それは法事で帰省したときのことだった。 久しぶりに訪れた故郷の村は相変わらずだった。 余裕を持って来たので時間はあった。 そこで村の中を散策することにした。 段々畑と柿木。 小川と小さな橋。 全てあのときのままだった。 そしてあの駄菓子屋も今もそのままの姿で営業していた。 懐かしさも手伝って店を覗いてみることにした。 店番をしていたおばちゃんも、薄暗い店内もあの頃のままだった。 数々の駄菓子とチープトイ。 そしてアレを見つけた。 それはブロマイドだった。 如何にも硬派は印象を与える学ラン姿。 二昔前に流行ったようなジャニタレのようなコスチューム ・・・を身に纏った実装の写真やグッズ。 明らかに某猫のパクリだった。 今や天然記念物と言っても良いリーゼントやパンチパーマな実装石の姿は笑いを禁じえない。 オマケにあの衣装ときたら・・・俺は爆笑を堪えるのに必死だった。 それにしてもポーズは兎も角、あのドヤ顔はどうやって撮影したのだろう? 少々喉が渇いたのでドギツイ緑のメロンソーダを飲む。 とてつもなく、わざとらしいメロン味。 ふと、視線を感じて振り返ってみると実装が電柱の影からこちらの様子を伺っていた。 どうやら実装ガチャガチャの遺棄された中身を狙っているらしかった。 無視してるとゴミ箱に上半身を突っ込んでガサゴソと始める実装。 おや?もう下校時間なのか。 ランドセルを背負った子供達がやってきた。 しかし食事に夢中で気が付いていない実装。 案の定、子供に見つかり捕獲された。 デシャー!デシャー! と威嚇するものの、全く効果はなく逆に子供達の嗜虐心を刺激してしまったようだ。 一人の子供が店に入り爆竹を買い求めた。 ああ、実装に仕込んで汚い花火をやるのだな。 やはり子供のやることなんて何時の時代も変わらないものらしい。 そして歓声を上げながら実装を蹴り飛ばしつつ子供達は去っていった。 さて、そろそろ時間だ。 俺は時計を確認すると駄菓子屋を後にした。 途中、幼馴染の俊明と会った。 今やアイツも立派な農家のオヤジだった。 しかも嫁まで貰っていたとは・・・。 ついでにもう直ぐパパになるらしい。 ふやけた顔で笑うヤツにレバーパンチをお見舞いして別れた。 なんか自分だけが取り残されたような・・・そんな焦燥感。 夕日がヤケに目に染みる夕方だった。 〜劇終〜
