タイトル:【馬】 スカイダイビング
ファイル:スカイダイビング.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3211 レス数:0
初投稿日時:2006/08/11-17:07:01修正日時:2006/08/11-17:07:01
←戻る↓レスへ飛ぶ

ある日、うちで飼っている実装石の翠がテレビを見ていていて興奮していた。
テレビの内容は芸能人が南の島でスカイダイビングをしたり、豪華な料理を食べたり
綺麗な海でスキューバーダイビングをしたり贅沢の限りを尽くしている番組だ。

その番組を見ていたうちの翠は「自分も同じことがしたい」と言い出した。
正直テレビと同じような旅行をしたらお金が湯水のごとくなくなるのは目に見えている。
だから、翠には「お金が無いから出来ない。」というと子供のように駄々をこねだした。
駄々をこねても無駄だときつく言うと翠は顔を俯かせて落ち込んでいた。

翠は、それなりに躾は覚えるのだが、どうしても我侭なとこがある。
実装ショップで格安で手に入れたのだからしかないだろう。
『いつものよう適当に叱った後、金平糖でも与えれば
 そんなことは忘れて機嫌も直るだろう。』
と思っていると、翠が小声で

「一度でいいから空を飛んでみたかったデス。」

と、言ったのをリンガルがしっかりと拾っていた。
俺はそれを見て『しかたないな』と思い、
俺は笑顔で翠に

「旅行は無理だけどスカイダイビングなら出来るぞ。」

というと翠は目を輝かせながら喜んだ。
喜びのあまり糞を漏らしていたので、頭をはたくが
それすら気にならないくらいに喜んでわけの分からない踊りを踊っていた。


次の休みの日、俺達は近くにあるスカイダイビングスクールに来た。
そこで簡単な講習を受けた後、インストラクターの人と一緒にスカイダイビングする
のである。

早速講習を受けたのだが、予想通り翠は講習なんて全く聞かず
空を飛んでいる自分を妄想しながらうっとりとした表情を浮かべている。
インストラクターの人も、呆れ顔で講習を進めていた。

講習から2時間後、遂に小型飛行機に乗って上空4000mの地点に到達した。
そこでトラブルが発生した。
翠が自分一人で飛ぶといって聞かないのである。
俺がどれほど、叱っても一向に譲ろうとはしない。
仕方ないのでインストラクターの人に無理を言って頼んでみると
あっさりとOKをくれた。
ただし、事故が起きても一切責任は追わないという誓約書にサインをさせられたが。
翠には高度を示すメーターがこの数値になったらこの紐を引くんだぞと念を押して、
ようやくダイビングを再開させた。

最初に翠が飛んで次に俺がインストラクターの人と一緒に、最後に記念用のカメラマンが飛んだ。
正直、最初の浮遊感が怖くて目を閉じていたけど、インストラクターの人に目を開けるように言われて
恐る恐る目を開けると、その景色のすばらしさに感動した。
そこからは興奮の連続で、スカイダイビングにはまる人の気持ちが少し分かった気がした。

そんな中、インストラクターの人が急に慌てだした。
何を慌てているのかと思ったら、翠である。
翠はものすごい勢いで落下しているのである。
どうやら、人間よりも小さいため空気抵抗を受けない分、我々より早く落下しているようだ。
カメラマンの人が急いで体を一直線にして急降下し、必死に翠に何かを支持していた。
しかし翠は一向に言うことを聞かない。
まさか気絶でもしたのか?と思っていると、インストラクターの人が

「くそ!まただ!だから実装石はイヤなんだよ!」

と言うのが聞こえた。
カメラマンはカメラを回しながら何かを取っている。
どうやら指示を出すのを諦めたみたいだ。

しばらくすると私のパラシュートが開き、次にカメラマンのパラシュートが開いた。
しかし翠のパラシュートは開かない。
そしてそのまま、地面に激突して緑の染みとちょっとしたクレーターを作って翠は死んだ。

俺は、インストラクターの人になんで翠はパラシュートを開かなかったのか、その理由を説きいてみると

「実装石1匹にスカイダイビングさせるとよくあるんですよね。
 自分が空を飛んでいると勘違いして、自分に酔ったまま死んじゃう実装石が。
 実際は空を飛んでいるんじゃなくて、落ちているんだけなのに。」
「な…」
「一応、お宅の実装石の最後の映像を見ます?」

そう言われて、カメラマンが取っていた映像を見ると、確かに翠は完全に妄想の中にいる顔になっている
目が完全に麻薬中毒者のような目になっていて、なぜか不気味に笑っている。
カメラマンが

『おい!しっかりしろ。そのままじゃ死んでしまうぞ!』

と言うと、翠はものすごい剣幕で

『五月蝿いデス!空を飛べる私が死ぬはず無いデス!死ぬのはお前デス。
 さっさと死にやがれです!』

翠の言葉に俺は絶句した。
家でも多少暴言は吐くものの、これほど酷い暴言を吐いたことのない翠がなぜ?と思っていると
それを察したのかインストラクターの人が

「実装石に幸せ回路ってあるのは知ってますよね?」
「…はい。」
「実は空を飛んでいる実装石はどうも、脳から異常なまでの麻薬物質を分泌させるようなんですよ。
 そのせいで、どんな賢い実装石も、その脳内麻薬が幸せ回路に作用して
 ダイビング中は一気に最低の糞蟲になるんですよ。」
「な…」
「しかもよく見てください。股間の位置が微妙に膨らんでいて、そこをしきりに触ろうとしてますよね?」
「…はい。」
「アレは糞をカメラマンに投げつけようとしているんですよ。」
「…」
「以前ダイビング用の服を切れなかった国宝石がパンツ一丁で飛んだことがあるんですよ。
 そしたら、そこの実装石と同じようになって注意しに来たカメラマンに糞を投げつけたんですよ。
 でもこれだけは安心してください。確実に幸せの中で死にましたから。」

俺は説明を聞いて、納得はしていないが理解はしたのでその場を去ることにした。

スクールを出ようとしたとき、係りの人に呼ばれた。
なんだろう?と思い行くと

「ダイビング用スーツのクリーニング代4万円になります。」

その瞬間から俺は実装石が嫌いになった。


■感想(またはスクの続き)を投稿する
名前:
コメント:
画像ファイル:
削除キー:スクの続きを追加
スパムチェック:スパム防止のため2466を入力してください
戻る