス! つまみ食いしない良い仔を託児すべきだったデェス! デェエエエエエン!」 別の禿裸も、あまりにたわけた事をのたまい泣き喚き、 「デェエエエエエン! ワタシは不幸デス! まだ袋に入れていないのになんでこんな目にあうデス!」 「デェエエエエエン! 仔を全部殺されたデェス!」 「デェェェェェェン! おまた焼かれたデェス! もう仔も産めないデェス!」 「デェェェェェェン! もう託児できないデェス! セレブ生活できないデェス!」 と、どれもこれもたいして変わらない同じような事を、次から次へとのたまいながら、 決して安易な己の非を認めずに、ただ自分は不幸だと泣き喚く禿裸の群れが、この時期になるといやでも目につく。 ──そして今日もどこかの公園で、託児を試み失敗し、 禿裸にされ討ち捨てられた実装石達の泣き声がうるさく高らかと嘆き響き、心底うんざりとした公園管理人にほそぼそと駆除されていく。 これもよくある冬の公園の風物詩である。 終わり 皆さんお久しぶりです。262です。 以前の作品に御感想ありがとうございました。 ここにて御礼を申し上げさせていただきます。 また次に乗せる事が出来たらなにとぞにお願いいたします。 稚拙な文体最後までお読みくださってありがとうございました。
