本スクはボトルキャップ氏の 仔実装用潜水艦♪大爆沈丸 という絵を基にしたお話です ============================================================== 休日の昼下がりにネット通販サイトをぼんやりと眺めていたところ 我が愛仔実装のミドリが表示された商品一覧の中から一箇所を腕で示し、しきりに鳴きかけてくる 「テッチ、テッチャー!」 「んー、どれどれ?」 綺麗な広告におもちゃの潜水艦が表示されていた だが、その表示をよく見て俺は眉を潜めた この商品、見覚えがある…確か以前、虐待用品を扱ったレビューサイトで見たはずだが… それがなんで愛護用品として発売されているんだろう しかも、どちらかといえば愛護派向けのサイトで… ちょっと不思議なものを感じながら広告を見る、一見しておかしなところはなさそうだ 『実装的玩具☆大爆沈号』…ん?昔とちょっと商品名が違うような… そして商品には大々的に上級者向け知育玩具とある 「…これ、欲しいのか?」 「テッチ!テッチ!」 たずねるが早いか、首が千切れんばかりに縦に振るミドリ、カワイイやつめ こいつがおねだりをするのは珍しいので、まあ一個くらいいいかと思い 購入の手続きを済ませると、俺は振込み用紙を手に郵便局へと向かった ----------------------------------------- 一週間後 「おーい、ミドリ、潜水艦届いたぞー」 「テッチューン♪」 まるでクリスマスプレゼントを受け取った子供のように包装紙をびりびりに破いていく 出てきたパッケージは… 安っぽい厚紙の包装のあちこちにシールが張りたくられたパッケージ むむ!?あのメーカーってこんな安っぽい包装だったっけ?? そう思いながら、パッケージに張られた『お風呂でお仔実装をお育てするです』という なにやら不安なシールを剥がしてみると、長い漢字の羅列が出て来た 「これは…まさか!?」 危ういものを感じて、商品名のところに張られた『実装的玩具☆大爆沈号』と書かれたシールを剥がしてみる すると下に印刷されていたのは『仔実装用潜水艦♪大爆沈丸』の文字 うわぁ…これ海賊版、おそらく海外で違法コピーされるかしたパチモンだ… 「テッヂャーーー!!」 気がつくとミドリが怒っている、まあ、それもそうか… 自分にもらったプレゼントを勝手にいじられているんだもん 開けてみて、安全そうだったら遊ばせてやるか… 箱を開けると布製の帽子が入っている小袋が目に入って来た いわゆる雰囲気アイテムというやつだろう、船長っぽい意匠の衣装、なんつって ひとまずこれで遊ばせておこうと思い、ミドリに渡してやるとテチテチ喜んでいるので 今のうちに中身の点検をしておこうと思う 説明書を開くとまず目に飛び込んでくるのが ”山塞的製品にご注意くださいです”の大書 山塞…中国語で海賊版のことだ おまえが海賊版だろうがという突っ込みは置いておいて とりあえず欠品がないか調べるところからだ …欠品があればつっかえせるんだけどな、と大人気ないことが頭をよぎる そんな大人の事情を露知らず、ミドリはご機嫌だ 「テッチテッチ、テッチューン♪」 帽子を頭に乗せて鏡の前でしきりにポーズを取っている さて、説明書1/3を開き、商品の内訳を確認する 半組み立て済みの潜水艦本体、ある 専用爆雷が5個… 記憶が確かなら、元になったキットは専用爆雷が10個付属したはず まあ、海賊版だしあんまり期待しないほうがいいか 制帽…これはさっきミドリに手渡した奴か 乗組員仔実装…へ?乗組員が着いてくるのか? 真空パックされた仔実装が一匹まるまる入っている これで中身は全部か、さて、潜水艦を組むとしますか 「テッチ!」 帽子に飽きたミドリがいつの間にか隣に座って期待に満ちた視線を向けている 説明書2/3を開き、潜水艦パーツを確認する 部品は船体、艦橋、舵パーツと大まかに分かれている まあ、組み立てと言っても半完成品なんですることは少ないのだが 説明書に従っててきぱきと組み上げていく 「テー…」 徐々に組みあがっていく潜水艦と、いともたやすく組み上げる俺を見て ミドリの尊敬の視線が背中に刺さる、もっと尊敬してよいのぞよ 本来なら潜望鏡がはまるであろう位置に謎の穴がある そして潜望鏡はついておらず、説明書でもスルーされている パッケージでは潜望鏡がついているイラストなのだが… チャイナクォリティー全開の仕様に顔が綻ぶ いかんいかん、どうもマニア癖のせいで変なところばかり気になる そして、最後に真空パックされた仔実装を開封する 真空パックされることで仮死状態だったものが開封されることで息を吹き返す 袋からもぞもぞと起き上がってきた仔実装が最初にとった行動は… 「テッチュ〜ン♪」 なんと、媚びだった 呆気に取られていると、なんとスカートをめくってチラッ、チラッと見せてきよる うわぁ…これ完全に糞蟲じゃねえか…なんで知育玩具に入っているんだろ とりあえず、説明書の続きを読むと、仔実装のセット方法と 付属品の爆雷の使い方が書いてあった 爆雷は潜水艦が潜航し始めたら投下し、水に反応して大迫力の爆発を見せるです! とかなんとか… …あれ?説明書の3/3がないぞ? めくってみたが、くっついているというわけではないようだ 箱を漁って見たが見落としと言うこともなさそうだ やられた 輸入キットで説明書欠品は、本当にヤバイ、やめてほしい キットそのものも不安だから返品したいところだが、開封しちゃったしなあ… 「チヂギャ、チッギャー!!」 「テッヂュー!?」 ヤバイ、目を離した隙に付属品仔実装の奴がミドリを威嚇してる 慌てて引き剥がすと、付属品仔実装を空になった潜水艦の箱に入れる その間にもブビブビと嫌な音をたててパンコンし…ていない、糞抜きしてあるようだ おならの嫌な音に耳をそむけつつ、説明書をいま一度読む 3/3が無いのでイマイチだが、2/3を見る限りは付属品仔実装をセットするようだ 試乗運転要員ということだろうか? 開封後はすぐご使用くださいと書いてあるのでもう仕方が無い 説明書に従って付属品仔実装のやつを潜水艦にセットする 湯船で遊ぶと、掃除が面倒だと思っていたので 物置で眠っていた熱帯魚用の大型水槽に水を張る 「テー…」 俺が付属品の仔実装を潜水艦にセットしているので ミドリはすっかり面白くない様子、ふてくされてすっかりご機嫌斜めだ どうにか死守した帽子を胸に抱いて恨めしげに俺のことを見ている それに引き換え… 「チプ、チプ、チププププ」 付属品仔実装のなんとご機嫌なこと、ミドリの様子を見ながら糞虫全開である 知育玩具の付属品として失格なんてもんじゃないだろう というか、遊び終わったらこれ、飼うの?やだよおれ… とりあえず、水を張った水槽に潜水艦を浮かべ 船体後方のスイッチを入れる 「チップププ〜♪チップププ〜♪」 ご満悦の付属品仔実装と比べ、こっちはもう満身創痍である ミドリにいたっては悔しいのか帽子のつばをギリギリと噛んでいる 「テッチッチー♪テッチッチー♪」 付属品仔実装が鼻歌混じりに上機嫌で水槽内を航行している ときおりミドリの方を見ながらにやにやするのがなんかムカツク そのまま水槽内を二周ほどしたころだろうか…異変が起こった ぶくぶくと泡を立てて潜水艦が沈みはじめたのだ 「テッヂャアアアアァアァァ!?」 慌ててパニック状態になっている付属品仔実装 おかしいな、このままだと沈むんじゃないのか!? 慌てて引っ張り上げようとするが 赤緑の本気涙で水槽に色をつけながら スクリュー全開でちょこまか水槽内を動くので捕まえることが出来ない 突然の変化にミドリも不安そうだ 「そ、そうだ!説明書!」 説明書の爆雷のページを開くと ”潜水艦が沈み始めたら、付属品のお爆雷を適時、適量づつ水槽に投下しるです” よく分からないのでちょっとづつ間を置いて全部投下! ボンバボン! 投下した順番にゆっくり爆雷が爆発すると 付属品実装は耳と鼻と口から色のついた液体をにじませながら更に激しくのた打ち回り 潜水艦は動きを緩める 水中での衝撃の伝わり方は空気中でのものより激しいと聞く 生身で雷撃を喰らった付属品仔実装のダメージはいかほどだろうか? 付属品仔実装の目は光を失い、ゆっくりと手足を水の流れに任せている 穴と言う穴からは赤緑の体液を流し、操舵手を失った潜水艦は動きを止めて水底に沈んでいった だが、無情にも次々に爆雷が爆発し、更に付属品仔実装を痛めつける 「テ…テェェェ…」 その様子を見てミドリが怯えている、無理もあるまい、一歩間違えば自分がああなっていたんだから… さて、この隙に潜水艦を引き上げてやろうかとも思ったが さっき投下した爆雷の最後のひとつがいつ爆発するかわからないため、危なくて手を突っ込めない 「あ」 停止した潜水艦にゆっくりと最後の爆雷が近づいていき 付属品仔実装の頭にコツンと爆雷が触れた その瞬間、付属品仔実装の目に光が戻り、コポッと口から泡が漏れ 手を頬にあて、媚びのポーズを取ろうと、した ボパン が、媚びのポーズをとる前に爆雷が爆発した その瞬間、潜水艦を中心に水槽は赤緑に染まっていった 「テェェェェン、テェェェェェン」 あとには、ミドリの泣き声だけがこだました ------------------------------------------------------ 結局、ミドリが潜水艦に乗り込むことは無かった そして後日、謝罪文とお詫びの小物とともに送られて来た説明書3/3によると 糞蟲を目の前で処刑し、自分の飼い実装の見せしめにする そういう目的の知育玩具だったらしいことが判明した また、その後ネットでのレビューサイトを巡ったところによると この玩具、飼い実装の反応から糞蟲チェックに使ったりなど 本来とは違う要素でも色々と遊べるということで大人気だったようだ 嬉々として潜水艦めがけて爆雷を投げ込む飼い実装の動画をアップする愛誤派のサイトを見て さすがに背筋が寒くなってしまったところではあるが それにしても虐待用品を愛護用品に使いまわすとは、商魂たくましいと言いますか… ミドリはと言うと、今まで以上におもちゃをねだって来なくなり、聞き分けがよくなった あの時の制帽は今でもミドリのお気に入りだ 完 途中は中華キットレビュー風に仕立てました ”俺”が本来の絵の設定と違うことを言っているのは記憶違いです うろ覚えでレビュー書くと結構やっちゃうんですよね なお、描写に関しては実際に海外製キットで起きたことを相当大幅に誇張しています

| 1 Re: Name:匿名石 2014/09/24-22:09:54 No:00001379[申告] |
| こういうおもしろギミック系のスクは読んでて楽しい |
| 2 Re: Name:匿名石 2014/09/24-22:17:58 No:00001380[申告] |
| 海外製キットのトラブル実話が元になってるせいか
描写が細かいね |