タイトル:【紅虐】 愛しきルビイ
ファイル:愛しきルビイ.txt
作者:qoo 総投稿数:19 総ダウンロード数:1600 レス数:0
初投稿日時:2012/09/09-12:00:35修正日時:2012/09/09-12:00:35
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 昼下がり。
 先日越してきたばかりの横濱の新居で、僕は緩やかな時間を過ごしていた。
 隣には僕の小さな友人。
 実装紅のルビイだ。

「ダワ」
 ルビイは小さく欠伸をすると、僕の腕を求めて手を伸ばした。
「おやすみ」
 僕はルビイを抱え上げ、鉄の函の中に座らせ、蓋を落とす。
 それは函の外壁を滑るようにゆっくりと収まり、やがて止まった。
 函をステージに乗せ、留め金でしっかり固定したあと、把手を回して突棒を下げる。
 三度ほど回ったころ、函の中からくぐもった呻き声が漏れてきた。
 僕はそこで一度手を止め、函の側面を棒で叩いた。
 ガインと音が響く。
 外ですらこれだけの音だ。中では相当響いていることだろう。
 中から苦悶の声と弱弱しく壁を叩く音がする。
 僕はまたほんの少しだけ把手を回す。

 ……何度も繰り返すうちに、壁を叩く音が消え、呻き声だけになった。
 ようやく体を動かすだけの隙間も消えたらしい。
 ひとまずそのままにして、七輪に火を起こし薬缶で湯を沸かすとともに石を焼く。
 沸いたら、函の上から湯を注ぐ。
 蓋を底に湯が溜まるが、蓋はぴったりに設えてあるから、ルビイの方に湯が落ちることはない。
 それから焼石を投げ入れる。
 こうして湯が熱を介させることによって、不用意に焼いてしまうことを防ぐのだ。
 しばらくあって、突棒がわずかに軋んだ。
 ようやく熱が蓋を抜けたらしい。
 そのうちかすかにぱきりと音がして、続いて再び中から壁を叩く音がし始めた。
 どうやら熱に苛まされている間に耐え切れなくなって、ルビイのどこかが砕けたのだろう。
 つっかえている部分がなくなれば、多少なりとも抗う隙間ができる。
 再び把手に手をかけ、右手と左手を互い逆に握る。
 みしりという感触を掌に感じながら、一寸一寸出来得る限り緩慢にその隙間を埋めてゆく。

 ——あの人は紅茶が好きなのだ。

 実装石は苦しめれば苦しめるほど美味しくなると云う。
 ならば君も同じに違いない。
 唯でさへ極上の紅茶と言われる実装紅のジュウスは、こうして恐怖と苦痛と絶望に晒すなら、更に風味を増すだろう。
 ああ、愛しきルビイ。
 僕の素敵で我儘な女神の為に。
 苦しんで。
 苦しんで苦しんで。
 この上なく甘美な紅茶になっておくれ。

(fin)

[あとがき]
 実装石じゃないうえ、気分の悪い話とは存じますが、このところ投稿が無いようなので投稿してみました。

【過去スク】
【虐】【紅】 化粧
【あっさり虐紅】 風呂
【託】 奇跡の価値は
【託】 一部成功
【観察】 幸運の無駄遣い
【観察】 禍福は糾える縄の如し
【狂】 月下の詩
【託愛】 特上寿司
【謎】 幻のエメラルド(1)
【謎】 幻のエメラルド(2) (未完)
【託狂】 私の子供
【観察】 糞虫達(1)
【愛】 糞虫達(2)
【愛】 糞虫達(3)
【虐】 糞虫達(4)
【蒼/人虐】 危険な実験
【雛エ】 桃雛
【雛食】 桃雛末路
【虐】 温暖化対策

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