タイトル:【観虐】 ある実装石に人間から賞金がかかり、実装石達の追手がかかる。賞金がかかった理由とは…
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作者:賞金首 総投稿数:41 総ダウンロード数:2329 レス数:5
初投稿日時:2013/02/24-18:09:46修正日時:2013/09/15-21:52:42
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ある公園の昼下がり、一人の男が小さな紙束を持ってやってきた

早速、足元に集まる野良実装の一団、
男の裾を引くもの、媚を売るもの、デスデスわめくもの、様々な者がいたが

男は意にも介せず紙束を広げる
そこには、派手な赤文字でWANTED!の文字が躍り
中央に大きく緑色の三角形?じゃなくって…あの…実装…石…らしき…
えーっと…多分その、実装石の…顔?そう、顔!実装石の顔が印刷されていた

「お前らに一仕事頼みたい、この親指実装を探しているんだ
こいつを連れて来た奴にはコンペイトウを頭巾に3杯分やるぞ!」

たちまち一団は色めきたつ
「そいつを捕まえればコンペイトウを貰えるデス?」
「アマアマレチュ!」
「それよりニンゲン、ワタシを飼うテチュ!!」
「プニプニしてレフーン♪」

「じゃあ、一週間後にまた来るからな、それまでに捕まえておいてくれよ」

さて一週間後
先週と比べてやや少し臭くなった公園に男がやってくると
5組の実装石一家がそれぞれ親指実装の死体を1体づつ連れて来ていた
おまけに4組の死体は禿裸にむしられている

しまった、死人に口なし、ということか!そういうことには知恵が回るんだよな、こいつら
さっそく雲行きが怪しくなったことに一抹の不安を覚えるも、やってしまったものはもう仕方ない

「さあ、早くコンペイトウを寄越すデス!」
威勢のいい親実装が禿裸の死体を投げて寄越す
それを制して隣の一家が吼える
「うちが先デスー!クソニンゲン!さっさと寄越すデス!」

俺は大声を張り上げてわざとらしく怒る
「おい、恥知らずのクズども!目当ては1匹だぞ?5匹のうち4匹は偽物か?
偽物には賞金は出せん!大体、誰が禿裸の死体を持って来いと言ったんだ!!
生きて服を着た状態で連れて来ないと何の意味も無い!そんなことじゃ賞金はナシだ!」

連中は一瞬ひるんだが、数に任せて一斉に不満の声があげる
それは確かに当然といえば当然の話、こいつらは共食いをする、死体にしたって大切な栄養源だ
場合によっては財産である奴隷を潰して持ってきているかもしれない
この死体を作るために命がけで他の一家を襲ったりしていることだろう
ここでこいつらに手を引かれるのはこちらも困るので、妥協案を探すしかない

「じゃあ、こうしよう、今回はそれぞれに頭巾一杯分づつ賞金を出す
その代わり、次は一組の一家にしか賞金は出さない!
一週間後にもう一度来る、それまでに、今度はこいつを探しておいてくれ
こいつの賞金はな、なんと聞いて驚け!コンペイトウを頭巾10杯分だ!」

コンペイトウと一緒に紙束を配ってまわす。
…前回のものと全く同じ手配書、手抜きだが、どうせこいつらは気づかないだろうし
こっちも手配書どおりの実装石をつれてくるだろうとはつめの先ほども思っていない
そもそもこいつら、楽して誤魔化そうとするだろうから真面目に手配書通りに探すはずがないだろう

コンペイトウを配るとき、わざと禿裸にしていない一家の分だけ、頭巾からこぼれ落ちるほど渡しておく
他の一家の分はわざと少なめに渡しておく
…やたらとでかい頭巾を持って来た裸蛆実装連れ一家がいたので、無言で親実装の頭巾を剥いでコンペイトウを入れてやる、むざむざこのために身内を裸にするとはなんと恐ろしいヤツらだ
だが、そうでなくちゃこの非情な仕事は勤まらない、せいぜい真面目に賞金稼ぎに徹して貰わないとこっちも困る

さらに一週間後
生臭く、あちこちに赤緑のしみが見える、すっかり汚くなった公園に男が姿をあらわした

ベンチ前には既に2組の一家がそれぞれ親指実装を一匹づつ連れて来ていた
お互いににらみ合いながら飛び掛らん勢い
どちらも賞金稼ぎがすっかり板についたようで、錆びた刃物を担いだものや
腰に曲がった釘を差したもの、爪楊枝のを紐にくくりつけたものを弾帯よろしく肩に掛けた者もいる

どうやらこの2組の一家だけが生き残ったが、お互いに相手を潰すには至らなかった模様
2組残ったのは予想外だったが、念のために準備をしておいて良かった

「やあ、賞金稼ぎ諸君、精が出るねえ!早速だが賞金首の検分をさせてもらおうか」

2組の一家は親指実装をこちらに寄越し、こちらは丁寧にそれを受け取る
それぞれの虜になった親指実装たちはガタガタ震えているが、あまり手荒なことをされた様子は無い
それぞれの一家から親指実装を預かると
どちらもベンチの上に座らせ、吟味するように両方を確認する、さて…

「悪いが、俺にはどちらに賞金を出せばいいか見分けがつかない
そこで、こうしよう、君たちそれぞれで戦ってもらい、勝った、優秀なほうの目利きを信じる
負けた方は賞金はなしだ、そのかわり賞金は上乗せして、こいつを払うぞ!」

「悪いが、俺にはどちらに賞金を出せばいいか見分けがつかない
そこで、こうしよう、君たちそれぞれで戦ってもらい、勝った、優秀なほうの目利きを信じる
負けた方は賞金はなしだ、そのかわり賞金は上乗せして、こいつを払うぞ!」

鞄から乾パンの缶詰を5個取り出す
こいつは缶入りの上、中にコンペイトウも入っているので
実装石にとっては雨露を防げる冬季の非常食としてとても重宝されている、ひと財産だ
缶詰ひとつでこいつらにとっては一財産であるダンボールハウスが中身つきで買えるらしい
ましてや、今は秋口…喉から手が出るほど欲しいはずだ

「それっぽっちでこれ以上働けないデス!」
「死んだら元も子もないデッスー!」
「クソニンゲン!ふざけるんじゃないテチュ!」
「出すモン出さなきゃ、容赦しないテチュ!」

む、さすがにここまで残るだけあって、どちらの一家も多少は利口なようだ
だが、それじゃダメなんだ、まだ最後の仕上げが残っている
こいつらに見苦しく潰し合って貰わないと困るのだ
賞金稼ぎは一組も残ってくれればこと足りるのだから…

「よし、わかった、倍プッシュだ!さらに倍払おう」
缶詰を更に5個取り出し、積み上げる
躊躇する実装石一家たち、つばを飲む音がここまで聞こえてくる

そこで俺は間髪入れずにこう言う
「わかった、乗らない、というなら、賞金は最初の約束通りの額だ。もちろん、それぞれ半分づつ分けてもらうからな」
さっと缶詰を鞄にしまおうとした時…

「デヂャアアアアアー!」「レチュ!?」「デチュー!!」
「デアアアアアアー!!」「テチヂュン!」「レヂュー!!」
片方の一家が相手の一家に躍りかかり、負けじと相手の一家も牙を剥く

この時を待っていたんだ!
それぞれの争いは横目に留めて、賞金首2匹の様子を丁寧に確認する
リンガルに意識を集中し、賞金首の親指実装2匹が糞蟲行為をしないか全力で見守る

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俺は以前、実装石を飼っていた、ご他聞に漏れず、とんでもない糞蟲だった
だから実装石というものはすべからくとんでもない糞蟲だと思っていた
しかし、そんな俺の考えをひっくり返す出来事が起きた

半年前、友人の家に家族を失った親指実装が逃げ込んできた
聞けば、家族を他の野良実装一家に全滅させられてしまったという、彼はそいつを飼う事に決めた
俺は猛反対した、何匹も躾けてきた俺だから言える
どうがんばっても一ヶ月もすればこいつらは糞蟲になる、わがままで糞を垂れ流す悪臭を放つ害獣になる、と
どんな糞蟲でも一応最後まで飼ったが、最後の瞬間まで揃いも揃って全部糞蟲だった、と

ところが、半年振りに会って見ると、その親指実装は糞蟲になるどころか
家の手伝いまでしていた、まるでブリーダー産の上等な飼い実装のようだった
それを見て俺はそいつが無性に欲しくて仕方なくなり、その友人に譲ってくれるよう頼み込んだが
やはりというか無碍に断られてしまった、当然といえば当然だが…諦められるものじゃない

俺は何が悪かったかを考えて見た
俺の腕前?いや、俺は元々動物好きで、犬猫もちゃんと躾けたことがある

そうか、境遇…これまで託児されたり、野良実装一家に交渉して実装石を譲って貰っていた
きっとそれがダメだったに違いない、託児されるようなのや、食料と引き換えにされるのは最初からミソがついている、すなわち、万一虐待派の手に落ちて死んでも惜しくないような糞蟲だ
大真面目に選び抜いて託児や売り渡す親もいるって?そんな糞蟲の子が優秀ってこと、あるか?
家族を奪われて命からがら逃げ回り、泥水をすする生活をした健気で儚い実装石を探せばいいのだ
そんなのを探し出すのは不可能って?

なければ作ってしまえばいいのだ、そのために賞金をかけたんだ
最初から、泥水をすする生活をした健気で儚い実装石、に賞金がかかっていたんだ
そいつを作り上げるために、大枚を叩き、手間をかけて状況を用意してやったんだ
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ふと、足に軽い衝撃を受けて我に返った
片方の一家の頭巾の破れた親実装と、その子の親指実装の二匹だけが生き残っていた

「よくやったな、約束通り賞金は全部お前達の物だ、ついでにこいつはサービスだ、持ってけ」
乾パンの缶詰と封を切っていないコンペイトウの袋を持って来たおもちゃの猫車に山盛りに載せてやる

「こんなものまで…くれるデス?」
「何かあったらまた一仕事をして貰うかもしれないからな、その時は頼むぜ」

またイチからルールを教えるのは非情に面倒だし
味を占めた実装石を子飼いに持っておくのも悪くない
こいつらにはせいぜいこの冬くらいは越して貰わないとこっちも困るかもしれない

二匹は猫車を引くと公園の茂みに帰っていった
そいつらを見送ると、俺は二匹の親指実装に向かって尋ねて見た

「乱闘すごかったな、良い見世物だったろ?」

これが最終試験だ、頼むから見下して嘲るのはやめてくれよ…全て水の泡になっちまう…
祈るような気持ちで二匹の顔色を伺うと、二匹は赤緑の粒を目からこぼし、泣きながら答えた
「そんなことないレチィ、ニンゲンサン、酷いレチ…」
「ママとオネチャたちを食べたヤツらも、みんな死んじゃったレチ…」

「よし、合格だ!君たちを飼う!」
「レチ…ニンゲンサン、ワタシたちをいじめるレチ?」
「ママとオネチャたちがいないのに、ワタシだけ幸せになれないレチィ」

「なにを言っているんだ!君たちは幸せになる権利があるんだよ!
いなくなった家族のためにも、君たちが幸せにならなくちゃ!
そのために、捕まった君達を解放してもらうためにあれだけの食糧を用意したんだよ!
あれは、君達の命の値段なんだよ!」
畳み掛けるように無茶苦茶な理屈で一気に押し捲る

二匹の親指実装は考え込む、親指実装の頭では賞金の仕組みを理解できるはずもない
つまり、間接的に俺のせいで家族が襲われたという事実にたどり着くことが出来ないのだ

二匹は考える、野良として生きてきて…人間にここまで必要とされたことはない
いや、むしろ邪魔にされ、目の敵にされ、あるいは殺されそうなってきたのだ

それに、さっきの一家が引いていった車に山積みにされた食糧
あれだけの食糧を目の前に積まれれば、普通の野良実装なら喜んで子供を差し出すだろう
まともな野良実装でも、他の子を助けるために涙を飲んで子を差し出すほどの破格の財産だ
自分達を助けるために、それだけの財産を手放してくれる…
「ニンゲンサン…いい人レチ?」
「そうだよ、君達に幸せになって欲しいから、あれだけの食糧を用意したんだよ」
「…そうレチ、生き残ったワタシタチは、死んじゃったみんなの分も幸せにならなきゃいけないレチ」

俺は二匹を丁寧に説得すると、納得してもらってかごに入って貰った
不幸にも野良実装に押し入られて家族を失い、善良な人間に拾われた親指実装の一丁あがり…
いや、二丁あがり、といったところだろうか?
これでこの二匹はあの友人の親指実装とほぼ条件は同じだ
酸いも甘いも噛み分けたこいつらならきっといい飼い実装になってくれるはずだ
薔薇色の同居人生活が今から楽しみで仕方が無いな

完





前作:汚部屋託児


解説:
スターウォーズエピソード5で集められた賞金稼ぎが勢ぞろいしている図を見て思いつきました
薄汚い実装石が思い思いの武器を手に、たくましく賞金を稼ぐ様はなかなか見ものだろうな

…と思いましたが、実際書き上げると冗長なだけで読んでも
全く面白いシーンにならなかったので全部カットしました
まとまりを重視した結果が、いまの形です

個人的には不要なシーンを大幅にカットしたので、まとまりはいいかなと思います
その分、説明不足なシーンがないか少し不安ではありますが

主人公の男は、友人の実装をねたむあまりに
自分の手で同じ境遇の実装を二匹、作り上げてしまいました
果たしてこの男の手元で、この二匹は幸せになれるのか…

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1 Re: Name:匿名石 2014/09/23-20:43:31 No:00001370[申告]
姉妹じゃない実装石を多頭飼いする時点でその後のオチが容易に予測できますね
2 Re: Name:匿名石 2014/09/23-23:20:25 No:00001371[申告]
その後の薔薇色生活が見たいね
3 Re: Name:匿名石 2014/09/24-01:17:52 No:00001372[申告]
血を分けた屑より見知らぬ善石同士さ

ただ、ご主人様がご主人様だし
実装石であるというだけでアンラッキーが発動し続けるからねえ
4 Re: Name:匿名石 2017/03/13-13:03:44 No:00004515[申告]
なんか実装の転落していく様が今から想像できて面白いw
賞金稼ぎ実装もキャラが立ってるし続編来ちゃったりしますか?
5 Re: Name:賞金首 2017/03/13-19:51:09 No:00004516[申告]
嬉しいこと言ってくれるじゃあないの…!
出来るかどうかはわからないけど、挑戦してみるデス
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