タイトル:【ホラー】 実装物語書いてましたが久しぶりに書いてみました
ファイル:採掘場のザジ.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:1217 レス数:0
初投稿日時:2011/05/14-04:36:05修正日時:2011/05/14-04:36:05
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「採掘場のザジ」
 


みなさんは大谷町と言う町をご存知だろうか
大谷石の採掘場として有名だから多くの人は知っていると思いますが・・

栃木県宇都宮市の西に大谷町と言う町がある、僕はそこの町で生まれ育った。
父親が切り出しの労働者だったからだ。
やがて石の切り出しも制限されるようになると町全体が急激に寂れて行った。
しまいには地盤沈下や崩落が相次ぎ住民自体が避難して無人の箇所が増えた。
僕たち家族も県から立ち退きを求められ今は宇都宮市に住んでいます。
そんな僕の不思議な体験を聞いてください

僕が中学3年になった頃です、採掘場は幾つも閉鎖され、さながら穴ぼこだらけの防空壕のようになっていた。
そして僕が学校から家に帰る途中にかなり大きい採掘場入り口がありました。
そこも中学に上がるのと同じ頃に閉鎖になって立ち入り禁止の看板と簡単な囲いがされていた。
囲いと言っても子供なら簡単に入れるような幅だ。
あと一週間で夏休みでウキウキしながらの帰り道、いつものようにその入り口の前を通った。
「あれ?」
採掘場入り口囲いの内側に小学生の頃、よく遊んだ斉藤君がいた。
「斉藤クーン!」
斉藤君に声をかけた、よく見ると随分と汚れた格好をしている。
僕と斉藤君の家は離れている、地域が異なり中学生になってから第一と第二の中学校へと振り分けられた
それ以後まったく会わなくなって、ここ2年〜3年遊ぶ事も無くもう会う事もないだろうと感じていた。
僕は懐かしくなり囲いの内側に入り斉藤君の元へ近付いた。
「どうしたの?なんでこんな場所にいるんだい」
僕が声を掛けると斉藤君はにやりと笑い
「昔この辺で君とよく遊んだよね」と懐かしむように答えた。
確かに遊んだけどあの当時はこの辺りも活気があって僕たち以外の子供も多かった。
今更不気味な閉山跡に来るのもどうかな感じた。

ふと足元を見ると実装石がいた。
この実装石は斉藤君がペットにして飼っていたザジだ。
名前の由来は当時遊んでいたゲームキャラから取ったらしい。
ザジは僕を見上げると愛想良く「デスゥ」鳴いた。

不意に「としあき君、僕ね、家に帰らなくちゃ」と斉藤君が言った。
「行くぞザジ!」
そう言い残すと斉藤君は採掘場へと走って行った。
「ちょっと待て、危険だぞ」
僕の言う事も聞こえないのか採掘場の闇の中へ斉藤君はザジと一緒に消えて行った。

大急ぎで僕は家に帰ると懐中電灯を持って、採掘場へと入って行った。
斉藤君は明かりも無しに採掘場へ入るなんて一体どうしたんだろう?
もう空は夕焼けへと変わっていた

「おーい!斉藤君」

声が反響する、採掘場はかなりの広さで幾何学的に切り出された壁は幻想的に見えた。
「これ以上は危ないな、大人を呼んで来よう」
そう思った時、後ろで「デス!」っと短くザジの声がした。
振り返ると懐中電灯に照らされたザジが僕を見ていた。
サジは身振り手振りで何かを訴えようとしている、どうやら僕を誘導しているらしい。

「そうか・・ザジは斉藤君のいる場所が分かるんだな」

そう言うとコクコクと頷いた。
僕はザジに導かれ更に奥へと進んで行った。
迷路のように入り組んだ通路を抜け、仕切っている部屋を抜けた。
すると広い部屋が狭くなって行き、しまいには頭に天上が当たる位になってきた。

ザジの後を歩きながら当時の事を考えていた。
斉藤君はいつもザジを殴ったり蹴飛ばしては虐待していた。
それもかなりエグい虐待だった、エスカレートすると本当に殺してしまうような勢いで殴り続けた。
かく言う僕も一緒になってザジを虐待していた。
実装石は虐待するべきと当時の小学校じゃ当たり前の考えだ。

狭い通路を抜けるとテーブルや長椅子があり部屋のような施設になった、
ここは当時の作業員が休憩なんかをしていたのだろうか・・
テーブルには当時使っていた茶碗とアルミ製のやかんが埃をかぶって置いてある。

ザジが「デスデス」と指を挿すとその部屋の隅で斉藤君が立っていた。
「どうしたんだい?こんな場所で?」
斉藤君は「うちへ帰るんだよ」とポツリと答えた。

「うちって・・斉藤君の家は○○町の方だろ」

「うん、としあき君も一緒に帰ろうよ」
そう言って斉藤君は僕の手を取った
その手はとても冷たく、僕はぞっとした。

よく見ると斉藤君の姿は随分と小さい・・
いや待てよ・・中学3年にしては背丈が小学生のままだ。

「一緒に帰ろう、帰ろうよ」

引っ張ろうとするする手を僕は振り払うと、すっぽ抜けて倒れてしまった。
すぐに起き上がり落ちた懐中電灯を拾うと斉藤君を捜した。

「あ?・・・」

懐中電灯に照らし出された白骨死体が一つ、腕にはザジらしき実装石の白骨死体が・・
死体の服装はあの汚らしい服だ。

そうか斉藤君はこの採掘場で迷って・・それとも・・

「あれ?どこをどうやって僕はここまで来たんだろうか?」

その時後ろからさっきと同じ様に「デプ」っと短いザジの声がした。
その声はさっきとは少し違い嘲る様な笑いが滲んでいた。
振り返るとザジはいない、真っ暗な空間だけがそこにあった。

僕はその後迷いながらも何とか出口へ奇跡的に辿り着いた。
両親にその事を告げると、その後警察が大捜索をして斉藤君の死体を見つけた。


斉藤君は中学1年になってすぐ行方不明になっていた、あのペットのザジと一緒に。

考えると斉藤君をあそこに連れ込んだのはザジでは無いだろうか。
それとも虐待に耐えかねて逃げた先があの採掘場だったのかも知れない。
そしてザジは斉藤君へ復讐を果たしたのでは・・

僕もザジに復讐されたのかもしれない。




終わり



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