『…足らんデス。』 「…はぁ?」 『足らんと言ってるんデス、このクソニンゲン!デシャーーーッ!!』 俺は今、学校での地域活動の一環で、公園の野良実装にコンペイトウを配って回らされている。 なんでも、愛護派の校長と町内会長婦人の立案らしい。 ばらまけば手っ取り早いだろうに、 「取れる取れないで不公平が出たら、実装ちゃんが可哀想ザマス。」 とか言う会長婦人の申し出で、クソ面倒臭い戸別訪問と相成りましたとさ。トホホ… 一度にたくさん持ち歩くと実装どもが興奮するらしいので、100個入りの袋を1つ持って、最初のダンボールハウスに向かう。 「仔実装には1個、成体実装は身長が5〜6倍だから多めに10個、だったっけ…」 指示された個数を思い出しながらハウスのフタを開けると、親実装1匹、仔実装3匹の家族が、そろってこちらを見上げて来た。 デスデステチテチテッチュンテッチュンうるさいので、とっとと終わらせてしまおうか。 渡されていた実装リンガルのスイッチを入れ、実装石達に話しかける。 「おい実装ども、エサの時間だ。ありがたく受け取れ。」 『デス?貢物デス?貰ってやるから、さっさと出すデス、このウスノロ奴隷。』 『テチーッ!コンペイトウテチーッ!ウレシイテチー!』 『キョウモシアワセ、ミツケタテッチュ〜ン!』 『テ〜?』 うぁ、いきなり糞蟲かよ。幸先いいじゃねぇか、コンチクショウ。 …まぁいい。長々と付き合う訳じゃないし、ここはスルーが最善手、と。 「おぅおぅ、貢物だよ、貢物。くれてやるから手を出せ。まずは仔からだ、ほらよ。」 『アリガトテチー!』 「おぅ。次はお前だ。」 『ワーイ、アマアマテッチュ〜ン!』 「で、お前、と。」 『テ〜♪』 うむうむ、仔実装達は素直で可愛いもんだ。さて、可愛くも無いこっちの方は… 「最後はお前だな。お前は体もデカいから、10個も恵んでやるぞ。嬉しかろう嬉しかろう。押し頂いて敬って諂え。」 『…足らんデス。』 「…はぁ?」 『足らんと言ってるデス、このクソニンゲン!デシャーーーッ!!』 流石、糞蟲。欲望に限度無しか。 「やかましいぞ、糞蟲が。仔実装が1個なんだから、身長差から考えて5〜6個が妥当、10個なら御の字だろーが。」 『デププッwwオマエ、それ本気で言ってるデス〜?これだから3流学校の3流ニンゲンは…デスゥw』 …軽くイラッと来ちまった。ってか、学校の事は言ってくれるな orz 『確かにワタシの身長は、この仔達の6倍デス。…デスが、横幅も6倍で、厚みも6倍あるのデス!つまり、6×6×6で216! 実に216個ものコンペイトウを得る権利を有しているのデス!それなのに、あぁ、たったの10個!たったの10個ぽっちで お茶を濁そうなどとは笑止千万!片腹痛し!ワタシも安く見られたもんデスゥ!!それともアレデスか、オマエ、このくらいの 事もわからん程度のオツムしか無いデスー?悲惨デスー。世も末デスー。笑えるデスーwwww そんなド低脳下僕に、この賢くて美しくいワタシが、分かりやす〜く教えてやるデス!いいデスか?よく聞けデス。 ”も・っ・と・寄・こ・せ”デス!デ〜ピャッピャッピャッピャデボォヴァラァッ!?』 うわ〜、大発見。いやいや、知らなかったよ。俺の中に、こんなにも巨大な殺意が芽生える事があっただなんて、ねぇ? 思わず親蟲を踏み付けちまったぃ♪ 『何をするデス…デギャァッ!…このクソドレ…ギギィィィ!…さっさとこの臭い足…デズァ!…どけやがれデデデデェッ!?』 「いやいやいや、実装石クン。(ギュムッ!)これは申し訳無い事をしたねぇ。(ギュムッ!)ただ残念なことに、(ギュムッ!) コンペイトウは今、これだけしか無くてね?(ギュムッ!)で、申し訳ないんだが、(ギュムッ!)コンペイトウを増やす訳には いかないんで、(ギュムッ!)キミの方に減って貰おうかな、と!(ギュギュムグリグリッ!)」 『デヒーッ…デヒーッ…オ、オマエ、何を言ってるデスゥ!?』 何を言ってるのかと問われれば、お前の言い分に合わせた行動を実施してやると返答せざるを得ない。 まずは… 「まずは、その小汚い服っ!これを剥ぐ事により、体積8%カットォ!」 ビチビチ…ビリビリビリッ! 『デーッ!服が、ワタシの服がぁっ!』 「そしてお次は、ギトギトに脂ぎった髪の毛っ!無駄に茂った髪は、体積16%相当だ!」 ムンズッ!ブチブチ…ブチッ! 『デギャギャ!…髪…髪が…美しいワタシの髪ぃ…』 「おっとっと、忘れちゃいけない。前髪前髪、ちょっと抜いて♪これで3%、と。」 プチプチプチプチプチプチプチ 『デ!デ!デ!デ!デ!デ!デ!』 ここまでで、ざっと27%。もっとも、目測もいいトコだけどなー。 さて、お次はいよいよ… 「いよいよ本番だよー。楽しいねー、糞蟲ちゃん。ところで糞蟲ちゃん、”う”と”あ”では、どっちが好きかなぁ?」 『う…ううっ…ウガーッ!オマエ、この可愛いワタシにナニするデ・・・!』 「”う”だねおっけーわかったりょーかい。それじゃ”うで”から行くよー!…せーの、そーーーれぃっ!」 ミヂッミヂッ!ボキッ!バキッ!…ブギンッ!! 『!!!デ、デギャーッ!!オテテがっ!オテテが無くなったデスッ!?イタイイタイデッスーッ!!』 「うんうん。すっぽりともげたね。これだと…13%くらいかな?どう思う、仔実装ちゃん達?…ってあれ、気絶してら。」 『…ウーン、ママガ…ママガ…』 『ウソテチュ…コンナノ…』 『テー…』 『もう…やめろデス…今なら許してやらんことも無いデス…当然、謝罪と賠償を要求す』 「オープンゲットォ!」 『デギギギギィッ!ギ、ギギャ!足、足足足あしあシシ足ぃぃぃ!』 「お前らって、腕と足の大きさ、あんまり変わらんのな!これじゃせいぜい14%ってトコじゃないか!もっと頑張れ!」 やっべ、テンション上がって来た!でももう、取れるトコ無いな〜。あと残ってる所と言ったら… 「あと残ってる所と言ったら、耳くらいか。ま、いいよね。どうせ人の話とか聞かないんだし、耳無くても。」 グニュィィィ…ビチュン! 『デ…デヒ…デヒ…ミミミミミ…』 「これで…2%?みたいな?だよね?…ってまぁ、聞こえてないか。まぁいいや。さて、これで〜、服で8%、髪で19%、 腕が13%の足が14%に耳が2%で…56%。喜べ糞蟲!キミは何と56%もの縮小に成功した!やったぜワショーイ! で、だ。元の44%の大きさのキミには、216×44%で、95個のコンペイトウを進呈しよう。謹んで受け取りやがれ!」 理由は分からないが(笑)、だらしなく開いたままのミツクチに、1個ずつコンペイトウを捻じ込んでやる。 何だかデゥデゥ言ってるようだが、気にしない。 「92個…93個…94個…95個、と。はいはい終了終了。お疲れ俺!ありがとう俺! …ありゃ、まだ2個残ってるなー。さーて、どーすっかな〜」 などと言いながら、親実装のピスピス動いている鼻の穴に、1個ずつコンペイトウを詰め込んでやる。 何だか小刻みにプルプル震えてるようだが、気にしない、気にしない。 「じゃあな糞蟲!釣りはいらねぇ、取っときな!いい夢見ろよーっ!」 溜飲を下げた俺は、意気揚々と集合場所に帰ったんだが、血みどろの姿を会長婦人に見られたもんで、オバハン卒倒。 後日、事情を知った校長にこっぴどく怒られてしまいましたとさ。
